トロロアオイの花をご紹介します!
晩夏を彩るトロロアオイの花が咲いた(そうです。悔)。写真はHさんが育てられたもので写真を送っていただきましたのでご紹介します。ウチのトロロアオイは、背丈は高く、茎は太いものの、一向に花をつける気配がなく、まだまだ成長を続けそうな勢いです。
手漉き紙の製造にあたって、このトロロアオイの根を擂りつぶし、コウゾの繊維と混ぜて攪拌するそうです。それによって、繊維が沈殿することなく、均一に浮遊することを助けるために「ネリ」と呼ばれて重宝されるのだそうです。
堂主がこの花にひどくこだわるのは、活字狂を自他共に許した志茂太郎がこの花を愛し、自社の商号を「アオイ書房」とし、川上千帆らにこの花をたくさん描かせていたためでした。また、晩夏のころに公子夫人にお招きをいただいて、山の城の旧志茂邸訪れたとき、敷地内の広大な墓地にこの花が心地好さそうに風に揺れていました。その際、この花は1日しか持たず、これをみることを終生志茂太郎は楽しみとしていたと伺いました。志茂太郎の墓標と正対する場所には、何本ものこの花が、お行儀良く一輪ずつ花をつけていました。
ともかく明日10月2日は、活版カレッジの皆さんと紙漉にでかけます。A3から名刺サイズまで、各種の手漉き紙を漉いてくるつもりです。ついでにといってはナニですが、近くにある「喫茶むべ」(アケビ)の絶品の珈琲を愉しみ、店主のミニ・ギャラリーを拝見することも愉しみのひとつです。都心で慌ただしく活動していたグラフィックデザイナーが老境に達したとき、こんな充実した生き方もあるな……、とおもわせるゆっくりとした時が漂う空間も好きです。