《05月29日[土] 第9回フィールドワーク 公版書籍印刷所 理想社の実際》
新宿私塾開講のときからお世話になっている「理想社」。同社に出向いて公版印刷とはなにか、公版印刷の使命を現場で学びます。
前半の一時間は、同社社長・田中宏明氏による「書籍印刷概論」の講義があります。そこではデザインの現場では知ることができない、印刷工程の構築法と、実践的な管理知識が説かれていきます。
1921年(大正10)創業の理想社は、活字版の組版所としてスタートした歴史をもっています。そのために、いまもって文字組版を大切にしている企業です。ですから4年ほど前までは四六判の大型活版印刷機が轟音を響かせて稼働していました。
こんにちの理想社は、ゆっっくりと業態変更を実施しているようです。CTP, オンデマンド印刷システムといった最新鋭機器もならびますが、同社の組版部は、やはり版元からの絶対の評価をえているようです。[撮影:塾生/林 恭平]
《06月11日[火] 第12回 *講義:美術館・博物館図録ケーススタディ 原 順子さん》
国公立の大型美術館や博物館の図録・カタログ製作を積極的に受注されているWOデザイン/原 順子さんによる講義の模様です。
施設が大型になればなるほど、デザインの基本をしっかりと構築し、コンテンツの主従関係、優先順位などを学芸員や図書館司書と事前に十分に打ち合わせをしておくことの重要性が説かれました。
また図版レイアウトや文字組版に関しても、展示内容や客層のターゲットを考慮することが第一であり、ともかく見やすく、理解しやすく、読みやすいデザインの追究に研鑽をかさねられているとのことでした。
そこには外連ケレンや奇抜さは許容されることがなく、堅実さのなかに、どう新味を開拓するか、それなりのご苦労もあるようです。
塾生諸君は、デザインにおける誘目性、すなわち奇抜さや、オシャレさや、気の利いた遊び心を意識していたかたもおおく、ターゲットによる製作者の謙虚で控えめな姿勢の維持に、新鮮な驚きがあったようです。
下図のフライヤーは、東京国立博物館の来年夏(2014年)の予告ポスターです。
大型施設とは、このような長期計画で展示を考慮しますし、当然製作者もそれに対する対応力を求められることになります。
来年の2014年(平成26)7月、夏の国立博物館における大型企画で、WOデザインの製作物にであえるのかもしれませんね。