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朗文堂 News

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01 November 08

2008 11 01 朗文堂 News

菊花の侯となりました。色とりどりの菊が咲き乱れているさまは、この国の秋を彩るのにふさわしい花です。それでも菊は中国原産で、奈良時代にこの国にもたらされたとされます。

菊は常読で「きく」、名づけでは「あき・ひ」などとも訓みます。香り高い、美しい花がこの国の秋を彩り、種類がおおく、野生のものと、栽培されたものがあります。また、邪気をはらい、命をのばす効果があるともされます。

説文解字によると「菊」は会意兼形声で、下部の字「漢音 キク」は、手の中に米をまる丸めて握ったさま。菊はそれを音符として、艸(くさ)を加えた字です。単語家族では、「掬 キク まるくにぎる」、「球 キュウ まるくまとめる」などがあります。

蘊蓄はこのくらいにして、菊花の香りと彩りをたのしむ、ほんとうに佳い季節になりました。皆さまお変わりなくご活躍のことと存じます。

例によってお知らせがいくつかございます。

活版ルネサンス フェア

活版ルネサンス フェア〈第 3 回〉を
10 24 日[金]— 25 日[土]に朗文堂社内 4F B で開催しました。
たくさんのご来場ありがとうございました。


いよいよ年賀状の発売も開始され、活版ファンの胸は波立ってきます。今年も、今年こそ、クリスマス・カードや年賀状を本格的な活字版印刷で挑戦しよう! そんな活版ファンの要望にお応えして、朗文堂 アダナ・プレス倶楽部が「第 3 回活版ルネサンス フェア」を開催しました。

21 世紀になって、もしかすると世界でもはじめて(?)覆刻に成功した、カタ仮名完結活字書体「アラタ 1209」をはじめ、アダナ・プレス倶楽部だけがご提供できる各種の欧文活字など、話題の商品が、狭い会場を埋め尽くしました。

特注生産品「初号角活字ホルダー」、一点ものの「電気式箔押し機」には人気が集中しました。また各色を取りそろえた「活版専用インキ」、サイズが豊富な「メタル・ベース」をえらぶ活版ユーザーの視線は真剣そのものでした。それをみていますと、やはり活字版印刷はもはや一過性のブームではなく、あたらしい表現媒体として復興を遂げつつあるというおもいをつよくしました。

折から、米国発の世界経済混乱が伝えられていました。タイポグラファの視点からしか発言できませんが、通貨・貨幣の文字をみますと「貨」は、説文解字では会意兼形声とされ、「貝+音符化」です。単語家族では、「化 姿をかえる」、「花 うつろいやすいはな」と同系です。

すなわち「貨」の意味は、さまざまのものにかえることのできる金銭であり、 古代中国では貨幣のことを「化」といい、やがて貝を主要な材料としましたので、会意+形声で「貨」の字がうまれました。その後貨幣の素材は、貝から銅・金・銀などの金属となり、やがて紙幣が誕生しました。

「貨・銅貨・金貨・銀貨」はもとより、紙幣にも、モノとしてのたしかな存在があり、質料・重量・体積・容積などがありました。すなわち「貨」は重くて、携行や輸送に不便であり、数量計算にも負担がおおきかったのです。ところが現代の「電子マネー」という、重量も体積・容積もない存在感が希薄な、キーボード操作だけで瞬時に数兆円規模の「貨」が移動するという状況を進歩とし、近代的としました。すなわちモノとしての存在感がないだけに放縦に趨りやすい「通貨」が世界中のコンピュータの中を徘徊し、巨大化し、ついには恐竜のようにドゥと倒れたのが現代の経済混乱ではないでしょうか……

ところで……、フォントと軽々しくよばれるようになった文字活字も、パーソナル・コンピュータのなかで、ビットという 2 進法の技術によって、可視化されずに「電子記号(活字)」として大量に存在しています。すなわち、電子活字は電子マネーに似ており、モノとしての質量・重量・容積・体積をうしない、軽便・廉価・多様性・無限連鎖の複製が可能とする「機能」を標榜するバーチャルな商品と化しました。

いま、朗文堂では、現代の便利な「電子活字」にも熱い視線を傾注しています。そして同時に、文字活字に、ふたたび「モノとしてのたしかな存在感」を取りもどすプロジェクトを、まずできることからはじめています。皆さまのご支援をお願いするゆえんです。

こんな時代だから、金属活字も創っています !
新鋳造活字「アラタ 1209」が誕生しました !!
アダナ・プレス倶楽部が意欲的な挑戦を展開しています。
お求めは便利なフォント・スキームでたまわります。


大言壮語ではなく、まずできることからはじめよう……。そして、ここにようやく Adana-21J と同様に、小さくとも素晴らしい活字スキームが誕生しました。

初のご披露は「活版ルネサンス フェア」になりました。正直なところ、このプロジェクトは、錆びついてしまった製造ラインの分厚い壁と、悪戦苦闘の連続でした。活字パターン製造、活字母型彫刻、活字鋳造、印刷作業と、ステップ毎にテストを繰り返しながらの挑戦でした。

活版ユーザーは確実に増加していますし、従前の活版業者とはひと味ちがう活字へのこだわりをお持ちです。そんなひとすじの燭光を頼りに、アダナ・プレス倶楽部は粘り強く「活字復興」に歩をすすめています。

詳細: http://www.robundo.com/type-cosmique/robundo/arata1209.html

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