新宿私塾 製本講座 +


新宿私塾第20期 第18回講座
2012年7月21日[土]
特別演習 製本術入門
特別講師:西尾 彩 さん
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梅雨も明け、爽やかな風が吹いていました。
土曜日、特別演習、きょうはすこし長丁場になる。
午後1時、たれも遅刻無く、全員集合。
新宿私塾 第1期から担当していただいている
西尾彩さんによる特別演習「製本術入門」。


右端が講師の西尾 彩さん。
新宿私塾はタイポグラフィを中核として、造形・形成に関する多彩な
講座を設けています。通常は2コマ、都合3時間の夜間講座ですが
フィールドワークや、ここに紹介するような 5 時間にわたる特別講座もあります。
「製本術入門」は、講師の西尾  彩さんの指導をうけながら
手づくり洋式製本を体験する講座です。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 西尾さんは通算4年余におよぶ英国留学のあいだ、その居を
19世紀世紀末 アーツ&クラフツ運動の発信地のひとつ
ロンドンのテムズ河畔のハマースミス通りにおかれていました。
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講座が進行するのにつれ、西洋製本術の基本とは
16世紀ドイツの書物、いわゆる『西洋職人づくし』、
『Eygentliche Beschreibung aller Ständeauff Erden』
(詩:ハンス・ザックス、木版画:ヨースト・アマン、フランクフルト、1568年)
に描かれた製本士とも、19世紀世紀末の英国、アーツ&クラフツ運動の
造形家たちとも通底する、身体性をともなった造形であることに気づかされます。
そして、そのおもしろさに次第に惹かれていきます。
特別演習は全員が製作を完了して、夕方6時に終了。
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ところで塾生諸君、演習でのここちよい達成感が醒めぬまま、
「懇親会」と称して、夕暮れの街に、連れ立ってきえていきました。

活版凸凹フェスタ2012 レポート 再開

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遅くなりましたが《活版凸凹フェスタ 2912》レポートを再開します。
ください。五月の薫風にのせて、五感を駆使した造形活動、
参加型の活字版印刷の祭典《活版凸凹フェスタ 2012》 は
たくさんのご来場者をお迎えして、終了しました。
ご来場たまわりました皆さま、
ありがとうございました。
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【レポートの中断と、ご報告遅延のお詫び】
《活版凸凹フェスタ2012》は、5月の連休のさなか、5月3日-6日にかけて開催されました。事前準備・途中経過の報告は、朗文堂 タイポグラフィ・ブログロール『花 筏 』に《活版凸凹フェスタ2012*01-11》として掲載されています。
来年こそ《活版凸凹フェスタ》に出展しよう、来年こそ来場しようという関心のあるかたは、ご面倒でも『花 筏 』のアーカイブ・ページを繰ってご覧ください。

また、なにかとイベントがかさなるGW中のことでもあり、ご遠方のかた、家族サービスなど、さまざまなご事情で来場できなかったお客さまから、寸描でもよいから、会場やイベント内容を報告してほしいとのご要望がありました。

ところが、アダナ・プレス倶楽部は、5-6月と、さまざまなゼミナール、イベント、出荷、取材に追われ、 報告が遅滞してご不便をおかけしていました。

また今回の《活版凸凹フェスタ2012》は、スタッフが接客や活版ゼミナールの対応に追われ、撮影担当者を特定していなかったという失敗がありました。そのために写真資料をアダナ・プレス倶楽部会員の皆さんからご提供をもとめ、ようやく準備が整った次第です。

ここに『花筏』から、本来のステージ『アダナ・プレス倶楽部NEWS』に舞台をもどして、なにかと多忙な大石にかわり、やつがれ(片塩)が《活版凸凹フェスタ2012》レポートを継続します。

チョット面白い ふたつのWebsite 紹介

タイポグラファの皆さまへ

梅雨模様の天候になりました。
雨ニモマケズ  風ニモマケズ  お元気でご活躍のことと存じます。
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『japan japanese』 (ヘルムート・シュミット、朗文堂、2012年03月20日)の販売が順調に推移しています。
こんな時代ですから、外国からも気軽に@メールで『japan japanese』 の注文が舞い込みます。
昨日イタリアから一通の@メールが着信しました。

『japan japanese』本文p79より。右端の人物は著者。

 どこかで見たようなお名前だなとおもいました。
Websiteのアドレスが附記されていたので、のぞいてみたら、ベネトン社が元気なころ、同社のPR誌『COLORS』のデザイン・スタッフだったかたでした。

お若い読者の皆さんはご存じないかもしれませんが、かつて朗文堂は『ESPRIT』(品切れ)、『GLOVAL VISION  UNITED COLORS BENETTON』(特価販売中)という、ファッション系の書籍を刊行した!? ことがありました。
そのころはイタリア・パルマ造形大学出身のCD兼カメラマンとして、 Robert Carra, Oliviero Toscani や、タモツ ヤギさんらとともに、サンフランシスコ、NY、LA、そしてイタリアのベネト村などを駆けめぐったことをなつかしくおもいだします。

ネットをよくご覧になっているかたでしたら別ですが、意外にイタリアのヒューマン・コミュニケーション・デザインなどは紹介されないものです。
またウェッヴのデザインをされているかたなら、なんらかの参考になるものもあると存じます。データーが重いのが難点ですが、一度のぞいてみてください。

www.paolopalma.com

INFO コーナーの Friends―Links のなかにも、いくつか興味深いものもあります。

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youku     字体設計師今田欣一先生的演講 ?!
YouTubu 書体デザイナー 今田欣一さんの講演 

2012年1月、中国北京で実施されたタイポグラフィ講演会に、欣喜堂・今田欣一氏が招待されました。現地での講演の模様が中国版 YouTubu ── yuokuというようです── に紹介されているとユーザー様から情報をいただきました。
こちらもデータが重くて読み込みに少し時間がかかります。また番組では冒頭に、なぜか、痩身美容などの広告が少しはいりますが、チョット我慢していただけると、今田さんの講演がはじまります。時間は38分余と長いものですので、まぁそこは話の種として……。
そして中国の動画サイト  yuoku  の氾濫ぶりもチョットのぞいてみられたらいかがでしょう。

http://v.youku.com/v_show/id_XMzczNTkyMTE2.html


『和字 Succession 9 』。
原字製作:今田欣一、パッケージデザイン:白井敬尚
和字[ひら仮名・カタ仮名]の、さきがけ、ふみて、しおり、さおとめ、まどか、ほくと、うぐいす、いしぶみ、くろふねの9書体がセット。朗文堂タイプ・コスミイク扱い、欣喜堂シリーズの中でも人気パッケージのひとつです。

正調明朝体 さおとめ金陵 使用例のご紹介

タイポグラファの皆さまへ

ご好評いただいております『正調明朝体 金陵』の使用例として
NHK大河ドラマ「平清盛」の下記のウェブページに
『正調明朝体  さおとめ金陵』が使われています。
肖像権の関係もあり、ここに画像紹介はできませんが、下記のURLから
ご覧いただけましたら幸甚です。

◎  山本耕史(藤原頼長)インタビュー
◎  井浦 新(崇徳上皇)インタビュー
◎ 三上博史(鳥羽法皇)インタビュー

 

 《正調明朝体 金陵 について》
まだ四角四面が好きですか?
こんな問いかけから『正調明朝体 金陵』 の発売がはじまりました。

「正調明朝体」とはすこしおおげさな名前かもしれません。このあたらしい書体はべつに古拙感を演出した筆写体でも、奇をてらった装飾書体でもありません。正調明朝体「金陵」は、中国・南京の街の雅称から名づけられ、その金陵にあった大明南京国子監刊行の木版刊本『南斉書』にみられる端正な明朝体字様を現代に再生したものです。

明王朝(1368―1644)は、漢民族の朱元璋・太祖が蒙古族の元王朝をたおして南京に建朝しましたが、四代目の皇帝・成祖のときから都を北京に移しました。
 
また「国子監」とは、もともとは西漢(前漢)の武帝のころ、官吏養成のために設立された「大学 タイガク」のことですが、明王朝になってからは、中央官僚を養成する大学の機能とともに、国家によるすべての学問を統括する中央官庁としての「国子監」なりました。
 
明王朝の都が北方の北京に移転してからも、王朝による出版活動は「南監本」とされて、官刊本の歴史がながい南京を中心に展開されました。その明王朝によるもっとも典型的な官刊本、すなわち正調明朝体字様がうかがえる書物が『南斉書』といってよいでしょう。

「現代明朝体」には近代化の名のもとに機械メスや電子メスが自在にはいって、直線化がすすみ、水平線と垂直線ばかりが目立って、すっかり四角四面の硬直した活字書体になってしまいました。

そんな「現代明朝体」から人間味をとりもどしたいあなたに、あるいは奇形や媚態をみせるデザイン書体にはすでに飽いたとおっしゃるあなたのために、明朝体の端正にして、もっとも原型にちかい木版字様を復刻した正調明朝体「金陵」をおすすめします。
「金陵」には伝統のたかみにある和字書体(平仮名と片仮名)三書体が標準でセットされており用途に応じた選択ができます。

「朗文堂 タイプ・コスミイク」と、「朗文堂 ブック・コスミイク」では、簡便なカタログではありますが、印刷物で用意しております。ご希望のかたはご遠慮無くお申込みください。 

好評発売中! 四川宋朝体 龍爪

Digital Typefaces for Professionals
OpenType for the Macintosh and the Windows

四川宋朝体 龍爪 Combination 3

もとい龍爪リュウソウ さきがけ龍爪リュウソウ  かもめ龍爪リュウソウ

《顔 真卿 生誕1300年祭と、顔真卿書法が刊本字様に与えた影響》
顔真卿(ガン-シンケイ  709-85)の生誕から1300年を迎え、いまなお中国各地では顔真卿がおおきな話題となり、顔真卿関連の書芸展が盛んに開催され、関連図書の刊行もさかんです。

顔真卿生誕1300年(2009年イベント開始)を期し、早朝から賑わう西安碑林博物館

顔真卿関連の石碑が集中する西安碑林博物館の第3-4室は、日中は中国人の団体客が押しよせていて、あまりの混雑で、ほとんど碑面の閲覧もできないほどの状態だった。たまたまホテルが至近距離にあったのを幸い、翌早朝に再度参観に訪れた。このときもまだ、ご覧のように顔真卿生誕1300年記念の赤い垂れ幕が掲出されていた。2011年09月

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robundo type cosmique には、この顔真卿書風に淵源をみる、四川刊本書体  『四川宋朝体 龍爪 Combination 3』  があります。
わが国では、顔真卿生誕1300年のことは、書法界の一部で話題になったものの、ひろくはあまり関心がもたれなかったようです。
そこであらためて、皆さまに唐王朝中期の、忠義の志をもった政府高官にして、文武のひとでもあった顔真卿をご紹介し、あわせてデジタル・タイプ 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』 をご紹介するとともに、この書体をもちいた名刺製作の実例をご紹介します。

顔真卿の肖像画 中国版Websiteより 

中国の南西部・四川省は、ふるくは蜀ショクとよばれていました。蜀は唐王朝末期の板目木版による複製法、刊本印刷術の発祥地のひとつで、その刊本字様(書体)は顔真卿書法の系譜をひくものとされています。また四川刊本は「蜀大字本」とも呼ばれ、
「字大如銭、墨黒似漆 ── 文字は古銭のように大きく、文字の墨の色は黒漆のように濃い」
と高い評価がなされています。
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強勢王朝として威をほこった唐王朝(20代、618-907)ののち、五代十国の混乱をへて建朝された宋(北宋、960-1127)の時代にも、唐王朝官刊本の伝統的な体裁を四川刊本は継承していました。
また女真族の金国との争乱に敗れ、都を開封から臨安(現・杭州)に移して建朝された南宋(1129-1279)での刊刻事業の継続と、覆刻(かぶせぼり)のための原本の供給に、四川刊本は大きな貢献をはたしました。

ところが、こうした四川刊本も、相次いだ戦乱と、文書弾圧のなかに没して『周礼 シュライ』『新刊唐昌黎先生論語筆十巻』『蘇文忠公奏議』など、きわめて少数の書物しかのこっていません。そのような四川刊本の代表作が、わが国に現存する『周礼』(静嘉堂文庫所蔵)です。 

『周礼 シュライ』(巻第9より巻首部、静嘉堂文庫所蔵、重要文化財)

『周礼 シュライ』は『儀礼 ギライ』『礼記 ライキ』とともに中国の「三礼 サンライ」のひとつで、周代(中国古代王朝のひとつ。姓は姫。37代。前1100ころ-前256)の官制をしるした書。
『周礼』は周公旦(シュウコウ-タン、兄の武王をたすけて商[殷]の紂王チュウオウを滅ぼした。周の武王の没後、甥の成王、その子康王を補佐して文武の業績を修めた。周代の礼樂制度の多くはその手になるとされる)の作と伝えるが『周礼』の著者とその成立年度には議論もある。
『周礼』は秦の焚書で滅したとされたが、漢の武帝のとき李氏が「周官」を得て、河間の献王に献上し、さらに朝廷に奉じられたものが伝承される。

本来『周礼』は「天官・地官・春官・夏官・秋官・冬官」の6編からなるが、「冬官1編」を欠いていたので「考工記」をもって「冬官」にかえている。
静嘉堂文庫所蔵書は巻第9、巻第10だけの残巻ではあるが、南宋・孝宗(127-200)のころの「蜀大字本」とされ、同種の本はほかには知られていない。
 

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《顔氏書風にみる、龍爪と蚕頭燕尾》
 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』は、林昆範・今田欣一・片塩二朗の3名で構成された、ちいさな研究会「グループ 昴 スバル」の研鑽のなかで、主要なテーマとなったもので、『周礼』を、なんども調査し、臨書し、試作をかさねるなかから誕生したデジタル・タイプです。

『周礼シュライ』の力強い字様には、横画の収筆や曲折に「龍爪 リュウソウ」とされる、鋭角な龍の爪ツメにも似た特徴が強調されています。これは起筆にもあてはまり、またどっしりとした収筆も印象的です。
縦画の起筆にみられる蚕頭サントウの筆法は『周礼』においてはさらに強靱になり、龍爪に相対しています。

このような顔真卿に特徴的な書法は「蚕頭燕尾サントウ-エンビ── 起筆が丸く蚕の頭のようで、右払いの収筆が燕の尾のように二つに分かれているところからそう呼ばれている」とされ、また「顔法」とも呼ばれて、唐代初期の様式化された楷書に、あたらしい地平を開いたとされています。

この顔真卿の書風が四川刊本字様の手本となり、おおらかで力強く、独自性のある刊本字様へと変化したといえます。これはまた、工芸の文字としての整理がすすんだことをあらわしますが、唐代中期の顔真卿の筆法の特徴を十二分に引き継いでいるともいえます。

 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』は、このような顔真卿書風と、四川刊本字様を継承した、あたらしいデジタル・タイプとして誕生しました。
このように顔氏一族に伝承されてきた「顔氏字様」と、顔家伝来のその書風をさらにたかめた顔真卿の書風を、『中国の古典書物』(林昆範、朗文堂、2002年03月25日 p.97)では、以下のように紹介しています。

唐の時代には写本とともに、書法芸術が盛んになって、楷書の形態も定着した。その主要な原因のひとつとしては、太宗皇帝[唐朝第2代皇帝、李 世明、在位626-649]自身が能書家であり、儒教の国定教科書として『五経正義 ゴキョウ-セイギ』を編集させたことにある。そこで使用する書体を、編集協力者の顔師古ガン-シコによる正体(正書・楷書)、すなわち「顔氏字様」をもちいたことが挙げられる。



「顔氏字様」はのちに顔師古の子孫、顔 元孫ガン-ゲンソンが整理して『干禄字書 カンロク-ジショ』にもちいられた。この顔 元孫は、顔 真卿の伯父にあたる。
このように顔家一族から顔 真卿に伝承された「顔氏字様」は、まるで唐王朝における国定書体といってもよい存在で、初期の刊本書体として活躍していた。
 

 

『多宝塔碑』(原碑は西安 碑林博物館蔵)
拓本は東京国立博物館所蔵のもので、北宋時代の精度のたかい拓本とされている。現在は繰りかえされた採拓による劣化と、風化がすすみ、ここまでの鮮明さで碑面をみることはできない。

顔真卿の楷書のほとんどは石碑に刻まれたもの、あるいはその拓本をみることになるが、「一碑一面貌」とされるほど、石碑ごとに表現がおおきく異なるのが顔真卿の楷書による石碑の特徴でもある。
『多宝塔碑』は、長安の千福寺に僧・楚金ソキン(698―759)が舎利塔を建てた経緯を勅命によってしるしたもので、もともと千福寺に建てられ、明代に西安の府学に移され、現在は西安 碑林博物館で展示されている。顔真卿44歳の書作で、後世の楷書碑の書風より穏やかな表情をみせている。 

行草書で書かれた草稿ともいえる、稿本『祭姪文稿 サイテツ-ブンコウ』などの書巻は、自筆本が台湾・故宮博物院に伝承するが、顔真卿の自筆楷書作品とされるのは、わが国の書道博物館が所蔵する、晩年(780年、建中元年)の書作『自書告身帖 ジショ-コクシン-ジョウ』だけである。

《四川宋朝体 龍爪 をもちいて名刺を製作する》
デジタル・タイプ  『四川宋朝体 龍爪 Combination 3』  には、和字(ひら仮名・カタ仮名)として「もとい、さきがけ、かもめ」の3種の和字がセットされています。
原字製作者は欣喜堂・今田欣一氏によるもので、今田氏自身がWebsite内の 「龍爪」において、詳細に設計意図、背景などをしるしていますので、あわせてご覧ください。 

この『四川宋朝体 龍爪 Combination 3』は、おおきく使うと、まさに「龍爪」と名づけられたように、天空たかくかけめぐる飛龍のように、勇壮な、勢いのある書体として立ちあらわれてきます。
また、板目木版による刊本字様(書体)として、ながらく書物にもちいられてきた字様ですので、12pt.-18pt.といったすこし大きめな本文用書体としても、十分な汎用性をもった書体です。
このくらいのサイズですと、もはや「飛龍」というより、かわいらしい「辰の落とし子」のような、素直な刊本字様としての姿が立ちあらわれてくるのも面白い書体です。それだけにつかいやすく、個人的な意見で恐縮ですが、とても好きな書体でもあります。

そんなためもあって、 『四川 シセン 宋朝体龍爪 リュウソウ Combination 3』  の発売以来、この書体をもちいて名刺を印刷しています。本心ではせめて「株式会社朗文堂、片塩二朗」だけでも、原字製作者の了承をいただいて、金属活字をつくってみたいところですが、なかなか意のままにはなりません。
そこで下記のようなデジタルデータを作成して、軽便なインク・ジェット・プリンターで「出力」していましたが、どうしても滲みがひどく、また紙詰まりがしばしば発生するので、困惑していました。

朗文堂には活版印刷事業部「アダナ・プレス倶楽部」があり、「Adana-21J」という活版印刷機の設計・製造・販売もおこなっていますので、それを活用しないことはありえません。
たまたまコピー機が複合機にかわり、あわせてファクシミリ番号がかわったので、下記のデジタルデータをもとに樹脂凸版を作成して、「Adana-21J」による「カッパン印刷 ≒ レター・プレス」を実施しました。

印刷にあたったのは、粘り強く金属活字鋳造法を学んでいる日吉洋人さん。残念ですが小生が印刷すると、太明朝をもちいたために、字画が混みあっている「新宿私塾」の「塾」の字と、@メールアドレスの「@」がインキ詰まりを起こして調整に難航します。
樹脂凸版による「カッパン印刷」とはいえ、なかなかデリケートなところもあります。ところが、さすがに日吉洋人さんはそんな障壁は軽軽とこなして、アッというまに500枚の名刺を刷りあげていただきました。

「たかが名刺、されど名刺です」。とりあえずは軽便なコンピューター・プリンターで我慢できても、次第になにか物足りなくなります。今回は樹脂凸版による「カッパン印刷」で製作しました。
しかしながら、やはり金属活字による「活字版印刷」には、いまだに小生が言語化できないままでいる「Something Good」があります。もちろん「Enything Bad」もありますが……。
ですから、いつの日か「株式会社朗文堂、片塩二朗」だけでも金属活字をつくってみたい、そして胸をはってお渡しできる名刺をつくりたいというのが、目下の小生の見果てぬ夢でしょうか。 

新宿私塾 Field Work +

 新宿私塾第20期 第7回講座
フィールド・ワーク 理想社で書籍製作をまなぶ
──
5月12日[土]、久しぶりの快晴・五月晴れであった。ツツジの花があちこちで満開の花をつけるなか、新宿私塾は教場をはなれて、新宿区改代町の公版書籍印刷所/理想社(田中宏明社長)においてフィールド・ワーク。

理想社さんは土曜休業であるが、おもに振りかえ出勤の土曜日を利用して、第1期生-今回の第20期生にまで、一貫してフィールド・ワークを受けいれていただいている。

ここで塾生諸君は、これまで学んできた名刺・カードなどの端物印刷:エフェメラの魅力とともに、三次元の印刷物、本格的な書籍の製造法に触れることになる。
講師は田中社長自らが担当。1921年(大正10)初代田中末吉によって牛込区柳町において「理想社組版所」からスタートした、同社の活字版印刷術を基礎とした歴史と、「理想社書体」へのあついおもいがかたられる。


 理想社における高度な組版術、そして柔軟かつ多様性をもった理想社ハウス・ルールの紹介のあと、実際の書籍としての組版術(Composition)、組みつけ・面つけ(Imposition)と、その効果的な利用法も伝授される。
あわせて実践的な書籍本文用印刷用紙選択の秘訣もかたられる。タイポグラフィが、平面構成から、三次元の書物への、華麗なる変貌をみせる瞬間である。
その講義はたっぷり2時間にわたり、ついで2班にわかれて、組版現場、整版現場、印刷現場の工場見学に出発。

おなじ「プリンター」といっても、机上の軽便な「プリンター」と違って、写真の三菱製作所「四六全判オフセット平版印刷機」の迫力は圧倒的である。それがまた何台も列んで、ミクロン単位の厳格な精度管理のもとに「印刷 Printing」がなされる景観に、塾生諸君はいささか圧倒される。
ところがそこは意欲的な新宿私塾の諸君のこと、「版替え」のわずかな時間を利用して、引率の田中社長と小林工場長の許可をいただきながら、大型印刷機に触れるチャンスを逃さないのはさすがであった。

午後1時から開始された「新宿私塾/理想社フィールド・ワーク」は、陽もやや傾いた4時半に終了。
新宿私塾20期の講座も第7回目を迎え、塾生同士もすっかり打ち解け、同じ目的意識を確認しあった仲になったようです。
このあと改代町・水道町・新小川町といった「印刷団地」をのんびり散策・見学しながら、塾生諸君は飯田橋駅のちかくで、楽しい懇親会(会費制飲み会)を開いて、8時30分近くまで盛りあがったようです。

ON-LINE BOOK SHOP SPREAD

造形者の皆さまへ

造形活動の第一線にいらっしゃる皆さまに
朗文堂ブック・コスミイクのあたらしいお取り引き先
ON-LINE BOOK SHOP  SPREAD
様をご紹介いたします。
http://page-spread.com/?p=4760

オンライン・ブックショップのなかでは「密林に蔽われた
大河社」が著名ですが、目的のカテゴリー、書物に到達
するまでには、鬱蒼と生い茂ったジャングルを、かき分け
かき分けしながら進むことになりがちです。

ご存知のように「SPREAD スプレッド」とは、おおきく拡げ
のばすことで「page spread」とは見開きページをあらわします。
SPREAD のショップでは、いたずらに
商品アイテムを増やすことはなく、おそらくこのページを
ご覧になっている皆さまなら、お気に入りの一冊の書物に
敏速に到達できることと存じます。
また書籍紹介も丁寧で美しく、ショップ・オーナー(日本人)
のつよいこだわりを感じさせます。 
──
ところで、上掲の写真は『japan japanese』の
龍安寺石庭の紹介 p.077 で
「スプレッド」Websiteからの転載です。
著者・製作者のヘルムート・シュミット氏は、タイポグラファ
ですので、活字の天地を逆さにした「ゲタ」をもちいて
みごとに活字版印刷術の「グリッド コンポジション」で
龍安寺石庭を描ききっています。

そして次ページの写真の片隅に登場して、まるで呪文のように
「fünf zwei drei zwei drei,  fuve two three two three,
五 二 三 二 三」とつぶやいています。
そして、テクストとして、以下のような深い洞察をしるしています。
──
『japan japanese』 p.106

 龍安寺

五 二 三 二 三
15
完全無欠
15 年
成人の歳
十五夜の月
15番目の月夜
満月

 1 つ目の石組み
5 個の対照的な岩の塊
聳え立ち
広く 高く 寄りかかるように
不安定
和らげるように
平穏を放射する
かろうじて
水面から 砂面から
浮遊する氷塊
……
龍安寺
空の庭
間の庭

近づいては来ない
近づくものは拒まない
1 度目は小さく
2 度目はざわめく
3 度目は

五 二

三 二 三

活版凸凹フェスタ2012

五月の薫風にのせて
五感を駆使した造形活動、参加型の活字版印刷の祭典
活版凸凹フェスタ 2012 は
たくさんのご来場者をお迎えして無事終了いたしました。
ご来場たまわりました皆さま、ありがとうございました。
出展者の皆さま、ご苦労さまでした。

来年も、活版凸凹フェスタ2013でお会いしましょう。
それまで、できることから 一歩 ずつ。

活版凸凹フェスタ2012

五月の連休は活版三昧!
上野・日展会館でお待ちしています。

5月3日から《活版凸凹フェスタ2012》がスタートします!
──
お天気にも恵まれそうです。
地下鉄ご利用者なら、千代田線根津駅から
JRご利用者でしたら、上野駅からのお散歩コースがお勧め。
最寄り駅の鶯谷駅北口は景観に若干の難があります。

活版凸凹フェスタ/活版ゼミナール

《活版凸凹フェスタ 2012》では、たんなる展示に留まらず、特別企画展示、活版ゼミナールなどが連日開催されます。
一部は予約制・有料のものもありますので、本ページをご覧のうえ、ご予約・お申込みください。

◆特別企画展示◆
活字版印刷術の知と技と美をご紹介いたします。
◎ 江川活版製造所、ハワイ MānoaPress:江川次之進関連資料の展示。
◎ アルビオン型手引き印刷機とアーツ&クラフツ運動
                 ──身体性をともなった造形の歓びとは
◎ 朗文堂 ブック・コスミイク
           ──話題の新刊書、活版印刷実践者の定番書籍
◎ 朗文堂 タイプ・コスミイク
           ──欣喜堂シリーズ、杉明朝体のデジタルタイプも                         
           樹脂凸版印刷を使用すると ─アレッ  思わぬ効果が! 

 

◆活版ゼミナール◆
会期中は、毎日、楽しい活版ゼミナールを開催いたします。
ご来場日にあわせて、ゼミナールをご予約ください。
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【アルビオン型手引き活版印刷機による印刷実演】
会期中連日 適宜開催
事前予約不要 
参加費:印刷体験希望者は  1回1,800円(税込)。
見学はご自由にどうぞ。

19世紀に、英国で製造された鉄製の「アルビオン型手引き印刷機」を会場に搬入し、写真の印刷機をもちいて、欧文大型活字による印刷実演をおこないます。
印刷された作品(現在の予定では お名前)は、お持ち帰りいただきます。

【使用活字書体】
アルバータス・タイトリング(Albertus Titling)60pt.
アルバータスは、ベルトルド・ウォルプ(Berthold Wolpe 1905―1989年 ドイツ)によって設計された活字書体です。1932―40年にイギリスのモノタイプ社より発売されました。今回使用する活字は、アルバータスの中でもタイトリング用の活字であり、大文字のみの活字書体です。
書体名は13世紀のドイツの神学者であり哲学者であったアルベルトゥス・マグヌス(Albertus Magnus 1193頃―180年)に由来します。


英国/フィギンズ社、1875年製造「アルビオン型手引き印刷機」
「手引き印刷機 Hand press 」は手動で操作する印刷機の総称で、一般にはグーテンベルクらがもちいた印刷機のかたちを継承して、水平に置いた印刷版面に、上から平らな圧盤を押しつけて印刷する「平圧式」の活版印刷機です。
アルビオン型印刷機は、重い圧盤を引き上げるための、バネを内蔵した突起を頭頂部に有することが特徴で、すでに動力機が主流となった19世紀世紀末にも、ウィリアム・モリス工房や、エリック・ギルらのプライベート・プレス運動家が、五感を駆使した造形にこだわりがあって、この「アルビオン型手引き印刷機」をもちいたことが知られています。
わが国でも、東京築地活版製造所・平野富二らが、明治7年頃から製造していたことが明らかになっています。秀英舎(現:大日本印刷)の創業時の印刷機も、残存写真資料から「アルビオン型印刷機」であったことがわかります。
また、明治中期に江川活版製造所が製造した類似機を、ハワイ/Mānoa Press が所有していて、今回の《活版凸凹フェスタ》には来日はかなわなかったものの、図版参加が決まっています。


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 【印刷人掃苔会(そうたいかい)ツアー2012】 
5月3日(木・祝) 13 : 00(展示会場 朗文堂ブース に10分前に集合)―
15 : 00 頃  雨天決行
定員:15名(予約制) 参加費:2,000円(税込)
「掃苔会の栞」付き

谷中霊園、通称碑文通りにある巨碑。現在もおこなわれている「左起こしの横書き」のはじまりが、大蔵官僚だった渡部欽一郎によって、洋式帳簿のなかではじめれらたことを、時の大蔵大臣が碑文に撰しています。
ご案内は、タイポグラフィ学会事務局長/松尾篤史さんです。

テクテク歩いて、よ~く見て、ハイ ご苦労さま!
印刷人掃苔会 参加証。熊さん活字はアメリカ製。

 【ご紹介者予定 順不同】
◎岸田 吟香  
新聞人・ヘボン博士助手・点眼薬製造者・
慈善事業家・『東京日日新聞』主筆
◎内田 嘉一
福澤諭吉門下、文部官僚、
「かな の くわい」幹事、
秀英体仮名書風に影響を与えたか
◎平野 富二
東京築地活版製造所、IHI創設者、
日本近代産業の開拓者
◎平野義太郎
法学者・平和運動家・平野富二嫡孫
◎井関 盛艮モリトメ
初代神奈川県令として本邦初の日刊新聞
『横浜毎日新聞』発行させた。
◎鏑木カブラギ 清方
画家・條野傳平の子息
◎陽ヨウor ミナミ 其二ソノジ
『横浜毎日新聞』編集兼発行にあたる。
王子製紙初代支配人、『穎才新誌』発行
◎田口 卯吉
経済学者、『東京経済新聞』創刊者
◎重野 安繹ヤスツグ
歴史学者、政治家、内閣修史局編輯長
◎條野 傳平
粋人、戯作者、新聞人。『江湖新聞』
『東京日日新聞』(現・毎日新聞)創刊者
◎渡部ワタヘ  欽一郎
大蔵省書記官。
知られざる左起こし横書きの創始者
◎高橋 お伝
稀代の悪女とされるが……。
◎藤野 景響
西南戦争の電信技師。
池原香穉カワカの撰幷書の墓碑が美しい
◎宮城 玄魚ゲンギョ
粋人。書家。初期かな活字の形成に
影響がおおきかった。
◎福地 櫻痴オウチ
本名:源一郎。粋人。新聞人、政治家。
小屋芝居を常設の歌舞伎座とした。
◎中村 正直マサナオ
啓蒙思想家、教育者。
お茶の水女子大創設者
◎沼間ムマ 守一モリカズ
政治家、新聞人
…… 以下は少し離れています。
時間があったらいきます。 
◎小室コムロ 樵山ショウザン
書芸家。
弘道軒清朝活字の原字製作者。
◎巻  菱湖リョウコ
書家。幕末の三筆。
門人一万と号す
◎仮名垣カナガキ 魯文ロブン
粋人。新聞人。文筆家。 

掃苔ソウタイとは、墓石の苔コケを掃くことで、転じて清掃・墓参りを意味します。《活版凸凹フェスタ2012》の会場「日展会館」のまわりには、印刷人が多く眠る「谷中霊園」や、お寺、印刷関連の石碑も豊富な「上野公園」などがあります。
本来の掃苔会は、勝手にどんどん不定期開催ですが、外部の皆さんをお誘いするかたちでの開催には、あまりにマニアックだとして異論がありました。ところが前回は満員御礼の盛況でした。そこで今回も「5人くらいお集まりいただければ……」と気軽にかまえています。
タイポグラフィ学会事務局長の松尾篤史さんの解説とともに、「日展会館」周辺の印刷人ゆかりの地をめぐる、とてもマニアックで、充実したツアーです。
皆さんもごいっしょに、わが国の印刷の発展に尽力した先達を偲び、石碑に刻まれた書体の秘密を解明してみませんか。

お申し込みしめきり日:4月25日(水)
*参加ご希望の方は、e-mail もしくは、ファクシミリ03-3352-5160で、「活版凸凹フェスタ 掃苔会(そうたいかい) 参加希望」と明記の上、住所・氏名・年齢・当日連絡が可能な電話番号・e-mailアドレスもしくはファクシミリ番号をご連絡ください。
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【花型活字を使ってオリジナルレターセットをつくろう!】
5月3日(木・祝) 
① 10 : 00―12 : 00 
② 14 : 00―16 : 00
定員:各回4名(予約制) 参加費:3,000円(税込)

花型活字と欧文活字を使って、お名前入りの素敵なオリジナルレターセットをつくりましょう。
お申し込みしめきり日:4月25日(水)

*参加ご希望の方は、e-mail もしくは、ファクシミリ03-3352-5160で、「活版凸凹フェスタ 花型活字レターセット 参加希望」と明記の上、住所・氏名・年齢・当日連絡が可能な電話番号・e-mailアドレスもしくはファクシミリ番号をご連絡ください。
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 【2種類のハンドモールドで活字をつくろう!】
5月4日(金・祝)
① 13 : 00―14 : 30
② 15 : 00―16 : 30
定員:各回6名(予約制) 参加費:5,000円(税込) テキスト2種付

ハンドモールド(手鋳込みの活字鋳造器)を用いて活字鋳造の体験をおこないます。今回は、初期の活字鋳型の研究をされている元三省堂印刷の伊藤伸一さんと、タイポグラフィ学会会員の渡辺 優スグルさんのご協力のもと、なんとも贅沢なことに、2種類のハンドモールドをもちいて、活字鋳造体験を予定しています。
ひとつは、15世紀半ばに西洋式活字版印刷術を開発した、ドイツのグーテンベルクがもちいたとされる「手鋳込み式活字鋳造器」の想定図をもとに、渡辺優さんが復元したものです。

もうひとつは、伊藤進一さん所有のハンドモールドで、スミソニアン・国立アメリカ歴史博物館の学芸員で、初期活字鋳型の世界的な研究者である、スタン・ネルソンさんによって復元されたものです。できあがった活字を使って、小型活版印刷機 Adana-21J で記念カードの印刷もおこないます。

お申し込みしめきり日:4月25日(水)
*参加ご希望の方は、e-mail もしくは、ファクシミリ03-3352-5160で、「活版凸凹フェスタ ハンドモールド 参加希望」と明記の上、住所・氏名・年齢・当日連絡が可能な電話番号・e-mailアドレスもしくはファクシミリ番号をご連絡ください。

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【印刷の四大版式の違いを学ぼう!】
5月5日(土・祝) 13 : 00―16 : 00
定員:8名(予約制) 参加費:5,000円(税込)

凸版印刷の一種である「活字版印刷」をより深く理解していただくためには、ほかの版式や技法に接することも重要です。
「版画工房  フジグラフィックス」の楚山俊雄さんのご協力のもと、印刷の四大版式「凸版・凹版・平版・孔版」すべての印刷体験を通して、その違いや特性を学ぶゼミナールです。             株式会社フジグラフィックスWebsiteより。リトグラフの作業風景。
  写真は楚山俊雄さん。

お申し込みしめきり日:4 月25日(水)
*参加ご希望の方は、e-mail もしくは、ファクシミリ03-3352-5160で、「活版凸凹フェスタ 印刷の四大版式 参加希望」と明記の上、住所・氏名・年齢・当日連絡が可能な電話番号・e-mailアドレスもしくはファクシミリ番号をご連絡ください。

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【記念カードを印刷しよう!】
5月6日(日)11 : 00―12 : 00、13 : 00―14 : 00 内の随時
事前予約不要 参加費:無料
活字版印刷機 Adana-21J を使って記念カードの印刷を体験していただきます。

  

◆カッパン・ルネサンス・フェア 12th Times◆
カッパン実践家のための、新旧の関連資材・関連機材の展示即売会です。どんな新開発機器、関連資材、また掘り出し物があるか、ご来場のうえお楽しみください。
小型活版印刷機をお持ちで、補充機器・部品をお探しのかたは、インテル、ファニチュア等の選択の目安として、ご自分の活版印刷機のチェースの内枠の大きさを、紙に筆記具で型取りしたものをご持参ください。

和字 おゝことのは Family 9

アンチック体活字の修復・復元と、シリーズ化に成功!
『和字 おゝことのは Family 9 』
好評発売中!
お申込み・ご購入は、朗文堂 タイプ・コスミイク までお願いいたします。
──
『和字 おゝことのは Family 9 』
販売価格 ¥9,450(本体価格  ¥9,000)

《和字 ことのはの原姿は、アンチック体和字活字です》
和字書体「ことのは」は、ひろくは「アンチック体」と呼ばれている活字です。その「アンチック体」の原姿ともいえる資料をもとに、統一感をもって整理・整頓し、ウェートを使途にあわせて多様化し、9種類にしたものです。

その初登場は、欣喜堂和字シリーズ第2弾として発売された『和字 Tradition 9 』に収録されて、好評を博しました。
その原姿は『辞苑』(新村出編著、1935年初版、書香文庫蔵)の見出し語活字で、俗に「アンチック体」とされる和字活字にあります。幸い資料が辞書でしたから五十音それぞれのキャラクターを抽出できました。

アメリカからもたらされた活字書体「antique」と同じ名称をもち、辞書などの見出し語として用いられてきた和字書体に「アンチック体」があります。欧字書体としてのアンチックの名称は、ふるくは『活版様式』(活版製造所平野富二、1876)に登場し、和字・漢字をともなった日本語総合書体としては『新撰讃美歌』(警醒社、1888)で使用されていることを内田明氏が指摘されています。

《アンチック体と混同されがちな 太仮名由来の和字書体》
アンチック体和字は、しばしば金属活字由来の「太仮名」と混同されています。このふたつの活字書体は、ともに明治期に誕生した優れた書体ですが、アンチック体の画線は比較的均一で、太さの差異がすくなく、太仮名由来の和字書体は画線に抑揚があり、脈絡を強調する特徴がみられます。


そのために、このふたつの和字書体は異なる設計意図にもとづく書体とおもわれます。簡便に見わけるためには、ひら仮名「の」の頂点がほぼ同じ太さになっているのがアンチック体、頂点が細くなっているのが太仮名活字由来の和字書体ということができます。その詳細は『ヴィネット11号 和漢欧書体混植への提案』(今田欣一  朗文堂)に報告があります。

『和字  おゝことのは Family 9』では、もう一度原点に立ち帰り、形象をさらに検討し、字面率をおおきめにとり、ウェートを9ウェートとしてファミリーを構築しました。
漢字書体との組み合わせは、一応参考・推奨書体はありますが、お客さまご自身が「和字・欧字・漢字」の組み合わせの妙を発揮していただくことを期待しています。

新宿私塾第20期スタート

《爆弾低気圧襲来! 新宿私塾第1回目講座を2回にわたり開講》
4月3日[火]に、日本海で急速に発達した颱風なみの低気圧、称して「爆弾低気圧」が日本列島を駈けぬけていきました。あいにくその日に《新宿私塾第20期 開塾式》が予定されていました。
午前中はまだ風雨は穏やかでしたが、帰途の交通機関の乱れが心配されるにおよび、急遽講座の中止・延期と、その振り替え講座を、4月4日[水]、4月6日[金]からの自主選択ということで、@メールで連絡しました。

新宿私塾第20期塾生の皆さん(2012.04.10)

結果は4日と6日にきれいに半半ずつにわかれて、第1回目の講座(担当講師:鈴木孝、片塩二朗)を無事終了。
ところが2回とも塾生諸君がとても熱心で、初回からほとんどの塾生が、ほぼ終電帰宅となりました。これは、これは、第20期にはなんとも意欲的で、活発なメンバーが集まったものだと感心しました。


新宿私塾第20期スケジュール表
 エリック・ギルの試作スケッチをカスタマイズ。
杉下城司氏デザイン

4月10日[火]新宿私塾第20期第2回目講座。担当講師は杉下城司さんで、いきなり実技・実習、スペーシング講座でした。
ほとんどの皆さんが、三角定規、カーッターナイフ、ピンセットなどははじめてというデジタル世代でしたが、手を動かすことによる造形のおもしろさと、その魅力にいたく驚嘆されていました。
講師:杉下さんは定刻終了時間を守っていただきましたが、終了後も、スペーシングの復習をするもの、図書の借り出しに夢中になるもの、すでに打ち解けて友人となった塾生相互の談笑と、結局杉下さんをふくめて、深夜までの開講とあいなりました。

これから半年間、もしかすると、また先の爆弾低気圧のような天候急変もあるかもしれませんが、有意義なタイポグラフィの講座をじっくりと受講され、終了時には自信にあふれた、タイポグラファの顔立ちに変貌していただきたいものです。

ヒューマン・サンセリフ 銘石B

『 ヒューマン・サンセリフ 銘石B Combination 3 』
 好評発売中です!
お申込み、ご購入は、朗文堂 タイプ・コスミイク までお願いいたします。
──
『 ヒューマン・サンセリフ 銘石B Combination 3 』
くれたけ銘石B、くろふね銘石B、くらもち銘石B
販売価格 ¥36,750 (本体価格  ¥35,000)


 《ついにわが国でもヒューマン・サンセリフが誕生!── 銘石B》
どうやら想像以上に多くの皆さんが、力感のある、やさしい、ヒューマン・サンセリフの登場をお待ちいただいていたようです。
これまでもしばしば、十分なインパクトがありながら、視覚にやさしいゴシック体、それもいわゆるディスプレー・タイプでなく、文字の伝統を継承しながらも、使途のひろいサンセリフ――すなわち、わが国の電子活字書体にも「ヒューマン・サンセリフ」が欲しいとされる要望が寄せられていました。
確かにわが国のサンセリフ、≒ゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線・垂直線ばかりが強調されて、鋭利な画線が視覚につよい刺激をあたえます。

今回欣喜堂・朗文堂がご提案した「銘石B」の原姿は、ふるく、中国・晋代の『王興之墓誌』(341年、南京博物館蔵)にみる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに「碑石体ヒセキ-タイ」と呼ばれる書風をオリジナルとしています。

『王興之墓誌』。この裏面には、のちに埋葬された
妻・宋和之の墓誌が、ほぼ同一の書風で刻されています(中国・南京博物館蔵)。

『王興之墓誌』拓本。右払いの先端に、隷書に独特の
波磔のなごりがみられ、多くの異体字もみられます。

『王興之墓誌』は1965年に南京市郊外の象山で出土しました。王興之(オウ-コウシ 309-40)は王彬オウ-リンの子で、また書聖とされる王羲之(オウ-ギシ  307-65)の従兄弟イトコにあたります。


この墓誌は煉瓦の一種で、粘土を硬く焼き締めた「磚 セン、zhuān、かわら」に碑文が彫刻され、遺がいとともに墓地の土中に埋葬されていました。そのために風化や損傷がほとんどなく、全文を読みとることができるほど保存状態が良好です。

王興之の従兄弟・書聖/王羲之(伝)肖像画。
同時代人でイトコの王興之も、こんな風貌だったのでしょうか。

魏晋南北朝(三国の魏の建朝・220年-南朝陳の滅亡・589年の間、370年ほどをさす。わが国は古墳文化の先史時代)では、西漢・東漢時代にさかんにおこなわれていた、盛大な葬儀や、巨費を要する立碑が禁じられ、葬儀・葬祭を簡略化させる「薄葬」が奨励されていました。
そのために、書聖とされる王羲之の作でも、みるべき石碑はなく、知られている作品のほとんどが書簡で、それを法帖ホウジョウ(先人の筆蹟を模写し、石に刻み、これを石摺り・拓本にした折り本)にしたものが伝承されるだけです。

この時代にあっては、地上に屹立する壮大な石碑や墓碑にかえて、係累・功績・生没年などを「磚セン」に刻んで墓地にうめる「墓誌」がさかんにおこなわれました。『王興之墓誌』もそんな魏晋南北朝の墓誌のひとつです。

『王興之墓誌』の書風には、わずかに波磔ハタクのなごりがみられ、東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体といわれています。遙かなむかし、中国江南の地にのこされた貴重な碑石体が、現代日本のヒューマン・サンセリフ「 銘石B Combination 3」として、わが国に力強くよみがえりました。

朗文堂ブック・コスミイクからお知らせ

長らくお待たせしました! いよいよ発売開始
『japan japanese』 は、本日4月9日[月]取次搬入となりました。
書店の店頭、オンライン・ショップに列ぶのは、もう少し遅れます。
小社では本日より直販取扱いを開始いたしました。

『japan japanese』
ヘルムート  シュミット編著
英訳  グラハム・ウェルシュ
和訳  山田清美

朗文堂
──
コンセプト&デザイン
ヘルムート  シュミット

発行・発売
株式会社朗文堂
160-0022
東京都新宿区新宿 2-4-9
03-3352-5070 telephone
03-3352-5160 telefax
robundo @ops.dti.ne.jp
www.robundo.com

発行日
2012年 04月09日

ISBN 978-4-947613-83-7 C1070

定価 3,800円(本体 3,619円)

独・英・日本語表記
250 x 255 mm(重箱本)
108ページ
印刷・製本 精興社 
オフセット平版印刷
スミ 1色
かがりとじ上製本
ジャケット付
──
「未知のかたち、未知の響きは実に
魅惑的だ。単調で、迷いのない仏僧たち
の読経。風のような、神秘的な尺八
の響き。日本の宮廷音楽である
雅楽で使われる笙ショウの繊細で微妙な音色。

これらは時代の音にも決して
かき消されることのない洗練された世界
である。しかしこれは向こうから
近づいて来ることはない、むしろこちら
から近づいて行かなければならない
世界である」

「歌麿の官能的な線によって好奇心が
芽生え、エミール・ルーダーによって大いに
鼓舞された私が、日本の地を踏んだのは、
素朴で未熟な 24歳のときであった。

ある日、スイスのティポグラフィシェ・
モナーツブレッテル( TM)誌のルドルフ・
ホシュテトラー編集長より手紙を
受け取った。タイポグラファの目を通して
見た日本のフォルムや暮らしの中の道具
といったものを紹介する記事を毎月
連載してみないかという誘いであった。

このシリーズを「Japan japanisch」
(ニッポンのニッポン)と呼ぶことにした。
というのは、私自身が理解している日本、
すなわち、かつて存在した、そして今も
存在している日本、更にこれから発見
されるべき日本を伝えたいと思ったからだ。

40年以上の時を経て、この連載は
僅かな変更とテキストを追加して、一層
充実した本のかたちで生まれ変わった」

ヘルムート  シュミット
「私のニッポン」「ニッポンのニッポン」より


シュミット-ファミリー は こころのぬくもりのあるご一家です。 
左:ニコールさん 中:一家の太陽スミ夫人 右:ヘルムートさん

一部を《花筏》へ引っ越しします

タイポグラフィの祭典《活版凸凹フェスタ2012》の開催がせまってきました。アダナ・プレス倶楽部の会員の皆さんを中心に、出展作家、出展企業・団体、学校法人の皆さんは、準備に追われる毎日です。

ちいさなものですが、A3判イベント告知ポスター、イベント案内はがきも刷了して、配布を完了しました。いよいよ向こう正面を猛ダッシュで駆けるような状況になってきました。
《活版凸凹フェスタ2012》は、タイポグラフィをたいせつにされる、多くの皆さんの献身的なご協力に支えられています。そこにはオフィシャル・サイトだけでは追い切れない、興味深い話題や、スキルの情報があふれています。

そのオフィシャル・サイトは アダナ・プレス倶楽部ニュース  で展開いたしますが、朗文堂全体での取り組みでもあり、《活版凸凹フェスタ2012》の補助記録を、ブログロール《花筏》 に記録していきます。
《花筏》では、肩の力をぬいて、タイポグラフィのおもしろさ、ダイナミズムなどを綴れたらとおもっております。

朗文堂カタログが完成しました。

朗文堂 ブック・コスミイク

朗文堂 タイプ・コスミイク

《朗文堂のふたつの事業部の、商品カタログ新版が完成しました》
しばらく在庫切れでご迷惑をおかけしました。朗文堂書籍事業部 ── ブック・コスミイクと、朗文堂活字事業部 ── タイプ・コスミイクの新版カタログが完成しました。
A4判タテ1/3、スミ1色、オフセット平版印刷、中綴じといった簡素なものですが、タイポグラフィ情報はギッシリとつまっています。

イベント、講演会、ゼミナールなど、各種の機会をとらえて無償配布いたしますが、お急ぎのかたはご来社たまわりお受け取りください。またご遠方のかたは、恐縮ながら送料として100円分の少額切手を同封のうえ、《カタログ送付希望》として、送付先ご住所を明記され、郵送でお申込みください。
────
《以下は、ご用とお急ぎでないかたがご覧ください》
ふたつのカタログの使用書体に関してご質問がありました。表紙1は「バンハード・モダン」です。表紙4は「正調明朝体 金陵」、「MRゴシック-M」、「ライノタイプ・ユニバース」を使用しています。

この「バンハード」書体の原作者、ルシアン・バンハード(Lucian Bernhard  1885-1972)は、ドイツ・シュトゥットガルトにうまれ、スイス・チューリッヒで教育をうけたのち、グラフィックアーティストとして、シンプルな構成のポスターを次次と発表して話題となり、ベルリン・ロイヤル・アカデミーの教授となった人物です。
活字書体の開発にも貢献がおおきく、ドイツ・バウアー活字鋳造所から「Bernhard Antiqua  1912」、「Bernhard Cursive/Madonna  1925」、「Lucian  1925」、「Bernhard Hand Brush Script  1928」などを発表しました。

 Lucian Bernhard  1885-1972

The Encyclopaedia of Type Faces
W. Pincus Jaspert, Blandford, 1993

1920年代の後半になると、ドイツには全体主義の擡頭が顕著となり、欧州大陸のおおくの造形者がアメリカに新天地をもとめて旅立ちました。そんなひとりにルシアン・バンハードもいました。
1929年、居をアメリカに移したバンハードは、さっそくアメリカ活字鋳造所(ATF)から「Bernhard Fashion  1929」、「Bernhard Gothic  1929-30」、「Bernhard Roman 1937」、「Bernhard Tango  1934」、「Lilith  1930」、「Bernhard Imago」などをきわめて精力的に発表しました。

これらの活字書体のなかで、バンハードがこだわりをみせたのが、ドイツ時代にみずからのファースト・ネームを冠して発表した「ルシアン」でした。これをアメリカに移住後にリカットして「バンハード・ローマン」としています。
「ルシアン」のビッグ・レターは、19世紀活字の影響でセット幅がおおきく、Q のテールがカウンターの中央部から発するという、いっぷうかわった形象でした。
おおきな特徴はスモール・レターにあり、x-hight がひくく、長いアセンダーが印象的でした。なかでも  q のステムは、椅子の背もたれのように、湾曲した特徴がみられました。

「ルシアン」をリカットした「バンハード・ローマン」では、ビッグ・レターの不安定さは一掃され、エレガントな装いをまとって登場しました。
第1次世界大戦と第2次世界大戦のはざまのドイツで苦悶し、アメリカに新天地をもとめたタイポグラファ、ルシアン・バンハードのことは、アメリカ活字鋳造所の衰退とともに、わが国ではわすれられがちです。「バンハード・モダン」はこんな歴史を背負って、アップル社のパソコンに基本搭載されています。

オリジナルは「ルシアン」なのか「バンハード・ローマン」なのか、また活字のどのサイズをデジタル原字データーとして採用したのかも不明です。また平素はあまりパソコン・デフォルト書体は使わないのですが、チョット小粋な書体がパソコンに基本搭載されていましたので、ときおり、スモール・レターを中心に、大胆に、おおきくつかって楽しんでいます。

朗文堂ブック・コスミイクからお知らせ

新刊書のご案内 4月9日発売開始

シュミット-ファミリー は こころのぬくもりのあるご一家です。
左:ニコールさん 中:一家の太陽スミ夫人 右:ヘルムートさん

《長らくお待たせしました! いよいよ発売開始》
『japan japanese』 は4月9日[月]取次搬入となり、小社でも直販取扱いを開始いたします。書店の店頭、オンライン・ショップに列ぶのは、もう少し遅れます。
──
『japan japanese』
ヘルムート  シュミット編著
英訳  グラハム・ウェルシュ
和訳  山田清美

朗文堂
──
コンセプト&デザイン
ヘルムート  シュミット

発行・発売
株式会社朗文堂
160-0022
東京都新宿区新宿 2-4-9
03-3352-5070 telephone
03-3352-5160 telefax
robundo @ops.dti.ne.jp
www.robundo.com

発行日
2012年 04月09日

ISBN 978-4-947613-83-7 C1070

定価 3,800円(本体 3,619円)

独・英・日本語表記
250 x 255 mm(重箱本)
108ページ
印刷・製本 精興社
オフセット平版印刷
スミ 1色
かがりとじ上製本
ジャケット付



アダナ・プレス倶楽部からお知らせ

いつもよりすこし遅めの櫻前線が北上中です。いよいよ爛漫の春、新年度のはじまりです。皆さまお元気ですか?
朗文堂アダナ・プレス倶楽部では《活版ルネサンス》を好評裡に終え、例年開催の《活版凸凹フェスタ2012》の本格準備態勢に切りかわりました。

いよいよここに《活版凸凹フェスタ2012》の詳細をご紹介いたします。
《活版凸凹フェスタ》は活字版印刷術(以下カッパン、活版とも)にまつわるさまざまを集めた楽しいお祭りです。
活字をもちいて印刷をおこなう「活字版印刷術 Typographic Printing」と、各種の凸版類をもちいて印刷をおこなう「凸版印刷 Letterpress Printing」を中心に、凸版・凹版・平版・孔版といったさまざまな印刷版式の紹介と、版画や製本といった関連技術も含めた作品と製品を展示し、一部は販売もおこないます。

《五月の連休は活版三昧ザンマイ》をスローガンとして開催された《活版凸凹フェスタ》は、2008-9年に四谷・ランプ坂ギャラリーを会場として開催し、2010年に上野・日展会館に会場を移して開催されてきました。昨2011年は東日本大震災のために、残念ながら中止といたしましたが、ようやく満を持して再開の運びとなりました。

会期中にはさまざまな《特別企画》と《活版ゼミナール》の開催が予定されています。一部には有料・予約制のイベントもございます。その紹介は随時本欄にてご紹介いたしますので、ご面倒でも開催直前まで、本欄と アダナ・プレス倶楽部ニュース をときどきご訪問いただき、ご確認・ご予約いただきますようお願いいたします。

アダナ・プレス倶楽部からお知らせ

第11回 活版ルネサンス フェア

 ご来場ありがとうございました!

3月30日[金]31日[土]の両日に開催された《活版ルネサンスフェア》は、無事終了いたしました。土曜日はあいにくの天候でしたが、それでもお客さまの足は終始途絶えることなく、狭い会場いっぱいに詰めかけていただきました。
嬉しいことに、前回の《活版ルネサンスフェア》(昨年11月開催)あたりから顕著になっていましたが、家業の活版印刷所を継承しようと決意され、実践された、若いかたがあきらかに増えています。また睡眠状態にあった活版印刷機器を再整備して、カッパン事業を再開された業者さんもポツポツあらわれています。

総体としてみれば、活版印刷にはいまだに逆風が吹いています。ですから安定した給与生活から離れ、家業の活版印刷を継承されることには相当の覚悟が必要なこととおもわれます。
それでも、活版印刷という、総合技芸であり、総合産業の維持と継続のためには、アマチュア・プリンターやホビー・プリンターだけの力では限界があります。パワーのある活版業者に、あたらしい血が注ぎこまれ、いきいきと再生・復活・ルネサンスしていく姿を拝見すると、とても心強いものがあります。

こうした若い力は、祖父から、父親から、そして年配の職人から指導をうけて、どんどん成長しています。そして周辺のアマチュア・プリンターやホビー・プリンターと力をあわせて、意欲的かつ活発に《活版ルネサンス》に取り組みはじめています。
そんなあたらしい活版印刷業者の皆さんと手を携えて、一歩一歩着実に《活版ルネサンス》を実現できそうな、うれしい予感から一歩進んで、たしかな実感としてもてたことが、今回の《第11回 活版ルネサンス フェア》の最大の収穫でした。

《今回の主なご紹介アイテム  順不同》
小型活版印刷機 Adana-21J、KMT全自動活字組版機(日本語モノタイプ)活字母型庫8pt, 9pt, 10pt明朝体、Paper Maker、圧盤用ラバー・クッション胴張りセット、活版専用ピンセット新旧、ジャッキとジャッキハンドル新旧、罫線各種、くじら尺、特製組みつけ台、金属インテル各種、活版用強力磁石、組版ステッキ、ファニチュア各種、工具類(ブレース鋏・鳥居鋏・罫切り鋏)、罫切り器、各サイズ込め物セット、活字倍数尺、ムラ取りハンマー&ならし木セット、ブロッキング防止パウダー、特白ウェス、無臭洗い油、インキ・ハンド・ローラー、インキべら、インキ・パッド、ゴム・ローラー・メンテナンス剤、オイルベース活版用インキ各色(1キロ缶、特製200グラム缶)、活版用墨青口インキ、ラバー・ベース・レタープレス用インキ、版画用メタルベース(19.68ミリ、19.70ミリ)、樹脂版用メタルベース(21.89ミリ、23.39ミリ)、五号サイズメタルベース箱入りセット、新製カタ仮名活字アラタ1209、輸入欧文活字スキームセット、輸入オーナメント活字各種、凸版用スプレーボンド、文選箱新旧各種、文選箱ストッパー、セッテン、文選箱立て、組みゲラ、置きゲラ、スダレケース棚、活字サイズ照合キット

5月の「活版凸凹フェスタ2012」の会場でも《第12回 活版ルネサンスフェア》を開催の予定です。
今回の活版ルネサンスフェアの会期とご都合が合わず、残念ながらご来場いただけなかったお客様も、ぜひとも5月の連休には皆さまお誘い合わせのうえ、ご来場ください。

 祝  中野活版印刷店開業!

3月30日[金]、杉並区荻窪に「中野活版印刷店」が開業しました。偶然《活版ルネサンスフェア》と重なっていましたが、夜9時まで開催という「有限会社中野商店新事務所公式お披露目会」にお誘いいただき、フェアの終了をまって駆けつけました。

社主の中野さんはとてもパワフルなかたで、グラフィックデザイン、WEB構築を主業務とする「中野商店」、出版部門の「NSパブリッシング」のほかに、あらたに印刷部門として「中野活版印刷店」を開業されました。
事務所はデザイナーらしく、とてもおしゃれで、貨物専用エレベーターつきの地下貯蔵庫(書籍の在庫で埋まるのか、はたまた、ワイン・セラーになるなのかな)もあるという素敵なものでした。
入口近くに新設の活版印刷機 Adana-21J  がおかれていました。来場者には名前を刷り込んだコースターが手渡され、宴は相当おそくまで続いたようですが、翌日、中野さんは(二日酔いもみせずに)《活版ルネサンスフェア》に駆けつけていただきました。またあたらしいお仲間が増えました。