《錯綜する中国の活字製造と活版印刷関連情報》
なにしろ広大な国土の中国ですから、活字製造と活版印刷関連情報とひとくちにいっても、とかく情報が混乱して錯綜しています。
情報がはいりやすい北京とその近郊には、すでに活字製造業者は無いことは確実のようですが、
「中国東北部の吉林省や遼寧省では、まだ活版印刷業者があって、活字も供給されているようだ」
「中国南西部の四川省でも、まだ金属活字の製造が継続しているようだ」
といった、伝聞や風評ばかりで、歯がゆいものがありました。
ところで、上海で活躍する版画家:楊 黙さんと畠中 結さんのご夫妻は、2012年の暮れに、朗文堂 アダナ・プレス倶楽部から <小型活版印刷機 Adana-21J >をご購入されました。上掲写真のように、 Adana-21J は楊 黙さんのスタジオに設置されて、その造形活動の拡大に貢献しています。
そんなおふたりから、今般上海郊外の活字鋳造所の現況報告と写真をご送付いただきました。〈活版アラカルト〉のページでご紹介いたします。
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★ 中国 上海の活字製造と活版印刷関連情報 ── 畠中結さんからのご報告
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楊 黙 Yang Mo ┊ 1980年中国うまれ
中国上海在住。日常生活のすべてを芸術、デジタル・デザイン、版画製作に捧げているアーティスト。
楊氏は南京芸術大学を卒業し、そののち版画製作の最先端の研究を、ドイツ中央部、芸術と大学都市、カッセル(Kassel)で続行した。同地で日本から留学中の畠中 結さんと知り合って結婚した(中国では夫婦別姓がふつう)。
中国に帰国後、ふたりは上海にアトリエを開設して、中国各地でいくつかの展覧会を開催した。また2012年の東京TDC賞にも選ばれている。
楊氏はおもにデジタル・デザイナーとして活躍しているが、常に彼自身の版画作品をつくって、現代中国では顧みられることの少ない、あたらしい版画芸術を提案し続ける、意欲にあふれる造形家である。