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【タイポグラフィ学会】 『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露および第3回本木昌造賞授賞式を開催

タイポグラフィ学会は、秋晴れの抜けるような晴天のもと、2015年9月19日[土]、定例年次総会につづき、一般公開で、『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露会および、第3回本木昌造賞授賞式をとりおこないました。
タイポグラフィ学会会員のほか、多数の皆さまのご来場をいただきました。ご参加ありがとうございました。詳細報告は近日中にいたします。

タイポグラフィ学会誌2015年9月19日[土]、タイポグラフィ学会は『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露会および、第3回本木昌造賞授賞式を下記のとおりおこないます。
◯ 日 時 : 2015年9月19日[土] 14 : 30-
◯ 場 所 : 東洋美術学校 D棟1階 学生ホールにて
【 詳細情報・申込フォーム : タイポグラフィ学会 】
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•14 :30-
『タイポグラフィ学会誌08号』刊行披露
執筆者による論文、研究ノートの紹介 *下記参照
•15 : 30-
第3回 本木昌造賞 授賞式
受賞者 : 故阿津坂實氏  *下記参照
•17 : 00-
懇親会:別会場
オクド ダイニング カフェ
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【『タイポグラフィ学会誌08号』論文】
発表予定者
論文 :真田幸治「「雪岱文字」の誕生-春陽堂版『鏡花全集』のタイポグラフィ」
研究 ノート : 山本太郎「ドイツ工作連盟の一九一四年ケルン会議での「定型化・標準化」の論争に関する疑問点」

論文の概要
真田幸治「「雪岱文字」の誕生-春陽堂版『鏡花全集』のタイポグラフィ」
装幀家、挿絵画家などとして再評価が著しい小村雪岱(こむろ-せったい)であるが、その評価は主に泉鏡花の著書の意匠によるものだ。
しかしながら「雪岱文字」が大きな役割を担っていたという事実は知られていない。それは資生堂のロゴにおいても大きく寄与している。
そして春陽堂版『鏡花全集』の装幀において「雪岱文字」はひとつの完成を見る。
本論では「雪岱文字」が、どのように誕生し、展開されていったのかを考察する。
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【第3回 本木昌造賞 受賞者 故阿津坂實氏について】
長崎において本木昌造に関する研究の礎を築かれた方です。同研究において各方面の研究者に影響を与えてこられました。
主著:「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ 本木昌造」『本木昌造先生略伝』(長崎県印刷工業組合創立四十周年記念/本木昌造先生歿後百二十周年記念、長崎県印刷工業組合、1995年)
授賞式は、ご親族による受賞となります。
【 詳細情報 : タイポグラフィ学会 】

【タイポグラフィ学会】 第三回本木昌造賞受賞者 阿津坂 實氏を発表

阿津坂レタッチ後_1c第3回本木昌造賞
受賞者 
阿津坂 實氏  Minoru Atsusaka
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1915年 9月12日 長崎市うまれ。
1947年 長崎県印刷工業協同組合に入組。1956年設立の長崎県印刷工業組合と双方の事務長、専務理事などを1988年に依願退職するまで歴任。
1975年 長崎県中小企業団体中央会、長崎県商工会議所などからさまざまな事業の委嘱をうけて活動。
2015年 5月 7日 長崎市にて逝去。行年99

主著 : 「日本のレオナルド・ダ・ヴィンチ 本木昌造」『本木昌造先生略伝』 (長崎県印刷工業組合創立四十周年記念/本木昌造先生歿後百二十周年記念、長崎県印刷工業組合、1995年)
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受賞について
阿津坂實氏は、長崎印刷工業協同組合および長崎県印刷工業組合の中枢にあって、原子爆弾による甚大な被害をうけた長崎の印刷業の復興に尽力されてきました。
1953年には、本木昌造銅像再建運動を事務方として開始し、翌1954年、諏訪公園に本木昌造銅像の再建を実現されました。

阿津坂氏は、それまで長崎の各地に収蔵されるにとどまっていた、タイポグラフィ関連資料を再発掘し、目録を製作するとともに、それを広く公開することで、『長崎印刷組合史』、『長崎印刷百年史』の編纂をはじめ、『東京の印刷百年史』、『大阪印刷百年史』、『多摩の印刷史』など、各地の印刷組合や印刷企業の年史編纂のために、長崎の資料を提供されました。また、後続の研究者にも積極的な情報提供とあたたかな支援をつづけられました。

さらに阿津坂氏は、長崎各所にあった、活字版印刷の揺籃期の事業と施設を再検証することで、それらの位置を特定し「本木昌造生家跡碑」、「活版伝習所跡碑」、「新町私塾跡碑」、「福地櫻痴生誕地碑」などの建立にも尽力されました。

1975年には、戦前から長崎にあった「本木昌造頌徳会」を改組改称して「本木昌造顕彰会」を創設し、株式会社モリサワとともに「本木昌造活字復元プロジェクト」を開始しました。長期におよんだこのプロジェクトは、当時の長崎県印刷工業組合理事長:内田信康氏、後進の長崎県印刷工業組合事務局長:岩永充氏らとともに、阿津坂實氏も「NPO法人 近代印刷活字文化保存会」にあって陰助をかさね、その成果は『日本の近代活字 本木昌造とその周辺』(NPO法人 近代印刷活字文化保存会、2003年)、『活字文明開化―本木昌造が築いた近代』(凸版印刷株式会社 印刷博物館、2003年)の2冊の図書に結実しています。

タイポグラフィ学会は、これらの学術的な功績と社会的な貢献をあわせもった、阿津坂實氏の長年にわたる事績を高く評価し、さらに、ひとえに本木昌造の遺業をかたりつぐことに尽力された阿津坂氏の功績を勘案して、「第3回本木昌造賞」の授賞を決定いたしました。

ところが、授賞の決定をご本人ならびにご家族にお伝えし、長崎での授賞式を計画していた矢先の2015年5月7日に阿津坂實氏は逝去されました。そのためご家族とも協議して、「第3回本木昌造賞授与式」は2015年9月19日におこなわれる東京での「第11回タイポグラフィ学会総会」と併催して、お孫さんおふたりに列席していただくことになりました。

阿津坂實氏のご冥福をお祈りするとともに、本受賞によって阿津坂氏の事績を後世につたえ斯界の発展に寄与することを祈念いたします。
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タイポグラフィ学会

【 関連情報 : タイポグラフィ学会 本木昌造賞 /プレスリリースPDF press release-2015-motogi 】