ヨーロッパの出版文化史
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書写本の華麗さは15世紀にまさにその最高潮期を迎えていました。そんな時代にあってすぐれた工匠魂と求道者のこころをもった発明者のヨハネス・グーテンベルクは、絶え間のない創造的不安のただ中にあったとみられます。発明者にとっての印刷術とは書写の安価な代用品などではなく、印刷術と活字書体はそれ自体として完成されるべきものであり、またあらたに誕生した書籍の出版・販売業者とは、著作者から読者への単なる仲介者ではなかったのです。本書ではヨーロッパの出版文化史を個別科学の枠組みから解き放ち、社会史と精神文化史の側面から照射した好著です。
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朗文堂書籍のご愛読者のみなさまへ
2004年の夏は、まず最初に例年にない早い梅雨明けにはじまり、猛暑と台風が連続して日本列島に襲来しました。出版界も他人事ではなく、ここ数年続いていた小規模書店の閉鎖だけにとどまらず、大型書店にも激震がおそいかかり、小社のような零細専門出版社は正直なところ、ただただ驚きどうしたらよいのか手をこまねいて傍観していたというのが実情でした。 なかでも読者の皆さんも新聞報道などでご存じのことと存じますが、デザイン美術書の販売に積極的であり、小社のよき理解者でもあったL書店チエーンが独立性を失い、大取り次ぎの傘下に入ってふつうのパターン配本による書店になってしまったことと、それについでA書店チェーンの一時閉鎖などによっておおくの書店から親しい書店員の仲間が去っていってしまったことは淋しいかぎりのできごとでした。 そんな逆境のなかでも関西から進出されたJ書店チェーン、B書店チェーンの皆さんが理解を示されてくださり、またA書店の再建が決定してようやく読書の秋をむかえ、新刊および増刷の決定をみることができました。 いずれにしても当分は出版・書店界は烈風のもとでの苛酷な活動をしいられることになりそうです。小社もご愛読者のみなさまのご声援をたよりに、なんとか堅実に良書の刊行をつづけてまいります。 かわらぬご支援のほどお願いもうしあげます。 2004年 初 秋 朗文堂出版部 |