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【良書紹介】 野村保惠『本の品格-電子書籍にも必要な校正読本-』

『本の品格』野村保惠朗文堂がなにかとお世話になっている編集・校正界の大先輩、野村保惠さんが印刷学会出版部から新刊を上梓されました。
野村保惠さん(1928-)は、「硬筆風細明朝 杉明朝体」の製作者・故杉本幸治(1927-2011)と同世代で、ともに東京府立工藝学校印刷科を卒業されたかたです。
お付きあいのはじめの頃は、中国の書芸家「王羲之」を「王義之」とやり、お名前を「野村保恵」とやって、野村さんから、いかにも江戸っ子らしく、ポンポンと、やんわり(きつ~く)お叱りを頂戴しました。もう懐かしいおもいでになりました。
最近の野村保惠さんは、人格・品格ともに重厚さをまされ、後進の若者にも円熟した視点からのおはなしが増えてきました。皆さまにもぜひお読みいただきたい好著です。
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書  名 : 本の品格 -電子書籍にも必要な校正読本- 
編著者 : 野村保惠 著
発行元 : 印刷学会出版部
      四六判・260ページ。モノクロ(一部2色刷り)
定  価 : 2,000 円+税

【内容紹介】
文字がある限り、校正という作業が残ります。それはアナログにもデジタルにも差異はありません。本書は校正者の基本常識や、誤記・誤植の実例、「素読み」への対応などの豊富な内容を含みます。巻末には35ページの大ボリュームで、間違えやすい変換ミスの例を多数収録しました。
編集・校正界の重鎮が、長い経験で培った校正知識を詰め込んだ、本づくりに携わるすべての人に必須の書です。 

【目   次】
第一部 ―― 校正者の常識
校正とは
校正の方法
印刷校正記号
校正の流れ
漢字の字体
表記の統一
組版ルール
第二部 ―― 校正者の非常識 素読みの問題
誤記・誤植のいろいろ
固有名詞
入力・変換
誤植のいろいろ
附 録 ─── 変換ミス、ローマ字入力のミス、コンピュータソフトによる自動ルビ、
        OCR入力の誤植例

『平野富二伝』刊行記念 展示・講演会終了いたしました。

《両日とも好天に恵まれ、多くの皆さまにご来場いただきました》
2013年11月30日[土]、12月01日[日]の両日にわたって開催された『明治産業近代化のパイオニア――平野富二伝』刊行記念展示・講演会(主催 平野家、協力:朗文堂、後援:理想社・タイポグラフィ学会・アダナプレス倶楽部)は、多くのご来場者をお迎えして無事に終了いたしました。
ご来場いただきました皆さま、ご協力いただきました皆皆さまのご尽力にふかく感謝いたします。
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『平野富二伝』著者:古谷昌二氏の講演会は、用意した椅子席がたりなくなるほどの盛況で、講師:古谷さんによって諄諄と説かれていく、明治産業近代化に果たした平野富二の功績の大きさに、ご来場者もあらためて驚かれたというご感想がたくさん寄せられました。

またはじめてひろく公開された平野家所蔵品は、平野富二の逝去後、関東大震災、戦禍などの大きな災禍のなかでも、平野家一門によってたいせつに守りぬかれてきた品品でした。これらの一次資料の数数に、皆さまは熱心にみいっておられました。

『平野富二伝』著者・古谷昌二氏と実兄・古谷圭一氏

『平野富二伝』会場入口 岡田c 『平野富二伝』会場 講演前 『平野富二伝』会場2 岡田C 『平野富二伝』福地・西郷 岡田cご後援いただきました タイポグラフィ学会 は、本木昌造賞平野富二賞 の両賞をもうけており、
「平野富二賞は、タイポグラフィの普及発展に著しく功績のあった個人及び団体に対するもので、その対象者は社会へのタイポグラフィの認識を高める行動及び啓蒙などにおいて、その事績が本学会にとどまらず、広く社会に貢献していると認められるものです」
としており、両賞関連資料の展示と、その活動報告をされました。

理想社 は、今回の展示・講演会にさいし、相当量作製されたパネル類の製作に協力いただき、また搬出入にもご協力いただきました。
平野富二自作短歌【動画:YouTube 3:41 活版印刷〈公版書籍印刷と端物印刷〉端物印刷 Adana-21J 】

アダナプレス倶楽部 は、いつものように「活版オジサン」(明治36年版『活版見本』東京築地活版製造所所収、電気版・ボーダーを使用)を掲げての参加でした。
今回は、平野家にのこされた池原奞(シュン、香穉カワカ)の画幅・書軸・短冊がきわめて多く、平野富二と池原奞シュンが相当親密な関係にあったとみられることにひそみ、本木昌造活字復元プロジェクトで再生した、いわゆる「和様三号活字」をもちいて、平野富二の明治20年自作短歌、
「世の中を 空吹く風に 任せ置き  事を成す身は 國と身のため」
の活字組版を用意し、小型活版印刷機 Adana-21J によってご来場者ご自身での印刷体験をしていただきました。
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《掃苔会と、通運丸。雑司ヶ谷ダラーイ船渠での進水式》
会場となった日展会館の近くには「谷中霊園」があります。ここには平野富二の巨大な顕彰碑と塋域エイイキがあり、その友人・知人、明治産業近代化に貢献されたひとびとの墓地もたくさんあります。
今回は『平野富二伝』に紹介された、石川島造船所関係のかたがたの資料も多数加わり、また幸いなことに、好天にめぐまれ、平野家ご長老の参加をふくめ、とても意義深い「掃苔会」となりました。

また展示には平野富二設立「石川島平野造船所」に源流を発する企業「株式会社 IHI 」のご協力もいただきました。
そこで展示の一環として「石川島資料館」にある、石川島平野造船所で最初に建造された、外輪式の蒸気船「通運丸」60トンなどの模型を拝借しようとしたところ、模型とはいえやはり活字とちがってそこは船で、とても気軽に移動するわけにはいかず、急遽紙製のちいさな模型を製作・展示することにしました。
通運丸模型 通運丸全体
平野富二の業績のうち、活字製造と活版印刷機器製造の分野には、インキ(英:インク)、ピンセット(英:ツィーザー)などの、オランダ語由来のことばがのこります。
もうひとつの造船・機械製造業の分野でも、やはり江戸期長崎出島からの情報発信のなごりがみられ、ふるい文献には「ダラーイ船渠」などとしるされています。
これは英語ではドライドック、現在でも造船界では乾式船渠ともされるようです。
今回の通運丸製作は、豊島区のマンションの一室「雑司ヶ谷ダラーイ船渠」で進水し、会場で艤装(爪楊枝についた旗2本を艦首と艦尾にさしただけですが)されて、無事に展示されました。

もうすこし整理がすすみましたら、今回の詳細報告の舞台を 《タイポグラフィ・ブログロール 花筏》 に移して順次ご報告いたします。
『平野展』ポスターL明治産業近代化のパイオニア
『平野富二伝』 考察と補遺  古谷昌二編著
刊行記念 展示・講演会
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日 時 : 2013年11月30日[土]-12月01日[日]
      11月30日[土] 展示 観覧  10:00-16:30
                  著者講演会 14:00-16:00
             12月01日[日]  展示 観覧  10:00-15:00
                 掃 苔 会   10:00-12:00
      編著者・古谷昌二氏を囲んでの懇話会、サイン会は、会期中随時開催
会 場 : 日展会館
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主 催 : 平 野 家
協 力 : 朗 文 堂 
後 援 : 理想社/タイポグラフィ学会/アダナ・プレス倶楽部

【イベント開催趣旨】
平野富二没後120年、平野活版製造所(のちの東京築地活版製造所)設立140年、石川島造船所(のちの石川島平野造船所・現 IHI)創業160年という記念すべき年にあたり、古谷昌二氏編著『平野富二伝』が刊行されました。

本展示講演会は『平野富二伝』に詳細にしるされた、明治前期の活字版印刷術の黎明期に、活字製造、活版印刷機器製造ならびに技術基盤の確立に活躍し、ついで、造船、機械製造、土木工事、鉄道敷設、水運開発、鉱山開発など、わが国近代産業技術のパイオニアとして、おおきな業績をのこした平野富二(1846-92)に関して、これまで一般にはあまり知られていなかった事績を発掘し、その全貌を紹介し、再認識していただくことを目的とします。

同時に、明治前期の工業界をリードした、技術系経営者としての平野富二の多彩な事績の紹介が、そのままわが国近代の産業技術発達史の一断面をなすものであるとの認識のもとに、関東大震災や第二次世界大戦の戦禍を乗りこえ、平野家に継承されてきた貴重な資料を中心に、本格的にははじめて資料を整理・展示し、《明治産業近代化のパイオニアとしての平野富二像》を描きだすものです。

『平野展』フライヤー

【イベント情報】 本の装い百年 明治大学中央図書館ギャラリー

本の装い百年

第51回 明治大学中央図書館企画展示
「本の装い百年―近代日本文学にみる装幀表現」

会 期:2013年11月22日[金]-1月19日[日]
会 場:明治大学中央図書館1Fギャラリー
開館時間:中央図書館の開館時間に同じ
       11月26日[火]、12月25日[水]-2014年1月8日[水]は閉廊
主催:明治大学図書館、東京製本倶楽部

◎  講演会「近代日本の装幀表現ーその変遷と魅力」
日時:12月7日[土]  14:00-15:30
講師:岩切信一郎(新渡戸文化短期大学教授)
会場:明治大学中央図書館多目的ホール(中央図書館B1)
入場無料(先着70名様)

【ご あ い さ つ】
明治以来、欧米文化流入の波は、日本の書籍の形を大きく変えました。
和本の伝統的な印刷形態であった整版は活版印刷にとって代わられ、それに伴い、さまざまな綴じの和装本は、現代に続く洋装本へと急速な変貌を遂げたのです。しかし、出版の近代化は、一方で、新たな装飾装幀の実験の場でもありました。和装本から洋装本への構造の変化、印刷術や用紙、クロスなど素材の開発、西洋の美意識やモードの流入、日本語文字デザインの確立と書体の多様化など、近代日本の書籍が経験したさまざまな変化の中から、今回は装飾装幀の愉しみについて考えます。

明治大学和泉図書館が所蔵する「日本近代文学文庫」から約90点の名装飾本を選び、3つの角度から書物装飾・装幀の展示を試みました。ちなみに「日本近代文学文庫」は、明治から昭和戦前期までの文学書の初版本を中心とした約3,700冊のコレクションです。最近では、文学史上重要な作家の戦後の作品も蒐集の対象とし、図書の函や帯なども含め、刊行された当時の姿で保存することに努めています。
この機会に近現代約100年にわたる「装幀表現」をお楽しみいただければ幸いです。

パートⅠ  近代文学作品と現代ルリユール [展示ケースA・B]
「日本近代文学文庫」収蔵の装飾本と東京製本倶楽部有志22人による現代ルリユール作品を並べて展示することで、近代と現代の嗜好の違いに見る装飾本の愉しみに焦点をあてます。

パートⅡ  明治から大正・昭和へ、装幀表現の変遷 [展示ケースC]
明治期は和装から洋装へ、西洋印刷術や製本術、書物素材などの変わりゆくさまをご覧いただきます。また大正・昭和までの装幀に特色ある作品を展示します。

パートⅢ 夏目漱石と泉鏡花の作品にみる装幀 [展示ケースD]
漱石と鏡花、この二人の作品は、装幀表現としても近代日本の装飾本の中で最も美しいものといえます。ここでは、橋口五葉や小村雪岱、鏑木清方といった明治期の名だたる装幀家、画家の手がけた主要な作品を展示します。


【リンク:明治大学図書館
【リンク:明治大学図書館 オンラインナレッジ検索
【リンク:東京製本倶楽部

【近刊紹介】『平野富二伝』古谷昌二編著

【本書の発売日が決定いたしました!】
朗文堂近刊書、古谷昌二編著『平野富二伝』には、多くの皆さまがご関心を寄せられ、発売日、関連イベントに関するお問い合わせをたくさん頂戴いたしました。ありがとうございました。

発売日  2013年11月22日[金]

『平野富二伝』刊行記念・展示・講演会のお知らせ 
関連情報は、上記をクリックしていただきますと該当ページがひらきます。

 

書店店頭、オンラインブックショップなどでの販売は、発売開始後すこし遅れます。
一刻も早く、連休中にもお読みになりたいというかたは、ご面倒でも小社にご来社いただき直接ご購入いただくか、朗文堂ブックコスミイク robundo@ops.dti.ne.jp まで事前にご注文ください。
ご送付のばあいでも 11月22日[金]まで のご注文にかぎり、送料を小社負担でおもとめいただけます。ご注文をお待ちしております。

平野表紙uu平野富二伝 考察と補遺 DM表平野富二伝 考察と補遺 DM裏[明治産業近代化のパイオニア 平野富二伝 考察と補遺 DM PDF]

明治産業近代化のパイオニア平野富二伝 考察と補遺
古谷昌二 編著
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発行:朗 文 堂
A4判、ソフトカバー、864ページ
図版多数
定価:12,000円[税別]
発売:2013年11月22日
ISBN978-4-947613-88-2 C1023

 ──────── 編著者プロフィール
古 谷  昌 二   ふるや しょうじ
古谷さん肖像

昭和10年(1935)、東京都に生まれる。
昭和33年(1958)、早稲田大学第一理工学部機械工学科を卒業。
同年、石川島重工業株式会社(現、株式会社IHI)に入社。
製鉄設備を初めとして、産業機械分野の設計、開発、技術管理、新機種営業部門を歴任。
平成7年(1995)、定年退職に際し、その後の一つのテーマとして平野富二の事績調査に取り組み、IHI OBを中心とした社史研究会「平野会」の設立と運営に協力。
日本機械学会正会員。

雑誌投稿:
「IHI 高圧高炉用炉頂装置の概要」
共著(『石川島播磨技報』、第7巻、第34号、昭和42年3月)
「大形高炉設備の設計」
(『石川島播磨技報』、別冊2、昭和44年8月)
「石川島のダラーイドック」
(『佃島物語』、その十五、平成7年10月)
「平野富二の師 本木昌造」
(『佃島物語』、その二三、平成12年5月)
平野会資料:
「旭日丸事績」を初め、幕末から明治初期の石川島に関する資料、平野富二に関するテーマ別に纏めた資料など多数を執筆し会員に配布。IHI本社図書室に保管。

──────── 著者まえがきより抜粋
本書は、明治前期の活字版印刷術の黎明期に活躍し、ついで、造船、機械、土木、鉄道、水運、鉱山開発など、わが国近代産業技術のパイオニアとしておおきな業績をのこした平野富二に関して、これまで一般にはあまり知られていなかった産業人としての事績を発掘して、その全貌を紹介し再認識してもらうことを目的とする。
同時に、明治前期の工業界をリードした、技術系経営者としての平野富二の事績紹介が、そのままわが国近代の産業技術発達史の一断面をなすものである。

──────── 目 次
第 一章 誕生から平野家再興まで
第 二章 土佐藩機械方就任と長崎製鉄所復帰
第 三章 長崎新塾活版所入社と経営改革
第 四章 東京への進出
第 五章 築地への移転と本木昌造との死別
第 六章 築地活版所の拡張と造船業への進出
第 七章 石川島造船所の操業開始
第 八章 活字改良、海運業進出と地方事業の展開
第 九章 明治一四・一五年の事績
第一〇章 明治一六年の事績
第一一章 明治一七年の事績
第一二章 明治一八年の事績
第一三章 明治一九年の事績
第一四章 明治二〇年の事績
第一五章 明治二一年の事績
第一六章 明治二二年の事績
第一七章 明治二三年の事績
第一八章 明治二四年の事績
第一九章 明治二五年の事績
第二〇章 没後の記録
平野富二年譜
平野富二没後の記録年表

──────── 著者あとがきより抜粋
明治前期に花開いた文明開化で、一般民衆が身近に実感したであろうものは数多くあるが、その中でも代表的なものは、新聞の普及による情報革命と、小形蒸気船による輸送革命であろう。
新聞は良質な活字と高性能な印刷機の出現によって、最新の情報が迅速に広く民間に届けられるようになった。
小形蒸気船は蒸気を動力として、多量の物資や乗客を、一時に短時間で、しかも安全に運送する乗り物として民間に親しまれた。

この活字と印刷機と、小形蒸気船に代表される製品を製造し、普及させたのが平野富二である。その根底となる技術はいずれも西欧先進国に学んだものであるが、それらをわが国で初めて国産化し、高性能で堅牢な製品として世の中に普及させた。

その他の分野でも、平野富二は民間人として「我国で最初に国産化した製品」を数多く生み出している。
例えば、蒸気暖房装置、演技場の大形石油ランプ、製糸動力用ボイラ・蒸気機関、鉱山用各種機械、水力発電用ペルトン水車、凌雲閣のエレベーター、吾妻橋に代表される大形橋梁などである。
一等砲艦鳥海も民間造船所で初めて建造された軍艦である。
近代化の象徴である鉄道建設や水道布設などにおいても、ドコビール式軽便レールを導入して、画期的工法で土地造成工事を行なった。

それらの製品を生み出し、工事を実施する過程においても、活字の多品種・大量生産を実現させ、現代に通じる品質管理、公害を配慮した工場移転、徒弟教育の実施、職工の生命保険付保など、時代を先駆ける先端的経営を行なった。

その意味で、平野富二をわが国産業近代化のパイオニアの一人として位置付けることができる。まさに福地桜痴の言う「明治工業史の人」である。

平野富二の生涯は苦労と失敗の連続であった。通常の伝記では成功談の羅列で終始するが、平野富二の場合は失敗談なくしてその人の生涯を語ることはできない。
平野富二の前半生の履歴をまとめ上げた福地桜痴や、全生涯を記録した『本木昌造 平野富二 詳伝』の編著者である三谷幸吉は、失敗談については敢えて触れることなく、意識的にこれを避けている。

平野富二は、恩師本木昌造の苦境に陥った活版印刷事業をたまたま引き受け、事業として成功に導いた。その結果得られた資金を活用して、念願の造船事業に進出することができた。
しかし、民間事業こそがわが国将来の発展に寄与するものであるとの信念から、敢えて政財界と結託することを嫌って一定の距離をおいていた。そのため、多額の資金を要する造船事業では再三に亘り政府に融資依頼を行なったが、いずれも不成功に終わっている。渋沢栄一の理解と協力で株式組織に変更するまでは、資金難の連続であった。

本書では、平野富二が取り組んだ事業の中でも不成功に終わった事例を数多くとりあげた。造船関係では兵庫造船所の借用、鉄道関係では利根川・江戸川連絡鉄道計画、甲信鉄道計画とその関連の江の浦軽便鉄道計画、築港関係では江の浦築港計画、土木関係では横須賀吾妻山掘割工事、鉱山関係では能美鉱業所の経営受託である。
しかし、不成功となったその後の経緯までをたどって見ると、単に失敗に終わらせず、その経験を少しでも世の中のために有効に生かす意志と努力を酌み取ることができる。

最大の失敗といえば、若い頃から持病を抱えながらもわが身を顧みず事業に没頭した結果、脳溢血で病床に就くこと三度、それが原因で折角育てあげた事業を途中で整理せざるを得なくなったことであろう。
その後は摂生に努めたが、国家に貢献する事業への信念から肉体の健康を疎かにし、それが原因で未だ前途のある生涯を四七歳の若さで終えたことである。

定年まで人生の一番大切な時期を過ごさせて頂いた会社の創業者である平野富二について、なぜ長崎の人が東京の石川島で個人経営の造船所を創業したのかという疑問に始まり、その人物と事績をもっと知らなければならないと思っていた。
それを定年後の取り組みの一つとして定め、本格的な資料調査を開始したのは既に十数年前になる。当初は、それほど多くの資料は存在しないだろうと予測し、二、三年で纏められると思っていた。平野富二に関する資料は、関東大震災、その後の戦災と戦後の混乱でほとんどの歴史資料を失ってしまったと見られていたからである。

当初は、平野富二に関する纏まった伝記資料としては、三谷幸吉の『詳伝』が唯一のものであった。それを手掛かりにして、資料収集を開始すると、断片的ではあるが次々と新しい資料を見出すことができた。

平野富二は、長崎奉行所とそれに関連する長崎製鉄所に勤務していた関係で、その役職履歴から勤務に関する多くの文書が長崎県に残されている。
東京に出てきてからは、事業の関係で役所に提出した文書が東京都公文書館に数多く保管され、また、横浜製鉄所や石川島造船所に関しては国立公文書館と防衛研究所図書館に多くの関連する文書が保管されており、近年、アジア歴史資料センターからインターネットで検索・閲覧できるようになった。
早稲田大学図書館に保管されている「大隈文書」にも平野富二直筆の願書等が残されていることが判った。

株式会社IHIの元専務取締役高松昇氏は残念ながらすでに故人となられたが、同氏とは十数年来、平野富二の研究でお互いに協力しあう関係にあり、お教え頂くことが多かった。相談の上、『長崎市史』に掲載されていた平野富二碑の碑文をもとに、その石碑の所在確認と、先祖の菩提寺に残されているとみられる記録を平野家に調査してもらうこととした。これが縁で平野家の方々と面識を得ることができた。

丁度その頃、祖先の遺品を整理されていた平野義和氏とその子息正一氏によって多数の資料が見出され、活版印刷関係の資料についてはその分野の研究をされている、朗文堂の片塩二朗氏と印刷史研究家板倉雅宣氏に伝えられた。平野家からは貴重な資料閲覧と写真撮影をさせていただき、特に正一氏からは独自に調査された貴重な資料のコピーを提供して頂いた。
また、片塩二朗氏と板倉雅宣氏からは平野富二が印刷分野で高く評価されていることを教えて頂き、御著作を初め多くの資料を提供して頂いた。

平野富二の資料収集を期に、高松昇氏の主宰により株式会社IHIのOBを主体とした「平野会」が結成された。社史に関連する資料の収集と資料管理を後援することを目的としたもので、その会員はIHIの歴史に関心を持つ各専門分野を経験された方々であった。この「平野会」は、所期の目的を達成して解散したが、多くの資料を調査・収集することができた。

二〇〇二年に朗文堂から片塩二朗著「富二奔る」(『ヴィネット08』)が、二〇〇六年に印刷朝陽会から板倉雅宣著『活版印刷史』が、さらに、二〇〇九年に株式会社IHIから高松昇著『平野富二の生涯』(非売品)が刊行された。
これらの動向により、平野富二に縁故のある関係者の子孫の方々が現れ、貴重な情報・資料の提供をうけることができた。

本書は高松昇氏の御著書を補う形で、広く一般読者や研究者に読んで頂くために纏めたもので、以上に述べた多くの機関や個人の方々から提供をうけた貴重な資料を利用させて頂いた。いちいちお名前を記すことを控えさせて頂くが、この場を借りて心から御礼申し上げる。

平成二五年八月
石川島造船所創業一六〇年、平野富二没後一二〇年を経過した歳に当たって                                                              古谷 昌二

図書館総合展開催

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名 称: 第15回図書館総合展
会 場: パシフィコ横浜 展示ホールD
日 時: 2013年10月29日[火]-31日[木] 10:00-18:00
主 催: 図書館総合展運営委員会

毎年秋に開催される恒例の《図書館総合展》も15回を迎えました。
年年図書館の予算も減少傾向にある時代です。
したがって選抜・推薦された図書を、自館に選定するライブラリアンの視線も真剣でした。
選抜・推薦期間が、8月締めきりで、『平野富二伝』の出品は間に合わず、朗文堂の
ことしの出品は『英語本の扉』(髙野 彰著)、『普及版 欧文書体百花事典』(組版工学会)
の二冊でした。
ご興味、ご関心のあるかたは横浜まで足をお伸ばしください。

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【ブックコスミイク】『平野富二伝』(古谷昌二編著)刊行を控えて、朗文堂関連既刊書を紹介いたします。

この既刊書紹介ページは、近刊 『平野富二伝』(古谷昌二編著/2013年11月刊行予定) の刊行に先駆けて、朗文堂ブックコスミイク刊行書のうち、近刊『平野富二伝』と関連性がつよく、残部僅少の書籍3点を、あらためてご紹介するものです。
   Ⅰ 朗文堂愛着版 『本木昌造伝』(島屋政一著)
   Ⅱ 『VIVA!! カッパン ♥』(朗文堂アダナ・プレス倶楽部 大石 薫 編著)
   Ⅲ 『富二奔る ── 近代日本を創ったひと・平野富二 Vignette 08 』(片塩二朗著)
既刊書のため、現在では書店での店頭展示販売はほとんどございませんが、書店注文方式、オンライン書店経由、あるいは小社より直送でお求めいただけます。この機会にご愛読たまわれば幸せに存じます。
本木昌造伝

朗文堂愛着版 本木昌造伝

島屋政一著
朗文堂刊
上製本 A5判 480ページ
発 行:2001年08月20日
定 価:16,000円[税別]
     ISBN4-947613-54-8 C1070

口絵カラー写真20点、本文モノクロ写真172点、図版196点
特上製本 スリップケース入れ 輸送函つき
背革に羊皮の特染めバックスキン
ヒラは英国コッカレル社の手工芸マーブル紙

本書をご希望の方は直接朗文堂ヘお申し込みください。
本書は直販のみで通常書店では取り扱っておりません。
梱包送料・振り込み料金ともに、本書に限り小社負担にて直送いたします。
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【目 次】
・本木昌造の誕生から通詞時代
・長崎製鉄所時代の本木昌造
・近代活字創製の苦心
・ガンブルの来日と活版伝習所の創設
・新街私塾と長崎活版製造会社
・長崎から東京へ/活版印刷術の普及
・本木昌造の終焉と本木家のその後
・凸版印刷と平版印刷、ライバルの登場
・印刷界の二大明星
・本木昌造をめぐるひとびと
・野村宗十郎とアメリカン・ポイント制活字
・印刷術の普遍化とわが国文化の向上
・印刷界の現状
 新街私塾の印本書の元原稿は、昭和24年(1949)10月に島屋政一氏によって脱稿されたものの、太平洋戦争の直後の混乱のなかで刊行をみることはなく、ほぼ半世紀にわたり、名古屋の活字製造業者・旧津田三省堂の篋底キョウテイふかく秘められてきました。

朗文堂愛着版『本木昌造伝』は、再発見された島屋政一氏による原稿をもととして、図版などに大幅な編集をくわえるとともに、ふたたびこの書物が篋底に秘められることがないように、朗文堂愛着版と銘うって上製本仕立てで刊行したものです。

本木昌造の裏紋とされるBmotoSozo[1]

【 例 言 】――島 屋  政 一
わが国の印刷事業はとおく奈良平安朝のむかしに寺院において創始され、久しきにわたって僧侶の手中にあった。江戸期にはいって勅版がでて、官版および藩版がおこり、ついで庶民のあいだにも印刷事業をはじめるものがあらわれた。

寛文(1661-72)以後、木版印刷術おおいに発達して、正徳、享保時代(1711-35)から木版印刷術は全国に普及をみたが、それは欧米諸国の近代活字版印刷術にくらべてきわめて稚拙なものだった。

幕末の開国とともに洋学が勃興して、印刷術の改善にせまられた。そのときにあたり、近代活字鋳造と近代印刷術の基礎をひらき、善く国民にその恩恵をひろめたものが本木昌造翁だった。

筆者はすでに『印刷文明史』を著わし、本木昌造のことをしるしたが、いささか冗長にながれ、またいささかの訛伝の指摘もあった。さらには畏友にして活字界の雄たりし、青山進行堂活版製造所・青山容三[本名:青山督太郎]氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格[活字ボディサイズ]のことのあらたな教授もえた。

さらに筆者はすぐる太平洋戦争において、おおくの蔵書を戦禍にうしなった。また青山進行堂活版製造所、森川龍文堂の両社は、その活字の父型や母型のおおくをうしなっている。

このときにあたり、ふたたび日本の近代文明に先駆して、開化の指導者としておおきな役割を演じた本木昌造の功績を顕彰して、それに学ぶところは大なるものがあると信ずるにいたった。

本木昌造は、ひとり近代印刷術の始祖にとどまらず、むしろ研究者であり、教育者でもあった。本木昌造の設立にかかる諸施設とは、むしろ「まなびの門」でもあったのである。
そうした本木昌造のあらたな側面を中枢にすえて本書をしるした。
昭和24年10月20日
                                                   著 者 識

長崎港新町活版所印

長崎活版製造会社之印

viva-cover-3

『VIVA!! カッパン ♥』

編 著:朗文堂アダナ・プレス倶楽部 大石 薫
装 本:B5判 136ページ オールカラー ジャケット付
発 行:2010年05月21日
定 価:本体価格2,800円[税別]
     ISBN978-4-947613-82-0

活版印刷の楽しくてカワイイ入門書誕生!!
{懐かしいのに新しい}
魅惑の印刷、活版印刷。
見て美しい!知って楽しい!
自分でやるともっと楽しい!!!
カッパン♥ を愛する アナタの必携書です。
────────
突起部にインキをつけて印刷する凸版印刷は、凹版印刷・平版印刷・孔版印刷とならぶ印刷四大版式のひとつです。そのプリミティブな仕組みは、印刷の原理を理解するのにもっとも適し、五感を駆使する作業工程は、ものづくりに対する純粋なよろこびをもたらします。その凸版人札のなかでも、文字活字を主要な印刷版とするのが活字版印刷術、略称:活版印刷、愛称:カッパンです。

本書は、たんなるふるき良きものにたいする懐古趣味や、「作品紹介中心」の視点からではなく、活版印刷にはじめて触れる、スモール・プリンターや活版造形者に向けて、まばゆいばかりに新しく、コンパクトで愛らしい活版印刷機 Adana-21J を、21世紀の日本で誕生させたアダナプレス倶楽部が、活版♥の魅力と可能性をトコトン追求した入門書です。

【VIVA!! カッパン 目次】
懐かしいのに、あたらしい、
魅力の活字版印刷術 ――― 活版
活字のおはなし
文選箱ギャラリー
文 選
組 版(植字)
組みつけ
印 刷
活字鋳造
Adana-21Jの使い方
muccu が行く!
   活字鋳造所探訪(築地活字編)
   活字版書籍印刷所探訪(長瀬欄罫製作所編+豊文社印刷所編)
あとがきにかえて
   こんな時代だから…………
────
アダナ・プレス倶楽部とは
朗文堂/アダナ・プレス倶楽部と、活版印刷をたいせつにされる造形者の皆さまとのゆるやかな連帯の倶楽部です。面倒な規則や決まりはありませんが、21世紀日本においてあらたに誕生した活版印刷機 Adana-21J を中核にして、活字・組版・印刷・周辺機器や情報の交換・販売と、交流会・展示会をおこなっています。

富二、奔る

 『富二奔る ── 近代日本を創ったひと・平野富二』
 Vignette 08  平野富二没後百十年記念出版

著  者:片塩二朗
装  本:B5判 174頁 モノクロ 並製本
発行日:2002年12月03日
定  価:本体3,000円[税別]
      ISBN4-947613-66-1 C1070

なにもかもが草叢のなかからわきあがった明治の初期、小指のさきほどもないちいさな活字と、巨大な艦船を、ふたつともにつくった面白い人物 ── 平野富二がいました。その足跡は、金属活字製造、活字版印刷、機械製造、造船、航海、海運、土木と、その貢献は多方面で、めざましいものがありました。そんな平野富二の実像に鋭くせまりました。本格人物評伝『平野富二伝』(古谷昌二編著)と照合しながらご一読ください。

【富二 奔る  目次より】
・序の章  ちいさな活字、おおきな船
・一の章  平野ホールの歴史と所蔵品
・二の章  新資料紹介
・三の章  長崎に埋もれていた平野富二碑
・四の章  平野富二と、いっときの敗者たち
・終の章  平野富二の体臭のごとき活字

【ブックコスミイク】普及版 欧文書体百花事典 好評販売中!

普及版 欧文書体百花事典普及版 欧文書体百花事典 表紙

現代タイポグラフィにもっとも重要な役割をはたす欧文書体を
26章・300書体にわたって一挙紹介!

工芸大学・藝術大学・美術大学
工芸・藝術・美術専門学校の教科書に、副読本に
情報関連教育機関、情報産業のオフィスに
そして、アルファベット活字をつかうすべてのかたのために
絶好かつ必備の、わが国における
「欧文活字書体」研究資料の定番書が、
第4刷り以降から、オンデマンド印刷方式での
切れめのない、安定供給態勢となりました!



普及版 欧文書体百花事典 フライヤー PDF

ご好評をいただいてまいりました
『欧文書体百花事典』を
『普及版 欧文書体百花事典』として
装本と価格を変更して新発売!

・書 名    『普及版 欧文書体百花事典』
・編 集   組版工学研究会
・装 本  A4判 並製本 572ページ 図版多数
・発 売  2013年5月23日
・定 価  本体8,800円 + 税
       ISBN978-4-947613-87-5 C1070

【おもな内容──目次より】
◎ Trajan Roman
    時空を超えたローマ大文字 ── 活字に影響を与えたイタリアの碑文書体
◎  Black Letter
    ブラック・レター、ことばの林、文字の森 ── はじめての活字書体
◎  Jenson Roman
    揺りかごのなかの活字 ── ローマン体の成立
◎  Aldine Roman
        イタリア・ルネサンスの活字 ──オールド・ローマン体の成立
◎  Italics
    書字から印刷用活字へ ── イタリック体の成立
◎  Garamond Types
    大陸を横断したフランス活字 ── ギャラモン活字の行方
◎  Printers Flower
    活字箱のなかの可憐な装飾 ── プリンターズ・オーナメントとヴィネット
◎  Dutch Roman
    オランダ活字の潮流 ── 17世紀と20世紀のダッチ・ローマン体
◎  Caslon Roman
    イギリス活字の強固な地盤形成 ── オールド・ローマン体の最後の華
◎  Script Types
    手書きから銅版へ、銅版から活字へ ── スクリプト体の変遷
◎  Baskerville Types
    モダン・ローマン体へのかけ橋 ── トランジショナル・ローマン体の成立
◎  Fournier
    華麗なるロココの活字組版を支えた合理精神 ── ピエール・シモン・フールニエ
◎  Bodoni Roman
    モダン・ローマン体の開花 ── タイポグラフィの王者と呼ばれたひと
◎  English Modern Roman
    大量生産時代の活字と印刷産業 ── モダン・ローマン体の拡散
◎  America Type Foundery
    栄光を背負ったアメリカの活字 ── ベントン父子の挑戦を追って
◎  Fredric Goudy
    多作な活字制作者の活字 ── ガウディ活字のその後
◎  Eric Gill
    石彫り職人エリック・ギルの活字 ── 近代産業と手工業のせめぎあいのなかで
◎  Futura
    近代を夢みたドイツの活字 ──セリフレス・ローマン、フツーラ
◎  Times New Roman
    20世紀のタイポグラフィを開いたひと ──スタンリー・モリスン
◎  Optima Antiqua
    ローマン体のあらたなカテゴリー ── セリフレス・ローマン体の誕生
◎  Sans Serif
    誘目性からから出発し、可読性をめざして── サン・セリフ体の潮流
◎  Univers
    宇宙に子午線をみたひと ── アドリアン・フルティガー
◎  Sabon Antiqua
    サボン ── もっともモダンなオールド・フェイス・ローマン体
◎  Berthold Fototypes
    写植活字の盛衰とその継承 ── タイプディレクター、ギュンター・ランゲ
◎  Rotis
    市民社会の融和をめざした活字書体 ── ローティスのこれから
◎  Emigre
    コンピュータ・アヴァンギャルドからの転身 ── エミグレ、伝統への回帰
──────
※   『普及版 欧文書体百花事典』フライヤーができております。
  教育機関などで御入用の節は、必要部数を明記して
  朗文堂ブックコスミイクまでご用命ください。 
※ 詳細は 朗文堂 book cosmique 新刊ページ をご覧ください。

タイポグラフィ学会 新刊書籍案内

『タイポグラフィ学会誌 06』が刊行。発売開始。
タイポグラフィ学会誌06『タイポグラフィ学会誌06』

A4判 90ページ かがり綴じ 並製本
ISSN 1882–2339
編集・発行: タイポグラフィ学会
発行日: 2013年7月31日
発売(特別委託直販): 朗文堂
定価: 3,000円(送料・税別)
学生向け特別頒布価格:
2,000円(学生証明書の提示が必要です。送料・税別)

タイポグラフィ学会は、タイポグラフィという技芸に学問的な基盤を与え、その成果を実技・実践を通して社会に貢献することを目的に、2005年8月に設立されました。
『タイポグラフィ学会誌』は2007年に創刊、今回が06号となります。

タイポグラフィ学会誌06』には、査読済みの論文が1点と、研究ノートが2点掲載されています。
これらの研究成果が、日本国内のみならず、各国の研究者によって広く参照されて、タイポグラフィ研究の発展に寄与することを希望するとともに、『タイポグラフィ学会誌』が今後さらに、タイポグラフィの研究における特色ある媒体として成長していければと考えております。
── タイポグラフィ学会
──────────────────────────────
おもな内容
・論文:「活字史研究書としての徳永直『光をかかぐる人々』に見られる達成」─ 内田 明
・研究ノート:「教育書肆 集英堂 山中八郎・橋本源七について 栃木県特有の活字を尋ねて」-板倉雅宜
・研究ノート:「上海 修文書館のこと」補遺-板倉雅宜
──────────────────────────────
*本書はタイポグラフィ学会から朗文堂が特別委託を受けて販売するものです。
*本書は限定された書店でしか取扱されていません。お申し込みは朗文堂宛てに直接お願いします。
*学生向け特別頒布価格(タイポグラフィ学会、朗文堂のみの取扱い)での購入の際は、学生証明書の提示が必要となります。
*「書籍名・冊数・申込者氏名・郵便番号・送付先住所・電話番号」を明記の上、小社宛てにファクシミリまたはEメールでご注文ください。
*『タイポグラフィ学会誌 01-05』バックナンバーでのご発注も可能です。
*恐縮ながら送料・振込料はお客さまのご負担となります。

お申込・お問い合せ─────
株式会社 朗  文 堂
Telephone: 03-3352-5070
Facsimile: 03-3352-5160
E-mail: robundo@ops.dti.ne.jp

普及版 欧文書体百花事典 好評販売中!


ご好評をいただいてまいりました
『欧文書体百花事典』を
 『普及版 欧文書体百花事典』として
装本と価格を変更して新発売。

・書 名    『普及版 欧文書体百花事典』
・編 集   組版工学研究会
・装 本  A4判 並製本 572ページ 図版多数
・発 売  2013年5月23日
・定 価  本体8,800円 + 税
       ISBN978-4-947613-87-5 C1070

※   『普及版 欧文書体百花事典』フライヤー近日完成いたします。
  教育機関などで御入用の節はご用命ください。 
※ 詳細は 朗文堂 book cosmique 新刊ページ をご覧ください。

『普及版 欧文書体百花事典』新発売 !!

工芸・芸術・美術大学、
工芸・芸術・美術専門学校の教科書に、副読本に
情報関連教育機関、情報産業のオフィスに
そして、アルファベット活字をつかうすべてのかたのために
絶好かつ必備の、わが国における
「欧文活字書体」研究資料の定番書!


ご好評をいただいてまいりました
『欧文書体百花事典』を
 『普及版 欧文書体百花事典』として
装本と価格を変更して新発売。

・書 名    『普及版 欧文書体百花事典』
・編 集   組版工学研究会
・装 本  A4判 並製本 572ページ 図版多数
・発 売  2013年5月23日
・定 価  本体8,800円 + 税
       ISBN978-4-947613-87-5 C1070

※ 詳細は 朗文堂 book cosmique 新刊ページ をご覧ください。

【ブックコスミイク】新刊書籍 髙野 彰著『英語本の扉』のご案内

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英語本の扉 その歴史と役割

◯ 著   者 : 髙 野 彰
装   本 : A5判 並製本 ジャケット付 176ページ
◯ 
発行日: 2012年8月28日
◯ 
定  価 : 本体1,900円+税
ISBN978-4-947613-86-8 C3000 

本書は「扉」の役割とその歴史を解き明かした書物です。
書物に関心のある人にとって、刺激的な内容になっています。

1500年頃の英語本の扉には、木版の書名、木版の絵を併用した書名、扉全体を囲んだ装飾の枠内に示された書名、コップや逆三角形やワイングラスの形をした書名など、興味深い工夫が目に付きます。
こんな工夫をしたのは、扉ページを本文ページとみなしていたからです。
そのおかげで、扉は本の品質を保証するページになれるのです。

新刊書籍のご案内


【タイポグラフィ学会誌 05】
A4判 68ページ かがり綴じ並製本
ISSN 1882–2339
編集・発行: タイポグラフィ学会
発行日: 2012年7月31日
発売(特別委託直販): 朗文堂
定価: 2,500円(送料・税別)
学生向け特別頒布価格:
1,500円(学生証のご提示が必要です。送料・税別)

タイポグラフィ学会は、タイポグラフィという技芸に学問的な基盤を与え、その成果を実技・実践を通して社会に貢献することを目的に、2005年8月に設立されました。『タイポグラフィ学会誌』は2007年に創刊、今回が05号となります。

『タイポグラフィ学会誌05』には、査読済みの論文が1点と、書評が掲載されています。これらの研究成果が、日本国内のみならず、各国の研究者によって広く参照されて、タイポグラフィ研究の発展に寄与することを希望するとともに、『タイポグラフィ学会誌』が今後さらに、タイポグラフィの研究における特色ある媒体として成長していければと考えております。
── タイポグラフィ学会
──────────────────────────────
おもな内容
・論文  上海 修文書館のこと ─ 板倉雅宣
・書評  小林龍生著『ユニコード戦記』─ 山本太郎
──────────────────────────────
*本書はタイポグラフィ学会から朗文堂が特別委託を受けて販売するものです。
*本書は書店での取扱はできません。申し込みは朗文堂宛て直接お願いします。
*学生向け特別頒布価格での購入の際は学生証明書の提示が必要となります。
*「書籍名・冊数・申込者氏名・郵便番号・送付先住所・電話番号」を明記の上、小社宛てにファクシミリまたはEメールでご注文ください。
『タイポグラフィ学会誌 01-05』バックナンバーでのご発注も可能です。
*恐縮ながら送料・振込料はお客さまのご負担となります。

お申込・お問い合せ─────
株式会社 朗  文 堂
Telephone: 03-3352-5070
Facsimile: 03-3352-5160
E-mail: robundo@ops.dti.ne.jp

ON-LINE BOOK SHOP SPREAD

造形者の皆さまへ

造形活動の第一線にいらっしゃる皆さまに
朗文堂ブック・コスミイクのあたらしいお取り引き先
ON-LINE BOOK SHOP  SPREAD
様をご紹介いたします。
http://page-spread.com/?p=4760

オンライン・ブックショップのなかでは「密林に蔽われた
大河社」が著名ですが、目的のカテゴリー、書物に到達
するまでには、鬱蒼と生い茂ったジャングルを、かき分け
かき分けしながら進むことになりがちです。

ご存知のように「SPREAD スプレッド」とは、おおきく拡げ
のばすことで「page spread」とは見開きページをあらわします。
SPREAD のショップでは、いたずらに
商品アイテムを増やすことはなく、おそらくこのページを
ご覧になっている皆さまなら、お気に入りの一冊の書物に
敏速に到達できることと存じます。
また書籍紹介も丁寧で美しく、ショップ・オーナー(日本人)
のつよいこだわりを感じさせます。 
──
ところで、上掲の写真は『japan japanese』の
龍安寺石庭の紹介 p.077 で
「スプレッド」Websiteからの転載です。
著者・製作者のヘルムート・シュミット氏は、タイポグラファ
ですので、活字の天地を逆さにした「ゲタ」をもちいて
みごとに活字版印刷術の「グリッド コンポジション」で
龍安寺石庭を描ききっています。

そして次ページの写真の片隅に登場して、まるで呪文のように
「fünf zwei drei zwei drei,  fuve two three two three,
五 二 三 二 三」とつぶやいています。
そして、テクストとして、以下のような深い洞察をしるしています。
──
『japan japanese』 p.106

 龍安寺

五 二 三 二 三
15
完全無欠
15 年
成人の歳
十五夜の月
15番目の月夜
満月

 1 つ目の石組み
5 個の対照的な岩の塊
聳え立ち
広く 高く 寄りかかるように
不安定
和らげるように
平穏を放射する
かろうじて
水面から 砂面から
浮遊する氷塊
……
龍安寺
空の庭
間の庭

近づいては来ない
近づくものは拒まない
1 度目は小さく
2 度目はざわめく
3 度目は

五 二

三 二 三

朗文堂ブック・コスミイクからお知らせ

長らくお待たせしました! いよいよ発売開始
『japan japanese』 は、本日4月9日[月]取次搬入となりました。
書店の店頭、オンライン・ショップに列ぶのは、もう少し遅れます。
小社では本日より直販取扱いを開始いたしました。

『japan japanese』
ヘルムート  シュミット編著
英訳  グラハム・ウェルシュ
和訳  山田清美

朗文堂
──
コンセプト&デザイン
ヘルムート  シュミット

発行・発売
株式会社朗文堂
160-0022
東京都新宿区新宿 2-4-9
03-3352-5070 telephone
03-3352-5160 telefax
robundo @ops.dti.ne.jp
www.robundo.com

発行日
2012年 04月09日

ISBN 978-4-947613-83-7 C1070

定価 3,800円(本体 3,619円)

独・英・日本語表記
250 x 255 mm(重箱本)
108ページ
印刷・製本 精興社 
オフセット平版印刷
スミ 1色
かがりとじ上製本
ジャケット付
──
「未知のかたち、未知の響きは実に
魅惑的だ。単調で、迷いのない仏僧たち
の読経。風のような、神秘的な尺八
の響き。日本の宮廷音楽である
雅楽で使われる笙ショウの繊細で微妙な音色。

これらは時代の音にも決して
かき消されることのない洗練された世界
である。しかしこれは向こうから
近づいて来ることはない、むしろこちら
から近づいて行かなければならない
世界である」

「歌麿の官能的な線によって好奇心が
芽生え、エミール・ルーダーによって大いに
鼓舞された私が、日本の地を踏んだのは、
素朴で未熟な 24歳のときであった。

ある日、スイスのティポグラフィシェ・
モナーツブレッテル( TM)誌のルドルフ・
ホシュテトラー編集長より手紙を
受け取った。タイポグラファの目を通して
見た日本のフォルムや暮らしの中の道具
といったものを紹介する記事を毎月
連載してみないかという誘いであった。

このシリーズを「Japan japanisch」
(ニッポンのニッポン)と呼ぶことにした。
というのは、私自身が理解している日本、
すなわち、かつて存在した、そして今も
存在している日本、更にこれから発見
されるべき日本を伝えたいと思ったからだ。

40年以上の時を経て、この連載は
僅かな変更とテキストを追加して、一層
充実した本のかたちで生まれ変わった」

ヘルムート  シュミット
「私のニッポン」「ニッポンのニッポン」より


シュミット-ファミリー は こころのぬくもりのあるご一家です。 
左:ニコールさん 中:一家の太陽スミ夫人 右:ヘルムートさん

朗文堂カタログが完成しました。

朗文堂 ブック・コスミイク

朗文堂 タイプ・コスミイク

《朗文堂のふたつの事業部の、商品カタログ新版が完成しました》
しばらく在庫切れでご迷惑をおかけしました。朗文堂書籍事業部 ── ブック・コスミイクと、朗文堂活字事業部 ── タイプ・コスミイクの新版カタログが完成しました。
A4判タテ1/3、スミ1色、オフセット平版印刷、中綴じといった簡素なものですが、タイポグラフィ情報はギッシリとつまっています。

イベント、講演会、ゼミナールなど、各種の機会をとらえて無償配布いたしますが、お急ぎのかたはご来社たまわりお受け取りください。またご遠方のかたは、恐縮ながら送料として100円分の少額切手を同封のうえ、《カタログ送付希望》として、送付先ご住所を明記され、郵送でお申込みください。
────
《以下は、ご用とお急ぎでないかたがご覧ください》
ふたつのカタログの使用書体に関してご質問がありました。表紙1は「バンハード・モダン」です。表紙4は「正調明朝体 金陵」、「MRゴシック-M」、「ライノタイプ・ユニバース」を使用しています。

この「バンハード」書体の原作者、ルシアン・バンハード(Lucian Bernhard  1885-1972)は、ドイツ・シュトゥットガルトにうまれ、スイス・チューリッヒで教育をうけたのち、グラフィックアーティストとして、シンプルな構成のポスターを次次と発表して話題となり、ベルリン・ロイヤル・アカデミーの教授となった人物です。
活字書体の開発にも貢献がおおきく、ドイツ・バウアー活字鋳造所から「Bernhard Antiqua  1912」、「Bernhard Cursive/Madonna  1925」、「Lucian  1925」、「Bernhard Hand Brush Script  1928」などを発表しました。

 Lucian Bernhard  1885-1972

The Encyclopaedia of Type Faces
W. Pincus Jaspert, Blandford, 1993

1920年代の後半になると、ドイツには全体主義の擡頭が顕著となり、欧州大陸のおおくの造形者がアメリカに新天地をもとめて旅立ちました。そんなひとりにルシアン・バンハードもいました。
1929年、居をアメリカに移したバンハードは、さっそくアメリカ活字鋳造所(ATF)から「Bernhard Fashion  1929」、「Bernhard Gothic  1929-30」、「Bernhard Roman 1937」、「Bernhard Tango  1934」、「Lilith  1930」、「Bernhard Imago」などをきわめて精力的に発表しました。

これらの活字書体のなかで、バンハードがこだわりをみせたのが、ドイツ時代にみずからのファースト・ネームを冠して発表した「ルシアン」でした。これをアメリカに移住後にリカットして「バンハード・ローマン」としています。
「ルシアン」のビッグ・レターは、19世紀活字の影響でセット幅がおおきく、Q のテールがカウンターの中央部から発するという、いっぷうかわった形象でした。
おおきな特徴はスモール・レターにあり、x-hight がひくく、長いアセンダーが印象的でした。なかでも  q のステムは、椅子の背もたれのように、湾曲した特徴がみられました。

「ルシアン」をリカットした「バンハード・ローマン」では、ビッグ・レターの不安定さは一掃され、エレガントな装いをまとって登場しました。
第1次世界大戦と第2次世界大戦のはざまのドイツで苦悶し、アメリカに新天地をもとめたタイポグラファ、ルシアン・バンハードのことは、アメリカ活字鋳造所の衰退とともに、わが国ではわすれられがちです。「バンハード・モダン」はこんな歴史を背負って、アップル社のパソコンに基本搭載されています。

オリジナルは「ルシアン」なのか「バンハード・ローマン」なのか、また活字のどのサイズをデジタル原字データーとして採用したのかも不明です。また平素はあまりパソコン・デフォルト書体は使わないのですが、チョット小粋な書体がパソコンに基本搭載されていましたので、ときおり、スモール・レターを中心に、大胆に、おおきくつかって楽しんでいます。

朗文堂ブック・コスミイクからお知らせ

新刊書のご案内 ──4月中旬 発売!
製本所混雑のため少少遅延。お詫びいたします。 

japan japanese

 

日本的なるものの寡黙な美

ヘルムート  シュミット編著
英訳  グラハム・ウェルシュ
和訳  山田清美

朗文堂
──
コンセプト&デザイン
ヘルムート  シュミット

発行・発売
株式会社朗文堂
160-0022
東京都新宿区新宿 2-4-9
03-3352-5070 telephone
03-3352-5160 telefax
robundo @ops.dti.ne.jp
www.robundo.com

発行日
2012年 03月 20日

ISBN 978-4-947613-83-7 C1070

定価 3,800円(本体 3,619円)

独・英・日本語表記
250 x 255 mm(重箱本)
108ページ
オフセット平版印刷
スミ 1色
かがりとじ上製本
ジャケット付
──
「未知のかたち、未知の響きは実に
魅惑的だ。単調で、迷いのない仏僧たち
の読経。風のような、神秘的な尺八
の響き。日本の宮廷音楽である
雅楽で使われる笙ショウの繊細で微妙な音色。

これらは時代の音にも決して
かき消されることのない洗練された世界
である。しかしこれは向こうから
近づいて来ることはない、むしろこちら
から近づいて行かなければならない
世界である」

「歌麿の官能的な線によって好奇心が
芽生え、エミール・ルーダーによって大いに
鼓舞された私が、日本の地を踏んだのは、
素朴で未熟な 24歳のときであった。

ある日、スイスのティポグラフィシェ・
モナーツブレッテル( TM)誌のルドルフ・
ホシュテトラー編集長より手紙を
受け取った。タイポグラファの目を通して
見た日本のフォルムや暮らしの中の道具
といったものを紹介する記事を毎月
連載してみないかという誘いであった。

このシリーズを「Japan japanisch」
(ニッポンのニッポン)と呼ぶことにした。
というのは、私自身が理解している日本、
すなわち、かつて存在した、そして今も
存在している日本、更にこれから発見
されるべき日本を伝えたいと思ったからだ。

40年以上の時を経て、この連載は
僅かな変更とテキストを追加して、一層
充実した本のかたちで生まれ変わった」

ヘルムート  シュミット
「私のニッポン」「ニッポンのニッポン」より

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スイスでまなび、タイポグラファとしておおきく成長したひとりの青年(ヘルムート  シュミット氏)が、なぜ、とおい日本をその活動の本拠地としてえらび、なぜ、はるばると日本にやってきたのか。その日本で、なにを発見し、なにに惹かれ、そしてなぜ日本に定住する道を選択したのか……。

すなわち本書は「日本を日本たらしめている、素晴らしいひとと造形の数数」を、繊細な視線と、すみきった明るい心境からときあかしています。そこには、日本にうまれ、日本で育ったわたしたちが見落としがちな「すばらしい日本、すばらしい日本人」が、清明に、いきいきと描かれています。

これからは、名著として評価のたかい『茶の本』『陰翳礼讃』とならんで、わが国はもとより、世界規模でのあらゆる造形者が、日本と日本人を語りあう際に、互いの共通基盤として『japan japanese』が 絶好の書物になることを夢見て。

片塩二朗「編集佳境ナレド越年必至!」より

近刊予告 『japan, japanese』

編集佳境 ナレド越年必至!
 ヘルムート シュミット著 ナラビニ デザイン
『japan, japanese』


『japan, japanese』 ジャケット仮デザイン

年末の繁忙期、皆さま元気にお仕事にお励みのことと存じます。
小社既刊書、ヘルムート シュミット著  『バーゼルへの道』に、しばしば皆さまから増刷発行(第3刷り)のご要望をいただいてまいりました。
こうしたご熱心な読者様のご要望に添えなかったおもな理由は、第3刷りともなると、デジタルタイプも旧世代のものとなって、相当の組み直しを予定していました。
ところが著者であり製作者のシュミット氏が、集中して次の著作の構想を練られており、そのために、精神をたかめ、意識を研ぎ澄ませ、そちらに全力を傾注しておられたために、遅滞を余儀なくされました。

既刊書『バーゼルへの道』は、オーストリアにうまれたひとりの少年(シュミット氏)が、なぜとおいスイスで働くにいたったのか、なぜ「学士」への道をすて、タイポグラファという「職人」への道を選択したのか。
そしてバーゼルの印刷工場でCompositor(活字植字工)として働きながら、尊敬おくあたわざるエミール ルーダーの私的な「タイポグラフィ実験室」への受講許可を待ちつづけたのかを『バーゼルへの道』として詳細につづったものでした。

いまやひろく知られるにいたったその「実験室」とは、ルーダーを中心とするタイポグラファが、ほぼボランティアで主宰した夜間の私塾で、定員は最大3名だったとされます。
講義のほとんどは、ルーダーが好んで「実験室」と呼んだ、活字版印刷の植字室でなされ、そこでの研究と創造のよろこび、濃厚なタイポグラフィ漬けの日日がテキストでつづられ、刮目すべきタイポグラフィの作品群の図版がならんでいます。

近刊書『japan, japanese』の原資料は、『ティポグラフィシェ モナーツ ブレッテル』(TM誌)に、1968年1月-1973年3月にかけて連載された記事をもとに、全面的に再構築したものです。
 スイスでまなび、タイポグラファとしておおきく成長したひとりの青年(シュミット氏)が、なぜ、とおい日本をその活動の本拠地としてえらび、なぜ、はるばると日本にやってきたのか。その日本で、なにを発見し、なにに惹かれ、そしてなぜ日本に定住する道を選択したのか……。

すなわち「日本を日本たらしめている、素晴らしいひとと造形の数数」を、繊細な視線と、すみきった明るい心境からときあかしています。
そこには、日本にうまれ、日本で育ったわたしたちが見落としがちな「すばらしい日本、すばらしい日本人」が、清明に、いきいきと描かれています。

本来、新刊書『japan, japanese』  は2011年のクリスマス・ブックとして、本年年末の刊行をめざしていました。
ですから今頃は、書店の店頭に『japan, japanese』 がならんでいるはずでした。
しかし……、どうやら版元スタッフ(小生)が余計なことをいった──写真は実に的確に「良き日本」をとらえているが、せっかくのシュミット氏の肉声が、独語・英語がほとんどで、和訳が一部にとどまっているのはあまりに残念だ──ために、全面的に編集をみなおし、翻訳の原点にまで戻ったために、年内刊行を断念した次第です。

欧米の造形者とはなしをすると、しばしば〈日本の造形)をかたった書物として、岡倉覚三(天心とも、1862-1913)『茶の本』、谷崎潤一郎(1886-1965)『陰翳礼讃』を話題にします。いずれもふるい時代の書物ですが、内容はすばらしく、各国語に翻訳もされています。
それでも、そんな状況が、20年-30年もの長きにわたって続いていることに、ときおり臍ホゾをかむおもいをしてきました。

いずれにしても、来春には『japan, japanese』 の刊行をみます。これからは、名著として評価のたかい『茶の本』、『陰翳礼讃』とならんで、わが国はもとより、世界規模でのあらゆる造形者が、日本と日本人を語りあう際に、互いの共通基盤として『japan, japanese』が絶好の書物になることを夢見て、すべてのテキストの和訳をお願いしました。

もう少しで『nippon no nippon』が入った、正式デザインによるジャケット紹介もできそうです。それまでもうしばらくのお時間をいただきます。
2012年にむけて、期待に満ちた、嬉しい話題を皆さまにお届けいたします。

── 『japan, japanese』 装本仕様(すべて予定) ──
菊判12ページ折り(重箱本)、108ページ
かがりとじ、上製本、ジャケット付
オフセット平版印刷、スミ1色
定価は未定です。

タイポグラフィ学会誌04号

タイポグラフィ学会誌04号 発売開始

タイポグラフィ学会より『タイポグラフィ学会誌 04』号が刊行されました。

タイポグラフィ学会は、タイポグラフィという技芸に学問的な基盤を与え、その成果を実技・実践に生かし、有効で豊かな展開を通して社会に貢献することを目的に、2005年8月に設立されました。『タイポグラフィ学会誌』は2007年に創刊、今回が04号となります。

『タイポグラフィ学会誌 04』号には、査読済みの論文が2点と、研究ノートが掲載されています。これらの研究成果が、日本国内のみならず、各国の研究者によって広く参照されて、タイポグラフィ研究の発展に寄与することを希望します。また、これらの研究成果が、日本国内のみならず、各国の研究者によって広く参照されて、タイポグラフィ研究の発展に寄与することを希望するとともに、『タイポグラフィ学会誌』が今後さらに、タイポグラフィ研究における特色ある媒体として成長していければと考えております。  ――《タイポグラフィ学会》

◎発行者    タイポグラフィ学会

◎発行日    2010年12月1日

◎造 本    A4判 168ページ かがり綴じ並製本

◎定 価    1冊3,800円(送料・税別)

*学生向け特別頒布価格
1冊2,500円(送料・税別)
学生証明書の提示が必要となります。

◎掲載論文
漢字印刷書体の形成およびその標準化に関する研究
林 昆範

弘道軒清朝活字の製造法とその盛衰
片塩二朗

研究ノート
いわゆる電子書籍に関する断片的考察
山本太郎

◎販売特約店   株式会社朗文堂

お申し込みは下記にてお願いいたします。

印刷用画像は図版をクリックしてください。

お待たせしました! いよいよ発売開始

活版印刷の楽しくてカワイイ入門書誕生!!
{懐かしいのに新しい}魅惑の印刷、
カッパン♡
見て美しい! 知って楽しい!
自分でやるともっと楽しい!!! カッパン♥
を愛する アナタの必携書です。

アダナ・プレス倶楽部 編
B5判 オールカラー
136P
並製本
ジャケット付
2010年5月発売
定価:本体2,800円+税

永らくお待たせいたしました。
新刊書『 VIVA!! カッパン♥』は、
全国有力書店にて販売開始です。
書店でぜひともお手にとって、
「カッパン♥の今」を実感してください。

【VIVA!! カッパン 目次】
懐かしいのに、あたらしい、
魅力の活字版印刷術 ――― カッパン♥

活字のおはなし
文選箱ギャラリー
文 選
組版(植字)
組みつけ
印 刷
活字鋳造

Adana-21Jの使い方
muccu が行く!
活字鋳造所探訪(築地活字編)
活字版書籍印刷所探訪 (長瀬欄罫製作所編+豊文社印刷所編)

あとがきにかえて
こんな時代だから…………






近刊のお知らせ


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活版印刷の楽しくてカワイイ入門書誕生 !!
{懐かしいのに新しい}魅惑の印刷、活版♡
見て美しい! 知って楽しい!
自分でやるともっと楽しい!!!
カッパン♥を愛する
アナタの必携書です。
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突起部にインキをつけて印刷をおこなう凸版印刷は、
凹版、平版、孔版とならぶ印刷四大版式のひとつです。
凸版印刷のプリミティブな仕組みは、印刷の原理を理解
するのに最も適し、五感を必要とする作業工程は、
ものづくりに対する純粋なよろこびをもたらします。
凸版印刷のなかでも、文字活字を必要な印刷版とするのが
活字版印刷術、略称:活版印刷、愛称:カッパン♥です。

本書は、単なる懐古趣味や感傷的な視点からではなく、
カッパン♥にはじめて触れる、スモール・プリンターや
アート・プリンターに向けて、まばゆいばかりに新しく、
コンパクトで愛らしい活字版印刷機Adana-21Jを誕生させ
たアダナ・プレス倶楽部が、21世紀の新技術として、
カッパン♥の魅力と可能性をトコトン追求した入門書です。

※  4月中にmailにてご予約いただいた方に限り、
刊行後本体価格にてヤマトメール便(送料小社負担)で
発送いたします。

●申し込みは下記を必ずお書きください。
お送り先ご住所及び郵便番号
電話番号(携帯可)
氏名
冊数
アダナ・プレス倶楽部編
B5判 オールカラー
136P 並製本 ジャケット付
2010年5月発売
定価:本体2,800円+税