カテゴリー別アーカイブ: type cosmique

【朗文堂タイプコスミイク 書体使用例紹介】『アイデア 353』特集に《硬筆風細明朝 杉明朝体》をご使用いただきました!

idea353_zak_img2uu

idea353_zak_img1uu
【「ザック・カイズとの共同制作」詳細PDF版 『アイデア』編集部提供】 
『アイデア 353』特集に《硬筆風細明朝 杉明朝体》をご使用いただきました!

『アイデア 353』(誠文堂新光社、2012)に、「ザック・カイズとの共同制作」(p.197-220)の特集ページが掲載されました。この特集に使用された和文デジタルタイプは「杉本幸治制作 硬筆風細明朝 杉明朝体」(朗文堂タイプコスミイク発売)、欧文デジタルタイプは「Dear Sir / Madam」でした。

基本組版設計は、文字サイズ12Q、行送り18H(半角アキ)となっているそうです。
ここに誠文堂新光社『アイデア』編集部と、白井敬尚形成事務所の協力をいただいて、「杉明朝体」の書体使用例紹介をいたします(掲載図版詳細は上掲 の PDF 版でごらんください)。
────────
【杉明朝体と製作者:杉本幸治】
書体製作者・杉本幸治(1927-2011年)がのこした活字書体は、三省堂勤務時代の金属活字書体製作にはじまり、晃文堂明朝体、リョービ本明朝シリーズなどがありますが、その最晩年に、万感のおもいをこめて製作したデジタルタイプが「硬筆風細明朝 杉明朝体」でした。
【杉明朝体 詳細紹介 PDF版を含みます:朗文堂タイプコスミイク 杉明朝体】
【杉本幸治紹介:タイポグラフィ・ブルグロール 花筏 杉本幸治三回忌にあたって

【杉明朝体製作者:杉本幸治(1927年04月27日-2011年03月13日) 紹介】
1927年(昭和02)04月27日、東京都台東区下谷うまれ。
東京府立工芸学校(3-5年履修制の産学協同による特殊な実業学校。現東京都立工芸高等学校にその一部が継承された)印刷科卒。

終戦直後の1946年( 昭和21)印刷・出版企業の株式会社三省堂に入社。今井直一専務(イマイ-ナオイチ 1896-1963年05月15日 のち社長)の膝下にあって、本文用明朝体、ゴシック体、辞書用の特殊書体など、金属活字書体の設計・開発と、米国直輸入の機械式活字父型・母型彫刻システム(俗称:ベントン、ベントン彫刻機)の管理に従事し、書体研究室、技術課長代理、植字製版課長を歴任した。

またその間、今井専務の「暗黙の指示と黙認」のもとに、株式会社晃文堂(のち・株式会社リョービ印刷機販売 → リョービイマジクス株式会社。2011年11月同社デジタルタイプ部門が株式会社モリサワに移譲され、モリサワMR事業部 → 株式会社タイプバンク となった)の「晃文堂明朝体」の開発と、「晃文堂ゴシック体」の改刻に際して援助を重ねた。

1975年三省堂が苦境におちいり、会社更生法による再建を機として、48歳をもって三省堂を勇退。その直後から細谷敏治氏(1914年うまれ)に請われて、日本マトリックス株式会社に籍をおいたが2年あまりで退社。
【細谷敏治氏詳細:花筏 タイポグラファ群像*003 細谷敏治氏

そののち「タイポデザインアーツ」を主宰するとともに、謡曲・宝生流の師範としても多方面で活躍した。
金属活字「晃文堂明朝体」を継承・発展させた、リョービ基幹書体「本明朝体」写植活字の制作を本格的に開始。以来30数年余にわたって「本明朝ファミリー」の開発と監修に従事した。

2000年から硬筆風細明朝体の必要性を痛感して「杉明朝体」の開発に従事。2009年09月株式会社朗文堂より、TTF版「硬筆風細明朝 杉明朝体」発売。同年11月、OTF版「硬筆風細明朝 杉明朝体」発売。

特発性肺線維症のため2011年03月13日(日)午前11時26分逝去。享年83
浄念寺(台東区蔵前4-18-10)杉本家墓地にねむる。法名:幸覚照西治道善士 コウガク-ショウサイ-ジドウ-ゼンジ。


東日本大震災の襲来の翌翌日、2011年03月13日、特発性肺線維症 のため入退院を繰りかえしていた杉本幸治氏が永眠されました。
杉本氏は、わが国戦後活字書体史に燦然と輝く、リョービ基幹書体「本明朝体」をのこしました。また畢生ヒッセイの大作「硬筆風細明朝 杉明朝体」を朗文堂にのこされました。
わたしどもとしては、東日本大震災の混乱の最中に訃報に接し、万感のおもいでした。
これからは30年余におよぶ杉本氏の薫陶を忘れず、お預かりした「杉明朝体」を大切に守り育ててまいりたいと存じます。

在りし日の杉本幸治氏を偲んで

杉明朝体はね、構想を得てから随分考え、悩みましたよ。
その間に土台がしっかり固まったのかな。
設計がはじまってからは、揺らぎは一切無かった。
構造と構成がしっかりしているから、
小さく使っても、思い切り大きく使っても
酷使に耐える強靱さを杉明朝はもっているはずです。
若い人に大胆に使ってほしいなぁ。

-杉本幸治 83歳の述懐-

上左)晃文堂明朝体の原字と同サイズの杉明朝体のデジタル・データー
上右)晃文堂が和文活字用の母型製作にはじめて取り組んだ金属活字「晃文堂明朝」の原字。
(1955年杉本幸治設計 当時28歳。 原寸はともに2インチ/協力・リョービイマジクス)

杉本幸治愛用の雲形定規

ふたつの 「書」 の図版を掲げました。かたや1955年、杉本幸治28歳の春秋に富んだ時期のもの。こなたは70歳代後半から挑戦した新書体「杉明朝体」の原字です。

杉本幸治は2003年から、骨格の強固な明朝体の設計を意図して試作を重ねました。基本設計意図は、杉本が青春期を過ごした、三省堂の辞書に用いられたような、本文用本格書体の製作が狙いでした。
現代の多様化した印刷用紙と印刷方式を勘案しながら、紙面を明るくし、判別性を優先し、可読性を確保しようとする困難な途への挑戦となりました。制作に着手してからは、既成書体における字体の矛盾と混乱に苦慮しながらの作業となりました。名づけて「硬筆風細明朝 杉明朝体」の誕生です。

制作期間は実質6年の長期に及び、厳格な字体検証を重ね、ここに豊富な字種をともなった「硬筆風細明朝 杉明朝体」を完成させました。
痩勁ながらも力感ゆたかな画線が、縦横に文字空間に閃光を放ちます。
爽風が吹き抜けるような明るい紙面には、濃い緑の若葉をつけた杉の若木が整然と林立し、ときとして、大樹のような巨木が、重いことばを柔軟に受けとめます。
────────
【お願い】
朗文堂タイプコスミイクでは、単に書体製作、監修、販売にあたるだけではなく、デジタルタイプの効果的な展開と普及のために、当該書体の使用例を本欄にて順次紹介しております。ユーザーの皆さまからの積極的な情報ならびに資料提供をお待ちしております。
なお勝手ながら、本Websiteでの紹介にあたり、権利関係の調整と許諾は、情報ご提供者様のほうで事前に済ませてからのご提供をお待ち申しあげます。

【朗文堂タイプコスミイク 書体使用例紹介】アダナプレス倶楽部が《Viva la 活版 Viva 美唄》イベントサインに『銘石B』を使用しました。

《アダナプレス倶楽部、Viva la 活版 Viva 美唄のイベントサインに、「銘石B」を随所に使用》
朗文堂/アダナ・プレス倶楽部では、本2013年07月13-15日、【Viva la 活版 Viva 美唄――すばらしき活版、すばらしい美唄】と題して、活版印刷の祭典を開催しました。
その新イベントサイン用の書体として選択されたのが【銘石B くれたけ】と、欧字【オンディーヌ】でした。
印刷設計士(グラフィックデザイナー)は松尾篤史さん。
はがき印刷(活版印刷機によるレター・プレス。宛名面:スミ1色刷り、絵柄面:バーント・シエンナ+スミ 2色刷り)の担当は、大阪・江戸堀印刷所/小野香織さんでした。

松尾さんは、日常業務としての商業印刷物製作には、しばしば【銘石B くれたけ】を愛用されていました。
ところが、アダナプレス倶楽部では印刷版式の相異をおもくみます。
そのために、オフセット平版印刷や、インクジェット出力によるポスターサイズからはじまり、上掲写真のように、亜鉛凸版をもちいてのレタープレスによる、はがき印刷までの、大小各種の使用と、過酷な使用状況が予想されました。
そこで設計士の松尾篤史さんは、まずディド・ポイントシステムにもとづく堅固な「グリッドデザイン」を製作し、果敢に【銘石B くれたけ】をご使用いただきました。

美唄コラム緑uu

美唄コラム黄uu【銘石B】の原姿は、いまから1670年ほど前、中国・晋代の墓誌に刻まれた字を標本としています。
この墓誌は、粘土を固く焼き締めた「磚 セン」に彫刻されて地中に埋められていました。すなわち、「帖学派」がおもくみた、書かれた文字というより、中国清王朝時代からひろく「碑学派」によって注目された、彫られた文字であり、書写系文字ではなく、彫刻系文字のひとつといえます。

そうした背景のせいでしょうか、【銘石B】は、過酷な使用環境に良く対応し、おおきく使うと、迫力と力感のある字となり、ちいさく使っても、判別性と可読性を損なうことがすくなく、またレタープレスのつよい印圧にもツブレの発生がなく、強靱さを発揮していました。
【詳細 アダナプレス倶楽部コラム:Viva la 活版 Viva 美唄の中間報告

《銘石B デジタルタイプについて》
かねてより、十分なインパクトがありながら、視覚に優しいゴシック体、それもいわゆるディスプレー・タイプではなく、文字の伝統を継承しながら、使途のひろいあたらしいサンセリフ ―― Human Sans Serif が欲しいとされるご要望が寄せられていました。

確かにわが国のゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線・垂直線ばかりが強調されていて、視覚に疲労をあたえることがあります。
銘石Bパッケージ。デザイン:白井敬尚形成事務所欣喜堂・今田欣一氏と、朗文堂タイプコスミイクが提案した新書体「銘石B」の原姿はふるく、中国・晋代の『王興之墓誌』(オウ-コウシ  341年、南京博物館蔵)にみる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに「碑石体」と呼ばれる書風をオリジナルとしています。
『王興之墓誌』は1965年に南京市郊外の象山で出土しました。王興之(オウ-コウシ 309-40)は王彬の子息で、また書聖とされる王羲之(オウ-ギシ  307―65)の従兄弟イトコにあたります。

この墓誌は東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体ともいわれています。
遙かなむかし、中国江南の地に残された貴重な碑石体が、現代に力強くよみがえりました。
「銘石B」には、和字(平仮名と片仮名)3書体(くれたけ、くろふね、くらもち)が標準でセットされており、用途に応じた選択ができます。
皆さまの積極的なご用命、ご使用をお待ちしております。
【詳細情報:朗文堂タイプコスミイク 銘石B Combination 3  PDF データーつき
────────
【お願い】
朗文堂タイプコスミイクでは、単に書体製作、監修、販売にあたるだけではなく、デジタルタイプの効果的な展開と普及のために、当該書体の使用例を本欄にて順次紹介しております。ユーザーの皆さまからの積極的な情報ならびに資料提供をお待ちしております。
なお勝手ながら、本Websiteでの紹介にあたり、権利関係の調整と許諾は、情報ご提供者様のほうで事前に済ませてからのご提供をお待ち申しあげます。

【書体使用例紹介】 伊藤形成事務所 和字:いけはら、総合書体:正調明朝体の使用例をご紹介

 

岩田洗心館 狭間◎ 岩田洗心館
現代舞踊公演 狭間
B5判 オフセット平版印刷  1色刷り
主要書体/和字:いけはら 漢字:モリサワ教科書 ICA岩田洗心館 あとみの會◎ 岩田洗心館 
館蔵銘品展 あとみの會
二つ折りフライヤー(145×95ミリ=女性用懐紙サイズ)
オフセット平版印刷 4色刷り(手漉き紙風の用紙)
主要書体/和字:さおとめ  漢字:正調明朝体金陵
───────
財団法人 岩田洗心館(愛知県犬山市大字犬山字富士見町26 TEL:0568-61-4634)は、財団の寄付設立者である鈍牛岩田錦平が、みずから蒐集した書画・茶道具および岩田家伝来の諸道具類、およそ540件の一括保存、ならびに公開を図り、美術館の創設を計画しましたが、その途中で急逝しました。
そのため、嗣子の岩田忠夫夫妻が、その志を継いで、1970年(昭和45)11月26日に「財団法人岩田洗心館」を完成、開館したものです。

2007年(平成19)、犬山市庁舎の移転新設事業にともなって、同館は移転する運びとなり、旧館を解体。2011年(平成23)年04月01日、旧所在地の北側に新館を開館して現在にいたります。
所蔵品は、書・画・陶磁器類・茶道具・漆器、その他を含めておよそ700件、1800点余りを数えます。
───────
名古屋を拠点に活動する「伊藤形成事務所」(460-0008 愛知県名古屋市中区栄 @メール : ito-keisei@air.ocn.ne.jp )は、伊藤嘉津郎カヅオ ・ 伊藤 恵メグミの、おふたりのデザインユニットです。
おふたりともかつては新宿周辺で勤務され、朗文堂とは美大時代からの長~いおつき合いになります。お人柄そのまま、ケレンのない堅実な仕事ぶりで、顧客からの信用はあついものがあります。
また、ときおり近作を送ってくれるのがとても楽しみです。

20130805b
20130805a上掲の短冊は、上段が池原香穉(号 ・ 日南、大所。1830-84)の短歌です。
下段の短冊は、本木昌造(号 ・ 永久ナガヒサ。1824-75)の短歌です。
いずれも平野ホール所蔵品ですが、下段の本木昌造の歌はおおむね釈読(読みくだし)ができましたが、上段の池原香穉の歌は、もうしばらく釈読に時間をいただきます。

このふたりの歌は、江戸時代の公文書などによくもちいられた「御家流」によってしるされています。
「御家流」とは和様書芸の一派で、青蓮院ショウレイイン流に源流を発して、江戸時代にいたって大衆化し、実用書体となった書風です。
流麗かつ淀みのない筆遣いで書かれ、ひら仮名異体字(変体仮名トモ)を華麗に駆使するのも特徴です。

和字Ambition9和字 Ambition 9 』には、和字「ひら仮名、カタ仮名」の「さよひめ、もとい、いけはら、まなぶ、くらもち、ひさなが、ゆかわ、みなみ、たいら」の、個性と特徴にあふれた9書体がセットされています。
和字「いけはら」は 『 BOOK OF SPECIMENS 』(平野活版製造所、1877年)より/いわゆる池原香穉による「三号和様仮名活字」を参考として製作されています。
[パッケージ平面設計 : 白井敬尚形成事務所]

正調明朝体s

正調明朝体 Combination 3 』には、漢字:正調明朝体 金陵、和字との組みあわせ : あおい金陵、きざはし金陵、さおとめ金陵がパッケージされています。
[パッケージ平面設計 : 白井敬尚形成事務所]

robundo type cosmique からお知らせ

双葉社(東京都新宿区東五軒町)、二見書房(東京都千代田区三崎町)のふたつの出版社の時代小説シリーズに「欣喜堂」製作、朗文堂でCDR版を販売しているデジタルタイプ・パッケージシリーズを、書名タイトルにご使用いただきました。

◎ 双葉社    
  湯屋のお助け人 シリーズ(千野隆司著)①-⑤
  書名タイトルに「かもめ龍爪」をご使用いただきました。

otasuke4uu

◎ 二見書房  
  夜逃げ若殿捕物噺 シリーズ(聖 龍人著) ① -⑧ 
  書名タイトルに「さおとめ金陵」をご使用いただきました。
yonige1uu皆さまにご報告するとともに、双葉社様、二見書房様、ならびに担当のブックデザイナー様に御礼を申しあげます。
また、引き続き、可読性、判別性、誘目性にすぐれたデジタルタイプを、安心・安全・確実な、CDRメディアによってご提供する 朗文堂  Type Cosmiqueの「欣喜堂書体シリーズ」を引き続きご愛用のほどお願いいたします。
───────
四川宋朝体s

四川宋朝体 Combination 3』には、漢字:四川宋朝体 龍爪、和字との組みあわせ:もとい龍爪、さきがけ龍爪、かもめ龍爪がパッケージされています。

正調明朝体s

正調明朝体 Combination 3』には、漢字:正調明朝体 金陵、和字との組みあわせ:あおい金陵、きざはし金陵、さおとめ金陵がパッケージされています。

和字 Tradition 9 ばてれん ご愛用いただきました!




新潮社の[とんぼの本シリーズ]は、1983年の創刊で、美術・歴史・文学・旅をテーマとするヴィジュアル中心の入門書であり、案内書のシリーズです。
シリーズ名となった「とんぼの本」は、とんぼのように視野を広くもちたい、というおもいから名づけられたとされています。

[とんぼの本]には、何冊か小社販売デジタル書体をご使用いただいていますが、「日本・東洋美術」の『ひらがなの美学』(石川九揚著)に、《和字 Tradition 9 所収  ばてれん》を装本部、本文書体としてご利用いただきました。

欣喜堂製作の《和字 Tradition 9 所収  ばてれん》は、いわゆるキリシタン版『ぎやどぺとかる』(大英博物館蔵)を基礎資料として誕生した和字書体です。
その詳細資料は『和漢欧書体混植への提案』(ヴィネット11、今田欣一、朗文堂、2003年11月)に紹介されています。
皆さまのご愛読と、ご愛用をお願いいたします。

四川宋朝体 龍爪 ご愛用いただきました!


二玄社【改訂版】書法技法講座〈全20冊〉 同社Websiteより

二玄社  は、自動車、書道、東洋美術などの
専門書籍を中心に発行している
出版社です。
同社の 【改訂版】書法技法講座〈全20冊〉の装本部に
《四川宋朝体 龍爪》をご使用いただきました。

*      *      *      *






*      *      *      *



《四川宋朝体 龍爪》は、中国宋代の四川刊本『周礼 シュライ』をその源流とします。四川省はふるくは蜀と呼ばれ、唐王朝末期の木版印刷術発祥の地のひとつで「蜀大字本」とよばれ、その風格が珍重されてきた字様です。
現代によみがえった刊本字様《四川宋朝体 龍爪》をご愛用ください。

正調明朝体 金陵 ご愛用いただいております!



 

池袋東武百貨店1Fの「草加葵」という和菓子店で、店名(看板)、袋、包装紙などに、トータルで「きざはし金陵M」が使われていました。

産地・素材にこだわったオリジナルせんべい

草加葵店は、大正5年創業、以来80有余年の歴史を有し、現在では草加せんべい専業企業として日本一の売上げ及び生産量を記録している企業です。
草加せんべいと並行して、あられも製造しており、近年「和」と「洋」のセンスを取り入れ、産地と素材にこだわったオリジナルせんべい、あられを製造しており、順調な業績を示しています。

http://asp.aik.co.jp/saitama-doken/card/shop_full.aspx?member=98
ふるくてあたらしい、そして、なによりも視覚にやさしい《正調明朝体 金陵M》、《正調明朝体 金陵B》をご愛用ください。

大日本印刷『秀英初号明朝 撰』を開発。本年09月発売!

 左)秀英初号明朝体 Std.   右)秀英初号明朝体 撰  文字形象比較
右側の行『秀英初号明朝体 撰 』では、上から「文:ひっかけ/筆支えがある」、「分:いわゆるハチヤネの処理」、「筑・倶:ふるい文字形象」が見られます。


左) 秀英初号明朝体 Std.        右) 秀英初号明朝体 撰

────────
大日本印刷株式会社は《2013年06月04日 ニュースリリース》において、【オリジナル書体『秀英体』の旧字バージョン「秀英初号明朝 撰 」を開発。モリサワにライセンス提供し、本年09月に発売】と発表しました。

あわせて株式会社モリサワは《2013年06月04日 ニュース》において【モリサワ 2013年の新書体「UD新ゴ コンデンス」などを発表】とし、【明朝体として2010年にリリースされた秀英初号明朝の旧字バージョン「秀英初号明朝 撰」は、旧字のほか、イタリック体や括弧などが追加収録されました】ことを発表しました。

【『秀英初号明朝 撰 』の概要── DNP ニュースリリースから一部に補整】
2010年にモリサワから発売した秀英初号明朝は、DNPが明治時代に開発した金属活字のデザインをデジタルフォント化したものです。金属活字の秀英初号明朝の筆の動きを活かしたデザインは、力強く、勢いのある表現が可能で、日本の明朝体を代表する傑作書体として、一世紀以上にわたり多くの出版物や広告などの印刷物で使用されています。

2010 年に発売した「秀英初号明朝Std」は、見出し用書体としてAdobe-Japan1-3(Std) の文字セットに準拠しており、他の秀英体フォント製品との互換性も考慮し、Adobe-Japanの基準に沿った字形[文字形象]を採用しました。
しかし、秀英初号明朝の伝統的な「ひっかけ」、「はちやね」や、旧字形[ふるい文字形象]など、“活字書体としての秀英初号明朝らしさ”を求めるユーザーからの声も多く寄せられたことから、旧字バージョンの「秀英初号明朝 撰 セン」を開発しました。また、イタリック体や括弧なども追加収録し、見出し用書体としてより使いやすい秀英初号明朝をめざしました。

2010 年に発売した「秀英初号明朝Std」と、今回発売する「秀英初号明朝 撰」を組み合わせて使うことで、旧字と新字の両方を利用でき、より幅広い日本語表現が可能になります。
────────
『秀英初号明朝 撰 セン』の詳細は、大日本印刷、モリサワ両社のWebsiteをご覧ください。
また大日本印刷は秀英体開発室を中心に《第20回 東京国際ブックフェア》(2013年07月03日-06日、東京ビッグサイト西展示棟:ブースNo.6-50)に出展予定です。そちらでも最新の情報が入手できるはずです。
────────
===========================
《第20回 東京国際ブックフェア》
 会 期:2013年07月03日[水]-06日[土]
 会 場:東京ビッグサイト 西展示棟

 [講演会ミニ]
 「秀英体改刻の歩み いまだ止まず」
 と き:07月04日[木] 14:30-15:00
 ところ:大日本印刷株式会社 秀英体開発室 ブースNO.6-50
講 師 :秀英体平成の大改刻 監修者 片塩二朗
 
 続いて、下記ミニセミナーを開催いたします。 是非ご聴講ください。

 [秀英体開発室 グループリーダー 伊藤正樹 ミニセミナー]
 「『秀英体 平成の大改刻』における開発概要」
 と き:07月04日[木] 16:00-16:20
 ところ:大日本印刷株式会社 秀英体開発室 ブースNO.6-50
講 師 :秀英体開発室 グループリーダー 伊藤正樹

 同ブースの秀英体展示コーナーにて、近刊『100年目の書体づくり--「秀英体 平成の大改刻」の記録』(大日本印刷)の見本を展示予定です。お忙しいところ恐縮ですがご参加をお願いいたします。
============================

新宿私塾第22期がスタートしました。



新宿私塾第22期生の皆さん(2013年04月02日)

《新宿私塾第22期、スタート》
例年になくはやく櫻が開花した春でした。
おりしも春爛漫、若葉が萌え、花が咲き、鳥が歌い舞い、いのちが輝く、とても良い季節の2013年04月02日[火]、新宿私塾第22期が開講しました。
新宿私塾第22期生は、これまでの塾生諸君とおなじように、とても意欲的で、向上心と個性のつよい若者、それも珍しく男性がたくさんあつまりました。

まだ03月05日に修了したばかりの、きわめて活発かつ賑やかだった21期生のむくもりが、あちこちにのこっているような教場でした。
それでも早速、新宿私塾第22期、第1回目の講座では、カリキュラムの説明につづいて、制限時間各自1分間の自己紹介があって、ここに集まった塾生同士が、年齢も経歴も職場・学校環境などがさまざまなことに、塾生諸君はあらためて驚いたようです。これが新宿私塾の魅力のひとつでもあります。

すなわちここには、現役の藝術大学・美術大学の学生もいます。もちろんすでに造形者としての職業人も、異分野で活躍する職業人もいます。
それでも造形者、タイポグラファとして、いっそうの向上をめざすという一点において、こころざしをおなじくする仲間であることを確認します。
ですから30分ほどの短い開塾セレモニーのあいだに、次第に緊張がゆるみ、笑い声ももれるようになりました。

みじかい開塾式のあとは、いきなり、たくさんの資料が机上にならび、パソコン映像を併用しながら「タイポグラフィをまなぶこととは」の講義がはじまりました。
「形而上の文と、形而下の字」「コミュニティとコミュニケーション」……。一見むずかしそうなテーマも、実例と資料をもとに諄諄ととかれていきました。

新宿私塾では、タイポグラフィにおける「知・技・美」のバランスのよい学習をモットーとしています。それはまた「知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず」という、つよい自戒をともないます。

新宿私塾第22期は、早春の2013年04月02日にスタートし、早秋の2013年09月10日に修了します。この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、200名をこえた「新宿私塾修了生」の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。

《恒例の 新宿私塾第22期カリキュラムの表紙デザインの紹介》

新宿私塾第22期カリキュラム 表紙  (Design : 講師 杉下城司さん) 

新宿私塾第22期カリキュラムの表紙は Jean François Porchez(ジャン・フランソワ・ポルシェ)の「パリジーヌ Parisien シリーズ」 が中心です。
新宿私塾では、半年間の受講期間のあいだに、和文活字でも欧文活字でも、どちらでもかまわないのですが、できるだけ「My Favorite Type ── わたしのお気に入りの活字書体」を獲得することが勧められます。

もちろん、世上の評価がたかい活字書体でも、まったく無名の活字書体でも、「はやり書体」でも一向にかまいません。むしろどんな活字書体にも避けがたく付着している「長所と短所」をみつけだして、「長所をいかし、短所を制御する能力」がとわれます。
────
ジャン・フランソワ・ポルシェ(Jean François Porchez  1964-)
フランスのパリに本拠地「Typofonderie 」を置くポルシェは、欧米やわが国のタイプ・ベンダーが、一種の踊り場現象をむかえて、統廃合による混乱と混迷のさなかにある現在、もしかすると、もっともアクティブに活動しているタイプデザイナーであり、デジタルタイプ製造所が、フランソワ・ポルシェと、1994年に設立されたパリの「Typofonderie」かもしれません。

ポルシェの名前がひろく知られたのはフランスの夕刊紙『ルモンド Le Monde』のための企業制定書体『Le Monde Journal 』の発表でした。その後「Typofanderie」を開設したポルシェは、精力的にフランス電話局や、パリ交通局などの多くの企業や団体の制定書体をつくりました。

さらに本格派タイプデザイナーとしての力量を発揮したのは、ヤン・チヒョルトがフランス活字「Garemond」を、ドイツ高等印刷組合の依頼をうけて、当時の活字自動組版システムに整合させてリ・デザインした「サボン Sabon」を、「Sabon Next」として改刻したことかもしれません。
────
「Sabon Next」のとおい源流は、1455年ころ、ヴェネツィアのアルダス・マヌティウス工房のローマン体活字「De Aetna」に発し、1545年からギャラモン(Claude Garamond  c.1500-61)が独自の設計によって活字父型と活字母型を製造して、出版物にもちいたものです。

ギャラモンの没後から、その活字製造原型はネーデルランド地方に売却され、ながい流浪の旅にでていました。
その情報は『朗文堂Website』のタイプコスミイクの片隅にひっそりと「組版工学研究会 Type Review  1-3」として丁寧に記録されています。
それは21世紀を迎えた、もう10年以上も以前に、タイポグラフィ・ジャーナル『ヴィネット』シリーズとして企画されながら、資料(おもにデジタルタイプの全リーズを揃えるには、残念ながら高額すぎて……)がそろわずに、刊行をみなかったものでした。

その第一章は筆者(片塩二朗)による「Linotype Library Platinum Collection 嬉しくて、頭のいたい時代がはじまった」と題して、あたらしい21世紀の「活字」の展開をすこし大胆に記録したものです。
すなわち、こんにちの世界規模における、おおきなタイプ・ベンダーの統廃合と低迷をある程度見通した記述ですが、時局をかたったものだけに、さすがに執筆から12年余を経た現代では有効性が半減しています。
【リンク:robundo type cosmique  嬉しくて、頭の痛い時代がはじまった 片塩二朗

第二章には河野三男氏による「Linotype Library Platinum Collection  Sabon Next  サボン-改刻の歩みやまず」があります。これは相当の長文ですが、いまでも新鮮で興味深い記事です。欧文活字に関心のあるかたはぜひともご覧ください。
【リンク:robundo type cosmique  サボン-改刻の歩みやまず 河野三男
────
今回「新宿私塾第22期カリキュラム」の表紙をかざった書体は、フランソワ・ポルシェのデザインによるもので、同氏のアトリエ「Typofonderie 」が販売している「Parisine Office Std.」です。
そのシリーズのうち、ここには「パリジーヌ・オフィス・スタンダード・イタリック」と、「パリジーヌ・オフィス・ボールド・イタリック」が使用されています。

「Parisine  パリジーヌ」とは聞きなれないことばです。「パリジャン/パリッ子」は、仏「Parisien」、英「Parisian」ですので、おそらくはポルシェの造語とおもえますが、まだ確認はしていません。それでもいかにもパリッ子らしい、エレガントでエスプリがきいた書体であり、リガチュアのセットが丁寧に製作された活字書体といえるでしょう。

現在ジャン・フランソワ・ポルシェの書体は、ネット販売環境が整備されたこともあって、Websiteをつうじての販売が中心となっています。その情報は、以下のURLに詳しく紹介されています。

【リンク:jean francois porchez フランソワ・ポルシェのオフィシャルサイト】
【リンク:Print Center Gallery -jean-francois porchez  アドビ社の日本語版】

【展覧会】金閣・銀閣の寺宝展 雪舟、東伯、宗達、そして若冲ー正調明朝体 金陵をご使用いただきました。


現在福岡県久留米市の、石橋美術館(第一会場)と、有馬美術館(第二会場)では、京都の寺院、大本山相国寺・鹿苑寺(金閣)・慈照寺(銀閣)・大光明寺の所蔵品による展覧会を開催中です。

この展覧会には相国寺のコレクションを代表する伊藤若冲の絵画「釈迦三尊像」をはじめ、室町時代から江戸時代の日本絵画を代表する、雪舟、狩野派、長谷川東伯、俵屋宗達、円山応挙といった巨匠の絵画が展示されています。

展示は、会期を2013年1月12日-3月10日として、二部、二館にわかれて開催されています。
【絵  画】
第一部 「色彩の魔術師 若冲」(2013年1月12日-2月8日)
第二部 「日本美術の立役者 集結」(2013年2月9日-3月10日)
【工芸品】
第一部・第二部共通 「悠久の美 器を愛でる」

★ 特別展 金閣・銀閣の寺宝展 雪舟、等伯、宗達、そして若冲

石橋美術館
839-0862  福岡県久留米市野中町1015(石橋文化センター内)
Telephone 0942-39-1131  Facsimile 0942-39-3134

★      ★      ★

【特別展 金閣・銀閣の寺宝展 雪舟、等伯、宗達、そして若冲】の、ポスター、フライヤー、展示解説などには、「正調明朝体 金陵」をご使用いただきました。

★  作品目録(PDF データー。少し読み込みに時間がかかります)

『南齋書  一』大明南京国子監「正調明朝体 金陵」の参考資料となった、木版刊本『南斉書』

まだ四角四面が好きですか?

 「正調明朝体」とはすこしおおげさな名前かもしれません。このあたらしい書体はべつに古拙感を演出した筆写体でも、奇をてらった装飾体でもありません。
正調明朝体「金陵」は中国・南京の雅称から名づけられ、その金陵にあった大明南京国子監刊行の木版刊本『南斉書』にみられる端正な明朝体字様を現代に再生したものです。

明王朝(1368-1644)は、漢民族の朱元璋・太祖が蒙古族の元王朝をたおして南京に建朝しましたが、4代目の皇帝・成祖のときから都を北京に移しました。
また国子監とはもともとは隋王朝のころに設立された大学のことですが、明王朝になってからは中央官僚を養成する大学の機能とともに、国家によるすべての学問を統括する中央官庁となりました。
都が北方の北京に移転してからも、王朝による出版活動は「南監本」とされて、南京を中心に展開されました。その明王朝によるもっとも典型的な官刊本、すなわち正調明朝体字様がうかがえる書物のひとつが『南斉書』といってよいでしょう。

「現代明朝体」には、近代化の名のもとに、機械メスや電子メスが自在にはいって直線化がすすみ、水平線と垂直線ばかりが目立って、すっかり四角四面の硬直した活字書体になってしまいました。
そんな「現代明朝体」から人間味をとりもどしたいあなたに、あるいは奇形や媚態をみせるデザイン書体にはすでに飽いたとおっしゃるあなたのために、明朝体の端正にして、もっとも原型にちかい木版字様を復刻した、正調明朝体「金陵」をおすすめします。
「金陵」には伝統のたかみにある和字書体(ひら仮名とカタ仮名)3書体が標準でセットされており、用途に応じた選択ができます。

【詳細 : 正調明朝体 金陵 Combination 3】

TTFからOTFへの交換を実施します

この無償交換サービス対応は
先月(2012年11月)いっぱいで終了 !
引き続きプロフェッショナルの皆さまを満足させる
朗文堂 タイプコスミイクのデジタルタイプへの
ご支持 ご声援をお願いいたします !!

「欣喜堂 Digital Typefaces シリーズ」のご愛用をたまわりありがとうございます。
「欣喜堂 Digital Typefaces シリーズ」(PDF)の書体設計は、欣喜堂・今田欣一氏によるものです。
販売は 朗文堂タイプコスミイク によるものです。

小社では2002年(平成14)9月の発売以来、安心・安全・確実な、CDRメディアをもちいて当該書体の販売にあたってまいりました。
そのころはまた、ちょうど TrueType font から OpenType font へのフォーマットのきりかえの端境期にありました。

そのために、2010年(平成22)2月に朗文堂タイプコスミイクにおける OTF フォーマットへの切りかえが完了するまでのあいだ、以下の7パッケージの一部が TTF フォーマットでの販売となりました。

近年デジタル・フォントのフォーマットが、ほとんど OTF フォーマットに集約されたのを機に、発売当初の TTF フォーマットによる書体パッケージを、ご希望のかたに限り、以下のように交換させていただきます。
──────────
 【 TTF から OTF フォーマット・パッケージへの無償交換を実施いたします 】

  • 交換対象商品は、以下の7書体の TTF 版パッケージです。
    「正調明朝体 Combination 3」、「四川宋朝体 Combination 3」、「清朝官刻体 Combination 3」、「和字 Revision 9」、「和字 Tradition 9」、「和字 Succession 9」、「和字 Ambition 9」。
  • 朗文堂タイプコスミイクと、その指定販売会社から TTF フォーマットによって上記の7書体のデジタル・タイプパッケージを購入されたお客さまは、当該書体のパッケージをご提示いただくだけで、ご来社の場合は当該書体と同一の OTF 版に無償交換(書体名とご来社時間をご予約ください)となります。
    ご送付を希望のばあいは、梱包・送料(ヤマト運輸宅配便、送料受取人払い)だけのご負担で、同一書体のOTF フォーマットに交換いたします。
  • 書体パッケージを紛失されたお客さまでも、「購入社名(購入者名)、購入年月日(およそで結構です)」により、小社顧客台帳にて販売実績の確認ができますのでお申し出ください。
    また欣喜堂書体シリーズは、ダウンロード方式による販売もおこなっていますが、今回の朗文堂タイプコスミイクでの交換の取扱いは、あくまでも小社販売による CDR パッケージ書体商品に限定いたします。
  • この OTF パッケージへの交換は、2012年(平成24)8月1日-11月31日までの期間とします。また将来デジタル・タイプのフォーマットが変更になった場合、それへの無償対応を保証するものではありません。
  • 本件のご発注とお問い合わせは、 robundo@ops.dti.ne.jp » send email 、Telefacsimile 03-3352-5160 までお願いいたします。
  • 本文書に記載されている会社名・商品名などは、各社の商標または、登録商標などを含みます。

【日本語総合書体 ── 新パッケージ】

  【日本語和字(ひら仮名・カタ仮名)書体 ── 新パッケージ】

 

正調明朝体 さおとめ金陵 使用例のご紹介

タイポグラファの皆さまへ

ご好評いただいております『正調明朝体 金陵』の使用例として
NHK大河ドラマ「平清盛」の下記のウェブページに
『正調明朝体  さおとめ金陵』が使われています。
肖像権の関係もあり、ここに画像紹介はできませんが、下記のURLから
ご覧いただけましたら幸甚です。

◎  山本耕史(藤原頼長)インタビュー
◎  井浦 新(崇徳上皇)インタビュー
◎ 三上博史(鳥羽法皇)インタビュー

 

 《正調明朝体 金陵 について》
まだ四角四面が好きですか?
こんな問いかけから『正調明朝体 金陵』 の発売がはじまりました。

「正調明朝体」とはすこしおおげさな名前かもしれません。このあたらしい書体はべつに古拙感を演出した筆写体でも、奇をてらった装飾書体でもありません。正調明朝体「金陵」は、中国・南京の街の雅称から名づけられ、その金陵にあった大明南京国子監刊行の木版刊本『南斉書』にみられる端正な明朝体字様を現代に再生したものです。

明王朝(1368―1644)は、漢民族の朱元璋・太祖が蒙古族の元王朝をたおして南京に建朝しましたが、四代目の皇帝・成祖のときから都を北京に移しました。
 
また「国子監」とは、もともとは西漢(前漢)の武帝のころ、官吏養成のために設立された「大学 タイガク」のことですが、明王朝になってからは、中央官僚を養成する大学の機能とともに、国家によるすべての学問を統括する中央官庁としての「国子監」なりました。
 
明王朝の都が北方の北京に移転してからも、王朝による出版活動は「南監本」とされて、官刊本の歴史がながい南京を中心に展開されました。その明王朝によるもっとも典型的な官刊本、すなわち正調明朝体字様がうかがえる書物が『南斉書』といってよいでしょう。

「現代明朝体」には近代化の名のもとに機械メスや電子メスが自在にはいって、直線化がすすみ、水平線と垂直線ばかりが目立って、すっかり四角四面の硬直した活字書体になってしまいました。

そんな「現代明朝体」から人間味をとりもどしたいあなたに、あるいは奇形や媚態をみせるデザイン書体にはすでに飽いたとおっしゃるあなたのために、明朝体の端正にして、もっとも原型にちかい木版字様を復刻した正調明朝体「金陵」をおすすめします。
「金陵」には伝統のたかみにある和字書体(平仮名と片仮名)三書体が標準でセットされており用途に応じた選択ができます。

「朗文堂 タイプ・コスミイク」と、「朗文堂 ブック・コスミイク」では、簡便なカタログではありますが、印刷物で用意しております。ご希望のかたはご遠慮無くお申込みください。 

好評発売中! 四川宋朝体 龍爪

Digital Typefaces for Professionals
OpenType for the Macintosh and the Windows

四川宋朝体 龍爪 Combination 3

もとい龍爪リュウソウ さきがけ龍爪リュウソウ  かもめ龍爪リュウソウ

《顔 真卿 生誕1300年祭と、顔真卿書法が刊本字様に与えた影響》
顔真卿(ガン-シンケイ  709-85)の生誕から1300年を迎え、いまなお中国各地では顔真卿がおおきな話題となり、顔真卿関連の書芸展が盛んに開催され、関連図書の刊行もさかんです。

顔真卿生誕1300年(2009年イベント開始)を期し、早朝から賑わう西安碑林博物館

顔真卿関連の石碑が集中する西安碑林博物館の第3-4室は、日中は中国人の団体客が押しよせていて、あまりの混雑で、ほとんど碑面の閲覧もできないほどの状態だった。たまたまホテルが至近距離にあったのを幸い、翌早朝に再度参観に訪れた。このときもまだ、ご覧のように顔真卿生誕1300年記念の赤い垂れ幕が掲出されていた。2011年09月

────
robundo type cosmique には、この顔真卿書風に淵源をみる、四川刊本書体  『四川宋朝体 龍爪 Combination 3』  があります。
わが国では、顔真卿生誕1300年のことは、書法界の一部で話題になったものの、ひろくはあまり関心がもたれなかったようです。
そこであらためて、皆さまに唐王朝中期の、忠義の志をもった政府高官にして、文武のひとでもあった顔真卿をご紹介し、あわせてデジタル・タイプ 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』 をご紹介するとともに、この書体をもちいた名刺製作の実例をご紹介します。

顔真卿の肖像画 中国版Websiteより 

中国の南西部・四川省は、ふるくは蜀ショクとよばれていました。蜀は唐王朝末期の板目木版による複製法、刊本印刷術の発祥地のひとつで、その刊本字様(書体)は顔真卿書法の系譜をひくものとされています。また四川刊本は「蜀大字本」とも呼ばれ、
「字大如銭、墨黒似漆 ── 文字は古銭のように大きく、文字の墨の色は黒漆のように濃い」
と高い評価がなされています。
────
強勢王朝として威をほこった唐王朝(20代、618-907)ののち、五代十国の混乱をへて建朝された宋(北宋、960-1127)の時代にも、唐王朝官刊本の伝統的な体裁を四川刊本は継承していました。
また女真族の金国との争乱に敗れ、都を開封から臨安(現・杭州)に移して建朝された南宋(1129-1279)での刊刻事業の継続と、覆刻(かぶせぼり)のための原本の供給に、四川刊本は大きな貢献をはたしました。

ところが、こうした四川刊本も、相次いだ戦乱と、文書弾圧のなかに没して『周礼 シュライ』『新刊唐昌黎先生論語筆十巻』『蘇文忠公奏議』など、きわめて少数の書物しかのこっていません。そのような四川刊本の代表作が、わが国に現存する『周礼』(静嘉堂文庫所蔵)です。 

『周礼 シュライ』(巻第9より巻首部、静嘉堂文庫所蔵、重要文化財)

『周礼 シュライ』は『儀礼 ギライ』『礼記 ライキ』とともに中国の「三礼 サンライ」のひとつで、周代(中国古代王朝のひとつ。姓は姫。37代。前1100ころ-前256)の官制をしるした書。
『周礼』は周公旦(シュウコウ-タン、兄の武王をたすけて商[殷]の紂王チュウオウを滅ぼした。周の武王の没後、甥の成王、その子康王を補佐して文武の業績を修めた。周代の礼樂制度の多くはその手になるとされる)の作と伝えるが『周礼』の著者とその成立年度には議論もある。
『周礼』は秦の焚書で滅したとされたが、漢の武帝のとき李氏が「周官」を得て、河間の献王に献上し、さらに朝廷に奉じられたものが伝承される。

本来『周礼』は「天官・地官・春官・夏官・秋官・冬官」の6編からなるが、「冬官1編」を欠いていたので「考工記」をもって「冬官」にかえている。
静嘉堂文庫所蔵書は巻第9、巻第10だけの残巻ではあるが、南宋・孝宗(127-200)のころの「蜀大字本」とされ、同種の本はほかには知られていない。
 

────
《顔氏書風にみる、龍爪と蚕頭燕尾》
 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』は、林昆範・今田欣一・片塩二朗の3名で構成された、ちいさな研究会「グループ 昴 スバル」の研鑽のなかで、主要なテーマとなったもので、『周礼』を、なんども調査し、臨書し、試作をかさねるなかから誕生したデジタル・タイプです。

『周礼シュライ』の力強い字様には、横画の収筆や曲折に「龍爪 リュウソウ」とされる、鋭角な龍の爪ツメにも似た特徴が強調されています。これは起筆にもあてはまり、またどっしりとした収筆も印象的です。
縦画の起筆にみられる蚕頭サントウの筆法は『周礼』においてはさらに強靱になり、龍爪に相対しています。

このような顔真卿に特徴的な書法は「蚕頭燕尾サントウ-エンビ── 起筆が丸く蚕の頭のようで、右払いの収筆が燕の尾のように二つに分かれているところからそう呼ばれている」とされ、また「顔法」とも呼ばれて、唐代初期の様式化された楷書に、あたらしい地平を開いたとされています。

この顔真卿の書風が四川刊本字様の手本となり、おおらかで力強く、独自性のある刊本字様へと変化したといえます。これはまた、工芸の文字としての整理がすすんだことをあらわしますが、唐代中期の顔真卿の筆法の特徴を十二分に引き継いでいるともいえます。

 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』は、このような顔真卿書風と、四川刊本字様を継承した、あたらしいデジタル・タイプとして誕生しました。
このように顔氏一族に伝承されてきた「顔氏字様」と、顔家伝来のその書風をさらにたかめた顔真卿の書風を、『中国の古典書物』(林昆範、朗文堂、2002年03月25日 p.97)では、以下のように紹介しています。

唐の時代には写本とともに、書法芸術が盛んになって、楷書の形態も定着した。その主要な原因のひとつとしては、太宗皇帝[唐朝第2代皇帝、李 世明、在位626-649]自身が能書家であり、儒教の国定教科書として『五経正義 ゴキョウ-セイギ』を編集させたことにある。そこで使用する書体を、編集協力者の顔師古ガン-シコによる正体(正書・楷書)、すなわち「顔氏字様」をもちいたことが挙げられる。



「顔氏字様」はのちに顔師古の子孫、顔 元孫ガン-ゲンソンが整理して『干禄字書 カンロク-ジショ』にもちいられた。この顔 元孫は、顔 真卿の伯父にあたる。
このように顔家一族から顔 真卿に伝承された「顔氏字様」は、まるで唐王朝における国定書体といってもよい存在で、初期の刊本書体として活躍していた。
 

 

『多宝塔碑』(原碑は西安 碑林博物館蔵)
拓本は東京国立博物館所蔵のもので、北宋時代の精度のたかい拓本とされている。現在は繰りかえされた採拓による劣化と、風化がすすみ、ここまでの鮮明さで碑面をみることはできない。

顔真卿の楷書のほとんどは石碑に刻まれたもの、あるいはその拓本をみることになるが、「一碑一面貌」とされるほど、石碑ごとに表現がおおきく異なるのが顔真卿の楷書による石碑の特徴でもある。
『多宝塔碑』は、長安の千福寺に僧・楚金ソキン(698―759)が舎利塔を建てた経緯を勅命によってしるしたもので、もともと千福寺に建てられ、明代に西安の府学に移され、現在は西安 碑林博物館で展示されている。顔真卿44歳の書作で、後世の楷書碑の書風より穏やかな表情をみせている。 

行草書で書かれた草稿ともいえる、稿本『祭姪文稿 サイテツ-ブンコウ』などの書巻は、自筆本が台湾・故宮博物院に伝承するが、顔真卿の自筆楷書作品とされるのは、わが国の書道博物館が所蔵する、晩年(780年、建中元年)の書作『自書告身帖 ジショ-コクシン-ジョウ』だけである。

《四川宋朝体 龍爪 をもちいて名刺を製作する》
デジタル・タイプ  『四川宋朝体 龍爪 Combination 3』  には、和字(ひら仮名・カタ仮名)として「もとい、さきがけ、かもめ」の3種の和字がセットされています。
原字製作者は欣喜堂・今田欣一氏によるもので、今田氏自身がWebsite内の 「龍爪」において、詳細に設計意図、背景などをしるしていますので、あわせてご覧ください。 

この『四川宋朝体 龍爪 Combination 3』は、おおきく使うと、まさに「龍爪」と名づけられたように、天空たかくかけめぐる飛龍のように、勇壮な、勢いのある書体として立ちあらわれてきます。
また、板目木版による刊本字様(書体)として、ながらく書物にもちいられてきた字様ですので、12pt.-18pt.といったすこし大きめな本文用書体としても、十分な汎用性をもった書体です。
このくらいのサイズですと、もはや「飛龍」というより、かわいらしい「辰の落とし子」のような、素直な刊本字様としての姿が立ちあらわれてくるのも面白い書体です。それだけにつかいやすく、個人的な意見で恐縮ですが、とても好きな書体でもあります。

そんなためもあって、 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』  の発売以来、この書体をもちいて名刺を印刷しています。本心ではせめて「株式会社朗文堂、片塩二朗」だけでも、原字製作者の了承をいただいて、金属活字をつくってみたいところですが、なかなか意のままにはなりません。
そこで下記のようなデジタルデータを作成して、軽便なインク・ジェット・プリンターで「出力」していましたが、どうしても滲みがひどく、また紙詰まりがしばしば発生するので、困惑していました。

朗文堂には活版印刷事業部「アダナ・プレス倶楽部」があり、「Adana-21J」という活版印刷機の設計・製造・販売もおこなっていますので、それを活用しないことはありえません。
たまたまコピー機が複合機にかわり、あわせてファクシミリ番号がかわったので、下記のデジタルデータをもとに樹脂凸版を作成して、「Adana-21J」による「カッパン印刷 ≒ レター・プレス」を実施しました。

印刷にあたったのは、粘り強く金属活字鋳造法を学んでいる日吉洋人さん。残念ですが小生が印刷すると、太明朝をもちいたために、字画が混みあっている「新宿私塾」の「塾」の字と、@メールアドレスの「@」がインキ詰まりを起こして調整に難航します。
樹脂凸版による「カッパン印刷」とはいえ、なかなかデリケートなところもあります。ところが、さすがに日吉洋人さんはそんな障壁は軽軽とこなして、アッというまに500枚の名刺を刷りあげていただきました。

「たかが名刺、されど名刺です」。とりあえずは軽便なコンピューター・プリンターで我慢できても、次第になにか物足りなくなります。今回は樹脂凸版による「カッパン印刷」で製作しました。
しかしながら、やはり金属活字による「活字版印刷」には、いまだに小生が言語化できないままでいる「Something Good」があります。もちろん「Enything Bad」もありますが……。
ですから、いつの日か「株式会社朗文堂、片塩二朗」だけでも金属活字をつくってみたい、そして胸をはってお渡しできる名刺をつくりたいというのが、目下の小生の見果てぬ夢でしょうか。 

和字 おゝことのは Family 9

アンチック体活字の修復・復元と、シリーズ化に成功!
『和字 おゝことのは Family 9 』
好評発売中!
お申込み・ご購入は、朗文堂 タイプ・コスミイク までお願いいたします。
──
『和字 おゝことのは Family 9 』
販売価格 ¥9,450(本体価格  ¥9,000)

《和字 ことのはの原姿は、アンチック体和字活字です》
和字書体「ことのは」は、ひろくは「アンチック体」と呼ばれている活字です。その「アンチック体」の原姿ともいえる資料をもとに、統一感をもって整理・整頓し、ウェートを使途にあわせて多様化し、9種類にしたものです。

その初登場は、欣喜堂和字シリーズ第2弾として発売された『和字 Tradition 9 』に収録されて、好評を博しました。
その原姿は『辞苑』(新村出編著、1935年初版、書香文庫蔵)の見出し語活字で、俗に「アンチック体」とされる和字活字にあります。幸い資料が辞書でしたから五十音それぞれのキャラクターを抽出できました。

アメリカからもたらされた活字書体「antique」と同じ名称をもち、辞書などの見出し語として用いられてきた和字書体に「アンチック体」があります。欧字書体としてのアンチックの名称は、ふるくは『活版様式』(活版製造所平野富二、1876)に登場し、和字・漢字をともなった日本語総合書体としては『新撰讃美歌』(警醒社、1888)で使用されていることを内田明氏が指摘されています。

《アンチック体と混同されがちな 太仮名由来の和字書体》
アンチック体和字は、しばしば金属活字由来の「太仮名」と混同されています。このふたつの活字書体は、ともに明治期に誕生した優れた書体ですが、アンチック体の画線は比較的均一で、太さの差異がすくなく、太仮名由来の和字書体は画線に抑揚があり、脈絡を強調する特徴がみられます。


そのために、このふたつの和字書体は異なる設計意図にもとづく書体とおもわれます。簡便に見わけるためには、ひら仮名「の」の頂点がほぼ同じ太さになっているのがアンチック体、頂点が細くなっているのが太仮名活字由来の和字書体ということができます。その詳細は『ヴィネット11号 和漢欧書体混植への提案』(今田欣一  朗文堂)に報告があります。

『和字  おゝことのは Family 9』では、もう一度原点に立ち帰り、形象をさらに検討し、字面率をおおきめにとり、ウェートを9ウェートとしてファミリーを構築しました。
漢字書体との組み合わせは、一応参考・推奨書体はありますが、お客さまご自身が「和字・欧字・漢字」の組み合わせの妙を発揮していただくことを期待しています。

ヒューマン・サンセリフ 銘石B

『 ヒューマン・サンセリフ 銘石B Combination 3 』
 好評発売中です!
お申込み、ご購入は、朗文堂 タイプ・コスミイク までお願いいたします。
──
『 ヒューマン・サンセリフ 銘石B Combination 3 』
くれたけ銘石B、くろふね銘石B、くらもち銘石B
販売価格 ¥36,750 (本体価格  ¥35,000)


 《ついにわが国でもヒューマン・サンセリフが誕生!── 銘石B》
どうやら想像以上に多くの皆さんが、力感のある、やさしい、ヒューマン・サンセリフの登場をお待ちいただいていたようです。
これまでもしばしば、十分なインパクトがありながら、視覚にやさしいゴシック体、それもいわゆるディスプレー・タイプでなく、文字の伝統を継承しながらも、使途のひろいサンセリフ――すなわち、わが国の電子活字書体にも「ヒューマン・サンセリフ」が欲しいとされる要望が寄せられていました。
確かにわが国のサンセリフ、≒ゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線・垂直線ばかりが強調されて、鋭利な画線が視覚につよい刺激をあたえます。

今回欣喜堂・朗文堂がご提案した「銘石B」の原姿は、ふるく、中国・晋代の『王興之墓誌』(341年、南京博物館蔵)にみる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに「碑石体ヒセキ-タイ」と呼ばれる書風をオリジナルとしています。

『王興之墓誌』。この裏面には、のちに埋葬された
妻・宋和之の墓誌が、ほぼ同一の書風で刻されています(中国・南京博物館蔵)。

『王興之墓誌』拓本。右払いの先端に、隷書に独特の
波磔のなごりがみられ、多くの異体字もみられます。

『王興之墓誌』は1965年に南京市郊外の象山で出土しました。王興之(オウ-コウシ 309-40)は王彬オウ-リンの子で、また書聖とされる王羲之(オウ-ギシ  307-65)の従兄弟イトコにあたります。


この墓誌は煉瓦の一種で、粘土を硬く焼き締めた「磚 セン、zhuān、かわら」に碑文が彫刻され、遺がいとともに墓地の土中に埋葬されていました。そのために風化や損傷がほとんどなく、全文を読みとることができるほど保存状態が良好です。

王興之の従兄弟・書聖/王羲之(伝)肖像画。
同時代人でイトコの王興之も、こんな風貌だったのでしょうか。

魏晋南北朝(三国の魏の建朝・220年-南朝陳の滅亡・589年の間、370年ほどをさす。わが国は古墳文化の先史時代)では、西漢・東漢時代にさかんにおこなわれていた、盛大な葬儀や、巨費を要する立碑が禁じられ、葬儀・葬祭を簡略化させる「薄葬」が奨励されていました。
そのために、書聖とされる王羲之の作でも、みるべき石碑はなく、知られている作品のほとんどが書簡で、それを法帖ホウジョウ(先人の筆蹟を模写し、石に刻み、これを石摺り・拓本にした折り本)にしたものが伝承されるだけです。

この時代にあっては、地上に屹立する壮大な石碑や墓碑にかえて、係累・功績・生没年などを「磚セン」に刻んで墓地にうめる「墓誌」がさかんにおこなわれました。『王興之墓誌』もそんな魏晋南北朝の墓誌のひとつです。

『王興之墓誌』の書風には、わずかに波磔ハタクのなごりがみられ、東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体といわれています。遙かなむかし、中国江南の地にのこされた貴重な碑石体が、現代日本のヒューマン・サンセリフ「 銘石B Combination 3」として、わが国に力強くよみがえりました。

朗文堂カタログが完成しました。

朗文堂 ブック・コスミイク

朗文堂 タイプ・コスミイク

《朗文堂のふたつの事業部の、商品カタログ新版が完成しました》
しばらく在庫切れでご迷惑をおかけしました。朗文堂書籍事業部 ── ブック・コスミイクと、朗文堂活字事業部 ── タイプ・コスミイクの新版カタログが完成しました。
A4判タテ1/3、スミ1色、オフセット平版印刷、中綴じといった簡素なものですが、タイポグラフィ情報はギッシリとつまっています。

イベント、講演会、ゼミナールなど、各種の機会をとらえて無償配布いたしますが、お急ぎのかたはご来社たまわりお受け取りください。またご遠方のかたは、恐縮ながら送料として100円分の少額切手を同封のうえ、《カタログ送付希望》として、送付先ご住所を明記され、郵送でお申込みください。
────
《以下は、ご用とお急ぎでないかたがご覧ください》
ふたつのカタログの使用書体に関してご質問がありました。表紙1は「バンハード・モダン」です。表紙4は「正調明朝体 金陵」、「MRゴシック-M」、「ライノタイプ・ユニバース」を使用しています。

この「バンハード」書体の原作者、ルシアン・バンハード(Lucian Bernhard  1885-1972)は、ドイツ・シュトゥットガルトにうまれ、スイス・チューリッヒで教育をうけたのち、グラフィックアーティストとして、シンプルな構成のポスターを次次と発表して話題となり、ベルリン・ロイヤル・アカデミーの教授となった人物です。
活字書体の開発にも貢献がおおきく、ドイツ・バウアー活字鋳造所から「Bernhard Antiqua  1912」、「Bernhard Cursive/Madonna  1925」、「Lucian  1925」、「Bernhard Hand Brush Script  1928」などを発表しました。

 Lucian Bernhard  1885-1972

The Encyclopaedia of Type Faces
W. Pincus Jaspert, Blandford, 1993

1920年代の後半になると、ドイツには全体主義の擡頭が顕著となり、欧州大陸のおおくの造形者がアメリカに新天地をもとめて旅立ちました。そんなひとりにルシアン・バンハードもいました。
1929年、居をアメリカに移したバンハードは、さっそくアメリカ活字鋳造所(ATF)から「Bernhard Fashion  1929」、「Bernhard Gothic  1929-30」、「Bernhard Roman 1937」、「Bernhard Tango  1934」、「Lilith  1930」、「Bernhard Imago」などをきわめて精力的に発表しました。

これらの活字書体のなかで、バンハードがこだわりをみせたのが、ドイツ時代にみずからのファースト・ネームを冠して発表した「ルシアン」でした。これをアメリカに移住後にリカットして「バンハード・ローマン」としています。
「ルシアン」のビッグ・レターは、19世紀活字の影響でセット幅がおおきく、Q のテールがカウンターの中央部から発するという、いっぷうかわった形象でした。
おおきな特徴はスモール・レターにあり、x-hight がひくく、長いアセンダーが印象的でした。なかでも  q のステムは、椅子の背もたれのように、湾曲した特徴がみられました。

「ルシアン」をリカットした「バンハード・ローマン」では、ビッグ・レターの不安定さは一掃され、エレガントな装いをまとって登場しました。
第1次世界大戦と第2次世界大戦のはざまのドイツで苦悶し、アメリカに新天地をもとめたタイポグラファ、ルシアン・バンハードのことは、アメリカ活字鋳造所の衰退とともに、わが国ではわすれられがちです。「バンハード・モダン」はこんな歴史を背負って、アップル社のパソコンに基本搭載されています。

オリジナルは「ルシアン」なのか「バンハード・ローマン」なのか、また活字のどのサイズをデジタル原字データーとして採用したのかも不明です。また平素はあまりパソコン・デフォルト書体は使わないのですが、チョット小粋な書体がパソコンに基本搭載されていましたので、ときおり、スモール・レターを中心に、大胆に、おおきくつかって楽しんでいます。

朗文堂タイプ・コスミイクからお知らせ

新書体2点を発表。3月20日発売開始!

robundo

 type cosmique


Human Sans Serif  銘石B  Combination 3
和字 おゝことのは Family 9

書体設計は欣喜堂・今田欣一氏によるものです。欣喜堂は日本・中国・欧米の、書写と印刷の歴史にはぐくまれた、正統的な活字書体の開発をめざしております。
販売は朗文堂タイプコスミイクによるものです。小社はつねづねお客さまとの双方向の情報交換を希望しております。本書体をお客さまがご愛用いただき、ご希望、改善点、ご叱声など、ご遠慮なくお寄せいただけることをお待ちしております。

日本語総合書体『Human Sans Serif 銘石B Combination 3』、
和字書体(ひら仮名・カタ仮名)『和字 おゝことのは Family 9』を、
3月20日より新発売いたします。
★     ★     ★

Human Sans Serif  銘石B  Combination 3

くれたけ銘石B、くろふね銘石B、くらもち銘石B
販売価格 ¥36,750 (本体価格  ¥35,000)

《ついにわが国でもヒューマン・サンセリフが誕生!―碑石体B》
十分なインパクトがありながら、視覚に優しいゴシック体、それもいわゆるディスプレー・タイプではなく、文字の伝統を継承しながらも、使途のひろいサンセリフ――わが国の電子書体にも「ヒューマン・サンセリフ」が欲しいとされるご要望が寄せられていました。
確かにわが国のゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線・垂直線ばかりが強調されて、鋭利な画線が視覚に刺激をあたえます。

今回欣喜堂・朗文堂がご提案した「銘石B」の原姿はふるく、中国・晋代の『王興之墓誌』(341年、南京博物館蔵)にみる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに「碑石体ヒセキ-タイ」と呼ばれる書風をオリジナルとしています。

『王興之墓誌』。この裏面には、のちに埋葬された
妻・宋和之の墓誌が、ほぼ同一の書風で刻されています。



『王興之
墓誌』拓本。右払いの先端には隷書に独特の
波磔のなごりがみられ、多くの異体字もみられます。

『王興之墓誌』は1965年に南京市郊外の象山で出土しました。王興之(309-40)は王彬の子で、また書聖とされる王羲之(307-65)の従兄弟イトコにあたります。
この墓誌は煉瓦の一種で、粘土を焼き締めた「磚 セン、カワラ、zhuān」に碑文が彫刻され、遺がいとともに墓地の土中に埋葬されていました。そのために風化や損傷がほとんどなく、全文を読みとることができるほど保存状態が良好です。



王興之の従兄弟・書聖/王羲之の(伝)肖像画。
同時代人でイトコの王興之もこんな風貌だったのでしょうか。

魏晋南北朝(三国の魏の建朝・220年-南朝陳の滅亡・589年の間をさす。わが国は古墳文化の先史時代)では、西漢・東漢時代にさかんにおこなわれた、盛大な葬儀や、巨費を要する立碑が禁じられ、葬儀葬祭を簡略化させる「薄葬」が奨励されていました。
そのために、書聖とされる王羲之の作にはみるべき石碑はなく、知られている作品のほとんどが書簡で、それを法帖ホウジョウにしたものが伝承されるだけです。

この時代にあっては、地上に屹立する壮大な石碑や墓碑にかえて、係累・功績・生没年などを「磚セン」に刻んで墓地にうめる「墓誌」がさかんにおこなわれました。『王興之墓誌』もそんな魏晋南北朝の墓誌のひとつです。

『王興之墓誌』の書風には、わずかに波磔ハタクのなごりがみられ、東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体といわれています。遙かなむかし、中国江南の地にのこされた貴重な碑石体が、現代のヒューマン・サンセリフとして、力強くよみがえりました。

★     ★     ★

和字 おゝことのは Family 9

販売価格 ¥9,450(本体価格  ¥9,000)


《ことのはの原姿は、アンチック体和字活字です》
和字書体「ことのは」は、ひろくは「アンチック体」と呼ばれている活字を統一感をもって整理・整頓し、ウェートを使途にあわせて多様化して9種類にしたものです。
その初登場は、欣喜堂和字シリーズ第2弾として発売された『和字 Tradition 9』に収録されて、好評を博しました。
その原姿は『辞苑』(新村出編著、1935年初版、書香文庫蔵)の見出し語活字で、俗に「アンチック体」とされる和字活字にあります。幸い資料が辞書でしたから五十音それぞれのキャラクターを抽出できました。

アメリカからもたらされた活字書体「antique」と同じ名称をもち、辞書などの見出し語として用いられてきた和字書体に「アンチック体」があります。欧字書体としてのアンチックの名称は、ふるくは『活版様式』(活版製造所平野富二、1876)に登場し、和字・漢字をともなった総合書体としては『新撰讃美歌』(警醒社、1888)で使用されています。

《アンチック体と混同されがちな 太仮名由来の和字書体》
アンチック体和字は、しばしば金属活字由来の「太仮名」と混同されています。このふたつの活字書体は、ともに明治期に誕生した優れた書体ですが、アンチック体の画線は比較的均一で、太さの差異がすくなく、太仮名由来の和字書体は画線に抑揚があり、脈絡を強調する特徴がみられます。

そのために、このふたつの和字書体は異なる設計意図にもとづく書体とおもわれます。簡便に見わけるためには、ひら仮名「の」の頂点がほぼ同じ太さになっているのがアンチック体、頂点が細くなっているのが太仮名活字由来の和字書体ということができます。その詳細は『ヴィネット11号 和漢欧書体混植への提案』(今田欣一  朗文堂)に報告があります。

『和字  おゝことのは Family 9』では、もう一度原点に立ち帰り、形象をさらに検討し、ウェートを9ウェートとしてファミリーを構築しました。漢字書体との組み合わせは、一応参考・推奨書体はありますが、お客さまご自身が「和字・欧字・漢字」の組み合わせの妙を発揮していただくことを期待しています。

祝 ! 毎日新聞社 創刊140年 !

祝 ! 

 毎日新聞社 創刊140年 !
創刊140年記念号 全30段見開きページに
和字 たおやめ をご使用いただきました !

 『日本新聞百年史』
(日本新聞連盟編・発行、口絵頁、昭和37年1月10日)

 《毎日新聞社は本日、創刊140年を迎えました》
2012年(平成24)2月21日、『毎日新聞』は創刊140年を迎え、それを記念する特別号を発行しました。その最大の見せ場は、上図に掲げた中央の見開きページで、企画・制作/毎日新聞広告局による、全30段見開きカラーページでした。そこには、
こんにちは、未来くん。
そちらはどうですか

にはじまる平易な文章をもって、同社の140年の歴史をふまえ、21世紀への決意がつづられていました。
 

 《こんにちは、未来くん。……の和字書体は、
和字  たおやめFamily 7   をご使用いただいています》


和字 たおやめ の詳細は
『ヴィネット05 挑戦的和字の復刻』
(今田欣一、p.126-135、朗文堂)にあります。

Website情報は robundo type cosmique  にあります。

いまから140年前、1872年(明治5)2月21日、
日報社(毎日新聞社の前身)が
東京初の日刊新聞『東京日日新聞』第一号を発行、
これが『毎日新聞』の淵源です。
詳細は花筏──タイポグラフィ あのねのね*017に転載。  

杉明朝体 OpenTypeフォント発売中 !! 杉本幸治氏三回忌にあたり再掲載しました。

杉明朝体|杉本幸治制作|硬筆風細明朝、
OpenTypeフォント発売中 !

杉明朝体はね、構想を得てから随分考え悩みましたよ。
その間に土台がしっかり固まったのかな。
設計がはじまってからは、揺らぎは一切無かった。
構造と構成がしっかりしているから
小さく使っても、思い切り大きく使っても
酷使に耐える強靱さを杉明朝体はもっているはずです。
若い人に大胆に使ってほしいなぁ。
── 杉本幸治の述懐 ── 

OpenTypeフォント化により、Macintoshでも「崎、高」などの異体字、いわゆる「タツサキ  﨑」、「はじごダカ 髙」の「﨑、髙」も使用できるようになり、宮﨑あおい髙村薫などの正式な表記が可能となりました。
また、草(彅)剛、(德)永英明、(鄧)小平、森(鷗)外などの表記が可能です。



杉明朝体の書体設計は杉本幸治氏(タイポデザインアーツ)です。
◎OpenTypeフォントStd仕様
◎対応機種:Macintosh、Windows
◎PDFファイルにエンベッド(埋込可能)、アウトライン化可能。
◎OpenTypeフォントStd仕様ですが、非漢字(仮名、英数字、記号など)は1221文字のみの収容となっています。
◎Adobe InDesign、Adobe Illustratorのプロポーショナル・メトリクス機能には対応しておりません。カーニング(オプティカル)機能をご利用ください。
◎OpenTypeフォントに対応していないアプリケーション(バージョン)では、正常に表示できない場合があります。
●OpenTypeフォントの動作環境
Windows
・Windows 2000、XP、Vista、7:利用可能です。
・Windows 95、98、Me、NT4.0:ATM(Adobe Type Manager)4.1以降が必要です。
Macintosh
・Mac OS X 10.1以降:利用可能です。
・Mac OS 8.1- 9-X:ATM(Adobe Type Manager)4.6以降が必要です。
・その他のMac OS:ご利用いただけません。
販売価格/31,500円(本体¥30,000円)