ことばが活きている限り、技術は生きつづけます。今、活版印刷の再生のために、まずことばを甦らせました。
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【チェース chase ; Schließrahmen 】
凸版印刷の際、印刷機の版盤に版面を組みつけるための、四角い鉄製の枠。枠の大きさは機械ごとに異なります。この枠ごと印刷機に取りつけて印刷します。
【チンパン tympan ; Deckel 】
手引き印刷機の部品のひとつ。素材の多くはカンバス布などをもちいる。行灯アンドンぶたとあわせ、その間に印刷用紙をはさむものです。また、印刷圧を調整するために、外側に貼り込み用チンパンを持つものもあります。
【手引き印刷機 hand press ; Handpresse 】
手動で操作する印刷機の総称。一般には 550 年ほど前にグーテンベルクが用いたネジ棒式圧搾機型印刷機( screw press )以来、活字版印刷機には次第に改良が加えられ、現代の印刷機につながっています。グーテンベルグ以降の手引き式印刷機のうち、著名なものでは「ブラウ印刷機」「スタンホープ印刷機」「コロンビア印刷機」「アルビオン印刷機」「スミス印刷機」「ラスベン印刷機」「ワシントン印刷機」「ハーガー印刷機」(以上年代順)などがあります。
【胴張り・胴張り紙 packing, packing paper ; Aufzug, Aufzugbogen 】
広義には印刷機の圧盤(平圧式)、圧胴(円圧式)または胴蓋などを覆うことですが、一般には凸版印刷機の圧盤、圧胴を覆うことを表します。印刷の際に圧盤・圧胴などの金属面と、活字や凸版類からなる版面との衝撃をやわらげ、適度な弾力を与え、版面と印刷用紙との接触を良くするために圧盤に厚紙を貼り、厚み、硬さ、弾力性を調整します。圧胴には、紙、布またはゴム・ブランケットなどを巻きつけます。一般にハード、セミ、ソフト・パッキングの別がありますが、明確な区別があるわけではなく、また被覆の材料も印刷作業者や、作業内容によって異なります。原色版・辞書凸版印刷などの細密な印刷には、ムラ取りを精密にして、ハード・パッキングを用います。これらの胴張りのパッキングに用いるのが胴張り紙です。マニラ紙、模造紙、ファイバー紙、クラフト紙などのほか、胴張り紙として特別に抄造された用紙もあります。
【鳥居(とりい)】
活版印刷用語で用いられる「鳥居」とは、おもに罫表組みの斜線に用いる罫線のことです。
「鳥居パンチ・鳥居ばさみ」と呼ばれる特殊なはさみを用い、罫線の中央を込め物の高さにくり抜き、両側に足をつけた鳥居形の罫線で、その両足部分をねじって、版に組み込んで用います。
【トムソン抜き】
情報の密度があがってほとんど地域差がみられない現代ですが、印刷界に頑固にのこっていることば(業界用語)が、パッケージ製作などにおける型抜きの「トムソン抜き、ビク抜き」のようです。 こうした違いをもたらした原因は、輸入代理店のちがいから、「関西ではThompson社製の機械がもちいられたことが多く、その作業をトムソン抜きと業界用語で呼んだ」。いっぽう、「関東ではVictoria社製の機械がもちいられたことが多く、その作業をビク抜きと業界用語で呼んだ」とする説が有力です。