ことばが活きている限り、技術は生きつづけます。今、活版印刷の再生のために、まずことばを甦らせました。
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【ならし/ならし木 planer ; Klopfholz 】
活版印刷において、組み版をチェースに組みつける際に必要となる作業のひとつです。活字の浮き上がりを沈め、版面を平滑に「ならし」て整えます。その際用いるのが「ならし木」で、片面を平らに仕上げた角材の背に、クッション材を貼った厚板です。「ならし」作業は本締めの前に、ゆるく締められた活字組み版の上部に、活字の字面を傷つけないように注意しながら「ならし木」をあて、木づちで軽く叩いて活字面を平滑にします。「平ら木」とも呼びます。
【並び線 ベースライン line, base line ; Linie der Schrift 】
欧文活字書体における、ディセンダをのぞいた字づらの下端に水平に引かれる仮想の線のこと。H および m の下端のセリフを基準とします。ただし Q の下端部は、一般にベースラインよりさがり、C, S, O, t などの下端部の曲線は、錯視を補整するために、ベースラインよりやや下部に描かれことがみられます。同)ベースライン
【並び線見 lining gauge, aligning gauge ; Linienmaß 】
欧文活字の並び線(ベースライン)を測定する器具。同)版面見、筋見。
【ネッキ nick ; Signatur 】
活字の腹にある部分の名称。英語の nick (刻み目・切り込み)が訛って「ネッキ」と呼ばれます。断面が孤形または長方形の溝です。ブルース活字鋳造機などの手回し式活字鋳造機では、ネッキを 1 — 3 本つけて、大きさ、書体の判別にもちいたこともありますが、現在ではほとんど 1 本に統一されています。手拾いや手組みの場合には、指先でこのネッキを確かめながら、活字の向きを揃えます。自動活字鋳造機や機械式活字鋳植機の場合には、ネッキをガイドとして、活字を仕上げ装置に正しく搬送します。また大形欧文活字では地金を節約するために、背と腹にネッキをつけたものがあり、モノタイプでは搬送の都合上、腹ではなく横につけたものもあります。