文化庁「国語に関する世論調査」
「憮然」は「腹を立てている様子」、5割超が “ 誤 用 ”
2019年10月29日[火] 17:46配信 産経新聞デジタルゟ
◉ どちらの意味だと思うか
「憮然-ぶぜん」の意味を本来の「失望してぼんやりとしている様子」ではなく、「腹を立てている様子」だと思っている人の割合が56・7%に上ることが29日、文化庁が実施した平成30年度の「国語に関する世論調査」で分かった。
「砂をかむよう」や「御の字」も、5割前後が本来の意味とは異なる使い方をしていた。
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調査は国語への理解や意識を深めるため文化庁が平成7年度から毎年実施しており、今回は16歳以上の男女3590人に面接し、1960人から回答を得た。
それによると、「憮然」の本来の意味を理解しているのは28・1%で、同じ質問をした15年度と19年度の調査に比べると10ポイント以上増えたが、依然として誤用が多い実態が浮き彫りになった。
また、「砂をかむよう」の意味を「悔しくてたまらない様子」だと思う割合は56・9%、「御の字」を「一応、納得できる」と思う割合も49・9%に上った。
いずれも本来の意味ではなく、担当者は「『砂をかむよう』については漫画などで悔しいときに登場人物がハンカチをかむ描写が出てくるので、『かむ』となると『悔しい』と解釈したのでは」と推測する。
このほか「天地神明に誓って」を「天地天命に誓って」と、「論陣を張る」を「論戦を張る」と誤用している割合も、それぞれ5割前後に上った。
今回の調査では、常用漢字に追加するかどうかの審議材料とするため、常用外漢字の印象についても尋ねた。使用について肯定的に捉えられていたのは「絆」で、9割が「この漢字を使うのがいい」と回答。担当者は「東日本大震災で広く使われ、認知度が上がった」と分析している。
{新宿餘談}
ことのは ── 言の葉 ── やはり面倒なようです。まぁいずれも安易に漢語(中国語)にもたれかかっていることからおこった事例ですね。
気になったのは常用漢字に「絆」を取り入れそうな雲行きがみられること。「絆」は漢字音では「ハン・バン」、拼音-ピンインでは「bàn」。「意読-意味読み・和訓読み」で「ほだし・きずな・つなぐ・ほだす」があり、「名付け-わが国で名前につけるときの読み方」では「きずな」となる。
音符に「半-ハン・バン」をもつ常用漢字は「伴侶・判例・畔 あぜ」などがあり、非常用漢字では「冸ーとける・攪拌ーかきまぜる・柈-ハン・泮-とける・絆-きずな」などがある。
これらの非常用漢字の音符「半」では、常用漢字での「半」の上部とは違って、下方に向かって開くかたち、いわゆる「八屋根-はちやね」型になっている。過去の事例から学ぶと、常用漢字になった瞬間から、現実的に、「八屋根」型の「絆」にも字体変更を迫られる可能性が大きいとみて良いであろう。
デジタルタイプ全盛のいま、フォントセットは必要以上に大がかりな「製品・商品」が増えている。したがって、あまりちょくちょく常用漢字をいじり回すのはもうご勘弁をというおもいが強いいまである。