《新宿私塾第23期、澄みきった青空のもとでスタートしました》
暑い夏でした。07月前半から猛暑が襲い、すこし涼風をみたとおもったのに、立秋から残暑をこえた、熱波がまた繰りかえし襲来しました。
とどめは09月の中旬に襲来した颱風18号でした。
09月13日-16日にかけて、颱風18号は日本列島をまっぷたつに断ち割るようにして駈けぬけました。各地で豪雨、洪水、山崩れなどの情報も飛びかいました。
皆さまご健勝でいらっしゃいましょうか。お見舞いもうしあげます。
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颱風一過、抜けるように碧い空のもと、新宿私塾第23期がスタートしました。
ウェブデザイナーの男性が多かった22期にくらべ、23期はどちらかというと企画立案やグラフィックデザインを職とするかたが多く、男女比も5人と5人でバランスがとれました。
新宿私塾第23期生は、これまでの塾生諸君とおなじように、とても意欲的で、向上心と個性のつよい若者がたくさんあつまりました。
まだ昨週の09月10日に修了したばかりの、きわめて活発かつ賑やかだった22期生のむくもりが、あちこちにのこっているような教場でした。
それでも早速、新宿私塾第23期、第1回目の講座では、カリキュラムの説明につづいて、塾生の皆さんの自己紹介があって、ここに集まった塾生同士が、出身地や年齢も経歴も、職場・学校環境などがさまざまなことに、塾生諸君はあらためて驚いたようです。これが新宿私塾の魅力のひとつでもあります。
すなわちここには、現役の藝術大学・美術大学の学生もいます。もちろんすでに造形者としての職業人も、異分野で活躍する職業人もいます。
それでも造形者、タイポグラファとして、いっそうの向上をめざすという一点において、こころざしをおなじくする仲間であることを確認します。
ですから短い開塾セレモニーのあいだに、次第に緊張がゆるみ、笑い声ももれるようになりました。
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みじかい開塾式のあとは、いきなり、たくさんの資料が机上にならび、パソコン映像を併用しながら「タイポグラフィをまなぶこととは」の講義がはじまりました。
「文と字:形而上の文と、形而下の字」「コミュニティとコミュニケーション」……。
一見むずかしそうなテーマも、実例と資料をもとに諄諄ととかれていきました。
新宿私塾では、タイポグラフィにおける「知・技・美」のみっつの領域で、バランスのよい学習をモットーとしています。それはまた「知に溺れず、技を傲らず、美に耽らず」という、つよい自戒をともないます。
新宿私塾第23期は、爽秋の2013年09月17日にスタートし、早春の2014年03月11日に修了します。
この半年のあいだ、塾生の皆さんがおおきな収穫が得られるように、講師陣はもとより、200名をこえた「新宿私塾修了生」の皆さんも、精一杯の努力と応援をいたします。
《恒例 新宿私塾第23期カリキュラムの表紙デザインの紹介》
新宿私塾第23期カリキュラム 表紙 (Design : 講師 杉下城司さん)
新宿私塾第23期カリキュラムの表紙はデジタルタイプの「Amor」によります。
新宿私塾では受講期間のあいだに、和文活字でも欧文活字でも、どちらでもかまわないのですが、できるだけ「My Favorite Type ── わたしのお気に入りの活字書体」を獲得することが勧められます。
もちろん、世上の評価がたかい活字書体でも、まったく無名の活字書体でも、「はやり書体」でも一向にかまいません。むしろどんな活字書体にも、避けがたく付着している「長所と短所」をみつけだして、「長所をいかし、短所を制御する能力」がとわれます。
──────── 杉下城司さんのコメント
書体は「 Amor 」Sans & Serif,読みは「アモー」でしょうか。
碑文系書体のセリフとサンセリフ。
チェコ共和国、プラハに本拠をおく Storm Type Foundry のデジタルタイプです。
碑文大文字の解釈をもととして、小文字、イタリック、サンセリフなどへの展開、カーブの付け方などが興味深いですね。
ストーム社では、バスカヴィル、ジャノン、ワルバウムなどの復刻、およびそれらのサンセリフを出していたりと、意欲的で面白いタイプファウンドリーです。