2008 年 08 月 09 日
蒸し暑い梅雨がつづきました。そして天空の底がぬけたような雷雨が襲い、このごろは入道雲がむくむくと湧きでています。07 月 26 日のこの「朗文堂 News」コーナーに、カタバミ(酢漿草)が枯れてしまったとしるしましたが、今朝小社のエアコン排水口の周辺に、しかもコンクリートの隙間を割るように、まだまだけなげに、真っ黄色の花をつけたカタバミを見つけました。なにか嬉しい夏の朝でした。
朗文堂夏休みのお知らせ
8 月 13〔水〕 — 17〔日〕
ご迷惑をおかけしますが、この間朗文堂はささやかな夏休みをとらせていただきます。よろしくお願いいたします。
孫明遠氏講演会、お申込みをお待ちしております。
詳細: http://robundo.com/robundo/news/study-group5.html
甲子園では高校野球が真っ盛り。北京ではオリンピックも開催されました。この最中に、福岡在住の孫明遠氏と朗文堂のあいだでは、しばしばメール、電話、荷物のやりとりがつづいています。
孫明遠氏は 24 ページのレジュメを用意されましたが、照明を落とす講演会ではあまりに多すぎるとして、8 ページへの圧縮を要請。そうしたら、新知見に満ちた、衝撃的な内容が、より一層際だって、どうしよう……。
すでに猛暑をついて多数の皆さまからお申込みをいただいております。夏休み中でも結構ですので、お申込みだけでもしておいてください。本当に聞き逃すと後悔すること必至の、充実した講演会です。
活版カレッジ 9 月よりスタート ! 近々満員となります !
詳細: http://www.robundo.com/adana-press-club/technical-guidance/
既報の「活版カレッジ」の準備に追われています。ともかくいままでにない充実した内容で、しかも「知・技・美」の三領域を網羅しようとスタッフは意欲満々。
使用機器も、アダナ・プレス倶楽部ならではの、ピッカピカの新品ばかりを提供します。また、活字もこれまた実際的で、入手可能な活字に絞って、カリキュラムの組立がほぼ終わりました。
水曜日の昼間部は満員。木曜日の夜間部にわずかな余裕があります。あなたも「活版カレッジ」の晴れの第 1 期生になりませんか。
弘道軒清朝体活字資料研究プロジェクト
弘道軒清朝体の活字父型・活字母型・金属活字の 3 点が揃った形で発見 !
このテーマに関心のある方は、メンバーにご参加ください。
5 月に朗文堂 アダナ・プレス倶楽部が開催した「活版凸凹フェスタ」に際して、協力企業各社に、活字版印刷と活字に関する資料提供を呼びかけました。その際「築地活字」の代表・平工希一氏が、
「こんなモノが、ウチの押入にあったんですけど……。なんですかねぇ」
と持参されたのが、写真の黒い箱 2 つでした。
実はこれと同じ箱に入った資料を 1976 年(昭和 51)に見ていました。
この資料は神崎正誼らによる弘道軒清朝体活字の資料で、1946 年(昭和 21)岩田活字母型製造所前社長・岩田百蔵が旧蔵者(詳細不詳)から購入し、自宅押入に所蔵していたものですが、1976 年(昭和 51)、当時タイポグラフィ博物館を設立したいという気運があった日本タイポグラフィ協会に寄贈されたものとほぼ類似の活字資料でした。
その後、日本タイポグラフィ協会はこの寄贈された資料を大切に保管していましたが、タイポグラフィ博物館は設立をみないままに過ぎていました。細かい事情は解りませんが、凸版印刷による印刷博物館の創立をみて間もなく、これらの資料一切は印刷博物館に「寄託」されました。
いずれ公開しますが、1976 年当時の所蔵のいきさつは、桑山弥三郎・小塚昌彦・吉田佳広などの諸氏が熟知していますし、故・佐藤敬之輔は未公開稿本『弘道軒清朝体についての研究』(昭和 51〔1976〕年 5 月 7 日 佐藤敬之輔)を残しています。
それがなぜ類似の資料が築地活字の平工希一氏の自宅から発見されたか……。その理由は意外に明解です。すなわち、築地活字の先代代表、平工榮之助の妻・愛子(1928 年 1 月 2 日生まれ)は岩田百蔵の長女であり、平工榮之助・岩田百蔵両氏は、相互に平工商店(築地活字の前身)/岩田活字母型製造所の役員を兼任していました。
つまり岩田百蔵は、女婿であり、戦後の復興に成功し、昇竜の勢いをみせていた活字鋳造所の平工商店・平工榮之助に、当該資料のうち、もっともまとまりの良い資料を譲渡したものと推定されます。それが岩田百蔵の外孫にあたる平工希一氏の自宅に所蔵されていたものとみられます。
うれしいことに、平工希一氏は、この資料を研究対象として十分活用して欲しい……、とのことでしたので、サビ止め加工を終えたいま、この写真に見る活字を用いて、アダナ・プレス倶楽部が活字版印刷を実施しました。文例は片塩がつくったもので、ほぼすべての活字(字種)を用いて組版・印刷してあります。
ここに資料の存在をお知らせするとともに、この貴重な資料をいっしょに研究にあたっていただく意欲のある方をさがしております。また、その報告は、この Website の「タイポグラフィつれづれ艸」のコーナーに順次報告の予定です。
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