以前のアダナ・プレス倶楽部ニュースです。
現在はブログにてお知らせしております。
ニュース No.008 【アダナ・プレス倶楽部便り】
2007
活版印刷再生(ルネサンス)元年
あたらしい年、2007 年を迎えました。皆さま、あけましておめでとうございます。
おもえば昨年の初秋にアダナ・プレス倶楽部が発足してから 4 ヶ月余、さまざまなご支援・ご協力をたまわりありがとうございました。
プラテン型活版印刷機 Adana-21J は、試作機の完成から、およそ 200 名の皆さまに実際に試用・実体験していただくことができました。お陰様でおおむね好意的なご意見をいただきましたが、プロの活版業者様や、活字鋳造所様からの貴重なご助言も頂戴し、それらのご意見をもとに、より精度と強度の向上につとめております。
Adana-21J は本格生産に向けて、目下鋳型の製造に入っており、今春には実用機の発表を予定しております。また関連資材の製造・製造再開が次々と決定し、希望の年の幕開けとなりました。
またこれからご購入予定の皆さまに向けた 「活版印刷実践講座(仮称)」の開設も本格始動いたします。
こうした記念すべき 2007 年を「活版印刷再生(ルネサンス)元年」とすべく、スタッフ一同、決意をあらたにしております。
皆さま、本年も変わらぬご支援のほどお願いもうしあげます。
年賀状
活字 : POLIPHILUS より転載
TEXT : 「ポリフィロの狂恋夢( Hypnerotomachia Poliphili )」第 I 巻 第 III 章より
Francesco Colonna 著
Aldus Manutius 刊 1499 年
Printed by Lingua Florens, 2007
閑 話 休 題
〈 縁起物/飾り餅の上に鎮座しているミカンの由来は 〉
お正月を飾る縁起物の「飾り餅/鏡餅」は平たく円形の鏡のように造った餅のこと。それの大小 2 個を重ね、正月に神仏に供えて吉兆を祈る慣わしがある。その頭頂部にはどういうわけか決まって大ぶりなミカンがのせられている。その由縁はどこからきたのであろう。
図版は『中国吉祥図案』(野崎誠近著 古亭書屋編纂)から採ったもので、「年年大吉」あるいは「鯰魚及大橘図」とされるきわめておめでたい図絵である。ご覧になってわかるように、籠のなかに大ナマズ(鯰)が 2 匹いて、手前には大きなミカン(大橘)が添えられている。
「 年年大吉/鯰魚及大橘図 」
鯰と年は同音同声( Nien 2 )。
大橘( Ta 4 Chu 2 )と大吉( Ta 4 Chi 2 )は音が似通っている。
したがって、2 匹のナマズは同音同声によって「鯰鯰 → 年年」に転じ、大きなミカン「大橘」は「ターチュー/ターチィー」の音の類似性から「大吉」となり、この図は画文一致の中国にあっては「年年大吉」のおめでたい吉祥図とみなされるのである。すなわち大きなミカンは「大吉」とされて、飾り餅の上に鎮座することとなったのである。
わが国の縁起物の鏡餅でも「橙(ダイダイ)」を飾り、「ゆずり葉」と同じく、家が代々栄えるようにとの願いがこめられている。鏡餅の下に敷く「昆布」は「よろこ(ん)ぶ」に通ずる。おせち料理の具材にもそれぞれの名前や特徴にかけて洒落た意味合いがこめられている。
Robundo Publishing Inc. Tokyo JAPAN