書道博物館「墓誌銘にみる楷書の美」
観覧のお誘い
定員に達しましたので締め切らせていただきます。
申し込みありがとうございました。
ギャラリー・トーク「墓誌銘にみる楷書の美」
7月10日 午後1時20分 書道博物館ロビー集合
観覧料:500円(各自で受付にてお支払いください)
※定員はお申込み先着順で20名です。
人数確認のため片塩 jk@robundo.com に「楷書の美参加」として
お名前をご送付ください。
お返事が無い場合は受付完了とさせていただきます。
110―0003 台東区根岸2―10―4
開館時間:9:30―16:30
観 覧 料:500円
子規庵
110―0003 台東区根岸2-5-11
開館時間:10:30―12:00 13:00―16:00
入 庵 料:500円
根岸の里で著名な一画に、画家にして書芸家の中村不折が蒐集した膨大なコレクションを収蔵する「書道博物館」があります。不折は新聞『小日本』の挿絵を担当し、それを通じて正岡子規と親しく、その自邸も近接していました。また島崎藤村の『若菜集』『一葉集』『落梅集』の装本・挿絵を担当し、夏目漱石『吾輩は猫である』『漾虚集』、伊藤左千夫『野菊の花』などの挿絵を描き、ブック・デザイナーの先駆けとしても知られるひとです。また森鴎外は遺言で墓標の書家に不折を指名し、ただ「森林太郎」とだけしるさせています。
中村不折はパリに留学するなど、最初は洋画家をめざしましたが、明治28年に正岡子規とともに日清戦争の従軍記者として中国におもむき、中国各地や朝鮮半島を巡遊して『龍門二十品』『淳化法帖』などの拓本をはじめ、漢字成立の解明に寄与する考古資料の収集にめざめ、こうした書の古典から多くを学び、なかでも「北派」の書を根底とした、不折独自の、大胆で斬新な書風を展開して“不折流”と称されるまでになりました。
なかでも「龍眠帖」は書芸界に衝撃を与え、そのデザイン性の高さと親しみ易さから、店名や商品名の揮毫を依頼されることも多く、現在でも「新宿中村屋」の看板文字、清酒「真澄」や「日本盛」のラベル、「神州一味噌」「筆匠平安堂」のブランディングなどがあります。
書道博物館はそんな中村不折のコレクションをもとに開設され、現在は台東区が維持・管理にあたっています。その企画展「墓誌銘にみる楷書の美」のギャラリー・トークに申し込みましたが、最終回の7月4日に割り振られて出かけました。墓誌銘とは、中国の三国時代ころに厚葬を禁じて薄葬が求められ、建碑や巨大墓標の建立が困難となり、墓碑を小型化して地中に埋め込む形式が定着したものです。墓碑銘の大半は隷書か楷書によってしるされ、地中にあったために戦乱による破壊や風化が少なく、保存状態がよくて刻字も鮮明です。またほとんどの墓誌銘には年号がしるされ、書写・建碑の年代が確定できるのも大きな特徴です。
急なはなしで恐縮ですが、「墓誌銘にみる楷書の美」展は7月11日が最終日です。11日は参議院選挙の日ですし、企画展の常として、最終日の混雑は避けられません。またせっかく出かけても、適切な解説がなければ収穫は半減します。そこで学芸員の中村信宏様にお願いして、特別に朗文堂枠で7月10日にギャラリー・トークをお願いしました。同館には世界唯一本といわれる顔真卿の書をはじめ、重要文化財、重要美術品があふれています。ぜひこの機会にご観覧ください。
★ついでながら……
書道博物館は、JR鶯谷駅から徒歩5分です。「活版凸凹フェスタ」のときの緑の階段をのぼらず、例の風俗街を5分ほど直進すると、左手に台東区立書道博物館、右手に子規庵があります。この間の移動は30秒。
ですから10:30に子規庵について、子規の朝顔や、お庭を楽しみ、12:00から書道博物館の本館(常設展示)をじっくり見ることをお勧めします。新館での展示・解説は拓本が主で、墓碑の実物は本館にありますので……。それらを見てからギャラリー・トークに参加がお勧めコース。近くに司馬遼太郎『坂の上の雲』で著名な「羽二重団子」や「ねぎし三平堂」もありますが……。高くて混雑しますので片塩は敬遠ですが「笹乃雪」もすぐそこ。
ギャラリー・トーク終了後、天気が良く、体力に自信のあるかたは、近在の真言宗円明山西蔵院(根岸3―12-38)へご案内。ここには秀英舎の創業者/佐久間貞一の墓と、榎本武揚による巨大な顕彰碑があります……。こういうのを、最近は「マイラー」と呼び、女性に多いのだそうです!!!