【お客さまご訪問】中華書局:李 晨光氏、商務印書館(香港):毛 永波氏

DSCN8622《 2015年04月03日〔金〕、おふたりの中国の印刷 ・ 出版人がご来社に 》
朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部のホームページをプリントされ、それを提示されながらの、ほとんどノーアポでのご訪問でした。
日本で<活版ルネサンス>の動向が顕著なことと、朗文堂 アダナ ・ プレス倶楽部のうわさわ聞きつけてのご訪問でした。
◎ 写真左) 李 晨光( 中華書局  デジタル出版センター主任 )
◎ 写真右) 毛 永波商務印書館〔香港〕有限公司 取締役 ・ 副編集長 )

おふたりは <第18回 東アジア出版人会議 > のパネラーとして来日され、その寸暇をぬすんでのご訪問でした。
おふたりの 報告事項 は以下のとおり。

◎ 李 晨光  中華書局の古籍デジタル化と『中華経典古籍庫』
中華書局は中華人民共和国の代表的な出版社。
1912年(中華民国元年 ・ 大正元年)に 陸 費逵 ( 伯鴻 ) によって上海で設立された。
小学校や中学校の教科書の出版を中心とした出版社で、古典籍や、自然科学書 ・ 社会科学書 ・ 文芸書 ・ 参考図書類をも印刷出版している。
1954年05月に北京に本社を移転した。現住所は、北京市豊台区太平橋西里38号。

◎ 毛 永波  香港商務印書館のデジタル出版の歩みを追う
商務印書館は中華人民共和国の代表的な出版社。
上海租界(外国租借地)にあった米国美華書館
American Presbyterian Mission Press)の職員であった、夏 瑞芳、鲍 咸恩、鲍 咸昌、高 鳳池ら四人が、米国籍の長老会牧師 George Field Fitch ( 中国表記 : 費啓鴻、1845-1923 ) の支援をえて、1897年(清朝光緒期 ・ 明治30 ) 02月11日に上海において設立された。
現在は本社を北京王府井におき、支社網を全土に置き、商業印刷にとどまらず、総合出版 ・ 印刷所として中国第一の規模をほこる。

DSCN8627《 デジタルプリントはほどほどに、中華書局 : 聚珍倣宋版、商務印書館 : 倣宋体活字で話題がおおいに盛りあがる 》
中華書局には 「 聚珍倣宋版 」 があり、商務印書局には 「 倣宋体活字 」 という、すぐれた本文用活字書体がある。
このふたつの活字書体はわが国にも昭和前期にもたらされ、中華書局系は名古屋 ・ 津田三省堂らによって 「 宋朝体 」 の商品名で発売された。 商務印書館系は大阪 ・ 森川龍文堂によってもたらされ、「 龍宋 」 の商品名で発売されていた。

この宋王朝刊本字様に淵源を発する活字書体を、故 ・ 毛沢東首席が好んだ ことは紹介した。
また現代中国では、宋体 ( わが国の明朝体 ) にかえて、倣宋体 ( わが国のいわゆる宋朝体 ) が再評価されている。
たまたま小社でも 「 宋朝体研究 」 が進行中で、その資料をみたおふたりとも、おおいに驚き、喜んでいただいた。
どうやらデジタルメディアに職掌上たずさわっていても、やはり印刷 ・ 出版人の < 活字好き > は日中ともに変わらないようであった。

【 関連情報 : 花筏 宋朝体活字の源流:聚珍倣宋版と倣宋版 01-04 】 
聚珍倣宋版表紙DSCN0892 DSCN0895 活字組版印刷見本帳 『 聚珍倣宋版式各種様張 』 と、創成者 : 丁 輔之 と 丁 善之