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【展覧会】武蔵野市立吉祥寺美術館|企画展 宮本典刀 ― 街の記憶 ―|’25年4月12日-6月1日|終了

武蔵野市立吉祥寺美術館
企画展 宮本典刀 ― 街の記憶 ―
会  期  2025年4月12日[土]- 6月1日[日]
休  館  日  4月30日[水]、5月28日[水]
開館時間  午前10時00分 - 午後7時30分
入  館  料  一 般 300円、中高生 100円、小学生以下・65歳以上・障がい者のかたは無料
会場案内  武蔵野市立吉祥寺美術館
      〠 180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目8番16号 FFビル7階
      電話:0422-22-0385 ファクス:0422-22-0386 ▷ 交通・アクセス  
主  催  武蔵野市立吉祥寺美術館(公益財団法人 武蔵野文化生涯学習事業団)
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 どこかにある、どこでもない、街の風景―

銅版画家・宮本典刀-みやもと のりわき-は、いわく「心のなかに沈んでいる記憶」を丁寧に拾いあげ、それらを再構築して、街の風景を描いています。
宮本は、旅先で、あるいは日常生活の延長で、大通りから人目につかない裏路地にいたるまで、長い時間をかけて、街を歩きまわります。その間、スケッチブックをひろげて写生をしたり、メモを取ったりすることはありません。彼はひたすら歩きつづけ、光や色、肌に触れる空気、におい、音など、街をかたちづくっている要素を、そのままに、心身に受けとめてゆきます。そして、宮本のうちに集積した街のさまざまな「記憶」は、切妻屋根の家々、煙突や橋といった、人間の暮らしを暗示する構造物のかたちをとって、描きだされます。

宮本の画面は、微細かつ均質な粒子によってあらわされたアクアチントの色面を、彼のきわめて精密な技術をもって構成することで成立しています。いわゆる写実からは遠いところにあるフラットな表現は、私たちを個の特定から解き放ちます。どこでもない風景のなかで、私たちは自身の心奥に眠る「記憶」との邂逅をはたし、私たちを私たちたらしめているものと、向き合うことになるのです。
また、音楽との関係性も特筆すべき点です。宮本は日ごろから多彩な音楽に触れ、とりわけスペインやポルトガルの民族音楽、またF.モンポウやR.シュトラウスなどの楽曲を愛聴し、ときに音楽から着想した画題も生まれます。とはいえ彼は、音楽との結びつきを殊更に意識しているわけではありません。「色をみると音が聴こえる」「音がみえる」とは宮本のことばですが、たとえば絵画作品などを鑑賞する際にも、そこにおのずと音を感じとるといいます。
本展は、宮本典刀の作品を個展として紹介する、美術館では初めての機会です。宮本がアクアチントの色面によって街を描き始めた1999年以降の作品を中心に、最初期作と最新作を含む約70点を展観します。
あらゆる情報が瞬時に過ぎ去ってゆくばかりのいま、私たちが見失った「記憶」はどれほどあるでしょうか。宮本の作品をとおし、それらとふたたび出あうことができるかもしれません。

※ 下掲詳細公式サイトで最新情報を確認の上ご観覧を。
[ 詳 細 : 武蔵野市立吉祥寺美術館