Viva la 活版 Viva 美唄 炭山ヤマの碑と監視員さん



《以下 ── やつがれ Wrote》
たなばたの日曜日。《Viva la 活版 Viva 美唄》の開催を控えたアダナプレス倶楽部会員の作品搬入が盛んです。
「最後の最後に、誤植をみつけちゃって……。土曜日にもう一度刷り直して、すぐ製本しま~す」
「飛行機のチケットが取れました。作品もバッチリです。ご安心を!」
@メールもにぎやかです。
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《Viva la 活版 Viva 美唄》には、雨男バッカス松尾も参加されます。ですから雨がおおいに心配でした。「Yahoo ! 美唄市の週間天気予報」によると、最高気温は25-26度、おおむね曇り、後半は晴れになるようです。
どうやら今回は、天下の晴れ男、やつがれの勝ちらしい。

旅行者やイベント開催者には、降雨はつらいが、それでもやつがれ、アルテ ピアッツァ美唄の一面の緑、そして巧妙に配された真っ白な彫刻や、シェンナ(赤茶色)の構造物が、雨にうたれる姿も見てみたいという、チョット贅沢な望みもある。

なにせアダナプレス倶楽部の主催だから、《Viva la 活版 Viva 美唄》には、付帯イベント?が盛りだくさんに設けられている。
① 既報のとおり、堀内剛さんの講演にともなう、ミニトマトと絞りたて生ジュースの試食・試飲会。由仁町まるほり野菜園への遠征ドライブ。道中カーナビ画面が、ただの一本棒になるから注目。接待:ご機嫌によるが、風の猫 ゴリを予定 
② 懐かしのシャボン玉ホリデー(大石担当。詳細:ないしょ)
③ 目の前美唄川支流で、沢ガニとヤゴ捕り(やつがれ担当。参加希望無し)
④ 美唄名物焼き鳥を食いまくる懇親会。地元北海道勢も多数参加。
⑤ 札幌ラーメン、地ビールの試食・試飲・品評会(希望者が勝手に開催)
⑥ ジャスト・シュン!美唄ハスカップ狩り。入園試食無料。持ち帰り有料。
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ところで、《Viva la 活版 Viva 美唄》の主会場は、アルテ ピアッツァ美唄の宏大な敷地いっぱいで開催される。
講演会とタイポグラフィ・ゼミナールは、ヤマの上の「アート・ストゥディオ」。作品展はヤマの中腹、彫刻広場前の「アート・ギャラリー」での開催。

このふたつの会場は、そうとう離れているし、高低差もたっぷりある。
ギャラリーからストゥディオまでのぼると、やつがれなぞは身も心も疲れはて、おもわず隣奥の「ギャラリー・カフェ」に倒れこんで、テラスで一服つけ、チョロチョロ顔をだすリスを相手に、絶品の水出し珈琲をいっぱいやらないと、隣接手前の「アート・ストゥディオ」には戻れないほどだ。

武田信玄「風林火山」さながら「動かざること山のごとし」のやつがれ。そのために手不足になりがちの今回。エクセルプリントでの役割分担は「アート・ギャラリーでの監視員」に決定しているらしい(希望調査は無かったが……)。

監視員さんとは、大きな美術館や博物館の一隅で、夏は冷房病予防、冬はシモヤケ予防で、毛布を膝に掛け、彫刻作品のようにかたまっているひとの役割である。ときおり立ち上がって、
「硝子に手をお触れにならないようにお願いします」(ニッコリ)
などという役割である。ところがなにぶん強面コワモテのやつがれ、ニッコリはできないし、気温25-26度の快適さでは、ユニフォームの膝掛け毛布をどうしよう?


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美唄市 は、かつては日本四大産炭地のひとつとされて、三菱鉱業、三井鉱山、中小の炭鉱などが進出して、全国でも有数の炭鉱都市として栄えたまちです。
最盛時には炭鉱までのローカル鉄道「美唄鉄道」がはしり、1950年代の最盛時の人口は10万人弱という繁華なまちでした。

1970年代にはいると、国の施策として石炭から石油へのエネルギー転換がはかられ、このまちでも1973年に三菱美唄炭鉱が閉山されて、ほとんどの炭鉱の灯が消えました。活気のあった炭鉱住宅はひっそりと静かになり、子どものいなくなった小中学校は廃校となりました。

それから40年ほどの歳月がすぎ、現在の美唄市は人口2万5000人ほど。ここがおおきな産炭地だったことを忘れさせるほど、豊かな緑がひろがり、すっかり静かなまちになりました。
それでも空知ソラチ地方の中核都市、物資の集散地としての役割を担い、廃鉱のまちにありがちな暗さがないのがふしぎなくらいです。

それでも《Viva la 活版 Viva 美唄》の主会場、アルテ ピアッツァ美唄から車で数分のところに、炭鉱で犠牲となったかたの鎮魂の碑「炭山ヤマの碑」があり、もうすこし奥地には「炭鉱メモリアル森林公園」があります。
いずれも彫刻家/安田 侃カン氏の「作品」となっています。
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その「炭山ヤマの碑」にこころをうたれ、活版作品としてまとめたかたがいます。
用紙はスペイン/アルパ社、四方耳つき手漉き紙。活字組版は 12pt. 明朝体。図版部分はゴム版画を使用していました。印刷は5-6度刷りのようです。

《Viva la 活版 Viva 美唄》は、画期的な活版造形者による祭典となります。そしてひっそりと、わが国の繁栄をもたらした炭鉱労働者への鎮魂のこころを忘れていないのは嬉しいかぎりです。

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