月別アーカイブ: 2015年9月

【新宿私塾】 爽秋の風のなか、新宿私塾第27期 スタートしました

私塾27期スタート WEB第27期入塾《 新宿私塾第27期、爽秋の風のなか、意欲満満でスタートしました 》
隣接する新宿御苑の遊歩道に金木犀のかおりがかすかにただよい、さまざまな秋の艸花が咲きそろった2015年09月29日[火]、新宿私塾 第27期が開塾いたしました。

教場にはまだ終了したばかり、きわめて熱気のあった前期<新宿私塾26期生>の熱気がのこっていましたが、ここにあらたなタイポグラフィの俊英を迎え、これから半年間、ほぼ正月休みもなく新宿私塾は開講され、早春の2016年03月22日[火]に終了します。
講師、塾生の先輩ともども、全力であたらしいタイポグラフィの前衛を育成するために努力しますし、25回の講座は、いずれも内容の濃いものとなっています。
半年後、自信にあふれた塾生の皆さんの、お顔と、お姿を、再度紹介できたら幸せです。

DSCN1544 DSCN1556新宿私塾では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。 それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、200名を優にをこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。

《 恒例 新宿私塾第27期 カリキュラム  表紙デザインの紹介 》
27期カリキュラム新宿私塾 第27期 カリキュラム 表紙  ( Design : 講師 杉下城司さん )

新宿私塾 第27期 カリキュラムの表紙は、デジタルタイプの <バーグ・スラブ  Bague Slab Pro>です。
新宿私塾では受講期間のあいだに、和文活字でも、欧文活字でも、どちらでもかまわないのですが、できるだけ 「 My Favorite Type ― わたしのお気に入りの活字書体 」 を獲得することが勧められます。

もちろん、世上の評価がたかい活字書体でも、まったく無名の活字書体でも、「はやり書体」 でも一向にかまいません。 むしろどんな活字書体にも、避けがたく付着している 「 長所と短所 」 をみつけだし、「 長所をいかし、短所を制御する能力 」 がとわれます。

────────── 杉下城司さんのコメント
新宿私塾27期の書体は、< パラシュート Parachute >という、ギリシャのインディペンデント系タイプ ファウンドリーによって2014年にリリースされた<バーグ・スラブ PF Bague Slab Pro > です。タイプデザイナーは「バノス バシリウ  Panos Vassiliou 」 です。

バーグファミリーには、このスラブのほかに、サンズ、ユニヴァーサル、インライン、ラウンドのシリーズがあり、いずれも幾何学ベースのタイプフェースです。
サンズは20世紀初頭の幾何学的サンセリフ体に、ヒューマニスト系の特徴を取り入れ、メカニカルな固さを取り除いています。
ユニヴァーサルおよびそのインライン、ラウンドは、ヘルベルト・バイヤーのドローイングからインスピレーションを受けています。

今回使用している「バーグ・スラブ PF Bague Slab Pro 」は、20世紀初頭のスラブセリフ系書体からインスピレーションを受けているといいます。
このバーグ・スラブは、アップライトもそうですが、特にイタリックは、近年のサンセリフ体と同様に動的なつくりになっています。また半くさび形とするセリフが特徴的です。
細いウエイトは、ストロークとセリフがほぼ同じ太さのために、サンセリフに近い扱いができると思いますし、可読性のある本文組版用として期待が持てます。
太いウエイトは、従来のスラブセリフの誘目性をしっかりと発揮してくれます。
つまりウエイトによって可読性重視から誘目性重視に変化する面白い書体だとおもいます。
バーグはどのシリーズも興味深い書体です[杉下城司]。

【アダナ・プレス倶楽部】 まずはご一報を!<Salama-21A操作指導教室>随時開催中

アダナタイトル

Salama-21A 操作指導教室<Salama-21A 操作指導教室> は、ふつうの活版印刷体験会や活版ワークショップとはいくぶん異なり、小型活版印刷機 Salama-21A を購入予定のお客様のための操作指導教室です。
ご購入いただいた(ご購入予定の) Salama-21A を、安全かつ快適にご使用していただくために、必要な操作方法の基礎を、短時間で集中的に習得していただくことを目的とします。
そのため、各回最大 4 名様に限定した、完全予約制の教室です。

アダナ ・ プレス倶楽部では、活版印刷関連機器のご購入の前に、ご使用目的にあわせ、無理と無駄のない設備の設定にむけて、十分なおはなし合いをさせていただいております。
そのためにも、これから活版印刷をあらたにはじめられる皆さまに、遠近を問わず、できるだけお客さまのご都合にスケジュールをあわせて<Salama-21A 操作指導教室>の受講をおすすめしております。

もちろん受講に際して印刷機や付帯設備などの購入は義務づけられていません。
詳細は <アダナ ・ プレス倶楽部 教室のご案内 Salama-21A 操作指導教室 >をご覧ください。

【アダナ・プレス倶楽部 活版カレッジ】 2015年夏期講座 全課程を終了しました

活版カレッジ

<活版カレッジ>は、身体性がもたらす造形精神とそのよろこびをおもくみています。
そのために、科学と、学術的根拠にもとづいた実技と実践を基盤とし、小型活版印刷機 Adana-21J ,  Salama-21A によるケーススタディ ・ メソッドをふんだんに駆使し、あたらしい時代の活版印刷の現場での、現実的な課題の解決方法を学ぶことを目的とします。
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<活版カレッジ>は、ともかく少数の学習機関ですし、造形によろこびをみいだす仲間が中心となりますので、講座は和気藹藹としたなかにも、技芸者をめざすものとしての緊張がみなぎっていました。
晩夏のおとづれとともに、09月17日[木]に全課程を修了して<活版カレッジ2015年夏期講座>が終了いたしました。

<活版カレッジ 夏期講座>を見まもってきた百日紅(和名:さるすべり)を、ようやく涼風のたった夕暮れに、裏の新宿御苑のへりの歩道で撮影してきました。
いつもこの花の散りしくころ、<活版カレッジ 夏期講座>と、<新宿私塾 偶数期>が終了します。ですからいつのまにか、百日紅の花と、この季節に花をつける彼岸花に寂寥感をもつようになりました。

このときから<活版カレッジ 修了生>となられたみなさんは、これからは<活版カレッジ アッパークラス>のメンバーとして、あたらしいおつきあいがはじまります。
いつでも、どこでも、お会いできますね。

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<活版カレッジ>は、基本的に春季・夏季・秋季・冬季と、一年に四回開講されますが、ここ数回にわたって事前ご予約者が多く、ほとんど一般公募ができない状態がつづいています。
またことしは、秋から年末にかけて大型イベントが集中し、さらに新機種の開発が最終段階にはいってきわめて多忙となりますため、秋期講座は休講とさせていただきました。

それでもすでに、次回の冬期講座、来春の春期講座にも相当数のご予約をいただいているようです。ともかく受講のご意思のあるかたは、まずご一報をいただき、ご予約をお願いいたします。
詳細は <アダナ ・ プレス倶楽部 教室のご案内 Salama-21A 操作指導教室 >をご覧ください。 

活版印刷の祭典 【Viva la 活版-すばらしき活版】 Viva la 活版 Let’s 豪農の館 Ⅴ 10月10日[土]-12日[月・祝]いよいよ開催

Web02豪農の館Viva la 活版 Let’s 豪農の館
【 イベント名 】  Viva la 活版 Let’s 豪農の館

【 展示 期間 】  2015年10月10日[土]-12日[月・祝] 09:00-17:00
【 会       場 】  「北方文化博物館 豪農の館」 内 「吉ヶ平古民家」(登録有形文化財)
           新潟県新潟市江南区沢海 2丁目15-25
【 主       催 】  朗文堂  アダナ・プレス倶楽部
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<北方文化博物館 豪農の館>は、越後平野を貫流するふたつの大河、信濃川と阿賀野川の水利にめぐまれ、会期のころには越後平野では実りの秋をむかえているころです。
朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部ではその準備が佳境を迎えております。
皆さまのご来場をお待ちしております。

【 関連情報 : 北方文化博物館 10月のスケジュール

【新宿私塾】 講師:有馬トモユキさん、星海社から新刊『いいデザイナーは、見ためのよさから考えない』刊行

有馬トモユキ星海社新書
いいデザイナーは、見ためのよさから考えない
著  者 : 有馬トモユキ
定  価 : 840円(税別)
ISBN:978-4-06-138562-7
発売日 : 2015年4月23日
サイズ : 新書判
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<経営学部出身のデザイナーが思考する、デザインの論理>
「デザイン」は、「デザイナー」と呼ばれる人たちの専売特許ではありません。
ロジカルシンキングやプレゼンテーションと同じ問題解決の「道具」であり、コツさえ学べば誰にでも使いこなすことのできるものなのです。
本書では、書籍やアニメ、スマホアプリなどの身近な題材を元に、デザイナーの思考プロセスを分解。「デザインとは何か」を、一緒に考えていきます。

著者の有馬トモユキは経営学部出身。デザインとビジネスをつなぐのには、おあつらえ向きの人材です。
さあ、「センス」や「絵心」のせいにするのはやめにして、共に「デザインの論理」について学びましょう。あなたの仕事をよいものにするヒントが、たくさん見つかりますよ。
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<著者紹介 : 有馬トモユキ デザイナー>
1985年長崎県生まれ。青山学院大学経営学部卒。タイポグラフィ教育機関「朗文堂 新宿私塾」第9期を修了し、現在は新宿私塾講師。
複数の企業を経て、日本デザ
インセンターに合流。グラフィック、Web,  U I 等複数の領域におけるデザインとコンサルティングに従事している。
その傍ら、TATSDESIGN 名義で商業
コンテンツ作品とそのプロモーション活動を実施。音楽レーベル「GEOGRAPHIC」クリエイティブディレクター、SF レーベル「DAISYWORLD」主宰。
主な仕事に、「ハ
ヤカワSFシリーズ J コレクション」装丁デザイン、TVアニメ『アルドノア・ゼロ』アートワークなど。タイポグラフィを軸としつつ、対象に深くアプローチするデザインを得意とする。車好き。
【 関連URL : TATSDESIGN URL  / 星海社URL

DSCN0517 DSCN0514 DSCN0512   新宿私塾私塾 第26期 講義中の有馬トモユキさん

【新宿私塾】 新宿私塾第26期 無事に終了しました

26期終了 新宿私塾第26期入塾 私塾26期カリキュラム部分 新宿私塾第26期終了_02 新宿私塾第26期終了_03いつものことですが、であいはうれしく、別れはさびしいものです。
<新宿私塾 第26期>は、桜花爛漫の春、2015年04月07日に開講し、爽秋の風が吹く09月15日、10名全員、無事に全課程を修了し、おおきく成長して羽ばたいていきました。
最終講座を終え、それからは<新宿私塾修了生>の一員となった元 塾生の諸君は、わかれがたいおもいがあったのか談笑がつづき、皆さん終電での帰宅となりました。
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<新宿私塾>は毎回全25講座が開講されますが、「造形のよろこび」、「身体性をともなったよろこびの造形」をモットーとしています。
また同時に<新宿私塾>では、タイポグラフィにおける 「 知 ・ 技 ・ 美 」 の三領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。 それはまた 「 知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず 」 という、つよい自戒をともないます。

一週間だけの休みがあって、はやくも09月29日からは<新宿私塾第27期>が開講します。
ちょっとさびしい別れがあり、またうれしいであいもある 長月 婁宿 の 九月です。
【 詳細 : 朗文堂 タイポグラフィ・スクール 新宿私塾

※ 【 ご案内 】  本項をご覧になったかたから、<新宿私塾第27期>へのお申し込みをいただいております。
なにぶん「新宿私塾」は少人数の講座ですので、ここ数期にわたって一般公募を経ず、事前ご予約の皆さまから順番に入塾をご案内しております。
「新宿私塾」へ入塾ご希望のかたは、上掲詳細データーをご覧いただき、まずそのご意向を@メールにてお知らせください。次期講座の開講に先だって、あらためてご案内をさしあげます。
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この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、250名をこえた 「新宿私塾修了生」 の皆さんも、精一杯の努力と応援をしていただきました。

講座と講師紹介は、上から順に、鈴木 孝さん/永野有紀さん/櫻井優樹さん/杉下城司さん/有馬トモユキさん/西尾 彩さん/山本太郎さんです。 このうち永野さん、櫻井さん、有馬さん、イム・ジョンホさんの四名は新宿私塾修了生です。
ほかの講師は、皆さん開塾以来の講師の皆さんです。ここに記録として残しておきましょう。
新宿私塾鈴木1504DSCN0177DSCN0181DSCN0154DSCN0156DSCN0241DSCN0233DSCN0517DSCN0514DSCN0512

DSCN0666DSCN0668DSCN0672《2015年08月18日 新宿私塾第26期21回目 最後の出張講座》 の記録
お盆のわずかな休暇明けの08月18日、渋谷区から港区南青山の新事務所に移転したばかりの「 イム ジョンホ Jeong-ho Im 」さんのアトリエ、株式会社マウント mount にでかけての出張講座。
高精細の大型ディスプレイをもちいての熱のこもった講座でしたが、講師のイムさんご自身も<新宿私塾第11期修了生>とあって、講座は真剣かつ和気藹藹としたものになりました。

新宿私塾第26期ものこすところあとわずか。
「風立ちぬ」でしょうか、秋の涼風が立つのはうれしいのですが、夏を彩ってきたこの百日紅のくれないの花がおえるこの時期が、年ごとに寂寥感をおぼえるようになりました。

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《 09月02日 担当講師 : 山本太郎さん 》
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【展示会】 IGAS 2015 (アイガス 国際印刷機材展)11日[金]-16日[水] 盛況裡に終了

IGAS 2015 は東京ビッグサイトを会場として、2015年09月11日[金]-16日[水]の六日間にわたって開催されました。
幸い天候にもめぐまれ、東日本大震災の影響がのこっていた前回を大幅に上まわる 56,533人 の来場者をみたことを<IGAS 2015 公式ホームページ>で報告しています。

朗文堂は出展こそしなかったものの、AIGAS 2015 を機会に東京におみえになった、内外の印刷人の皆さんとの対応にいそがしかった一週間でした。
ご参観の皆さま、収穫はいかがだったでしょう。
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◯ イベント名称

IGAS 2015 (アイガス 国際総合印刷機材展)
International Graphic Arts Show 2015

◯ 開催趣旨
IGAS 2015は、最新の印刷 ・ 紙工 ・ デジタルグラフィックス関連の機材 ・ 技術 ・ サービスを一堂に会した国際総合印刷機材展です。
最新技術や様々なソリューションを提案するとともに、印刷産業の未来を展望できる場です。
また、人材の国際交流を図り、印刷産業および関連産業の活性化と興隆に貢献します。
◯ 主  催
印刷機材団体協議会 (Japan Graphic Arts Suppliers Committee: JGASC)
〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館401-2号室
一般社団法人 日本印刷産業機械工業会 内
◯ 開催期間
2015年09月11日[金]-16日[水]
◯ 開場時間
10:00-17:00
◯ 会   場
東京ビッグサイト 東館
〒135-0063 東京都江東区有明3-11-1

 【 詳細情報 :  IGAS 2015 公式ホームページ

【青年劇場公演】 真珠の首飾り-紀伊國屋ホール 終了しました。+新塾餘談

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20150825135534289_0001  【 青年劇場 真珠の首飾り フライヤーPDF  seinengekijo-kouen 4.09MB 】
【 詳細情報 : 青年劇場Website   講演日時・場所・チケット申込

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《 新 塾 餘 談 》

NHK WebSite のニュースが、
安保法案で与野党攻防 今夜にも最大のヤマ場に
参院本会議17日午前に 議運委員長職権で決定 (23時18分)
参院特別委は未明に 委員長職権で決定 (0時10分)
と、刻刻とつたえる09月17日未明にこの記事を書いています。

きょうは定例会<ちいさな勉強会 平野富二の会>のつどいがありました。
緊迫した国会での情勢がつづくこの日、定例のメンバーのなかで数名が、国会周辺での「安保法案反対集会」に参加のために欠席となりました。
初秋のつめたい雨がふり、つよい風も吹いていました。デモに参加している会員のことをおもいながら、定例会<ちいさな勉強会 平野富二の会>は淡淡と進行しましたが、ほとんどが終電帰宅となるいつもとちがい、皆さんはソワソワと帰宅をいそがれました。
やはり雨にぬれながら、国会前で抗議の声をあげているであろう仲間をおもい、自宅のテレビでの報道を確認したかったのでしょうか。
青年劇場広告青年劇場の稽古場と、朗文堂は至近の距離にあります。そのためでしょうか、顔見知りの劇団員が公演パンフレットへの広告出稿と、公演会場:紀伊國屋ホールでの、鈴木 篤著『わたくしは日本国憲法です。』の販売協力を申しいれてきました。

09月11日の初日の公演に三名で駆けつけました。受付カウンターでは公演パンフレットとならんで、鈴木 篤『わたくしは日本国憲法です』も販売されていました。
ともかく熱演でした。終演後にはなんにんもの観客が涙をぬぐっていました。青年日吉の目は赤く晴れあがり、
「芝居の途中で、何度も号泣した」
とかたっていました。やつがれも鼻の奥がむずむずしましたがなんとか堪えました。

青年劇場「真珠の首飾り」は、新宿紀伊國屋ホールでの公演が20日までつづきます。そして「大田区区民プラザ 09月24日」、「かめあり リリオホール 09月25日」と巡回公演がつづきます。
何もできなかったではなく、何かをしなければならないときである。だからやつがれは芝居をみてカンパに応じました。多くの皆さまに観劇をおすすめいたします。
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《創立50周年記念・第6弾》
第113回公演 ―― ジェームス三木=作 板倉哲=演出

真珠の首飾り

国民主権。
    戦争放棄。
        基本的人権の尊重。

―― 一面焼け野原の東京で、憲法草案づくりが始まった。
彼らはそこに、何をこめたのか ――
演劇が完成する場は、舞台でも稽古場でもない。観客の胸の中である。それぞれの生き方、自由な考え方、独自の想像力によって、客席に色とりどりの花が咲けば、仕掛け人としていうことはない。
憲法改正の是非を問う前に、今の〔日本国憲法〕が、誰の手でどのようにつくられたのかを、みんなに知らせたくて、観客の心の畠に、せっせとタネつけをしたつもりだ。 さァ、花よ咲け。
ジェームス三木

<ものがたり>
1946年2月4日。焼け野原の皇居前に残された第一生命ビルの一室にGHQ(連合軍総司令部)民政局のメンバーが緊急招集された。そこで出された命令は「これからの一週間、民政局は全力を挙げて、憲法草案の作成にとりかかる」。明治憲法とほとんど変わらない日本政府の草案にたまりかね、憲法のモデル案を提示することを決めたのだ。
作成にあたって最も重要なことは、ポツダム宣言の内容に沿っていること。そして「天皇の地位保全」「戦争放棄」「封建制度の廃止」の三原則を入れ、かつ国連憲章の理念をも念頭に置くこと。
人権条項担当になった22歳のベアテ・シロタは、さっそく世界中の憲法を収集し、女性の権利条項作成に取りかかった。ケーディス大佐を中心とした運営委員会、それぞれの条項ごとの委員会メンバーも急ピッチで作業を進める。
やがてこのビルの密室で憲法をめぐる白熱した論議が始まった…… 。

【展覧会予告】 東京国立博物館 特別展「始皇帝と大兵馬俑」

20150915184431888_0001 20150915184431888_0002【 始皇帝と大兵馬俑フライヤー PDF  sikoutei-heibayou  5.6 MB 】

特別展「始皇帝と大兵馬俑」
東京国立博物館 平成館 特別展示室  
2015年10月27日[火]- 2016年2月21日[日]

今から約2200年前に「最初の皇帝」を名乗り、中国大陸に統一王朝を打ち立てた秦の始皇帝。
その陵墓のほど近くに埋められた「兵馬俑 ヘイバヨウ」は、20世紀の考古学における最大の発見のひとつと謳われ、出土以来、新しい知見と驚きをもたらし続けています。
本展では、バリエーション豊かな兵馬俑と、始皇帝にまつわる貴重な文物を一堂に紹介し、始皇帝が空前の規模で築き上げた「永遠の世界」の実像に迫ります。
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<開催概要>
◎ 会    期   2015年10月27日[火]-2016年2月21日[日]
◎ 会    場   東京国立博物館 平成館(上野公園)
◎ 開館時間   9:30-17:00(入館は閉館の30分前まで)
           特別開催日、休館日があります。詳細は下記参照。
◎ 観覧料金   一般1600円、大学生1200円、高校生900円、中学生以下無料

◎ 主    催   東京国立博物館、陝西省文物局、陝西省文物交流中心、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社
◎ 後    援   中国大使館

【 詳細情報 : 東京国立博物館  トーハク特別展「始皇帝と大兵馬俑」専用ページ

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【追悼】 20世紀後半のタイポグラフィを主導したひと、アドリアン・フルティガー氏逝去

Adrian Frutiger 氏が
2015年9月10日  スイス・ベルンにて逝去されました。
謹んでご冥福をお祈りいたします。
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追  悼
20世紀の壮大な Univers 宇宙をキャンバスとし
鮮烈な Meridien 子午線に軌跡をのこしたひと。

Univers,  Meridien,  OCR – B などの不朽の活字設計をなし
オルリィ空港、シャルル・ド・ゴール空港、パリ地下鉄道の
サインシステムと制定書体を製作し

旧約聖書にもとづき、記号学にもおおきく貢献したひと。
2015年9月10日  スイス・ベルンにて逝去
Adrian Frutiger   1928-2015

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Brief history  Adrian Frutiger

◯ 1928年5月24日  スイス・インターラーケンにて生れる。
のちオットー・シェフリー印刷所にて活字植字工となる

◯ 1949-50年 チユーリッヒ工芸専門学校にて力リグラフィを学ぶ
◯ 1951年  卒業制作の小冊子『Schrift, Ecriture, Lettering 』が縁で、シャルル・ペイニョ社長が率いる、パリのドベルニ & ペイニョ 活字鋳造所に勤務
◯ 仏匤、ドベルニ & ペイニョ 活字鋳造所、独匤・シュテンペル社ほかから、以下の主要活字書体を発表した

Phoebus (1953),  Ondine (1954),   President (1954), Meridien (1957),  Univers (1957),
Opera (1959-60),  Egyptienne (1960),  Apllo (1964),  Serifa (1967),  OCR-B (1968),  lridium (1975),  Frutiger (1976),   Breughel (1982),  lcon (1982), Versailles (1982), Centennial (1986)

◯ 1952-60年 パリの美術工芸学校「エコール・エティエンヌ」にて記号学とタイポグラフィ教育に従事
◯ 1954-68年 フランス国立高等美術工芸学校にてタイポグラフィ教育に従事
◯ 1959年  パリ・オルリィ空港のサインシステムと制定書体の製作
◯ 1962年  パリにアトリエを開設(スタッフ:アンドレ・ギュルトレール、ブルーノ・ブフェリ)
◯ 1070年  新設されたシャルル・ド・ゴール空港のサインシステムと制定書体を製作
◯ 1973年  パリの地下鉄道のサインシステムおよび制定書体を製作
◯ 1976年  シャルル・ド・ゴール空港の制定書体を写植活字用に改刻し「フルティガー」シリーズを製作
◯ エール・フランス社のシンボルマークを製作
◯ SNCF(フランス国有鉄道)ロワシィ駅に長さ250mのコンクリート・レリーフを製作(建築:ポール・アンドルー)
◯ 1980年代 この時代には、メリディエン、ユニヴァースなどの主要な活字書体を、活字自動鋳植機、写植活字、電子活字などのメディア変遷のために、既成活字書体のユニットの再設定や、リデザインに追われた。
◯ 1986年  グーテンベルク賞受賞

◯ 1996年  心臓疾患を患い、その克服後にスイスに住居を移し、ベルン郊外にて製作を継続
◯ 1999年  ドイツ・ライノタイプライブラリー社のために、ユニヴァース・ファミリーの全面改刻を実施。21のファミリーを59へと大幅に拡張した(ディレクター:オットマー・フォーファ)
◯ 2001年  『活字の宇宙』(朗文堂)刊行-品切
◯ 2015年9月10日  スイス・ベルンにて逝去。行年87

20151004215520954_0002世界中でひろく使われている本文用活字をかさねてみると、
ある基本的なパターンがもとめられます。
ギャラモンのようにふるい活字では a の下部のカウンターは小ぶりですし
 e の横棒はたかい位置にあります。
しかし、いろいろな活字をかさね合わせるという方法によってみえてくることは、
 a の下部のカウンターが次第におおきくなり、e の横棒が中央に下がってきていることです。
それは文字としての美しさと、文字の判別性 Legibility とのせめぎあいの結果であり
もっとも読みやすいという、文字の
基本的な目的に合致するのです。
                    Adrian Frutiger  [アドリアン・フルティガー]
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9784947613530

アドリアン・フルティガーは朗文堂に上掲の図書をのこされました。
本体価格:10,000円+税  残部僅少 → 品切れ
A4判 260p 図版多数 2001年刊
朗文堂 ブックコスミイク 既刊書案内

【タイポグラフィ学会】 『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露および第3回本木昌造賞授賞式を開催

タイポグラフィ学会は、秋晴れの抜けるような晴天のもと、2015年9月19日[土]、定例年次総会につづき、一般公開で、『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露会および、第3回本木昌造賞授賞式をとりおこないました。
タイポグラフィ学会会員のほか、多数の皆さまのご来場をいただきました。ご参加ありがとうございました。詳細報告は近日中にいたします。

タイポグラフィ学会誌2015年9月19日[土]、タイポグラフィ学会は『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露会および、第3回本木昌造賞授賞式を下記のとおりおこないます。
◯ 日 時 : 2015年9月19日[土] 14 : 30-
◯ 場 所 : 東洋美術学校 D棟1階 学生ホールにて
【 詳細情報・申込フォーム : タイポグラフィ学会 】
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•14 :30-
『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露
執筆者による論文、研究ノートの紹介 *下記参照
•15 : 30-
第3回 本木昌造賞 授賞式
受賞者 : 故阿津坂實氏  *下記参照
•17 : 00-
懇親会:別会場
オクド ダイニング カフェ
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【『タイポグラフィ学会誌08号』論文】
発表予定者
論文 :真田幸治「「雪岱文字」の誕生-春陽堂版『鏡花全集』のタイポグラフィ」
研究 ノート : 山本太郎「ドイツ工作連盟の一九一四年ケルン会議での「定型化・標準化」の論争に関する疑問点」

論文の概要
真田幸治「「雪岱文字」の誕生-春陽堂版『鏡花全集』のタイポグラフィ」
装幀家、挿絵画家などとして再評価が著しい小村雪岱(こむろ-せったい)であるが、その評価は主に泉鏡花の著書の意匠によるものだ。
しかしながら「雪岱文字」が大きな役割を担っていたという事実は知られていない。それは資生堂のロゴにおいても大きく寄与している。
そして春陽堂版『鏡花全集』の装幀において「雪岱文字」はひとつの完成を見る。
本論では「雪岱文字」が、どのように誕生し、展開されていったのかを考察する。
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【第3回 本木昌造賞 受賞者 故阿津坂實氏について】
長崎において本木昌造に関する研究の礎を築かれた方です。同研究において各方面の研究者に影響を与えてこられました。
主著:「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ 本木昌造」『本木昌造先生略伝』(長崎県印刷工業組合創立四十周年記念/本木昌造先生歿後百二十周年記念、長崎県印刷工業組合、1995年)
授賞式は、ご親族による受賞となります。
【 詳細情報 : タイポグラフィ学会 】

【タイポグラフィ学会】 第三回本木昌造賞受賞者 阿津坂 實氏を発表

阿津坂レタッチ後_1c第3回本木昌造賞
受賞者 
阿津坂 實氏  Minoru Atsusaka
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1915年 9月12日 長崎市うまれ。
1947年 長崎県印刷工業協同組合に入組。1956年設立の長崎県印刷工業組合と双方の事務長、専務理事などを1988年に依願退職するまで歴任。
1975年 長崎県中小企業団体中央会、長崎県商工会議所などからさまざまな事業の委嘱をうけて活動。
2015年 5月 7日 長崎市にて逝去。行年99

主著 : 「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ 本木昌造」『本木昌造先生略伝』 (長崎県印刷工業組合創立四十周年記念/本木昌造先生歿後百二十周年記念、長崎県印刷工業組合、1995年)
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受賞について
阿津坂實氏は、長崎印刷工業協同組合および長崎県印刷工業組合の中枢にあって、原子爆弾による甚大な被害をうけた長崎の印刷業の復興に尽力されてきました。
1953年には、本木昌造銅像再建運動を事務方として開始し、翌1954年、諏訪公園に本木昌造銅像の再建を実現されました。

阿津坂氏は、それまで長崎の各地に収蔵されるにとどまっていた、タイポグラフィ関連資料を再発掘し、目録を製作するとともに、それを広く公開することで、『長崎印刷組合史』、『長崎印刷百年史』の編纂をはじめ、『東京の印刷百年史』、『大阪印刷百年史』、『多摩の印刷史』など、各地の印刷組合や印刷企業の年史編纂のために、長崎の資料を提供されました。また、後続の研究者にも積極的な情報提供とあたたかな支援をつづけられました。

さらに阿津坂氏は、長崎各所にあった、活字版印刷の揺籃期の事業と施設を再検証することで、それらの位置を特定し「本木昌造生家跡碑」、「活版伝習所跡碑」、「新町私塾跡碑」、「福地櫻痴生誕地碑」などの建立にも尽力されました。

1975年には、戦前から長崎にあった「本木昌造頌徳会」を改組改称して「本木昌造顕彰会」を創設し、株式会社モリサワとともに「本木昌造活字復元プロジェクト」を開始しました。長期におよんだこのプロジェクトは、当時の長崎県印刷工業組合理事長:内田信康氏、後進の長崎県印刷工業組合事務局長:岩永充氏らとともに、阿津坂實氏も「NPO法人 近代印刷活字文化保存会」にあって陰助をかさね、その成果は『日本の近代活字 本木昌造とその周辺』(NPO法人 近代印刷活字文化保存会、2003年)、『活字文明開化―本木昌造が築いた近代』(凸版印刷株式会社 印刷博物館、2003年)の2冊の図書に結実しています。

タイポグラフィ学会は、これらの学術的な功績と社会的な貢献をあわせもった、阿津坂實氏の長年にわたる事績を高く評価し、さらに、ひとえに本木昌造の遺業をかたりつぐことに尽力された阿津坂氏の功績を勘案して、「第3回本木昌造賞」の授賞を決定いたしました。

ところが、授賞の決定をご本人ならびにご家族にお伝えし、長崎での授賞式を計画していた矢先の2015年5月7日に阿津坂實氏は逝去されました。そのためご家族とも協議して、「第3回本木昌造賞授与式」は2015年9月19日におこなわれる東京での「第11回タイポグラフィ学会総会」と併催して、お孫さんおふたりに列席していただくことになりました。

阿津坂實氏のご冥福をお祈りするとともに、本受賞によって阿津坂氏の事績を後世につたえ斯界の発展に寄与することを祈念いたします。
Motogi46231-3-Web407[1] Motogi46165-Web07[1]
タイポグラフィ学会

【 関連情報 : タイポグラフィ学会 本木昌造賞 /プレスリリースPDF press release-2015-motogi 】

2015年09月03日[木]は、本木昌造140回忌でした。

本木昌造02本木昌造 1824-75年
文政7年6月9日(新暦1824年7月5日)- 明治8年/1875年9月3日

本木家歴代の墓地 長崎市鍛冶屋町5-74 大光寺 2015年05月撮影DSCN9217 DSCN9170 DSCN9167 DSCN9160 DSCN9179これまで看過され、まだ精査が必要だが、本木家墓地、向かって右側の列の中央部、佛座像が彫りこまれたこぶりな墓標は、本木昌造の子息:本木小太郎の墓標とみられている。

下掲写真は長崎諏訪公園にある「本木昌造立像」。戦前は座像の銅像があったが戦時下の金属供出令でうしなわれた。1954年(昭和29)立像として再建されたが。近年は後背部と基礎部の石積みに破損が進行しているようでいささか心配である。
DSCN9269
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新 宿 餘 談

ことしの夏はひとしお暑かった。
そのため、ベランダ花壇の植木などはすっかりげんなりしていたが、新宿御苑の歩道にそって植えられたサルスベリ(百日紅=ヒャクジツコウ、Lagerstroemia indica)は、炎暑にもまけず、くれないの花をいっぱいにつけていた。
「風立ちぬ」 ―― 涼風のたった09月01日、百日紅をすぐ裏の御苑のへりの歩道で撮影してきた。

DSCN1144 DSCN1149百日紅は中国南部の原産で、ミソハギ科の落葉中高木とされる。
花が美しく、耐病性もあり、必要以上に樹髙が大きくならないため、しばしば庭や公園などに植えられるという。

中国では、唐代長安の紫微シビ(宮廷)にこの樹木が多く植えられたため「紫薇」と呼ばれるが、比較的長い間紅の花が咲いていることから「百日紅」ともいう。
和名の「さるすべり」は、幹の肥大と成長にともなって古い樹皮が剥がれ落ち、新しいすべすべした樹皮を猿が登ろうとしても、滑ってしまうということで、「猿も滑る サルスベリ」と表記することもある。実際には敏捷な猿はこの程度では滑ることなく簡単にのぼってしまうという。

夏の炎暑の日日を彩った百日紅も、涼風がたつとともに、多くの花弁を落とし、歩道の一部はくれないの絨毯のように鮮やかだった。
夏も終わりがちかづいた。ときはまさに晩夏である。
いつの間にかカレンダーののころりも四枚だけ、すなわちいつのまにか一年の三分の二がすぎさってしまった。

日中の新宿御苑の杜ではアブラゼミの蟬しぐれであるが、夕まぐれになると、ときおり甲高い声でヒグラシが哭く。長崎の照葉樹林の照りかえしのつよい夏をおもい、はるか長崎を偲んだ。
新宿邨の夏は、喧噪のまっただ中でおわりをむかえつつある。

【再紹介 在庫僅少】 島屋政一著 『本木昌造伝』-わが国活字ボディサイズ淵源に関する貴重な記録 修整部PDFデーターつき

朗文堂 ブックコスミイク 愛読者の皆さまへ

朗文堂刊行書のご愛読ありがとうございます。
今回あらためてご案内いたします 『本木昌造伝』(島屋政一、2001年08月20日) は、おかげさまで残存部数がのこりわずかとなりました。
島屋政一『本木昌造伝』は、1996(平成08)年07月、名古屋の旧津田三省堂(現ナプス)の筐底にひめられていた、島屋政一による未発表自筆稿本を原稿としています。この時点で島屋政一氏は物故していたとみられ、そのため著者校正を経ておらず、一部に正誤表を発表する必要が発生しております。

すでに島屋政一『本木昌造伝』をご購入済みのかたは、お申し出をたまわれば、正誤表とともに、板倉雅宣氏ご協力による索引を献呈させていただきます。
あわせて島屋政一『本木昌造伝』には、わが国の活字ボディサイズと、そのシステムに関し、類書にない貴重な資料が掲載されています。
目下愛読者の一部と考査中ですが、追試をかさねてみると、きわめて精度の高い資料であることが近年あきらかになりましたので、ここにその一部をご紹介いたします。

本項は<タイポグラフィ・ブログロール 花筏>における連続掲載記事の一環として、わが国の活字ボディサイズの淵源をたどる重要資料として再構成されて紹介されています。
あわせてご覧いただけましたら幸甚に存じます。
【花筏 [字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*04  島屋政一『本木昌造伝』における活字ボディサイズの新考証
hanaikada_color
20150421193950685_0003島屋政一『本木昌造伝』の序文にあたる「例言」には、このようにあります。

筆者はすでに『印刷文明史』を著わし、本木昌造のことをしるしたが、いささか冗長にながれ、またいささかの訛伝の指摘もあった。
さらには畏友にして活字界の雄たりし、青山進行堂活版製造所・青山容三〔督太郎〕氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格〔活字ボディサイズ〕のことのあらたな教授もえた。

この「例言」をうけた記述が『本木昌造伝』 p.117-120 にみられます。
そこでの島屋政一は、大阪の活字鋳造業者/青山進行堂活版製造所・青山容三〔督太郎〕氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格〔活字ボディサイズ〕のことのあらたな教授もえて、<わが国では近代活字版印刷の創始のころから、 号数制金属活字とは本木昌造がさだめたものであり、鯨尺や曲尺による、尺貫法にもとづいた製品である > としたそれまでの立場を捨てています。 それに代えて島屋政一は、

英国においてはトーマス・ハンサード(Thomas C. Hansard)が1825 年(文政08)に 『Typographia』 (原著:p.387–8) を著し、活字の標準化を提唱して、1 フィートにたいする活字の全角の個数〔本数〕の標準をつぎのように定めていた。
○ 一号  1 ft に32 本        Two-Line English 
○ 二号  1 ft に41 本1/2  Two-Line Small Pica
○ 三号  1 ft に56 本1/4     Two-Line Brevier
○ 四号  1 ft に64 本         English
○  五号  1 ft  に83 本    Small Pica
○ 六号  1 ft に112 本1/2    Brevier

とし、わが国の号数制活字の淵源を、「English 系統 一号、四号」、「Small Pica 系統 10.5 pt 基準。初号、二号、五号、七号」、「Brevier 系統 三号、六号、八号」であることを解明しています。
さいわい原著『Typographia』 (Thomas C. Hansard,  1825 年(文政08),   原著:p.387–8)を所有しておりましたので、原典照合をしたところ、一部にあきらかな転記ミスがみられましたので、下掲図にそれを正した図版をかかげ、また正誤表を作成いたしました。

また現在、<朗文堂ちいさな勉強会 平野富二の会>の会員を中心に、この島屋政一説を追試・検討をかさねておりますが、現状ではわが国の五号活字のボディサイズは、Small Pica 10.5 pt 基準 とみられるものの、一部に異なったサイズがみられ、それが島屋政一が紹介した「五号 1 ft に83 本 Small Pica」にちかい数値を示していることまでが判明しています。

以下は平野富二の東京本格進出を控えて急遽作製されたとみられる「天下泰平國家安全」の活字販売用見本(『 崎陽 新塾餘談 初編一、初編二 』 巻末口上。ともに壬申二月〔明治05 年02 月〕)の製作のときに完成していた、活字ボディサイズの該当部を抜粋して紹介します。
この調査・研究はまだ端緒についたばかりで、ひろく『本木昌造伝』愛読者の皆さまのご参加をお待ち申しあげております。

20150421193950685_000320150601175842929_0001 20150601175842929_0002『 新塾餘談 初編一 』巻末口上(活字ボディサイズ見本ならびに価格表 壬申二月〔明治05年02月、1872〕 刊、印刷博物館蔵 ) PDFデータ  】

◎ 関連既出情報
【[字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*01 考察のはじめに 】
【[字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*02 〔松本八郎〕 活字の大きさとシステム 】
【[字学] わが国活字の尺貫法基準説からの脱却と、アメリカン・ポイントとの類似性を追う*03   〔川田久長〕 活字の大きさとシステム

4947613548

朗文堂 愛着版

本 木 昌 造 伝

島 屋  政 一 著
朗 文 堂 刊

A5判 480ページ
口絵カラー写真20点、本文モノクロ写真172点、図版196点
上製本 スリップケース入れ 輸送函つき
背革にベラムのバックスキンをもちいて

ヒラにはコッカレルのマーブル紙をもちいました。

本書(索引・正誤表つき)は在庫僅少で、輸送箱の一部に汚損があるため、直販のみとし、一般書店では取り扱っておりません。
恐縮ながら、本書の入手をご希望の方は直接 朗文堂 ヘお申し込みください。
本体価格:16,000円(税・送料別)
【 詳細情報 : 朗文堂ブックコスミイク 本木昌造伝

【 目  次 】
・ 本木昌造の誕生から通詞時代

・ 長崎製鉄所時代の本木昌造
・ 近代活字創製の苦心
・ ガンブルの来日と活版伝習所の創設
・ 新街私塾と長崎活版製造会社
・ 長崎から東京へ/活版印刷術の普及
・ 本木昌造の終焉と本木家のその後
・ 凸版印刷と平版印刷、ライバルの登場
・ 印刷界の二大明星
・ 本木昌造をめぐるひとびと
・ 野村宗十郎とアメリカン・ポイント制活字
・ 印刷術の普遍化とわが国文化の向上
・ 印刷界の現状
・ 編集子あとがき

【 例    言 - はじめに 】
島 屋  政 一
わが国の印刷事業は、とおく奈良平安朝のむかしに寺院において創始され、久しきにわたって僧侶の手中にあった。 江戸期にはいって勅版がでて、官版および藩版がおこり、ついで庶民のあいだにも印刷事業をはじめるものがあらわれた。
寛文(1661-72)以後、木版印刷術おおいに発達して、正徳、享保時代(1711-35)からは木版印刷術が全国に普及をみたが、それは欧米諸国の近代活字版印刷術にくらべてきわめて稚拙なものだった。

幕末の開国とともに洋学が勃興して、印刷術の改善にせまられた。そのときにあたり、近代活字鋳造と近代印刷術の基礎をひらき、善く国民にその恩恵をひろめたものが本木昌造翁だった。

筆者はすでに『印刷文明史』を著わし、本木昌造のことをしるしたが、いささか冗長にながれ、またいささかの訛伝の指摘もあった。
さらには畏友にして活字界の雄たりし、青山進行堂活版製造所・青山容三〔督太郎〕氏、森川龍文堂・森川健市氏の両氏から、活字の大小の格〔活字ボディサイズ〕のことのあらたな教授もえた。
さらに筆者は、すぐる太平洋戦争において、おおくの蔵書を戦禍にうしなった。また青山進行堂活版製造所、森川龍文堂の両社はその活字の父型や母型のおおくをうしなっている。

このときにあたり、ふたたび、日本の近代文明に先駆して、開化の指導者としておおきな役割を演じた本木昌造の功績を顕彰し、それに学ぶところは大なるものがあると信ずるにいたった。
本木昌造はひとり近代印刷術の始祖にとどまらず、むしろ研究者であり教育者でもあった。
本木昌造の設立にかかる諸施設とは、むしろ「まなびの門」でもあったのである。

そうした本木昌造のあらたな側面を中枢にすえて本書をしるした。

  昭和24年10月20日
                              著 者 識

【 本木昌造伝 修整部 PDF  motogi-denn-syuusei 】 

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