Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 12  展示紹介-田中智子さん/栃木香織さん/ミスター・ユニバース/杉本昭生さん

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DSCN8130 DSCN8137《 活字と製本! アダナ ・ プレス倶楽部会員/田中智子さん ・ はな工房 》
ともかく活字、それも新鋳造活字が大好きな田中智子さん。 工房名は 「はな工房」 です。
活版印刷と箔押し機を駆使しての製本にも熱心です。
そんな活字へのこだわりのひとつが、上掲写真のオリジナル活字で、すべて原図設計から活字鋳造までを、みずから手がけ、たちあって製造したものです。

【 田中智子 ・ はな工房 オリジナル活字 】
活字パターン/五号活字母型/五号活字/初号活字母型/初号活字

【 関連情報 : 台湾でつくった CAD方式活字母型と 初号活字
【 関連情報 : 花筏 タイポグラファ群像*004 安形文夫

DSCN8133 DSCN8136 DSCN8134【 テーマ 】    活版印刷と製本
【 作品名 】   『 かごっまことば 』

【 作者名 】   印刷 ・ 製本 : 田中智子 ( はな工房 )
【 版式 ・ 技法 】  文字 ・ 他 : 凸版 ( 活字版印刷 )
DSCN7788【 テーマ 】    活版印刷と製本
【 作品名 】   『 MY TYPE 』

【 作者名 】   印刷 ・ 製本 : 田中智子 ( はな工房 )
【 版式 ・ 技法 】   文字 : 凸版 ( 活字版印刷 )
DSCN8131【 テーマ 】    活字を使った箔押
【 作品名 】   『 栞 』
【 作者名 】    田中智子 ( はな工房 )
【 版式 ・ 技法 】   箔 押
DSCN7778【 参考展示 】  箔押しと製本
【 作  者 名 】     田中智子 ( はな工房 )
貴重書を複製し、上製本として仕立てたもの。
DSCN8184石田さん<Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO>の会場では、田中智子さん、石田恭子さんのおふたりに、おもに受けつけを担っていただきました。
それでも、くり返し、くり返し到着する、老若男女の団体 のお客さまで、印刷実演部隊や解説担当部隊が手いっぱいになると、そこはベテラン会員です ―― 即刻滞留箇所に応援に駆けつけるこころづよいおふたりでした。
左) 田中智子さん。 右) 石田恭子さん。
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<来場記念カード印刷体験>
記念カード 記念カード版
────────────DSCN7784 DSCN7785【 テーマ 】    フォトティポ ( 写真と活版印刷 )
【 作品名 】   『 モンヨウ誕生記念 』
【 作者名 】   印刷 ・ 製本 : 文香-Fumikou-( 栃木香織 )
【 版式 ・ 技法 】  文字 : 凸版 ( 活字版印刷 )   図版 : 凸版( 樹脂凸版、ゴム版画 )
Fumikou は、Photographer 上野 隆文と、Designer 栃木 香織が写真作品を制作するユニットです。
もっかご一家は、長男 : 紋暢クンの育児のまっさかり。 紋暢クンはアダナ ・ プレス倶楽部のアイドルでもあります。
保育園行事とかさなって、<Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO> での鹿児島行きは無念の断念となりましたが、育児記録ともいえる作品での参加でした。
【 詳細情報 : 文香-Fumikou-

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【 テーマ 】    書籍印刷所とグラフィックデザイナーによる活版印刷

【 作品名 】   『 やがて秋茄子へと到る 』  堂園昌彦著 港の人刊
【 作者名 】   アートディレクション ・ デザイン : 関 宙明 ( ミスター ・ ユニバース )
活字組版 ・ 活字版印刷 : 豊文社印刷/オフセット印刷 ・ 製本 : 創栄図書印刷/箔押 : 真美堂手塚箔押所
【 版式 ・ 技法 】  文字 : 凸版( 活字版印刷  )

A5判変型 フランス装 本文金属活字活版印刷
第48回造本装幀コンクール日本印刷産業連合会会長賞受賞作品。東京国際ブックフェア、フランクフルト ・ ブックフェア展示作品。
―――
グラフィックデザイン事務所であるミスター ・ ユニバースは、Adana-21J をもちいた活版印刷部門 ユニバーサル ・ レタープレスでのみずからの活版実践をもとに、その経験を本職であるグラフィックデザインにも活かし、活版印刷所とのコラボレーションによる書籍づくりにも展開している。
【 詳細情報 : ミスター  ・ユニバース

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【 テーマ 】    読む本 ・ 作る本 すぎもと あきお    小型本の世界
【 作品名 】  『 芥川龍之介の遺書 』/『 菊池寛 』/『 実語教 』/『 盈満の咎 』/『 盈満の咎 弐 』/『 マーク ・ トウェインの箴言集 』/『 子規随筆 』/『 黒猫 ・ 餅饅頭 』/『 橘曙覧 独楽吟 』/『 老人 』/『 死生に関するいくつかの断想 』/『 舞鶴心中の事実 』/『 冬日の窓 』/『 老嬢物語 』/『 我が子の死 』/『 漢詩抄 』/『 狂訳 小倉百人一首 』
【 作者名 】   印刷 ・ 製本 : すぎもと あきお( ぢゃむ )
【 版式 ・ 技法 】   文字 : 凸版 ( 樹脂凸版 )

ともすると小型本の製作者は、なにより小型であることと、装本のおもしろさにこだわりがつよいあまり、その内容や、読書のための判別性と可読性を失っていることがみられますが、たとえ小型本であろうと、テキストを厳選し、みずからも読み、読者にも読んでもらえるようにこころがけながらつくることをたいせつにしています。
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【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅰ 】
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅱ 】
【 リンク : アダナ・プレス倶楽部ニュース 杉本昭生 小型本の世界Ⅲ 】
【 リンク : 活版 à la carte 杉本昭生 小型本の世界Ⅳ

Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 11  講演会:田村省三館長、展示紹介:加久本真美さん、渡辺 絵弥子さん


仙岩園マップ

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【 特別講演会 】
◆ 尚古集成館 館長 : 田村 省三氏による

 < 尚古集成館所蔵/重要文化財 『 木村嘉平活字 』 と 薩摩藩集成事業について >

◯ 薩摩藩集成事業と 『 木村嘉平活字 』  研究の第一人者 : 田村省三館長に、講演とギャラリー ・ トークをご担当いただきました。
◯ 11月02日[日] 14:00-17:00 仙巌園会議室、尚古集成館別館展示場
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幕末の英傑とされた島津斉彬ナリアキラ公の指揮の下、薩摩藩は集成館を中核として、近代工業化に向けての歩みを急速に展開しました。 これに際して島津斉彬は、一藩主義に陥ることなく、ひろく各地から人材をもとめ、また衰亡していた幕府からの資金が枯渇気味だった長崎との連携もはかっていました。

この集成館事業と、殖産興業のことは、その後の維新史における、戊辰戦争の混乱や、軍略にたけた西郷隆盛、行政手腕にたけた大久保利通などが脚光をあびた反面、いつの間にか歴史の一齣としてあつかわれる存在に後退していました。

田村省三館長は長年にわたり地元鹿児島にあって、なによりも集成館事業の積極的な保存と公開に尽力され、またその研究を各種の専門学会誌に記述 ・ 発表されてこられました。
<Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO> 開催に際しては、島津斉彬の功績のひとつとして看過できない、重要文化財 「 木村嘉平関係資料 」 を尚古集成館別館に特別展示をしていただきました。
また <尚古集成館所蔵/重要文化財 『 木村嘉平活字 』 と 薩摩藩集成事業について >  と題して仙巌園会議室で講演をしていただき、その後尚古集成館別館での特別展示の解説をしていただきました。

この講演会とギャラリーツァーが開催されたのは11月02日[日]、三日間の会期の中日でした。 おりしも 尚古集成館に隣接する仙巌園では 「 菊祭り 」 が開催され、市内では 「 おはら祭 」 が開催され、尚古集成館にもあふれんばかりのご来客がありましたが、講演会場の会議室には、終始 静寂と緊張がただよっていました。
会場の都合で、最初から限定20名の聴講者を募りましたが、直前になって地元からのご参加もあって、補助椅子を出す騒ぎとなりましたし、なによりも参加者全員が聴講を希望しており、イベント会場に残留するのはたれだ、という笑えない争いの一幕もありました。

ともあれ、田村省三館長のご配慮にふかく感謝するとともに、<尚古集成館所蔵/重要文化財 『 木村嘉平活字 』 と 薩摩藩集成事業について> の研究が、これからは多くの皆さんも研究に参画され、より深度を増していくことが期待されます。

< 特別展示 重要文化財 「 木村嘉平関係資料 」 >
三代木村嘉平肖像 20141111144022982_0001 川本幸民 遠西奇器術 国立国会図書館蔵

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【 テーマ 】  活版印刷とデザイン教育
【 作品名 】 『 24pt. の活字見本帳 』
【 作者名 】 加久本 真美 ( 東洋美術学校 タイポグラフィ ・ サークル  QP 卒業生 )
【 版式 ・ 技法 】  文字 : 凸版 ( 活字版印刷 )
今秋から東洋美術学校に残された金属活字の整理を開始。 掃除 → 分類(書体 ・ 活字サイズ別) → 印刷の手順で、活字の状態と種類を調査している。
その
手はじめとして、今回は 24pt. の活字を使用した活字見本帳を制作した。
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アダナ ・ プレス倶楽部 「活版カレッジ」 修了生で、今回の参加者のうち最年少であった加久本さんでした。
ところがその存在感はおおきく、また先輩のおばさまからは、「カクちゃん、カクちゃん」と呼ばれて、ちゃっかりと面倒を見てもらっていたようです。

展示会場での印刷担当としての奮戦ぶりと、B級グルメ 横ちゃんとの <天文館むじゃき しろくま 試食会 > での、 <ほんとに食べられる~?> の模様を報告します
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《 天文館 むじゃき-ねぇ~、本当に食べられるの !?  グルメ 横ちゃん-気合いを入れて!》
グルメ 横ちゃんも、会場では印刷担当として大活躍でした。 会期中、鹿児島のお酒と食事を堪能するあまり、翌週の会社での定期検診スケジュールをわすれるほどだったようです。

どういうわけか、グルメ 横ちゃんの迫力ある飲食光景は グーグル画像集 ( 担当者 ? ) のお気に入り画像のようで、あちこちでみかけます。
天文館むじゃき本店で 「 しろくま 」 をたべたときも、ひとり特大サイズ( 右奥 ) を注文。 カクちゃんはおとなしく小サイズ( 左奥 ) でした。
【 関連情報 : 花筏 Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO-Report 00 番外編 しろくまは カゴンマ de ゴアンド !

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【 テーマ 】    グラフィックデザインと活版印刷
【 作品名 】   『 Paper Moon 』
【 作者名 】   渡辺 絵弥子
【 版式 ・ 技法 】  凸版 ( 活字版印刷 )   図版 : 版画 ( アダナ小型卓上活版印刷機のインキディスクを使用 )
DSCN8068 DSCN8069 DSCN8072 DSCN8074RexOD0o7FtcThZJxCuagK4kV3pLJ-s0SFR-9cZy6E0c t4bR0aqTaPs325cQKiPpNkPCrVk1hDL_BGrX3OTRjd0小型活版印刷機のインキディスクを、お月さまにみたてた作品です。
Adana-21J,  Salama-21A のばあいですと、直径221mmになっています。このインキディスクの製造に際しては金属成形品に独特な熱変形、俗にヒケが発生して、中央部が凹んだりしますので、機械製造メーカーはその対応に苦慮します。

なお、上掲図 <おーけすとらは いさだん> は、金属活字版印刷ならでは、そしてありがちな誤植の一例です。 つまりひら仮名の 「 ち  さ 」とが、裏文字 [鏡文字] をひろうことになる活字組版では、とかく間違えやすい 「 字 」 となります。
本番の展示では、しっかりと < おーけすとらは いちだん > に差しかえられていました。
sala22630 sala22663活版印刷実践者のかたは、使用後の清拭のときに、紙の上にインキディスクを押しつけてお掃除をはじめますから、その姿がちょうどお月さまのようにみえたようです。
お月さまにそえられたテキストも厳選されたもので、若い女性からは 「 かわいい!」 の声があがっていました。

渡辺 絵弥子さんは会場受付と接客担当係でしたが、その会場内での姿は、玉井一平さんによる主催者カメラとタイミングが合わずにほとんどとらえていません。
渡辺 絵弥子さんがにわかに存在をおおきくするのは、飲食、酒席のときです。なにしろ斗酒なお辞せずで、グイグイお酒がすすみますから……。
楽しい交流の席の紹介は後半にゆずりますので、ここでは初期活字鋳型研究家/伊藤伸一さんと、 渡辺 絵弥子さんとのかたらいの姿を、タイポグラフィ学会の春田ゆかりさんのカメラからご紹介しましょう。
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Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 10 アダナ・プレス倶楽部 鹿児島会員の作品

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【 名 称 】 Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO
【 会 期 】 2014年11月1日[土], 2日[日], 3日[月 ・ 祝] 3日間
【 時  間 】   開場 8 : 30 ― 閉場 17 : 30
【 会 場 】 仙巌園〔磯庭園〕  尚古集成館本館 展示室
鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1
【 主  催 】  朗文堂  アダナ ・ プレス倶楽部

歴史のある尚古集成館で、日本近代化の黎明の背景と実像を体感しながら
活版礼讃 < Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO > を開催しました。

江戸末期の薩摩藩主 : 島津斉彬 (ナリアキラ 1809-58 ) は、西欧諸国のアジア進出に対応し、つとに開国の意志をいだき、殖産興業に意を用いて、藩営工場 : 集成館を設立して、洋式の造船 ・ 兵器製造 ・ 紡織などの業をおこしました。
それら事業の中心となったのが、錦江湾に臨み、櫻島をかなたにあおぐ磯に建てられた工場群 「 集成館 」 です。
その地に1865年 ( 慶応元 ) 年に竣工した機械工場は、重要文化財となっており、現在内部は島津家の歴史 ・ 文化と集成館事業を語り継ぐ博物館 「 尚古集成館 」 として親しまれています。

尚古集成館展示のみどころ

◯ 写真や図面 ・ 発掘資料などをもとに再現された反射炉 ・ 琉球船の模型
◯ 工場操業時の雰囲気を醸し出す機械展示コーナー
◯ 季節ごとにさまざまなストーリーを生み出す別館での企画展

館内に入ると薩摩切子の幻想的な光で照らされた反射炉模型がお出迎え。 三つのテーマで構成される展示は、海によってはぐくまれた島津家の歴史 ・ 文化を物語り、近代化へのストーリーへと展開。  シアター上映がよりわかりやすく解説してくれます

尚古集成館の 沿 革

◯ 1923年(大正12) 05月22日
島津家の直接経営により尚古集成館として開館
◯ 1956年(昭和31) 11月18日
株式会社島津興業により運営される
◯ 1959年(昭和34) 02月25日
敷地が国の史跡に指定される。「 史跡 旧集成館 」
◯ 1960年(昭和35) 12月22日
文部省より博物館相当施設の指定を受ける
◯ 1962年(昭和37) 06月21日
建物が重要文化財の指定を受ける。「 重要文化財 旧集成館機械工場 」
◯ 1990年(平成02) 03月05日
尚古集成館別館開館
◯ 2005年(平成17) 10月08日
尚古集成館本館リニューアルオープン ( 平成の大改修 )
◯ 2007年(平成19) 11月30日
経済産業省の 「 近代化産業遺産 」 に認定される
◯ 2009年(平成21)  01月05日
旧集成館 ・ 旧集成館機械工場が世界遺産暫定リストに記載される
◯ 2013年(平成25) 09月17日
旧集成館 ・ 旧集成館機械工場を含む 「 明治日本の産業革命遺産  九州 ・ 山口と関連地域 」 が2015年に世界遺産に推薦されることが決定する

尚古集成館で 6,000人ほどのご来場者を迎えての
活版礼讃 < Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO > を開催いたしました。

このような尚古集成館展示 ・ 講義室を拝借しての < Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO > でした。
なにしろ建物自体が重要文化財でしたから、展示会につきものの、作品の壁貼りは遠慮して、出展者それぞれが独自の工夫をこらしての展示となりました。

会場には、薩摩島津家 幕末の名君、向かって右 : 島津斉彬公の立像、向かって左 : 島津久光公の座像がありました。 これは銅像の鋳型原型 ( 朝倉文夫 作 ) で、ド~ンと鎮座していました。これは < 照国神社のご祭神 > の銅像原型で、彫刻史上でも貴重な資料でした。

おりしも菊花かおる秋たけなわ、まして文化の日の三連休とあって、ご来場者はひきも切らずの盛況でした。 とりわけ観光バスの団体が来場されるたびに、館内はなんどもひとであふれ、会員総出での接客に追われました。
尚古集成館ご担当者によれば、

「 三日間の会期中、来場者は 5,000 人をはるかにこえ、6,000 人弱のご来場者であった 」
とのご報告をいただきました。 ご来場ほんとうにありがとうございました。

< Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 10 > からしばらくは、鹿児島での活版礼讃イベントの記録をつづります。  DSCN8227 DSCN8228 DSCN8193 DSCN8194 DSCN8192 DSCN8236 DSCN8361 DSCN8166 DSCN8175
《 アダナ ・ プレス倶楽部 郷土会員作品 》

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地元鹿児島からだけでなく、九州一円から多くの会員の皆さまにご来場いただきました。
出展者としてご参加いただいたのは以下のおふたかたでした。

◯ 横山 博  さん
陶芸家 ・ RIKKAGAMA
URL : http://blog.goo.ne.jp/rikkagama
六花窯/横山 博さんは、「 特命全権 : アダナ ・ プレス倶楽部 九州地区広報担当責任者 」  として、事前事後にわたり、八面六臂の大活躍をしていただきました。

< Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO > のイベントをご自身のブログで告知されただけでなく、名山町レトロフト 1F古書リゼットさん、山形屋 中4F 文具雑貨のWHATさん、文具のしんぷく本店、 荒田八幡電停前 La Fleur ~ラ フルールさんなどで、イベント告知のフライヤーを配布していただきました。

また会期中は、横山さんの愛機 < Adana-21J > を会場にご持参いただき、東京から搬入した < Salama-21A > と ともに大活躍でした。
なによりも食事や観光情報など、地元ならではの情報をご提供いただき、ふだんは 「 アダナ ・ プレス倶楽部 宴会部長」を自認している真田幸文堂、B 級グルメ 写真でおなじみの 横ちゃんもすっかりお任せでした。
横山さんのブログ < RIKKAGAMA 2014-11-03 > には 46 枚もの臨場感あふれる写真がアップされており、スライドショウで楽しむことができます。

◯ 早水恵一郎 ・ 時子夫妻
手漉き和紙工芸士/TESUKI paper works
URL : http://tesukipaperworks.com

鹿児島県在住。 自然豊かな山水の地の工房で手漉き和紙を製作されています。 活版印刷との相性も良いこの手漉き和紙に、活版印刷を施した作品も精力的に展開中です。

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【テーマ】   陶芸と活版印刷
【作品名】  レタープレスメッセージカード、コースター
【作者名】  横山 博 ( RIKKAGAMA )
【版式 ・ 技法】  亜鉛凸版、樹脂凸版
鹿児島県在住。 陶芸家。
陶器づくりとともに、陶芸作品にそえるペーパーアイテムなどの活版印刷作品も展開中です。
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【テーマ】   手漉き和紙と活版印刷
【作品名】  手漉き和紙とその道具
【作者名】  TESUKI paper works
【版式 ・ 技法】  顔料染め、柿渋染め、櫛引き、落水等
鹿児島県在住。 自然豊かな鹿児島の工房で、手漉き和紙を制作しています。
活版印刷との相性も良いこの手漉き和紙に、活版印刷を施した作品も展開中です。
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Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 07 こんな辞書をつくりたい-若き薩摩青年の希求 通称「薩摩辞書」とは

goando-ロゴ2色Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 07  
こんな辞書をつくりたい-若き薩摩青年が希求した
通称「薩摩辞書」とは

【 名 称 】 Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO
【 会 期 】 2014年11月1日[土], 2日[日], 3日[月 ・祝] 3日間
【 時  間 】   開場 8 : 30 ― 閉場 17 : 30
【 会 場 】 仙巌園〔磯庭園〕  尚古集成館本館 展示室 鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1
【 主  催 】 朗文堂  アダナ ・ プレス倶楽部

尚古集成館 http://www.shuseikan.jp/  仙巌園  http://www.senganen.jp/
朗文堂 アダナ・プレス倶楽部  http://robundo.com/adana-press-club/
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【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 01  開催のお知らせ
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 02  告知はがき印刷篇
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 03  お先でゴアンド  鹿児島を往く
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 04   薩摩藩と三代木村嘉平の活字
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 05 薩摩辞書 ―― あまりにも多くの未解明の謎にせまる第一歩 】
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 06   鹿児島 おすすめ情報Ⅰ 仙巌園/尚古集成館 】
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 08   鹿児島 おすすめ情報Ⅱ 長島美術館 】
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 07  こんな辞書をつくりたい-若き薩摩青年が希求した通称「薩摩辞書」とは

【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 00 番外編 しろくまは カゴンマ de ゴアンド ! 花筏 】

以下の画像は<スライドショー>でご覧いただけます。
テキストは以下のURLをご参照ください。
[ 撮影協力 : 松尾篤史氏 ]
【 関連情報 : Viva la 活版 薩摩 dé GOANDO - Report 05 薩摩辞書 ―― あまりにも多くの未解明の謎にせまる第一歩 】

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俗称「薩摩辞書」は、アメリカの語学者/ウェブスター(Noah Webster, 1758-1843)による英語辞書 『 ウェブスター大辞典 』 を主要な典拠(第二版の日本語序文文中に記録がある)としており、以下の三版が知られています。
ここに紹介した図版は、おもに ◯ B 第二版 『 大正増補 和訳英辞林 官許 』 (明治四歳辛未 カノトヒツシ ゙ 十月) をもちいています。

◯ A 第一版
『 和訳英辞書 』(明治二歳 己巳 ツチノト ミ  正月 千八百六十九年新鐫)。
鐫センは深く掘る。年月は旧暦/1869年-明治02年。印刷所 : American Presbyterian Mission Press 上海 美華書館。和文序に「改訂増補和訳英辞書」、英文扉に「THIRD EDITION」とある。 後述。
◯ B 第二版
『 大正増補 和訳英辞林 官許 』 (明治四歳辛未 カノトヒツシ ゙ 十月)。
年月は旧暦/1871年-印刷所 : American Presbyterian Mission Press 上海 美華書館。欧文扉に 「 FORTH EDITION REVISED 」 とある。 後述。 ここにみる「大正」は元号を意味するものでは無い。
◯ C 第三版
『 稟准 和譯英辞書 』 (明治六年十二月 紀元二千五百三十三年)。
年月は新暦/1873年-明治06)。 印刷所 : 東京新製活版所 天野芳次郎蔵版(一部複写のみ所有。未見)。 複写資料を見る限り、あまり見かけない活字書体が用いられている。

DSCN1461 DSCN1462 DSCN1464 DSCN1414DSCN1417DSCN1433鹿児島市の中央部に、歴代の薩摩藩主の居城であった鶴丸城があります。その鶴丸城の跡地の一画に鹿児島県立図書館があります。
その正面入り口には 《 薩摩辞書之碑 》 があり、「AN ENGLISH-JAPANESE DICTIONARY  薩摩辞書之碑  American Presbyterian Mission Press 1869」 と刻まれています。

「薩摩辞書」とは俗称であり、『 和譯英辭書 』 の名が、初版(1869年/明治02年)における正式名称です。 この英和辞書は、幕末の大混乱のさなかに密かに上海で刊行作業が進行し、維新ののちに完成をみた大冊の英和辞書です。
したがっていかに衰微していたとはいえ、幕府の正式な許可を得ないまま、薩摩藩庁から資金提供をうけて刊行に着手した、薩摩藩の若き俊才たちは、正式な刊記(刊行記録、現代の奥付にあたる)をのこすことなく、わずかな記録として、日本語の序文の末尾に <日本 薩摩学生> と、若い実務者の名前だけを記録しています。

鹿児島中央駅前広場には「若き薩摩の群像」が建立されています。
ここに登場する青年たちの調査は、郷土史家を中心に相当の進捗をみますが、こと活版印刷と図書刊行という見地からの調査はほどんど未着手とみられます。

その研究のてがかりに、おそらく、若い薩摩の学生が手にし、見入ったであろう、英語辞書 『 ウェブスター大辞典 』、『 WEBSTER’S NEW INTERNATIONAL DICTIONARY 』(G. & C. MERRIAM COMPANY, PUBLISHERS  1956) の画像を中心に紹介しましょう。
この版は比較的あたらしいものの、専用の書見台がついた、重厚感のあるものです。
そういえば、鹿児島中央駅前広場の「若き薩摩の群像」には、書見台にのせられた大判の図書がみられました……。 

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アダナ・プレス倶楽部 会報誌連載 〈活版まんが〉 全18回 一挙紹介。

《アダナ・プレス倶楽部会報誌『アダナ・プレス倶楽部 ニュースレター』、創刊から7年25号が完成》
アダナ・プレス倶楽部の季刊誌『アダナ・プレス倶楽部 ニュースレター』Vol.25号 2014年夏号が完成いたしました。会員登録をされている皆さまには、順次到着の予定です。
また新規ご購読をご希望のかたは、リンク先【アダナ・プレス倶楽部 会員登録】宛にお申込みください。

会報誌25号『アダナ・プレス倶楽部 ニュースレター』は、おもに活版実践者に向けた情報が中心ですが、その全25冊中、18回にわたって〈活版まんが〉の製作をお願いしたのは、ミスター(ご本人のご希望で匿名)さんでした。
〈活版まんが〉は、A5判01ページの分量ですが、ミスターさん独特の、ほのぼのと、ユーモアにあふれた作品は、読者の皆さんからもご好評をいただいてまいりました。

『アダナ・プレス倶楽部 ニュースレター』は、無綴じの軽便な小冊子ですが、表紙を活版印刷として、本文はデジタルプリンター出力によっています。あたらしい会員のかたで、バックナンバーのご希望もしばしばございますが、もともとアダナ・プレス倶楽部会員にむけた少量製作の小冊子ですので、ご要望にお応えできないのは心くるしいものがございます。

そこで今般、ミスターさんのご了承をいただき、『アダナ・プレス倶楽部ニュースレター』好評連載の〈活版まんが〉を、ここ〈活版 à la carte/活版アラカルト〉にご紹介いたします。
ここ〈活版 à la carte/活版アラカルト〉では、画面をスクロールされるか、あるいは画像をクリックすると、スライドショーでお楽しみいただけます。
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〈ミスターさん製作 ── 活版まんが 全18回 一挙紹介〉
01  Vol. 01 2008年春号 ゲラとヤレの巻〈創刊号〉
02  Vol. 02 2008年夏号 カッパンであいさつの巻
03 Vol. 03 2008年秋号 インテル入ってるの巻
04  Vol. 04 2008年冬号 カッパンでいただきます。植字の巻
05  Vol. 05 2009年春号 ゲタの巻
06  Vol. 06 2009年夏号 ゲラ、きた~の巻
07  Vol. 08 2010年冬号 南京玉すだれ、すだれケースの巻
08  Vol. 09 2010年夏号 サイジョー・ヒデキ「ローラー」の巻
09  Vol. 10 2010年秋号 ゆけゆけカッパン、花形活字の巻
10  Vol. 12 2011年春号 これでいいのか、若者置いてけぼり! 紙型の巻
11  Vol. 14 2011年夏号 アツイ、熱気だ! ネッキの巻
12  Vol. 16 2012年冬号 サミー・ディビス・ジュニアと鳥居の巻
13  Vol. 18 2012年夏号 カッパンで金メダル。Adana-21J発売5周年
14  Vol. 20 2012年冬号 ゲハンといえば……。下版の巻
15  Vol. 21 2013年夏号 活版シーズン到来、がんばれクワタの巻
16  Vol. 22 2013年秋号 地獄箱、Hell Box の巻
17  Vol. 24 2014年春号 ひこにゃんと無双罫の巻
18  Vol.25    2014年夏号   トンカツ ニンニク コンニャク & カッパンの巻

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活版まんが_03 活版まんが_04 活版まんが_05 活版まんが_06 活版まんが_07 活版まんが_08 活版まんが_09 活版まんが_10 活版まんが_11 活版まんが_12 活版まんが_13 活版まんが_14 活版まんが_15活版まんが_16 活版まんが_17活版まんが18_OL

Viva la 活版 Viva 美唄 レポート01 プロローグ イベント会場・名称の決定、シンボルサインの製作

美唄コラム黄uu

─────── やつがれ Wrote
《朗文堂 アダナプレス倶楽部 コラム》は、ふるくからアダナプレス倶楽部 Website の一隅にあったコーナーであるが、いつの間にかタイポグラフィ・ブログロール『花筏』など、製作が簡便なブログ型のページにコンテンツが移行していた。
2013年春、アダナプレス倶楽部 Website 大幅改造(北 美和子さん担当)にあたり、この《朗文堂 アダナプレス倶楽部 コラム》も、簡便なブログ型構築ができるように改造された。
そのためにふるいデータは、「コラム バックナンバー  No.001-013」として、本欄の一隅に収納されているので、機会があったらご覧いただきたい。

ここ《朗文堂 アダナプレス倶楽部 コラム》に、先ごろ終了した《Viva la 活版 Viva 美唄――すばらしき活版、すばらしい美唄》の記録を集約してのこしたい。
ところがあたらしいメディアの普及にともなって、写真記録をスマートフォンにのこされたり、その逆に最高級ビデオカメラ持参のかたもいて、意外に写真映像が少なく、困惑しているのがやつがれの現状である。
かてて加えて、期待の栃木香織さんカメラのレンズ交換が不調、アダナプレス倶楽部 大石薫カメラも不調。写真記録が少ない現状である。北海道へ行かれた会員の皆さまのデータ提供をお待ちしたい。
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ここ《朗文堂 アダナプレス倶楽部 コラム》コーナーには、アダナプレス倶楽部の会員だけではなく、多くの活版実践者、活版ファンも訪れている。
また、今回のアルテ ピアッツァ美唄での《Viva la 活版 Viva 美唄》開催の経験に鑑みて、あたらしい活版印刷の基盤が整備されつつあり、活版関連イベントが盛んな首都圏は、しばらくの間、急速に増加した活版作品発表に熱心な皆さんにお任せすることにした。
この間、朗文堂アダナ・プレス倶楽部は「活版ルネサンス」、各種ゼミナールなどは引き続き首都圏でも開催するが、年に一回の大型イベントは、しばし首都圏をはなれて開催したい。

すなわち、狭くて困難な道が予想されるものの、アダナプレス倶楽部会員、活版印刷実践者、活版ファンの皆さまのご支援とご協力をいただきながら、アダナプレス倶楽部はしばらくのあいだ、いまだ未開拓な地方と地域の「活版ルネサンス」開拓の役割を中心に担うつもりである。

樹林のなかの天聖、天モクuu

《Viva la 活版 Viva 美唄》
【会  期】 2013年7月13日[土]―15日[月・祝]    9:00―17:00
【会  場】 ARTE PIAZZA BIBAI アルテピアッツァ美唄
         アート・ギャラリーおよびアート・ストゥディオ
         北海道美唄市落合町栄町 http://www.artepiazza.jp/
【入場料】  無 料
【主  催】  朗文堂 アダナ・プレス倶楽部

【これまでの記録 リンク一覧】
★関連情報:アダナプレス倶楽部 NEWS
◎ 02月20日  Viva la 活版 Viva 美唄  開催のお知らせ 
◎ 06月11日  Viva la 活版 Viva 美唄 ゼミナール参加者募集
◎ 06月19日  Viva la 活版 Viva 美唄 さぁはじまったぞ! アダナプレス倶楽部イベント狂想曲 !?
◎ 06月29日  Viva la 活版 Viva 美唄 すぐそこまで!
◎ 07月05日  Viva la 活版 Viva 美唄 活版印刷と 安田侃カンと まるほりトマト
◎ 07月07日   Viva la 活版 Viva 美唄 炭山ヤマの碑と監視員さん
◎ 07月10日  Viva la 活版 Viva 美唄 『やきとリンピック』とバッティング
◎ 07月17日  Viva la 活版 Viva 美唄  盛況裡に終了!  ご支援に大感謝 !!

★関連情報:タイポグラフィ・ブログロール『花筏』
◎ 03月13日  Viva la 活版 Viva 美唄 Ⅰ 開催のお知らせ
◎ 03月15日  Viva la 活版 Viva 美唄 Ⅱ 準備着着進行中 !?
◎ 03月28日  Viva la 活版 Viva 美唄 Ⅲ タイトルデザインと過去の活版関連イベントデザインの記録

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《Viva la 活版 Viva 美唄より、アルテ ピアッツァ美唄の告知が多かった前哨戦》
5年間4回(2011年は直前の東日本大震災のために開催断念)にわたり、東京地区で開催してきた《活版凸凹フェスタ》にかえて、とおく北海道美唄市での《Viva la 活版 Viva 美唄》の開催を一般にお知らせしたのは、『アダナプレス倶楽部会報誌』での発表をまって、2013年のはじめのことであった。
◎ 02月20日  Viva la 活版 Viva 美唄  開催のお知らせ 
おおかたの会員はすぐに意図を理解され、好感をもってむかえていただいたが、一部の活版ファンのかたには若干のとまどいもみられたようであった。

その意図は徐徐にご理解いただくことにして、まずはイベントタイトルの設定と設計から準備がはじまった。
イベントタイトルの《Viva la 活版 Viva 美唄》は、「すばらしき活版、すばらしい美唄」の意をこめて命名した。
設計担当はもちろん、アダナプレス倶楽部創設時からのAD 松尾篤史さんである。
◎ 03月28日  Viva la 活版 Viva 美唄 Ⅲ タイトルデザインと過去の活版関連イベントデザインの記録

Viva la 活版 Viva 美唄タイトルデザイン04 墨+ローシェンナuu

Viva la 活版 Viva 美唄タイトルデザイン03 墨+ローシェンナ
Viva la 活版 Viva 美唄タイトルデザイン01 枠罫無し
Viva la 活版 Viva 美唄タイトルデザイン、グリッドによる割り出し図uu
《設計基準はディド・ポイントグリッド、欧字:オンディーヌ、漢字:銘石Bを使用》
アルテ ピアッツァ美唄は、主体が彫刻公園であるという性格上、イベントの告知物の過剰な掲示や演出は敬遠されている。
そのためにイベント告知は、はがき、 A3 判の小型ポスター、アダナプレス倶楽部イベント名物:A1判活版オジサンポスターだけになることが予測されていた。

また一面の芝生と、周囲の森林の彩り鮮やかな緑色、彫刻作品にみる純白の大理石、小径に敷きつめられたシエナの岩粒などとの色彩の調和も意識した。
そのため色彩展開は、ローシェンナ(朱色)-バーントシェンナ(焦げ茶色)までの、ひろい範囲の色彩を基調色とし、あわせて朗文堂イメージカラーの「黄色から赤までの無限階調色」と、アダナプレス倶楽部のイメージカラー「ブリティッシュ・グリーン」に設定された。
使用書体は視覚イメージの統一をはかって、欧字:オンディーヌ、漢字:銘石B の電子活字書体とした。
設計基準は、フランス発/アドリアン・フルティガー設計による「オンディーヌ」に合致するように、ディド・ポイントシステムによるグリッドを基準として設計された。

この松尾篤史氏のデザインによるイベントタイトルは、多様な素材と印刷方式のなかで、また大小、背景色などもさまざまな場面で使用された。
《Viva la 活版 Viva 美唄》のタイトルデザインは、これらの困難な条件を満たすとともに、はがき、チラシ、小型ポスター、T シャツプリント、Website表示におよぶ、過酷な使用環境と酷使によく耐えてくれた。
◎ 03月28日  Viva la 活版 Viva 美唄 Ⅲ タイトルデザインと過去の活版関連イベントデザインの記録
◎ 06月19日  Viva la 活版 Viva 美唄 さぁはじまったぞ! アダナプレス倶楽部イベント狂想曲 !?

美唄はがきDMuu

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会期中にアルテ ピアッツァ美唄のスタッフから、異口同音にいわれたことがある。
「ここのギャラリーやストゥディオでは、各種の展覧会だけでなく、コンサート、講演会、上映会、ワークショップ、バレエなど、さまざまなイベントが開催されています。ところがほとんどの主催者は、ご自分の PR や、イベント告知で一杯で、アルテ ピアッツァ美唄の魅力にはあまりお触れになりません。アダナプレス倶楽部さんは、これまでアルテ ピアッツァ美唄の魅力を、丁寧に記録・紹介していただきました」
DSCN8746uuDSCN8870uuもともと昨年秋の札幌出張のおりに、ノー学部に引っぱられ、はじめてアルテ ピアッツァ美唄を訪れ、いたく感銘をうけたことがはじまりである。
そして狭くて騒騒しい、東京でのイベント開催にいささか疲れていた。そんなためもあって、首都圏をはなれ、この雄大な環境のもとで、あたらしい活版造形者とともに、あたらしい活版造形作品の共振をはかりたいとおもったことが狙いだった。

また、ありていにいえば、活版作品を紹介したくとも、肝心の展示活版作品が、当時はまだ完成していないためでもあった。
それにせっかくここまで遠出されるのなら、活版作品だけでなく、ぜひともアルテ ピアッツァ美唄の、彫刻と庭園を楽しんでいただき、そして同時に雄大な北海道の大自然と食の彩りも堪能していただきたかった。
─────
2013年07月19日、アルテ ピアッツァ美唄ギャラリー係の柳谷亜希子さんから一通の書状が届いた。
《Viva la 活版 Viva 美唄》のギャラリーには、会期中に706名のご来場者(スタッフ・バッチをつけた関係者をのぞく)があったそうである。とても嬉しいご報告であった。20130722193451584_0001uu

5年間4回にわたって東京で開催された《活版凸凹フェスタ》には、毎回2,500-3,500人ほどのご来場者をみていた。それでも北海道の中心地、札幌市の人口こそおよそ192万人 ほどであるが、そこから100キロあまり離れ、高速道路はともかく、電車の便、美唄駅からの市民バスの便などは、決して良いとはいえない美唄市での開催であった。美唄市の人口は24,722人である。
こうした環境下で、まして2日半の短期期間のイベントで、706名のご来場者の存在はおもいものがあった。

多くのご来場者は、ほとんど札幌からおみえになっていた。また、
「来年はぜひ札幌で開催して欲しい」
という声もたくさん頂戴した。来道されたアダナプレス倶楽部会員も、交通至便な札幌にホテルをとり、美唄まで3日間通われたおふたりもいた。
ほとんどのアダナプレス倶楽部会員の来道者は、美唄市に隣接して、ホテルの数が多い、北海道空知ソラチ地方の中核都市、石見沢市に滞在していた。
このことは、今後の展開に大きな課題を突きつけられたおもいがした。
ひとくちに地方・地域だけでは片づけられない、おおきな落差がそこにはあった。すなわち北海道にも、人や情報の流れをふくめて、札幌中心指向もいうべきかたむきが存在していることを知らされた。だからといって、安易に札幌市のような大都市での開催をめざすものではないが……。
──────
2013年07月22日、活版カレッジ・アッパークラスの集まりがあった。写真もだいぶ集まりつつある。
次回からは展示とゼミナールの報告になる。
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Viva la 活版 Viva 美唄 レポート02 会場風景をYouTubeに投稿。   

美唄コラム緑uu《Viva la 活版 Viva 美唄》
【会  場】 ARTE PIAZZA BIBAI アルテピアッツァ美唄
         アート・ギャラリーおよびアート・ストゥディオ
         北海道美唄市落合町栄町 http://www.artepiazza.jp/
【入場料】  無 料
【主  催】  朗文堂 アダナ・プレス倶楽部
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先般開催されました《Viva la 活版 Viva 美唄》の素敵な動画をご提供いただきました。製作者は川崎孝志さん(新宿私塾修了、アダナプレス倶楽部会員、徳島在住)。
川崎さんは、比較的後半に美唄入りされ、アルテ ピアッツァ美唄の景観を楽しまれ、アート・ギャラリー、アート・ストゥディオを中心に撮影されていました。

ご送付いただいたデータは、きわめて鮮明なものでしたが、公開画像にするためには容量がおおきすぎたために、元画像はアダナプレス倶楽部が保管して、北美和子さん(新宿私塾・活版カレッジ修了、アダナプレス倶楽部会員)に、公開に適した容量に変更していただきました。両会員のご協力に、ふかく御礼いたします。

あたらしい時代の、あたらしい活版造形者の祭典と、北海道美唄市「アルテ ピアッツァ美唄」の彫刻と庭園の造形がここちよく融合しています。
YouTubeへの投稿は2013年08月02日です。16分19秒とすこし長めの動画ですが、お楽しみいただけましたら幸いです。

Viva la 活版 Viva 美唄 レポート03 文香 – fumikou 作品紹介

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《ふるくいう、主役を喰うのは、いつも子役である ―― モンヨウくん大活躍》

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【テーマ】 フォトティポ(写真と活版印刷)
【作品名】 『モンヨウ誕生記念』
【作者名】 印刷・製本:文香-fumikou-(栃木香織)
【版式・技法】 文字:凸版(活字版印刷)
図版:凸版(樹脂凸版、ゴム版画)

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bibaisakuhin_0032bibaisakuhin_0030bibaisakuhin_0041bibaisakuhin_0020《文香 fumikou のおふたりは、あたらしいタイプの造形者です!》
上野隆文(新宿私塾第5期生)、栃木香織(新宿私塾第11期生、活版カレッジ花の1期生)のおふたりのデザインユニット「文香 fumikou」は、写真工房であり、デザイン事務所であり、活版工房でも、製本工房でもあるという、あたらしい時代を切りひらく、造形の旗手として活躍しているご夫婦である。

とりわけパワフルかつアクティブなのは栃木さん。妊娠中でも、おおきなお腹を抱えて撮影にあたり、活版印刷機を駆使し、製本まで自分の手でこなしてきた。そして誕生したのが「紋暢モンヨウくん」である。
上野さんはそれをあたたかく見守りながら、コマーシャルフォトを中心に、グラフィックデザインや、母校の教壇にも立つという活躍ぶりである。

今回の作品『モンヨウ誕生記念』は、「紋暢くん 2歳」のいわば育児記録である。
「作品テーマは[フォトティポ(ふるくはティポフォトとよばれていますが、フォトティポの語感がかわいらしく、あえてそうよんでいます)]。息子の成長記録を、写真と文字を組み合わせたものを製本しました。
写真の部分は樹脂凸版ですが、絵柄はゴム凸版を彫って Adana-21J で刷りました ── 栃木」

作品の下から二番目の写真は、製本構造を紹介したものであるが、そこの片隅で「ほしょうします!」とわめいているのはやつがれ。
上野+栃木家の第一子誕生に際して、いくつかの名前の候補をあげられ、その最終決定をやつがれにゆだねられた。これは責任重大である。
だから『許慎 説文解字』、『漢語大詞典』(上海辞書出版社)、『中日大辭典』(台湾・大新書局)などから、吉祥の字「紋暢」をえらんで推薦した。けっこう汗をかいた。

bibai_880uu 紋暢くんTシャツに驚くバッカス松尾DSCN0378sDSCN0347sアダナプレス倶楽部ニュース ◎ 06月19日  Viva la 活版 Viva 美唄 さぁはじまったぞ! アダナプレス倶楽部イベント狂想曲 !? に紹介してあるが、簡易シルクスクリーン印刷機「Tシャツくん」をもちいて、イベントマークを会員用としてTシャツに印刷しておいた。紋暢くんはその「制服」を着ての登場。しかもおなじカラーではないか!そこでやつがれも、ついデレデレ状態となった次第。

両親につれられて「紋暢くん」がはじめて朗文堂にやってきたとき、そこに大勢のおとながいたので、おどろいたのか「紋暢くん」は、
「わぁ~」
と、激しく泣き モトイ 大声で発声練習をはじめた。そのとき大石薫がサッととりだしたのが、「紋暢くん誕生祝い」にと、ひそかに用意していた「あおむしくん」。
これは郷里にすむ大石の母親が、手編みの手芸がご趣味で、母に依頼して製作してもらったものだという。
『はらぺこあおむし』(エリック・カール作、偕成社)は、同社の児童書を代表するロングセラーだそうで、さすがに効果はテキメン。
「ン、これはナンだ?」からはじまり、抱きかかえ、振りまわし、囓りつきといそがしい。
「いま泣いた紋暢くん、手編みのあおむしくんを抱いて、ニッコニコ」となったのには驚いた。

偕成社のWebsiteには、画像が転載禁止と表示されていたが、YouTubeに一年ほど前からアップされていて、すでに二百万回以上閲覧されてる動画(5:17)があったので紹介したい。
アダナプレス倶楽部には若い女性が多く、妊娠・出産を計画しているかたもいると聞く。なにかの参考になればとおもう。
やはり主役たる「文香 fumikou」の活版造形作品は、予想にたがわず、主役の座を「紋暢くん」に奪われたようである。

《Viva la 活版 Viva 美唄》レポート04 イベントサインの紹介

《Viva la 活版 Viva 美唄のイベントサインに、「銘石B」を随所に使用》
朗文堂/アダナ・プレス倶楽部では、本2013年07月13-15日、【Viva la 活版 Viva 美唄――すばらしき活版、すばらしい美唄】と題して、活版印刷の祭典を開催した。

その新イベントのサイン用の書体として選択されたのが、日本語総合書体【銘石B くれたけ】と、欧文デジタルタイプの【オンディーヌ】であった。
【詳細情報:朗文堂タイプコスミイク 銘石B Combination 3  PDF データーつき

「オンディーヌ  Ondine」とは、フランス語で「水をつかさどる精霊」の意で、清浄な湖や泉に住んでいて、ほとんどのばあい、美しい女性のすがたとして描かれている。
語源はラテン語の unda(波の意)とされ、欧州各国語では、ウンディーネ(独:Undine)、アンダイン、あるいはアンディーン(英:Undine)、オンディーナ(伊:Ondina)などとされるようだが、ここではフランス発祥の活字(ドベルニ&ペイニョ活字鋳造所、活字設計:アドリアン・フルティガー 1953-4年製作)でもあるので「オンディーヌ  Ondine 水をつかさどる精霊」としたい。

印刷設計士(グラフィックデザイナー)は松尾篤史さん。
イベント告知は、おもに、はがきによった。
そのはがき印刷は、宛名面:スミ1色刷り、絵柄面:バーントシエンナ+スミ 2色刷り。用紙:特Aクッションで、担当は、大阪・江戸堀印刷所/小野香織さんであった(以下3点の写真は2012年04月撮影)。

《江戸堀印刷所と小野香織さんを巡って》
大阪の活版印刷工房、江戸堀印刷所は、「アサヒ高速印刷」(代表:岡 達也さん)が事業主体で、2007年04月、活版印刷機 Adana-21J の発売開始と同時に購入のお申込みをいただいた。
したがって江戸堀印刷所の Adana-21J は、栄光のシリアル・ナンバー「0001」が納入されている。

岡達也社長は「江戸堀印刷所」の構想を胸に、まず先駆けとして Adana-21J  を導入され、 次第に電動プラテン活版印刷機、半自動足踏み活版印刷機、電動箔押し機、小型断裁機、バーコ熱加工機などを設置した相当な規模の印刷工房を「江戸堀印刷所」と命名して2011年秋に開設をみた。
中核社員は小野香織さんであった。

「Viva la 活版 Viva 美唄」のイベント告知はがきは、用紙:特Aクッション、宛名面1色/絵柄面2色の両面印刷で、電動プラテン活版印刷機で3,000枚を印刷していただいた。
その印刷の直前に小野さんは妊娠の兆候があり、参加を楽しみにされていた07月の「Viva la 活版 Viva 美唄」への参加は、安全をおもんぱかって見送りとなった。また2013年10月より、出産を控えて一時休暇となっている。
ここにデジタルタイプ【銘石B】を知っていただくと同時に、小野香織さんの活版造形作品として、皆さまにあらためて紹介したい。
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このイベント告知はがきの印刷設計士・松尾篤史さんは、日常業務としての商業印刷物製作には、しばしば【銘石B くれたけ】を愛用されていた。ところが、アダナプレス倶楽部では印刷版式の相異をおもくみている。

そのために、オフセット平版印刷や、インクジェット出力によるポスターサイズからはじまり、上掲写真のように、亜鉛凸版をもちいたレタープレスによるはがき印刷まで、印刷方式の相異、大小各種の使用、さまざまな用紙の選択など、過酷な使用状況が予想されていた。
そこで印刷設計士の松尾篤史さんは、まず堅固なディド・ポイントシステムにもとづく「グリッド」を製作し、果敢に日本語総合書体【銘石B くれたけ】をご使用いただいた。

美唄コラム緑uu

美唄コラム黄uu

【銘石B】の原姿は、いまから1670年ほど前、中国・晋代の墓誌に刻まれた字を標本としている。
この墓誌は、粘土を固く焼き締めた「磚 セン」に彫刻されていた。すなわち、書かれた文字というより、彫られた文字であり、書写系文字ではなく、彫刻系文字といえるものであった。

そうした背景のせいであろうか、松尾篤史さん設計、小野香織さん印刷における「告知はがき」においても、【銘石B】は過酷な使用環境に良く対応し、おおきく使うと、迫力と力感のある字となり、ちいさく使っても、判別性と可読性を損なうことがすくなく、またレタープレスのつよい印圧にもツブレの発生がなく、強靱さを発揮していた。
【詳細 アダナプレス倶楽部コラム:Viva la 活版 Viva 美唄の中間報告

《銘石B デジタルタイプについて》
かねてより、十分なインパクトがありながら、視覚に優しいゴシック体、それもいわゆるディスプレー・タイプではなく、文字の伝統を継承しながら、使途のひろい、あたらしいサンセリフ ―― Human Sans Serif が欲しいとされる要望が寄せられていた。

確かにわが国のゴシック体のほとんどは、もはや自然界に存在しないまでに鋭角的で、水平線・垂直線ばかりが強調されて、視覚に疲労をもたらすことがある。

欣喜堂・今田欣一氏と、朗文堂タイプコスミイクが提案した、新書体「銘石B」の原姿はふるく、中国・晋代の『王興之墓誌』(オウーコウシ  341,348年刻、南京博物館蔵)にみられる、彫刻の味わいが加えられた隷書の一種で、とくに「碑石体」と呼ばれる書風をオリジナルとしている。

『王興之墓誌』は近年になって発掘されたもので、1965年に南京市郊外の象山で出土した。一行15字で13行。表裏に夫妻の記録がのこされている。標本文字数としてはわずかなものだった。
王興之(オウ-コウシ 309-40)は王彬オウーリンの子で、また書聖とされる王羲之(オウ-ギシ  307―65)の従兄弟イトコにあたる人物である。

この墓誌は東漢の隷書体から、北魏の真書体への変化における中間書体といわれている。遙かなむかし、中国江南の地に残された貴重な碑石体が、現代に力強くよみがえった。
「銘石B」には、和字(平仮名と片仮名)3書体(くれたけ、くろふね、くらもち)が標準でセットされており、用途に応じた選択ができる。
皆さまの積極的なご用命、ご使用をお待ちしているゆえんである。
【詳細情報:朗文堂タイプコスミイク 銘石B Combination 3  PDF データーつき

Viva la 活版 Viva 美唄 レポート05 山崎洋介さん・日吉洋人さん ほかの会員。

美唄コラム緑uu美唄A3カレッジ修了生展示uu
DSC00211sDSC00203sDSC00333s【テーマ】 活版印刷と歯の健康
【作品名】 『カッ歯ン印刷』
【作者名】 山崎洋介
【版式・技法】 文字:凸版(活字版印刷)
            図版:凸版(樹脂凸版)

山崎洋介さん(活版カレッジ修了)は、歯学博士であり、現在も大学にのこって、助教として勤務しながら、研究を継続されている研究者である。
それでいながら、けっして自己顕示はしないし、謙虚な人柄である。またひとにたいする思いやりにあふれ、すべての行動が闊達かつスマートなひとである。
上掲のふたつの広角風景写真はハカセ山崎による。

《歯 は 命 ―― おっしゃるとおりです》
やつがれ、かつて若気のいたりで、酔っぱらって前歯を一気に4本うしなったが、ここ30年ほど歯科医の世話になったことは無かった。
それが07月中旬の「Viva la 活版 Viva 美唄」のころから、甘いものをたべると歯がしみることがふえた。それをほうっておいたらズキンズキンと痛みがはしった。
なんの因果かしらないが、3連休の初日、土曜日の夕方から耐えられない苦痛にかわった。

痛みに七転八倒、悶絶しているうちに、藁にもすがるおもいでハカセ山崎の顔が脳裡にうかんで、救命 モトイ 治療を依頼しようとおもった。それでもなんとか我慢して、薬局に駆けこみ、痛み止めの薬を数種購入して、ばかばかと服用した。それでも痛みはおさまらず、土・日・月曜日とのたうち回っていた。
連休があけた火曜日の朝一番、予約も無しで、社のちかくの磯山歯科医院に駆けこんだ。

すぐに看護師がレントゲン写真を撮影し、待つことしばし。あのおぞましい椅子に座らせられた。
診察台脇ののモニターには、撮影したばかりのやつがれの歯列の画像が、すでにアップされていた。

「ずいぶん前に、2本の虫歯治療をしていますよ[完璧にわすれていた]。いま痛みがあるのはこれ(レントゲン画像で確認)で、詰めものがとれています。これは治療して金属をかぶせます。
こっち(レントゲン画像で確認)は、もっと虫歯が進行しているので、いずれ痛みがでたら、そのときに抜歯ということにしましょう」
「2本とも、一緒に治療していただけないのしょうか」
「歯は命です。たいせつなものだから、できるだけ抜歯は避けましょう」

取りあえず、錠剤の痛み止めをもらって、明後日の予約をしてそれで終わり。
薬局の売薬と保冷剤の氷湿布では容易には治まらなかった痛みが、ウソのように消えていた。しかしそれから数回の治療が地獄のはじまりだった。
「ハイ、お~おきく口をあけて……」
「ハァ、ハァ」
「ちがう、ちがう。ちがいま~す。呼吸は口からではなく、鼻で呼吸してください」
「ハァ~、ハァ~」

何度もその繰りかえしだった。皆さんはどうであろう。
そもそも、おおきく口をひらくと、自然に気道がひらき、口から呼吸するのが自然ではないのか。ともかく何事にも不器用なやつがれ、おおきく口をあけ、鼻からの呼吸法の治療 モトイ 指導を最初に受けた。
その光景に、小型掃除機というのか、吸引器のようなものをかかえた若い看護師は、なにがおかしいのか知らないが、笑いをこらえるのに必死だった。
それよりやつがれ、カンナだかドリルだかしらないが、ゴ~、ゴリゴリ、ジ~コ、ジ~コと削りとられた歯、すなわち骨の一部か ── の破片が、看護師の吸飲努力にもかかわらず、どんどんノドにはいって、さぁたいへんだった。
ハカセ山崎、歯科診療とは、こんなに苦痛をともなうものでしょうか。
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【テーマ】 活版印刷とデザイン教育
【作品名】 『活字の印刷見本』
【作者名】 日吉洋人
【版式・技法】 文字:凸版(活字版印刷)P1000720uu

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武蔵野美術大学基礎デザイン学科の助手として勤務している日吉洋人さん(活版カレッジ修了、タイポグラフィ学会会員)の意欲的な実験作品、『活字の印刷見本』。

ムサビ基礎Dには小型活版印刷機 Adana-21J が数台あり、欧文活字を中心として、金属活字のサイズ、書体の種類もだいぶ増えてきた。
日吉さんは、助手としての勤務のかたわら、活版印刷をつづけている。また一年余にわたり、毎週一回、黙黙と活字鋳造所に通い、活字鋳造の現場をみてきた。

したがって文字組版は、極力金属活字により、容易には製版凸版をもちいないで、微妙なスペーシングにまでこだわって、活版造形に挑戦している。
今回の組版テキストは、ずいぶん迷った末、ご存知のクラーク博士(William Smith Clark,1826-86)による「Boys, be ambitious 少年よ、大志を抱け」となった。

“Boys be ambitious!. 
Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement 
not for that evanescent thing which men call fame.
Be ambitious for the attainment of all that a man ought to be.”

「少年よ大志を抱け。ただし、金を求める大志であってはならない。
利己的なものを望む大志であってはならない。
名声という浮わついたものを求める大志であってはならない。
人が人として備えなければならぬ、あゆることを成し遂げるために……」
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上掲5点の写真は日吉洋人さんの撮影。日吉さんはもっぱらアートギャラリーとアートストゥデイオをいったりきたりしていた。とりわけアートストゥデイオでの「タイポグラフィゼミナール」を積極的に応援されていた。その記録は「動画 Viva la 活版 Viva 美唄」の13:20ころから随所に登場する。

「水の広場」ですそをまくって立つのは、ムサビの同僚、玉井一平さん(活版カレッジ修了)。はるばる九州・福岡からの参加で、おもにアートギャラリーでの「監視員」さん役(本来やつがれの役割だったが……サボった)を担っていただいた。

P1000621uu P1000648uu P1000717uu P1000637uu bibai_452YouTubeに投稿した「Viva la 活版 Viva 美唄」の撮影は、これもはるばる四国・徳島から、黒縁眼鏡、黒衣裳、最新型黒カメラ持参と、黒づくめで参加された川崎孝志さん(新宿私塾修了、タイポグラフィ学会会員)であった。

川崎さんの撮影による動画「Viva la 活版 Viva 美唄」は、安田 侃カン彫刻公園「アルテ ピアッツァ美唄」の緑ゆたかな景観と、「Viva la 活版 Viva 美唄――すばらしき活版、すばらしい美唄」を抒情ゆたかに謳いあげていた。
YouTubeに投稿することなど、ほとんどはじめてのことだったが、うれしいことに何人かの会員からお褒めのことばをいただいた。

逆光ながら「監視員さん」の椅子に3人でかけているうち、右端は押手恒さん(オシテーヒサシ、新宿私塾修了、タイポグラフィ学会会員)。押手さんが「監視員さん」をつとめていたことは、この写真をみてはじめて知った。
ともかく押手さんは、フラ~リ、フワ~と、あらわれては消えるひとであった。

日ごろからそんな具合だから、格別には驚かなかったが、宿も、定山渓温泉、苫小牧と、アナタは北海道の地図をみてこの宿泊地を選んだのか? というような、えらく美唄からは遠隔地に宿泊していたらしい。
そのわりに、飲み会、懇親会などには積極参加して、二次会でのカラオケ絶叫写真までのこっている。奇妙人のひとりといえるかもしれない。

もう一枚「監視員」の椅子に、ドカッと腰をおろしているのは、左:横島大地さん(活版カレッジ修了)、右:真田孝治さん(活版カレッジ修了、新宿私塾修了、タイポグラフィ学会会員)である。

このふたりには、搬入・展示・撤収におおいに力を貸していただいた。また真田さんは、
「大阪市の市長には絶対に負けるな!」
と、妙な激励をうけて、現地速報広報係を担当した。そのために日中はもっぱら短文ブログ(ツイッター)で、美唄での〈Viva la 活版 Viva 美唄〉現地情報を送信しつづけていた。
帰京後知ったことだが、相当の人数のかたが美唄からの真田ツイッター情報によって〈Viva la 活版 Viva 美唄〉の盛況を知っておられたことに驚かされた。

また夜になると、にわかに「アダナプレス倶楽部宴会部」を横島・真田のふたりで結成し、みんなを怪しげな飲み屋に誘惑していた。この「宴会部」の活躍のありさまは、いずれ終末部で報告したい。
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というわけで、本来終末部で紹介するつもりであったが、このコラム欄への訪問者が比較的すくない(いずれ誘導するが……)いまのうちに、横島大地/真田孝治の両名が結成した「アダナプレス倶楽部宴会部」二次会編 ── いくら呑んでも2,000円という、石見沢市の怪しげな店「ナポレオン」での、協演(狂宴?)のさわりだけでも紹介しておこう……と、編集子は勝手におもうにいたった。

マイクを持つ指にご注目あれ。会員だけでなく、ついに店のマスターも笑いだした。ようやく気づいたハカセ山崎も爆笑。冒頭で山崎洋介さん(活版カレッジ修了)をこのように紹介した。
山崎さんは歯学博士であり、現在も大学にのこって、助教として勤務しながら、研究を継続されている研究者である。
それでいながら、けっして自己顕示はしないし、謙虚な人柄である。またひとにたいする思いやりにあふれ、すべての行動が闊達かつスマートなひとである。

この一文に訂正はない。しかしである。
みじかくも充実した北海道での最後の夜、宴会部のふたりが設定した「ナポレオン」での二次会で、ハカセ山崎はカラオケのマイクを握った。
そのときの小指をたてた手つきがおかしいと、会員だけでなく、しまいには店のマスターまで笑いだした。最後はハカセ山崎も壊れていたという次第。
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ハカセ山崎のマイクの握りかたがおかしいと、最初に笑いだした小酒井英一郎さん(活版カレッジ修了、タイポグラフィ学会会員)も、まぁ派手にやってくれた。

アダナプレス倶楽部長老会(90歳を筆頭にかなりのメンバーが在籍しているらしい)の、若手支部会員が小酒井さんである。
小酒井さんは、横島・真田の宴会部にのせられるあまり、ナント御年6?歳にして、北海道は石見沢市「ナポレオン」にて、人生はじめてのカラオケ熱唱に挑戦した。曲は梅沢富美男の「夢芝居」。

モニターのポインターを蝶蝶と間違えて,捕蟲網で捉えようとしている!カラオケ熱唱、人生初体験。11時ころにおよそ半数(9人)がホテルに引きあげたが、その後宴会部と小酒井さんら数名は三次会に突入して、それらからのほとんどは、小酒井さんがひとりでマイクを独占して熱唱また熱唱の連続だったと、宴会部のふたりがあきれたように報告した。

またタイポグラフィ・ゼミナールが開催された「アルテ ピアッツァ美唄 アートスペース」は、出入り口の扉がおおきく、開閉のたびに蝶が何匹も突入してきて、来場者やスタッフにまとわりついていた。そのために扉はできるだけ締めておき、室内には捕虫網をもった「虫取り係」をおいていた。

ゼミナールの最中、小酒井さんの動きが不審だと最初に気づいたのは、受付を担当していた田中智子さん。
「小酒井さん、それは蟲じゃない。ちがう、ちがう」
と絶叫した。
なんと小酒井さんは、講師が駆使したパソコンのポインターを蝶とまちがえ、ポインターが画面上をヒラヒラと動くたびに、
「捕ってやるぞ、この蝶蝶めが」
とばかり、しっかり身構えていたのである。