『印刷雑誌』『季刊 本とコンピュータ』に連載され、好評を博したシリーズの単行本化 が実現しました。活字をめぐる感性ゆたかな人物の紹介は、活字史研究にあたらしい視点をもたらすものとして、圧倒的な好評をいただいたものです。
連載資料に、さらに未発表資料をくわえて、360ページにおよぶ堂々とした四六判書籍 として完成しました。
活字に憑かれた男たち 片塩二朗著 四六判上製本 360ページ 定価 本体2900円(税別) ISBN4-947613-48-3 C1070
【おもな内容 目次より】 変体活字廃棄運動と志茂太郎 津田伊三郎と宋朝体・正楷書体の移入 神を創った活字研究者・三谷幸吉 最末期のパンチカッター・安藤末松 嘉瑞工房三代記 マーダシュタイク父子とボドニ、そして明朝体 石原 忍のあたらしい文字の会 それでも活字はのこった 森川龍文堂と森川健市
【まえがきにかえてより】 本書でとりあげた人物は、昭和初期の印刷・出版・活字界にあった人物を中心に、11人の奇妙人でした。そのうち外国人がふたりいます。 ここでは、わが国の活字版印刷術の開祖としての本木昌造一元神話が、どのように形成されてきたのか、また官製の国民運動「変体活字廃棄運動」がのこした、おおきな傷跡もみてきました。 そして活字の周辺に官僚の手がのびて、巧妙に統一や規格がささやかれるとき、活字にとっては、かならずしもしあわせな時代とはいえないことをまなびました。 またパブリック・プレス(書籍印刷所)という、あたらしいことばの領域もご紹介できたとかんがえております。