朗文堂 アダナ・プレス倶楽部 こんな時代だから、活版印刷機を創ってます。

以前のアダナ・プレス倶楽部ニュースです。
現在はブログにてお知らせしております。

ニュース No.006 【アダナ・プレス倶楽部便り】

古い「 ADANA 」の晃文堂版販促資料をご紹介します。

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倉頡文庫所蔵 ( PDF:94.1MB )

かつてアダナ印刷機を販売していた株式会社晃文堂による、A4 8 ページ、両面カラー印刷、ジグザグ折りのパンフレットです。年輩の方なら青春時代をなつかしく想いだされる貴重な資料ですが、1960 年代の末か、70 年代の初頭に制作されたと想像されるものの、発行年月日は判明しません。

 この頃の晃文堂では、ADANA Eight-Five より小型の、ADANA Five-Three だけを輸入・販売していました。当時の物価水準からみると相当の高額でしたが、販売は好調だったそうです。しかしなによりもわが国における外貨が不足しており、イギリスへのポンドによる海外送金には制限が厳しく、それに苦慮されることが多かったそうです。

 それはなにもアダナ印刷機だけではなく、当時の晃文堂が積極的に導入をはかっていた欧文活字に関しても同様で、国内での販売がいくら好調でも、海外メーカーが輸出を制限することも少なからずあったという、現代では想像もしにくいことがしばしばあったということでした。

「アマチュア用印刷機 ADANA 」のキャッチ・フレーズには「アマチュア用印刷機」「机の上の印刷工場」などと、昨今の DTP システム( Desktop publishing 机上出版)ということばを先取りしたような惹句もみられます。また表紙の図版に紹介された印刷物は、エフェメラの域をはるかにこえた見事なもので、当時の印刷愛好家の皆さんがいかに積極的にこのマシンの可能性に挑んでいたのかがよくわかります。

ADANA に惚れるの弁」には、故原弘氏を筆頭に、漫画家の久里洋二氏、やなせ・たかし氏などが登場して、活版印刷への熱い思いを開陳されています。

 このパンフレットが制作されてから、おそらく 40 年近い歳月が経過しています。それでも今なお、ADANA Eight-Five, ADANA Five-Three の一部にはまだ強固な愛好者が存在しています。ですからアダナ・プレス倶楽部が発足したという情報が流れると、これらのユーザーやそのリ・ユースのユーザーから、いちはやくサポートの依頼が殺到しており、いささか困惑気味というのが正直なところです。もちろんアダナ・プレス倶楽部は新機種の Adana-21J を開発・販売する目的ですが、こうした従来型の「アダナ印刷機」を含め、制限はありますが「テキン」などの小型プラテン印刷機のユーザー様のサポートもできる限り実施してまいります。

 今またふたたび甦り、力強く再生する Adana-21J が、21 世紀の中葉を迎える頃に、どのような環境のなかで評価されるのか、こうした古いパンフレットを見ていると、楽しみでもあります。

Robundo Publishing Inc. Tokyo JAPAN