カテゴリー別アーカイブ: コラム

ポストカード Postcard と クリスマス Christmas の欧文表記に関する注意点

DSCN2014DSCN2092郵便局から<郵便はがき>の年賀状が発売され、まちかどには<年賀状印刷たまわります>ののぼりがはためく候になりました。
この時期、活版造形者の皆さんは「ことしのクリスマスカード、年賀状はどんなアイデアと印刷にしよう」と、楽しくもあり、悩ましくもなる季節です。
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例年のことながら、そろそろクリスマスカードや年賀状の準備にとりかかっているかたも多いこのとき、フト ふるい記事をおもいだしました。
どういうわけか造形者の一部、なかんずくデザイナーと称するすひとは横文字(欧文表記)に親近感をもつようで、郵便局の<郵便はがき>ではなく、欧文表記による私製の<Card>を印刷されることが多くみられます。
そこでのご注意点を ソッと …… 。

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【再掲載】 ポストカード Postcard と クリスマス Christmas
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 本項の元記事の掲載は<2014年12月03日 花筏>であった。
テーマと問題点に進展があまりがみられないこともあり、ここに再掲載した。

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というわけで、カレンダーののこりが、もうすぐあと二枚だけになりそうなこのとき、本コーナーを訪問していただいたゲストの皆さまに、しばしばあやまって使われている英語表記をご紹介したい。
ひとつは 「 郵便はがき ポストカード 」 で、ひとつは 「 クリスマス 」 である。

使用する資料は、英和辞書としてたかい評価がある 『 研究社 新英和大辞典 』 で、これは画像紹介の許可をいただいてある。
もうひとつは、『 THE OXFORD DICTIONARY for WRITERS AND EDITORS 』 ( Oxford University Press, 1981,  p.318) である。
同書は、オックスフォード大学出版局の刊行書で、執筆者と編集者にむけ、あまりに日常化していて、ついうっかり、あぁ知らなかった、というたぐいの表記、間違えやすい英単語を中心に、簡潔に紹介したものである。同書には意外な記述がみられる。

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ここには 「 post  郵便 」 から派生した英単語を列挙して、「 abbr.  省略語、短縮語 」、「 しばしばスペースを入れて二単語にされていますが、一単語ですよ 」、「 語間にハイフンを入れて表記してください 」 などと説明されている。
すなわち 『 THE OXFORD DICTIONARY for WRITERS AND EDITORS 』 では、
「 郵便はがき ポストカードは  postcard  と一単語にしてください。 post card のように二単語では無いのでご注意を。 省略語は p.c. です 」
と、簡略かつ明確にしるされている。

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いっぽう 『 研究社 新英和大辞典 』 では、とても丁寧に 「 postcard 」 を説明している。
ここでの標題語 「 post ・ card 」 の中黒点は、音節 ( syllable ) をあらわすものであり、ここに中黒やダッシュやスペースは不要。
さらに 『 研究社 新英和大辞典 』 では、「 郵便はがき (含む : 年賀はがき)」 にたいする日英の比較とともに、わざわざ強調の裏罫をもちいて、「 SYN  synonym  同義語、類義語 」 として、「 絵はがき  と はがき 」、「 postal card,  postcard 」 の使いわけと、英国と米国での相違まで説いている。

ご参考になったであろうか。
この問題は、わが国でもふるくから一部の識者から指摘されており、朗文堂 WebSite では 〈  タイポグラフィ実践用語集 は行 葉書・端書・はがき・ハガキ 〉 で、ずいぶん以前 ( まだ郵政省があって、専用ワープロを使っていた時代 ) から触れられている。
ところが、いまだに展覧会シーズンともなると、各種の造形者、とりわけ印刷メディアに関わることがおおい 「 印刷設計士/グラフィックデザイナー 」 の皆さんから、「 Post  Card 」 と、堂堂と二単語で印刷された 「 Postcard 」 をたくさん頂戴しているかなしい状態が長らくつづいている。

ふつうの生活人は、ほとんど 「官製はがき」 [このことばは、現代でも有効なのであろうか] をもちいるので、あまりこのミスは犯さなくて済む。
この 「活版造形者、 印刷設計士/グラフィックデザイナー 」 が犯しがちなミスは 意外とやっかいで、1883年(明治16)ごろから < 公文書では 「 葉書 」 としている > と 『広辞苑』 は説くが、その説明文をみると、すべて 「はがき」 としている。そして郵便局が販売しているカードには<郵便はがき>としるされている。

 いかがでしょう、  「 postcard , Postcard 」 。
「 過ちて改めざるを是を過ちと謂う 」、「 過ちては改むるに憚ることなかれ 」 という。
この名詞語は、名にし負う天下のオックスフォード大学の 執筆者や編集者でも 「 ついうっかり 」 なのであるから、なにも臆することはない。かくいうやつがれも、しばしばこうした誤用や誤謬をおかしては反省しきりの日日である。
そしてこの記事をみたあとは、「 そんなことは、昔から知ってたさ 」 、「 そんなの常識だろう 」 と、どっしり構えて欲しい。

それでもおひとりでも、正しく 「 postcard,  Postcard 」 をもちいれば、まずは大切な顧客(クライアント)に迷惑をかけることが無くなり、やがてちいさな波紋がどんどん拡大して、わが国の造形者が恥をかかなくなる日が近からんことを念願する。
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《 すこし気がはやいですか。 暮れになったら X’mas はやめ。そして口語の Xmas も慎重に 》
いっぽう 「 クリスマス 」 は少しやっかいである。
それは某国語辞書 『 広辞苑 』 が、どこか意地になって、クリスマスの項目で 「 Christmas,  Xmas 」 を説明しているからである。

それに牽かれたのであろうか、わが国の一部に 「 X’mas 」 と表記する向きがあるが、これは省略を重複したもので完全に間違いである。

『 THE OXFORD DICTIONARY for WRITERS AND EDITORS 』 では、「 Christmas  クリスマス 」 は執筆者や編集者にとってはあまりに平易であり、関心が乏しいようで、わずかに「 Cristmas (cap.)」 として、文頭を大文字にすること (p.70) 〈 参照/タイポグラフィ実践用語集 き行 キャピタライゼーション : capitalization 〉 として簡略に触れている。

またギリシャ語由来の 「 Xmas 」 には、キリスト教徒の一部に抵抗を感ずる向きがあって、やつがれも20年ほど前に来社したアメリカの知人から、
「 ここに来るまでに X’mas,  X’mas Sale のディスプレイがたくさんあった。 あれはクレイジーだ。  Xmas ( エクスマス ) にも、発音からわたしには抵抗がある。 それよりどうして日本では、11月のはじめから Christmas をはじめるのだ 」
と責められたことがあった。

宗教や宗派、そして発音までがからむと、やつがれの手にあまる。
まして某国語辞典の存在もあって困惑していたが、『 研究社 新英和大辞典 』 に、わかりやすく 「 クリスマス 」 の解説があった。長文にわたるので、その紹介にあたって、画像紹介の許可を研究社からいただくことができた。
そしてことしの暮れは、せめて 「 X’mas,  X’mas Sale 」 を見なくてすむように念願したい。 そしてあくまでも口語で、文章語ではない 「 Xmas,  Xmas Sale 」 を、大量配布される広告や印刷物などへの使用に際しては、おおいに慎重でありたいものである。
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アダナ・プレス倶楽部 2015年の年賀状

2015年賀状絵柄面 2015年賀状宛名面
アダナ ・ プレス倶楽部の年賀状は、例年、数ある欧文活字を時代性によっていくつかのカテゴリーにわけ、それを歴史順に一書体ずつ選択して製作してきました。

これまでの年賀状では、ブラック ・ レター、ヴェネチアン ・ ローマン、オールド ・ ローマン、トランジショナル ・ ローマン、モダン ・ ローマン、クラレンドンを経て、昨年からはサンセリフのカテゴリーに入りました。
昨年は 「 グロテスク ・ サンセリフ 」 の 「 フランクリン ・ ゴシック 」 を使用しましたが、今年は 「 ネオ ・ グロテスク 」 の 「 ヘルベチカ 」 の登場です。
今年の年賀状の活字は 絵柄面に 24pt. と 18pt. のヘルベチカ、二号と三号のゴシック体の和文活字を使用しました。
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これまでは毎年、書体の歴史順に、さまざまな欧文活字書体を順繰りに愉しく使用してきましたが、サンセリフのカテゴリーに入った途端に、正直なところあまりおもしろさがなくなってきました。
ちょうど 『 いきなり黄金伝説 』 というテレビ番組の 「 ◯ ◯ のメニューを全部食べつくす 」 という企画で、「 デザート 」 のジャンルに突入した状況といえば、おわかりいただけますでしょうか。

一点一点は美味しいデザートでも、甘いものが何点も続くと食傷気味となってしまう、あの感じに近いものがあります。
しかし、サンセリフのカテゴリーには、まだ 「 ジオメトリック ・ サンセリフ 」 と 「 ヒューマニスティック ・ サンセリフ 」 のジャンルも残っています。 パフェとチーズケーキの後に、まだホットケーキとお汁粉が待っている有様のようです……。

さて、『 いきなり黄金伝説 』 といえば、よゐこの濱口氏の 「 捕ったど~!」 の雄叫びがこだまする 「 無人島生活 」 も人気のテレビ企画です。
このコーナーにおいて、濱口氏と有野氏が、お米の代わりに、小麦粉を練った物を、ちいさくちぎり、丸めて、米粒状にする作業を夜通しおこなう 「 チネリ米 」 をつくるのも番組の恒例となっています。
中国の北部では、この 「 チネリ米 」 が盛んにおこなわれていることを近年知りました。

中国南部、おおむね淮河ワイガ、揚子江(長江)あたりより南の地方は、温暖な気候でお米が採れますが、北部は寒冷な気候でお米が採れないために、主食はお米ではなく、小麦粉が中心となります。
そのため、淮河や黄河より北の地方では、小麦粉をもちいた麺や餃子や饅頭(マントウ)などが発達しており、「 チネリ米 」 のようなパスタ状の食品も存在します。

この中国のチネリ米は、本来は家族や仲間が食卓に集まって、前菜を食べながら、にぎやかに会話をしながら、ワイワイと愉しくチネッて作るものだそうです。
最近は時間や労力を惜しんで、飲食店であらかじめ準備されたものが出されることも多くなっていて、西安で羊肉が入った麺料理の店に入ったとき、店の従業員と家族が、お客さんに出すための 「 チネリ米 」 を総出でチネッている光景を見て微笑ましくなりました。

下掲の写真は、今年の01月10日に、中国北京の陝西省 ・ 西安料理のお店に入ったときに食べた 「 羊肉泡馍 」 という料理で、羊の肉とチネリ米が入っています。 安史の乱―― 唐の玄宗の末年755-63年に起こった叛乱で、安禄山父子・史思明父子が中心。叛乱の鎮圧後に各地に強大な権限をもった節度使がおかれ、それが軍閥化するなどして唐は衰退に向かった ―― にまつわる料理だそうです。
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写真上) さまざまな前菜のあとに、メインの「羊肉泡馍」。チネッた小麦粉と、羊肉が中心で、付けあわせに豆板醤、ニンニクの酢漬け、青菜などが登場します。
写真下) 陝西省料理ですので、北京市民にわかりやすく「羊肉泡馍」の特徴を解説したパネル。

2015年アダナ・プレス倶楽部の年賀状の絵柄面には、
子 曰 過 猶 不 及 ―― 『論語』先進篇
Less is more, More is Less ―― ミース・ファンダー・ローエ
のよく似たことばを組版しました。つまりなにごとも「過ぎたるは及ばざるが如し」です。
しかしながら、決して 「 引き算のデザイン 」 を賛美するわけではありません。「 侘 ・ 寂 」 といえば聞こえが良いですが、近年のわが国のデザインは、すこし 「 引き算 」 ばかりに偏り過ぎてきたように思います。 「 引き算 」 のデザインも 「 過ぎたるは及ばざるが如し 」 です。

「 引き算のデザイン 」 と 「 足し算のデザイン 」 双方のバランスが俯瞰できてこそ、いまだ 「 1920年代モダン 」 の影響が色濃いわが国のデザインが、幼いモダニズムから脱却し、デザインの未来への扉を開く力となることでしょう。
そのようなことを考えながら、20世紀モダンの落とし子たるサンセリフ群と格闘する日日がまだまだ続きそうです……。

春を待つこころ ー 早春賦の碑

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唱歌 『 早春賦 』(そうしゅんふ)は、1913年(大正02年)に発表されたもので、吉丸一昌作詞、中田章作曲の日本の唱歌。
この時代の唱歌によくみられるように、
モーツァルト作曲の歌曲 『 春への憧れ 』 K.596 との曲想の類似性が指摘されている。

この歌碑は、春の訪れがおそい、長野県安曇野市穂高の穂高川の岸辺に建っている。
その脇には、北アルプスの湧水をもちいた「わさび田」がひろがっている。
[ 2014年11月23日 撮影 ]
DSCN9371DSCN9376DSCN9360DSCN9379DSCN9365DSCN9367DSCN9369DSCN9368【 YouTube : 早春賦   由紀さおり & 安田祥子
【 関連情報 : 早春賦の碑

エッ、いまごろお正月 !? 上海在住の会員がご来社に。そして「老北京のご紹介」

恭賀新年

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《2014年01月31日、上海在住のアダナ・プレス倶楽部会員がご来社に》
もうすっかりお正月気分の消えた01月31日[金]、上海在住のアダナ・プレス倶楽部会員で、Adana-21J のユーザーでもある、畠中 結(はたけなか ゆい)さん、楊 黙(Yang Mo  1980-) さんご夫妻が来社され、「 dana-21J 操作指導教室」 を受講されました 【 リンク : YANG MO 】。

おふたりは留学先のドイツで知り合われて結婚されましたが、中国では夫婦別姓なのでそれぞれの姓をもちいておられます。 上海では畠中さんは商事会社に勤務、楊さんは版画家として活躍されています。


アトリエで作業中の楊 黙さん 同氏のWebsiteより

畠中 ・ 揚ご夫妻は小型活版印刷機 Adana-21J を一昨年暮れにご購入されましたが、これまで来日の機会がなく、操作指導教室の受講が延び延びになっていました。 それでもこれまでにたくさんの@メールのやりとりがあり、はじめてお会いしたとはおもえないほど会話がはずみました。

また今回は、中国では入手難な活版印刷関連資材や機器もたくさんご購入。 幸い畠中さんのご実家が京都にあるため、これまでの Adana-21J などの輸送と同様に、ご実家に送付して、ほかの荷物といっしょに船便輸送となるようです。
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《中国のお正月・春節は前年の12月中旬に政府が発表し、毎年時期がすこしずつかわります》
畠中 ・ 楊ご夫妻が来日されたのは 「 春節休暇/旧暦のお正月休暇 」 を利用してのことでした。
詳細はわかりませんが、中国では翌年の祝日を12月中旬に法定祝日として政府が発表するそうです 【 リンク :
中国の祝日 2013年/2014年 カレンダー 】。

中国には 元旦 ・ 春節 ・ 清明節 ・ 労働節 ・ 端午節 ・ 中秋節 ・ 国慶節などの祝日があり、それぞれ 3-7 連休となることがおおいようです。 ちなみに新暦のお正月(元旦)は、中国でもやはり法定祝日は01月01日ですが、休日期間は2013年は12月30日[日]-01月01日[火]の3連休で、2014年は01月01日[水]だけが休日でした。

また国民がもっとも重要視して、郷里で家族 ・ 親戚とにぎやかにすごすことが多い 「 春節 ・ 旧暦のお正月と連休 」 は、2013年の法定祝日は02月10日[日]で、休日期間は02月09日[土]-15日[金]の7連休でした。 ところが2014年の法定祝日は01月31日[金]で、休日は01月31日[金]-02月06日[木]の7連休です。

これではカレンダーやダイアリーの製造者はたまったものではありませんね。 しかもことしは大晦日にあたる01月30日が祝日ではないために、春節元旦までの帰省を楽しみにしていたおおくの民衆から不評をかったようです【リンク:上海 ロイター2013年12月記事】。
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《 変貌著しい中国ですが、アダナ ・ プレス倶楽部コラム欄にて 「 老北京-ふるき よき 北京 」 をご紹介 》
DSCN0399tori DSCN0394tori DSCN0432 DSCN0360 DSCN0456北京オリンピック、上海万博と、おおきなイベントが相次いで開催され、そしてついでに、勢いあまって都市公害なども話題となる昨今の中国です。 それはちょうど1960-70年代のわが国のように、活気に満ち、変化の激しい世相を現出しています。
それでも数千年の歴史を刻んできた中国では、春節を祝い、古き良きものへの関心を失っていません。

最近中国の友人に 「 紫金城 ・ 故宮博物院 」 内の、三層におよぶ京劇の舞台  ——  かつては同時にみっつの京劇が上演され、それを皇帝をはじめ廷臣が観劇する御殿も併設されています —— をご案内いただきました。 そんなこともあって、これから数回にわたってアダナ ・ プレス倶楽部コラム欄において、「 老北京 —— ふるきよき北京 」 をご紹介いたします。お楽しみください。
【 リンク : はじめての京劇鑑賞 そのⅠ 湖廣會館——アダナ・プレス倶楽部コラム
 】

【会員の皆さまへ】 トロロアオイを育ててみませんか?

写真:熊田達夫 『植物の世界 75』 (朝日新聞社 1995)

唐突ですが……、一緒に「とろろアオイ」を育てていただけるかたを募集中です。
一年草のアオイ科の仲間には「ぜにアオイ」「たちアオイ」「もみじアオイ」などがありますが、「とろろアオイ」は印刷狂・活字狂・愛書狂をもって自他ともにゆるした「アオイ書房」の志茂太郎が、その社名にもしたほど愛した花として知られます。
またその根の粘液は和紙の糊料(俗にネリ)
として用いられ、古くは胃腸炎や喉頭炎の漢方薬としても利用されました。

全くの偶然でした……。奥多摩の活字版印刷所を訪ねた際に、すぐ近くに東京都指定の無形文化財になっている「手漉き紙」の工房があることを知りました。
さっそくバスに乗って駆けつけると、そこでは都内でたった一ヶ所だけの伝統技法による「紙すき」が実施されていました。

この工房と手漉き紙のことは、なにぶん仕事の合間に駆けつけただけでして、まだあまりに情報不足です。ですから改めて取材してご報告しますが、5月27日、ちょうど工房を訪れた際に、黒ポットで密生した「とろろアオイ」の苗を一本立ちにする作業がされていて、その黒ポットを五鉢わけていただきました。

帰宅後調べてみると、いまの苗こそ可憐ですが、成長がはやく、高さは1メートル余になり、茎の太さは5―10センチにまで巨大化するようです。そして晩夏のころ、茎頂に黄色の大形の五弁の花を1日だけ開花するようです。
ですから花も見たいし、根から採れるという粘液も採取して、また工房を訪れて「手漉き紙」を抄造したいのですが、猫の額はおろか、鼠の額ほどもないベランダ花壇では心許ないものがあります。

そこで、いただいた黒ポットの種苗を見よう見まねで一本立ちにして、成長を見まもっています。もし皆さまのうち、お庭が広かったり、プランターで育ててみようとおもわれるかたがいらっしゃいましたら、ご遠慮なくお申し出ください。
ご来社いただければもちろん無料でおわけします。
ついでながら……、もったいないとおもいながら抜いた「とろろアオイ」の若芽は、いっしょに採集してきた三匹の「カタツムリ」がムシャムシャと食べ尽くしてしまいました。この「カタツムリ」のおはなしは、いずれまた。

後日記 : とろろアオイの苗、配布終了いたしました。
それぞれのお庭やベランダで、すくすくと成長しますように!