国立公文書館」タグアーカイブ

【展覧会】国立公文書館|令和4年度 第3回企画展|衛生のはじまり、明治政府とコレラのたたかい|’23年1月14日-3月1

国立公文書館
令和4年度 第3回企画展
衛生のはじまり、明治政府とコレラのたたかい
会  期  令和5年1月14日[土]- 3月12日[日]
開館日時  月-日曜日 午前9時15分 ー 午後5時00分
      * 期間中無休 * 閲覧室の開室日時とは異なります。ご注意ください。
会  場  国立公文書館 東京本館
入  場  料  無 料
────────────────────
欧米に並び立つ国家を目指していた明治政府は、諸外国の衛生を学び、取り入れ、明治8年(1875)には、衛生を専門に担う行政機関として内務省衛生局を設置しました。 しかしながら、その数年後には幕末に甚大な被害をもたらしたコレラが再び蔓延(まんえん)し、 流行を繰り返します。生まれて間もない日本の衛生行政は、コレラとのたたかいを通じて整えられていきました。

本展では、衛生行政のはじまりと、コレラに立ち向かう政府の様子、そして、コレラ以外も対象としたより広い伝染病の予防に関する制度が確立するまでをご紹介します。
本展では、衛生行政のはじまりと、コレラに立ち向かう政府の様子、そして、コレラ以外も対象としたより広い伝染病の予防に関する制度が確立するまでをご紹介します。

◉ 主な展示資料

長与専斎の職務経歴書
1205_01長与専斎(ながよせんさい)の職務経歴書
明治4年、医学教育制度を学ぶため岩倉使節団の文部省随行員として欧米に渡った長与専斎(1838-1902)は、 現地で、医学教育のみならず衛生行政を整えることの大切さを痛感します。 帰国後、内務省衛生局が設けられた際は、初代局長に就任し、以後17年もの長きにわたり局長を務め、 日本の衛生行政の基礎を築きました。

虎列剌病流行紀事
1205_02虎列剌病(これらびょう)流行紀事
明治12年のコレラ流行は、患者16万人超、うち死者10万人超という甚大な被害をもたらしました。 内務省衛生局がとりまとめた報告書には、各府県における流行の状況や、想定される感染経路などが記載されています。

伝染病予防法の制定
1205_03伝染病予防法の制定
明治10年代以降、幾度ものコレラ流行とその対応を通じて、伝染病に対する予防策をあらかじめ定め、 流行時にはその予防策にのっとって行動することの大切さが実感されました。 同30年、コレラを含む8つの伝染病を対象に「伝染病予防法」が定められます。 この法律は平成10年に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)が公布され、 翌年施行されたことに伴い廃止されるまで、100年もの長きにわたり日本の伝染病予防の根幹を担いました。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 国立公文書館 ]

【展覧会】国立公文書館|国立公文書館開館50周年・公文書管理法施行10周年記念|連続企画展 (3) 「近現代の文書管理の歴史 ── 記録を守る、未来に活かす。──」 |’22年1月15日-3月13日

国立公文書館
国立公文書館開館50周年・公文書管理法施行10周年記念 連続企画展 (3)
「近現代の文書管理の歴史 ── 記録を守る、未来に活かす。──」
会  期  令和4年1月15日[土]-3月13日[日]
      * 新型コロナウイルスの感染予防・拡大防止のため、会期変更する場合があります。
      * 展示室内の密接を避けるため、入室制限をおこなうことがあります。
開館時間  月ー日曜日   午前9時15分-午後5時00分
      * 期間中無休
      * 閲覧室の開室日時とは異なります。ご注意ください。
会  場  国立公文書館 東京本館
入  場  料  無 料
──────────────
令和3年(2021)は 国立公文書館開館 50 周年、公文書管理法施行 10 周年という節目の年です。これを記念して、令和 3 年度第 3 回企画展では、古代から近世を対象にした 第 1 回企画展に続き、近現代の文書管理の歴史について、ご紹介します。
明治維新後、新政府は文書の整理、保存に着手しました。法律等の公布や公文書の管理に関する制度が整備され、明治40年(1907)には 詔書や勅書の書式や様式を定めた公式令(こうしきれい)が制定されます。その後、災害や戦災に見舞われながらも、公文書の管理は続けられました。
昭和30年代以降、公文書の保存、公開について関心が高まり、昭和62年(1987)に 公文書館法、平成11年(1999)に 国立公文書館法、平成21年には 公文書管理法 が公布され、現在に至ります。
本展では、内閣の文書管理制度の変遷を中心に、当館所蔵資料から描きます。

<主な展示資料>
皇城炎上記録焼失ニ付御達願伺書謄写可差出旨省府県ヘノ達

皇城炎上記録焼失ニ付御達願伺書謄写可差出旨省府県ヘノ達
明治6年(1873)5月5日未明、皇居の火災により太政官庁舎が類焼し、公文書・図書等の所蔵資料の大半が焼失します。そこで、政府は被害の状況を把握するとともに、資料の復元を計画しました。 画像は、同6年5月8日、各省の設置以来の御達願伺届等を謄写して提出することを各省・府県等へ命じた太政官正院の達です。
この資料が含まれる「公文録」は重要文化財に指定されています。

公 式 令

公 式 令
明治40年(1907)2月、公式令が公布されました。公式令は法律・勅令その他の詔勅などの公布の手続・書式などについて定めた勅令です。 昭和22年(1947)5月3日、日本国憲法の施行の日に廃止されますが、公文の方式等は当面の間、公式令の内容が引き継がれることとなり、現在にいたります。画像は、公式令の公布原本です。

総理府設置法の一部を改正する法律

総理府設置法の一部を改正する法律
昭和46年(1971)3月、総理府設置法の一部を改正する法律が公布されました。同年7月1日、公文書等の保存、閲覧・展示などへの利用、公文書の調査研究を行うことを目的として国立公文書館が開館しました。画像は、総理府設置法の一部を改正する法律の公布原本です。

[ 詳細 : 国立公文書館 ]

【展覧会】国立公文書館|開館50周年・公文書管理法施行10周年記念 連続企画展 ⑵ |おしゃべりな本たち ─ 謎解き! 紙と文字から探る内閣文庫 ─|令和3年9月25日-11月28日

国立公文書館開館50周年・公文書管理法施行10周年記念 連続企画展 ⑵
おしゃべりな本たち ── 謎解き! 紙と文字から探る内閣文庫 ──
会  期  令和3年9月25日[土]-11月28日[日]
      * 新型感染症の感染予防・拡大防止のため、会期を変更する場合があります。
      * 展示室内の密接を避けるため、入室制限を行うことがあります。
開館時間  月-日曜日   午前9時15分-午後5時00分
      * 期間中無休。閲覧室の開室日時とは異なります。
会  場  国立公文書館 本 館
入  場  料  無 料
──────────────
── 耳を傾ければきっと聞こえてくる、本たちの声。
世界には1冊として全く同じ本は存在しません。なぜなら同じ題名や内容を持っていたとしても、印刷した時期や持ち主が異なっていれば、それぞれ違う来歴を持っていることになるからです。
本の形や紙の素材、筆跡や蔵書印、果ては書き込みや虫食いなど、本に残された様々な手がかりに注目することで、本だけでなく歴史や文学の来た道を辿ることができるかもしれません。

本展では、国立公文書館開館50周年・公文書管理法施行10周年を記念して、本の形態や素材に着目する書誌学の手法を用い、当館が誇るコレクションである内閣文庫から、様々な知識を教えてくれる「おしゃべりな本たち」をご紹介します。

<主な展示資料> ※会期中、保存の観点から一部展示替えをおこないます。

管 見 抄
管 見 抄(かんけんしょう)
唐の白居易(はくきょい 772-846)が著した漢詩文集『白氏文集-はくしもんじゅう』から、治政の参考になる詩文を抄出した書です。本資料は永仁3年(1295)に書写されたもので、京都智積院(ちしゃくいん)が所蔵する断簡のほかには伝本が知られていません。糊付けによる装丁方法「粘葉装-でっちょうそう」が用いられています。和学講談所旧蔵。

三十六人歌合

三十六人歌合(さんじゅうろくにんうたあわせ)
「三十六歌仙-さんじゅうろっかせん」と称される歌人たちの名歌を一首ずつ選び、歌合の形式で左右に編集した歌集で、文禄3年(1594)9月に書写されました。本文は近衛前久(このえさきひさ 1536-1612)の筆で、表紙の見返(みかえし)に描かれた龍虎の図は、狩野探幽(かのうたんゆう 1602-1674)が描いたと伝えられており、非常に豪華なつくりとなっています。京都学習院旧蔵。

貞観政要
貞観政要(じょうがんせいよう)(伏見版 ふしみばん)
唐の皇帝太宗(たいそう 在位:626-649)の政治論議をまとめた書で、編者は呉兢(ごきょう 670-749)。中国では為政者の教科書として読み継がれ、徳川家康(1543-1616)も愛読者の一人でした。本資料は、家康の命によって、京都伏見で印刷されたことから、伏見版と呼ばれます。慶長5年(1600)に出版されました。林羅山(はやしらざん 1583- 1657)旧蔵。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上展観を。
[ 詳細 : 国立公文書館 ]   { 活版 à la carte 国立公文書館 既出まとめ }

【展覧会】国立公文書館|令和3年 春の特別展|1964 高度成長と東京オリンピックの時代|令和3年4月10日-5月23日

国立公文書館
令和3年 春の特別展
1964 高度成長と東京オリンピックの時代
会  期  令和3年4月10日[土]-5月23日[日] 
      ※ 期間中無休
      ※ 期間中、展示室内の密接を避けるため、入室制限を行うことがあります。
開館時間  月-日曜日 午前9時15分-午後5時00分
      ※ 閲覧室の開室日時とは異なります。ご注意ください。
会  場  国立公文書館 本館
入  場  料  無 料
──────────────
すべては焼け野原から始まった ── 戦後の東京は、戦災からの復興、急速に進む都市化などによって驚くべき変貌を遂げました。 本展は、日本の大きな転換点となった高度成長という時代の中で変わりゆく東京の姿と、その中で開催された東京オリンピックの様子を、当館が所蔵する公文書を中心とした様々な資料から描きます。

◉ 主な展示資料

0304_01特別都市計画法
昭和19年(1944)以降、日本の主要な都市は空襲にさらされ、大きな損害を受けていました。戦後、戦災復興事業を迅速かつ徹底して行うため、指定を受けた戦災都市に適用される特別都市計画法が昭和21年9月に制定されました。同法により東京では区の存する区域と八王子が指定され、戦災復興都市計画が策定されました。0304_02東海道新幹線の建設
昭和33年(1958)12月12日、交通関係閣僚協議会が開催され、東京・大阪間の陸上輸送の需要予想、新幹線の工事費、採算性を検討した結果、東海道新幹線の早期着工と短期間の完成を目指すことが結論され、19日に閣議決定されました。これを受けて東海道新幹線建設は本格的に動き出し、昭和34年4月に起工式が行われ、昭和39年10月に開業しました。

0304_03ワシントンハイツの返還
代々木公園は、戦後アメリカ軍に接収され、宿舎施設「ワシントンハイツ」として利用されていました。東京オリンピック開催決定により、ワシントンハイツの返還を受け、選手村として利用しようという計画が持ち上がり、返還交渉が行われました。画像は、昭和36年(1961)10月に返還をアメリカ側に提案した際に作成されたワシントンハイツ配置図です。

※ 感染症予防対応実施中。下掲詳細を確認の上展観を。
[ 詳細 : 国立公文書館 ] 

【展覧会】国立公文書館|令和2年度 第1回企画展|「競い合う武士たち ─ 武芸からスポーツへ ─」 |令和2年6月16日-8月30日|会期変更開催

国立公文書館
令和2年度 第1回企画展 「競い合う武士たち ── 武芸からスポーツへ ──」
会  期  令和2年6月16日[火]-8月30日[日]会期を変更して開催
開館時間  月-日曜日 午前9時15分-午後5時00分
      * 期間中無休 入館は、閉館30分前まで
      * 期間中、展示室内の密接を避けるため、入室制限を行うことがあります。
会  場  国立公文書館 本館
入  場  料    無 料
──────────────
本展では、日本の近代スポーツの前史として、「武芸」を取り上げます。「武芸」の歴史を古代まで遡り、戦場での「武芸」や儀礼としての「武芸」、魅せる「武芸」、そして泰平の世となり戦場で戦うことがなくなった江戸時代の武士たちの「武芸」など、時代とともに武士の姿と武芸の性格が変化していく様相をご紹介します。

【主な展示資料】
小笠原礼書(おがさわられいしょ)
泰平の世となった江戸時代。衰退していった武芸を再興させるため、八代将軍徳川吉宗は古来の弓馬故実等の書物を閲覧していました。当館にはその書物や閲覧の記録が残されています。そのひとつが『小笠原礼書』と呼ばれる武家故実書でした。
『小笠原礼書』は、小笠原流の犬追物(いぬおうもの)・流鏑馬(やぶさめ)・笠懸(かさがけ)等、武家の弓馬の故実を伝える書物で、弓馬の故実だけでなく、器物の取扱法・配置法・書式・挨拶法等についても記されています。紅葉山文庫所蔵、全46冊12軸。

大狩盛典(たいしゅせいてん)
戦(いくさ)を知らない江戸時代の武士にとって、狩猟は、戦の場で求められる組織的な行動を学ぶ数少ない機会であり、身体鍛錬の場でもありました。
『大狩盛典』は、歴代将軍の狩猟に関する記録集です。特に享保・寛政・嘉永年間に行われた小金原(こがねはら)(現在の千葉県松戸市)の狩猟の様子が詳しく記されており、狩猟に動員された役人たちの羽織の図版等も記されています。紅葉山文庫所蔵、全163冊34鋪2軸。

[ 詳細 : 国立公文書館 ]

【展覧会】国立公文書館|令和元年度 第3回企画展 「初づくし ─ 初にまつわる江戸時代の行事・風習 ─」 |令和2年1月25日-3月8日

国立公文書館
令和元年度 第3回企画展
「初づくし ── 初にまつわる江戸時代の行事・風習 ──」
会  期  令和2年1月25日[土]-3月8日[日]
開館時間  月ー日曜日 午前9時15分-午後5時00分
      * 期間中無休
会  場  国立公文書館 本館
入  場  料   無 料
──────────────
お正月の初詣や書き初め、また、お食い初めや初午-はつうま-など、日本人の生活には「 初 」 にまつわる行事・風習が多く存在しています。これらに加えて、江戸時代には謡初-うたいぞめ-などの幕府・朝廷の行事をはじめとして、現代には見られない行事・風習もおこなわれていました。新元号になって「 初 」の年明けを迎えて開催する本展では、江戸時代の 「 初 」 にまつわる資料をご紹介します。

【関連イベント】ギャラリー・トーク
日 時  令和2年1月29日[水]、3月4日[水] 午前11時-午前11時30分
      2月19日[水] 午後2時-午後2時30分
場 所  国立公文書館(千代田区北の丸公園 3-2)1 階展示ホール
     企画展の見所について企画者が解説します。事前申込みは不要です。

[ 詳細: 国立公文書館 ] { 活版 à la carte まとめ }

【展覧会】国立公文書館|令和元年度 第1回企画展「紙に願いを-建白・請願の歴史 -」|5月25日-7月7日

国立公文書館
令和元年度 第1回企画展「紙に願いを -建白・請願の歴史 -」
会  期  令和元年5月25日[土]-7月7日[日]
開館時間  月-日曜日    午前9時15分-午後5時00分
      * 期間中無休 入館は閉館30分前まで
会  場  国立公文書館 本館
入  場  料  無   料
────────────────
国立公文書館では、板垣退助・江藤新平らが提出したことで知られる民撰議院設立建白書をはじめとした建白書や、大日本帝国憲法で国民の権利として規定された請願権に基づいて国民から政府に提出された請願書を所蔵しています。
本展では、建白・請願に関する制度の変遷とともに、時代を映し出す建白書や請願書から、当時の人びとが紙にこめた願いをご紹介します。

【主な展示資料】

民撰議院設立建白書
明治7年(1874)1月17日、板垣退助-いたがきたいすけ・後藤象二郎-ごとうしょうじろう・副島種臣-そえじまたねおみ・江藤新平-えとうしんぺい-らが左院に提出した建白書。翌日の新聞「日新真事誌-にっしんしんじし」に建白書の内容が公表されると大きな反響を呼び、政府に対して多くの建白がなされるきっかけとなりました。

足尾銅山鉱毒に関する請願書
栃木県の足尾銅山から排出された有害物質によって引き起こされた農作物などの被害について、明治35年(1902)に群馬県渡瀬-わたらせ-村などの住民から出された請願書。明治34年12月、田中正造-たなかしょうぞう-が明治天皇に直訴した事件が起こったことにより、鉱毒事件に対する世間の関心が高まる中で書かれました。
同資料では、銅山における鉱業の停止、政府の手による被害地の復旧など、事件の根本的解決を求めています。

請 願 令
大日本帝国憲法に定められた請願権(第30条)により、天皇や帝国議会への請願が可能となりました。当初、天皇や行政機関への請願手続きは法令などで明示されていませんでしたが、大正6年(1917)に制定された請願令により、天皇や行政機関に対する請願の具体的な手続きが定められました。

[ 詳細: 国立公文書館 ]

【ことのは】国立公文書館|あの日の公文書|暦年-1月1日ゟ12月31日迄と会計年度-4月1日ゟ3月31日迄のはじまり

国立公文書館 ニュース
Vol . 17  3月-5月  
A 4 判 8ページ 中綴じ フルカラー 表紙四ゟ紹介

会計年度はなぜ四月はじまりなのか

4月は新しい年度を迎え心弾む時期。このように私たちの生活に密接な「年度」は、明治時代の会計年度が元になりました。当初から4月はじまりだったわけでなく、明治政府により会計年度がはじめて制度化された明治2年(1869)は、10月はじまり。続いて西暦を採用した明治6年からは1月はじまりになりました。つまり、暦年と年度のはじまりが同じ時代があったのです。
明治8年からは、地租の納期にあわせるという目的で、7月はじまりになりました。

次に会計年度を変更したのは、明治17年(1884)。その頃の日本は国権強化策から軍事費が激増し、収支の悪化が顕著になっていました。当時の大蔵卿である松方正義は、任期中の赤字を削減するために、次年度の予算の一部を今年度の収入に繰り上げる施策を実施。この施策は珍しくなく、当時はよくおこなわれていました。
そして予算繰り上げによるやりくりの破綻を防ぐため、松方は一策を講じました。明治19年度の会計年度のスタートを7月はじまりから4月はじまりに法改正したのです。この改正により、明治18年度は7月から翌年3月までの9ヶ月に短縮され、予算の辻褄をあわせると同時に赤字も削減されました。

こうして会計年度は4月はじまりになりましたが、この会計年度にあわせる形で学校などの新年度も4月開始になっていきました。その後、現在まで4月はじまりの年度は続いています。

「会計法制定弁会計検査院職制章程更定ノ件」。会計年度を7月から翌年6月とする旨が記され、はじめて会計年度が法制化された。
公文類聚-こうぶんるいしゅう-に収録された「会計年度ヲ改定ス」。明治19年から会計年度を4月はじまりに変更するなどの改定内容と、改定により予算繰り上げの問題が解決する旨が記されている。

【 詳細: 国立公文書館 】 { 活版アラカルト まとめ }

【かきしるす】国立公文書館 ── 館名と「新元号 平成」を書したひとはたれか

国立公文書館 ── 館名と「新元号 平成」を書したひとはたれか

新元号〝 平  成 〟を発表する小渕恵三官房長官(当時)

【 平 成 】
昭和64年(1989)1月7日、昭和天皇の崩御に伴って、政府は新元号を「平成」と制定。

1月8日午前0時から平成元年がはじまった。
政府によって発表された首相談話では、「平成」の出典として、『史記』五帝本紀の「内平外成ー内平かに外成る」、『書経-偽古文尚書』大禹謨の「地平天成-地平かに天成る」が示され、「『平成』には国の内外にも天地にも平和が達成されるという意味が込められている」とされた。

国立公文書館 ニュース
Vol . 17  3月-5月  
A 4 判 8ページ 中綴じ フルカラー 表紙四ゟ紹介

左)元総理府辞令専門官:河東純一氏  右)元内閣官房長官秘書官:石附  弘氏

平成への改元に際しては、ときの小渕官房長官が、額入りの書「平成」をかかげて国民に新元号を披露しました。
披露にあたって額入りとするアイデアは、元内閣官房長官秘書官:石附  弘氏とされます。
この「平成」の揮毫者と、国立公文書館 館名の書藝者は同一人物で、元総理府辞令専門官:河東純一氏(1946-)によりました。
[参考:人事院総裁賞 第18回(平成17年)「人事院総裁賞」個人部門受賞者]加藤純一氏

昭和から平成の改元とはことなり、今回は生前退位によりますから、すでに新元号発表の準備はなされているはずです。それでもこうした裏方ともいえるひとの貢献が公開されるのには時間が必要なようです。

【国立公文書館】企画展「温泉 ~江戸の湯めぐり~」|一筆啓上仕候 …… 私儀就病気湯治願之儀願之通御差図被下ニ付御礼一札|面倒なものです

私儀就病気湯治願之儀願之通御差図被下ニ付御礼一札
一筆啓上仕候 ……

わたくしぎびょうきにつきとうじねがいのぎねがいのとおりおさしずくださるにつきおれいいっさつ
いっぴつけいじょうつかまつりそうろう ……..

上野国伊勢崎藩の前藩主酒井忠恒(寸升)は、元治元年(1864)に幕府へ湯治願を提出しました。本資料は、酒井寸升が幕府老中宛に差し出した湯治願が許可されたことに対する御礼の書状です。

{新宿餘談}
国立公文書館本館で、平成30年度 第4回企画展「温泉 ~江戸の湯めぐり~」が開催されている。展示資料のなかに上掲「私儀就病気湯治願之儀願之通御差図被下ニ付御礼一札-わたくしぎびょうきにつきとうじねがいのぎねがいのとおりおさしずくださるにつきおれいいっさつ」があった。
本資料は、伊勢崎藩[前橋藩の支藩。維新時には二万石]の前藩主:酒井忠恒(寸升)が、幕府閣老・老中に湯治願を提出し、255年ほど前の元治元年(1864)にその湯治願が許可されたことに対する御礼の書状と解説されていた。

本文は文語、いわゆる候文で、仮名の使用はみられない。文末に署名し、さらに花押(かおう-署名の下に書く判、書き判ともいう。草書で書いた名をさらに様式化したもの)があり、その上部にちいさく忠恒としるしてある。さらに老中の姓と官職名を列記する大仰さであった。

隠居した大名でも、江戸・任地を離れる際にはこんな願い書を出し、許可が出れば礼状をしたため、戻れば報告するのが決まりであったようである。
町人も旅に出るのにはしかるべき町方の許可を得て、旅手形が発行され、それがない者は各地に設けられた関所を通過できず、宿にも泊まれなかったとされる。
明治維新後、大名は藩知事などの変遷を経て華族となったが、民衆の移動の自由が保障されたのは明治憲法の発布を待ってからのことになる。温泉にいくのにも容易ではなかったことがわかる。

国立公文書館
平成30年度 第4回企画展「温泉 ~江戸の湯めぐり~」
会  期  平成31年1月26日[土]-3月9日[土]
開館日時  毎週月曜日-土曜日 午前9時15分-午後00分
      * 閲覧室の開室日時とは異なります。ご注意ください。
      * 日曜・祝日は休止
会  場  国立公文書館 本館
      千代田区北の丸公園3-2 1階展示場
入  場  料  無  料
────────────────
日本人が古くから親しんできた温泉。江戸時代には、名所図会、紀行文などを通して情報が広く流布し、多くの人々が温泉地に訪れました。本展示では、江戸時代の資料を中心に、人々と温泉の関わりをご紹介します。

【 詳細: 国立公文書館 】 {関連:活版アラカルト

【 伊勢崎藩-いせさきはん 】
続きを読む