《台湾の活版印刷復興に努力する日星鋳字行との交流が深まりました》
アダナ ・ プレス倶楽部 活版カレッジ修了生有志が、2012年10月6-8日、体育の日の 3 連休を利用して、かねてより親しくおつき合いしてきた、台湾の活字版製造所/日星鋳字行に 「活字母型彫刻 と 活字鋳造体験」 を目的として、2 泊 3 日の予定ででかけました。
台湾の人口は2,300万ほど。
やはりその台湾でも、活版印刷はあたらしい技術に押され気味で、衰退の傾向にありました。 活版印刷所は台北市内だけでもまだ 30 社ほどあるそうですが、活字母型製造 ・ 活字鋳造 ・ 活字版製造の企業は、台北市の日星鋳字行(代表/張介冠氏 チョウ-カイカン) 1 社だけになっていました。
張代表のご専門は金属加工で、のちに家業の日星鋳字行の代表となりました。
ところが父親から継承した活字母型のほとんどが、ふるい技術の 「 電鋳法 (電胎法とも) Galvanic matrix 」 によるものであり、耐久性からみても限界にあって、あちこちに損傷が多くみられました。
そこで張代表は金属加工の経験をいかし、コンピューターと連動させた 「Computer Aided Design 機械式活字母型自動斬削システム 」 を開発し、まず初号 ・ 一号といった大きなサイズから損傷母型の修復彫刻を手がけ、いまはまだ試作段階にありますが、六号サイズまでの活字母型彫刻が可能になりました。
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日星鋳字行では、張代表、張夫人にたいへんお世話になりました。
また台湾活版印刷文化保存協会の 柯 志杰 カ シケツ さんとともに、台湾大学 主特設計師の宮 恩培 キュウ-オンバイ さんをはじめ、大学院生 ・ 学部生らの 5 人も 「映像撮影部隊」 として加わって、とても活気に満ちた、にぎやかで、成果のおおきな 「活字母型彫刻と活字鋳造体験会」 となりました。
参加者の大部分は 2009年 「アダナ ・ プレス倶楽部特別企画/感動創造の旅 : 実践活字母型彫刻、実践活字鋳造体験会」 にも参加して、活字母型製造、活字鋳造の初歩を体験していました。
また、活版印刷の実践者であり、なによりも 《活版凸凹フェスタ 2012》 に日星鋳字行さんが参加されていたため、双方ともにすっかり親しい関係になっていました。
★ アダナ・プレス倶楽部 News No.39
特別企画/感動創造の旅:実践活字母型彫刻
★ アダナ・プレス倶楽部 News No.40
実践活字母型彫刻、素晴らしい成果をあげて無事終了!
★ アダナ・プレス倶楽部 News No.43
実践活字鋳造会 盛況裡に終了!
★ アダナ・プレス倶楽部 活版凸凹フェスタ*レポート14
参加者にタイプデザイナーはいませんでしたが、それでも自分で原図製作をし、それを日星鋳字行の CAD システムを応用した 「機械式活字母型彫刻機」 で彫り上げる作業を見学し、続いて、できたての活字母型で 初号サイズの活字鋳造を実施するという、とても意欲的な企画でした。
できたての 「わたしだけの初号活字 My Favorite Type」 を包装し、台湾ならではの活字を大量に買い込んでいるうちに、陽はどっぷりと暮れていました。
「鬍鬚張 ヒゲ-ヒゲ-チョウ」 での日星鋳字行+台湾活版印刷文化保存協会+台湾大学有志+アダナ ・ プレス倶楽部 活版カレッジ修了生有志によるにぎやかな 懇親会。
前列右から、「寧夏夜市観光協会 千歳宴」店長 ・ 張永賢さん、「鬍鬚張 ヒゲ-ヒゲ-チョウ」 当代店主の張永昌さん、「日星鋳字行代表」張介冠さん
夜はすっかり日星鋳字行さんのお世話になり、台湾大学の皆さんともども、張介冠代表の友人が経営する、近くの台湾料理店 ── Formosa 台湾の美称 〔美しい島が原義とされる〕 「鬍鬚張 ヒゲ-ヒゲ-チョウ」 での懇親会。
「鬍鬚張」の先代はヒゲだらけだったそうですが、当代店主の張永昌さんにはヒゲがありません。 そこに、これも張介冠代表の友人 「寧夏夜市観光協会 千歳宴」 店長の張永賢さんも加わり(乱入して)、「張さんばかりが 3 人」 となって、楽しい夕べとなりました。
台湾初日の日星鋳字行での真摯なタイポグラフィ学徒の皆さんの紹介と、翌日からの休暇を、故宮博物院での観覧と、台北まち歩きをめいっぱい楽しまれたときの詳細記録は、朗文堂本体の website 『タイポグラフィ ・ ブログロール 花筏』 にて順次紹介の予定です。 こちらも合わせてご覧ください。
★ タイポグラフィブログロール 花筏 朗文堂好日録-019