METAMOS™ 5th ANNIVERSARY を記念して、ノベルティのスカーフを制作しました。
スカーフには以下のような、これからの METAMOS™ の宣言文を記しました。
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The form slowly gets rusty, crumpled and then exposed to the sun.
Furthermore that aspect ends up transforming the other thing.
It communicates through vision and phonetics, but even the personal experience is changed.
The elements in this world varies beautifully hour by hour.
In that metamorphosing atmosphere, I have also changed myself.
形態は、錆び、皺がつき、陽に焼け、表情を変化させる。
伝達は、視覚、表音、体験さえも変化する。
この世界のあらゆる事象は美しく形を変えてゆく。
変化し続ける雰囲気の中で、また僕自身も変化し続ける。
変化を受け入れ、その中に身を委ねながら最適値に自身を持って行きたいと言う想いがあります。
宣言文をテキストとして、スカーフには皺を受けた文字をそのまま印字しました。
スカーフをくるんだ紙は「はまゆう」という薄い紙に、金の箔で挨拶文を記しました。
それらを内包した桐箱は、レーザーカッターを自身で操り一つ一つ丁寧に刻印しました。
また今回は5周年を機に、以前の Metamosphere™ 名義から CI を METAMOS™ に変更しました。
それに際してロゴタイプの変更も行っております。
新しいロゴタイプは、ドイツ製の古い Akzidenz Grotesk Plakatschrift の 8 Cicero(didt 96pt.) という、ポスターのサイズとされる巨大なサイズの活字をベースに、新たにラインどりしたものになります。
基本的にオプティカル・スケーリングの世界では、パンチカッターが目の錯視を考慮し、
小さいポイントサイズから大きいポイントサイズにかけて、次第に横幅を狭くしています。
現在の電子活字におけるリニア・スケーリングにはない技芸でもあります。
その中で今の自分がこころを惹かれた Akzidenz Grotesk が Plakatschrift の 8 Cicero です。
8 Cicero という大きなサイズなので、必然的に少し横幅が狭くなります。
それは現在の世の中に流通している、電子活字の Akzidenz Grotesk よりも、
凛と背筋を伸ばした佇まいに惹かれたのです。
この CI の変更に伴い弊社のサイトもリニューアルをしました。
http://www.metamosphere.com/
こちらには来るべき高解像度ディスプレイの時代を念頭に、
オリジナルの Akzidenz Grotesk を全て web font 化して使用しております。
Retina display などでは感じて頂けると思いますが、
このフォントには一切の水平垂直がありません。
パンチカッターの手技によった活字の時代には、もちろん完全な水平垂直は存在しません。
インキの滲みや、活字の劣化等の味わいがあります。
呼吸をし、生きているような、そんな文字を自分のサイトに使用したかったのです。櫻井 優樹 / Yu-ki Sakurai
Art director / Designer
1981年、大阪生まれ。artless Inc.を経て、2009年METAMOS™ を設立。アートディレクションを中心に、ボーダレスなヴィジュアルコミュニケーションを展開する。One Show、D&AD、カンヌ国際広告祭等、国内外の受賞ぼちぼち。朗文堂新宿私塾講師。趣味の散歩が高じ、東京から京都まで15日かけて踏破した事もある。また、7名からなるデザインチーム「mokuva」のメンバーでもある。
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櫻井 優樹さんは、新宿私塾第14期生であり、最初から「アクチデンツ・グロテスク」の研究を
テーマとされて、修了制作は『 Die Geschichte von Akzidenz Grotesk 』でした。
現在は新宿私塾の講師を担っていただいております。
ご自身のデザイン事務所の開設から5年が経過して、このたび社名を
Metamosphere™ から METAMOS™ に変更されました。
その CI 展開に際する意図、制作物に関しての情報提供をお願いしました。
櫻井優樹さんのご協力でここにご紹介しましたが、やはり 同社のWebsite をご訪問になって
その多様な活動と、展開の姿を、ぜひともご覧ください。おそらく「グーグル・マップ」や「食べログ」を訪問するたびに、櫻井さんの製作物と出あっていることに気づきます。[片塩二朗]