講師:小宮山 清さん ── 1931年(昭和6)2月26日うまれ
【朗文堂 ちいさな勉強会】「戦後の復興期から高度学術書組版・印刷に挑戦を重ねたひと」が、小宮山清さんを講師にお迎えして、8月23日[金]に開催された。
小宮山清 さんは、ページ物欧文組版、欧文印刷、とりわけ、わが国の有力大学出版局、欧米著名大学東洋学などの分野における「欧文・漢文(中国語)、欧文・和文」などが混用となる「高度学術書の組版・印刷」に関しては、わが国有数の知識と経験を有されている。
『 Cambridge History of China 組版指示書』(1981年9月)
受講者は、良きアマチュアであることを自覚している活版印刷の実践者であり、現在では DTP システムを駆使されているかたがほとんどであったが、次〻と机上に提示される「組版指示書」と、それにもとづく図書の実物をみて、なかば茫然。
しかもそれらが数年-十数年がかり、何十巻もの図書の一部であり、現在も刊行が継続されているものがあると聞いて唖然という状態であった。
もちろん現在は「小宮山印刷工業」には大量に電子機器が採用されているが、一部の活字版時代から継続刊行されている図書では、上掲図のような「組版指示書」は現在も有効であるとされた。懇談に移ってすぐに、待ちかねたように同社の組版機器とソフトウエアに関して質問があったが、
「エヘヘ、ね、みんなと同じじゃこういった仕事はとれないからね、エヘヘ」
と、いつものように「小宮山スマイル」で躱されていた。
まぁ、これこそ企業に営々と蓄積されたノウハウということであろう。
稿者の知る限りでは、小宮山さんはいまなお大型コンピューターを駆使されているし、つい近年まで、特殊組版処理システム「 TeX ; テフ、テック 」などにも習熟されていた。また「小宮山印刷工業」を含むページ物印刷業者では、画像処理はパソコンでも、文字組版は「業務用専用組版機」をもちいている企業も多い。
ともあれ今回の勉強会は、端物印刷とページ物印刷の典型的な違いを知る刺激的な機会となった。
【ちいさな勉強会】戦後の復興期から高度学術書印刷に挑戦を重ねたひと ── 講師:小宮山 清さん
[以下の記事は{ 活版 à la carte }8月19日 に掲載された記事に一部加筆修整したものです]