2008 年 04 月 24 日
5 月の連休はカッパン三昧 ! 活版凸凹フェスタ 2008 を開催します。
カッパン作家展示/企画展示/ワークショップ/カッパン・ルネサンス・フェアと盛り沢山 !
出版・印刷業界には、「連休進行」「お盆休み進行」「年末・年始進行」という業界用語があります。欧州諸国の夏休みとくらべると、そう長くない休暇ですが、この間の定期刊行物を中心にスケジュールがタイトになります。この「特別進行スケジュール」にあわせて休暇前に無理を重ね、実際の休暇には疲労が蓄積して、ただ寝ているだけだった……、という苦い思いでもたくさんあります。皆さん、お体に注意しながら「連休進行」を乗り切ってください。
アダナ・プレス倶楽部コーナーでおもにご案内しておりますが、5 月の薫風にあわせ、朗文堂では「活版凸凹フェスタ 2008」を開催します。
詳細情報:http://www.robundo.com/adana-press-club/news/
会場は旧四谷第四小学校の「CCAA アートプラザ」になります。この校舎は昭和 10 年(1935)の建造で、戦渦をのがれた趣のある建物です。折からの小子化で廃校となりましたが、有志が結集して NPO 法人を設立して施設の維持・管理にあたり、改装・補修工事を経て、本年 4 月 1 日にオープンしました。
タイポグラフィ=活字版印刷術を大切にしている朗文堂にとって「活版凸凹フェスタ」はたいせつなイベントとなります。そのため、会場の下見・打ち合わせに何度か「CCAA アートプラザ」に足を運びましたが、4 月 22 日現在、校庭のボタン桜の大木が、絢爛豪華、桜花爛漫でして、うす紅色の豊穣な花をいっぱいにつけています。また、学童たちがのこしていったチューリップや、スイトピーも、キャンパスのあちこちで満開です。この桜や艸草の花が会期まで咲き続けてくれるといいのですが……。
今年の連休は「暦どおり」とする企業が多く、ゴールデン・ウィークならぬシルバー・ウィークとなりそうな雲行きですが、5 月 2 日- 12 日は元気一杯の「活版凸凹フェスタ」にぜひとも足をお運びください。
余談めいて恐縮ですが……
「活版凸凹フェスタ」のポスター・チラシ兼用のフライヤーを、アダナ・プレス倶楽部会員と、関係者の皆さんにお送りしました。何人かのかたから、
「この印刷はオフセット(平版)印刷ですか……?」
というご質問がありました。「活版凸凹フェスタ」のフライヤーは、電子組版機(MAC)をもちいて版下(データ)を作成し、CD-R をもって豊文社印刷所に出稿しました。豊文社印刷所はふつう「カッパン印刷所」とされ、五号活字を中心に、大量の活字を保有して、文選・植字・印刷をしています。ですからまぎれもなく「カッパン印刷所」です。
もちろん時間があれば、このフライヤーも「金属活字版印刷」にしたかったのですが、一刻も早くこの情報をカッパン愛好家の皆さんにお届けしたいということで、今回は「電子活字による凸版印刷」をもちいました。ですから、ふつうは「カッパン」でお付き合いしている豊文社印刷所に、CD-R データをもって出稿に出かけることは、わたしたちもちょっとふしぎな気持ちでした。
最近の活字版印刷の話題となると、とかく名刺やはがきなどの端物印刷(jobbing press)を中心に語られることが多いために、この A2 判サイズの印刷物を「オフセット平版印刷 Offset Printing」だとおもわれたかたもいらしたようです。このフライヤーは A2 判正寸です。印刷版は樹脂凸版をもちい、墨 1 色/ 1 色の両面凸版印刷です。印刷インキはもちろんカッパン専用の墨です。
本来のカッパン印刷では、文字にカスレがなく、裏ヌケがなく、適切な印圧調整とムラ取りをいかに丁寧におこなうかがカッパン職人の技術水準をあらわしていました。その意味で、豊文社印刷所の技術水準は高度で、それだけにカッパン(凸版印刷)本来の、美しく、読みやすい印刷物が完成しました。
「活版凸凹フェスタ」では印刷のさまざまな版式をご紹介します。そのなかから、Adana-21J やテキンなどの小型活字版印刷機を通じて、ちいさくとも、心のこもった印刷物をお楽しみいただきます。これらの印刷物は、役割がはかなく短命であることから、蜉蝣(かげろう)の意に例えられて、「エフェメラ ephemera」と、むしろ愛着を込めて呼ばれているものです。
同時に、「活版凸凹フェスタ」のフライヤーのような大形印刷物はもちろん、文字ものを中心とするページ物印刷も、まだまだ高度な技術力をもった業者が存在していることをご理解いただき、皆さんとの双方向の交流を望んでいることにお応えいただけたら、喜びこれに勝るものはありません。
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