
鹿島出版会 / 京都工芸繊維大学美術工芸資料館
SDレビュー2025
第43回建築・環境・インテリアのドローイングと模型の入選展 京都展
SD Review 2025
The 43rd Exhibition of Winning Architectural Drawings and Models in Kyoto
開催期間 2025年10月3日[金]- 10月25日[土]
休 館 日 日曜・祝日、10月18日[土]
開館時間 10:00 - 17:00(入館は16:30まで)
会 場 京都工芸繊維大学美術工芸資料館 1Fホール・2F
〠 606-8585 京都市左京区松ヶ崎橋上町
電話番号 075-724-7924 ファックス 075-724-7920
▷ 交通・アクセス
入 館 料 一 般 200円、大学生 150円、高校生以下 無 料
* 各種割引、優待情報などは 下掲詳細 参照。
後 援 朝倉不動産株式会社
協 賛 鹿島
竣工写真撮影協力 日本建築写真家協会
京都展共催 京都工芸繊維大学
主 催 鹿島出版会
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❖ SDレビューとは ❖
SDレビューは、実際に「建てる」という厳しい現実の中で、設計者がひとつの明確なコンセプトを導き出す思考の過程を、ドローイングと模型によって示そうというものです。
実現見込みのないイメージやアイデアではなく、実現作を募集します。
1982年、建築家・槇文彦氏の発案のもとに第1回目が開催され、以降毎年「建築・環境・インテリアのドローイングと模型」の展覧会とその誌上発表を行っております。
本展の特徴は、月刊『SD』1998年1月号の特集「SDレビューの15年」にまとめられており、その一部を以下に再録します。
SDレビューの今日までの足跡を辿り、思いついたことをメモしてみたい。
建築家・デザイナーたちの 「実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの」という条件で作品を公募し、その中からの入選作を展覧に供すという試みはそれまでなかったように思う。
そこには、実現されないアイディアコンペとは違い、建築家たちが設計を通して現実社会の中でどう格闘しているのかを見ようとしている新しい視点があった。
しかしながら、編集部にとっては試行錯誤の連続で、ましてや展覧会場作りは展示のプロフェッショナルの手によることなく、元倉眞琴氏のボランティアを仰ぎ、設営はすべて素人の手作りである。
東京展の会場自体は、2ヵ所の小さなギャラリーを出発点としてヒルサイドテラスの発展と共に、ヒルサイドプラザ、ヒルサイドフォーラムへと移行し、より快適になったのだが、素人の手作り展示だけは現在も変わらない。出展者の方々には展示に関してご不満があろうことは承知しているが、これは権威づけにならぬようにという、SDレビューらしさのひとつとも思っている。
会場作りのことはさておき、会場が広く充実するにつけ、展覧会でのプレゼンテーションもより密度ある多様な展開が見られるようになった。これは展覧会が継続されることによって出展者たちのプレゼンテーション・テクニックに磨きがかかってきた証左ともいえるだろう。
第4回(1985年)より、SDレビューも大阪へ巡回することになった。これを機に関西地区の建築家たちのパワーが年々強くなるのも感じ取れた。第13回(1994年)でこの大阪展も諸般の事情により一時中断となってしまった。しかし第15回(1996年)に、場所をかえて大阪展が復活した。これで再び関西地区の建築家たちのSDレビューに向ける力も持続されることだろう。 また1987年から5年間(第6回~10回)、金沢展が開催され、さらに多くの人々の目に触れられることとなった。地元紙にもSDレビュー展が紹介され、この年頃から増々の熱気を感じた。さらに翌年には、スイスでのチューリッヒ展が実現され、SDレビューも海外へ渡った。外国展はこの年限りのものではあったが、1988年は4ヵ所を巡回することとなった。またこの時日本はバブル期に突入しており、応募作品におけるその数でも、プログラムでも、プレゼンテーションでも、最も盛り上がりを見せた時期といえる。
これらの巡回展を同時に、竹山実氏が大阪展(第4回1985年)で、原広司氏が金沢展(第6回1987年)とチューリッヒ展(第7回1989年)でSDレビュー記念講演会が開かれた。また、1991年に第10回記念として東京において、それぞれ5年間審査委員長を務めていただいた槇文彦氏と原広司氏の対談(司会=團紀彦氏)が行われ、両氏のSDレビューへの眼差しが語られた。この10年間でSDレビューも確固たる存在となったように思う。
第3回(1984年)から毎年約15~20人の入選作品の中からさらに優秀作品数点に賞(例えば1996年は、鹿島賞、朝倉賞、SD賞であるが、年度によってはあと数点が賞の対象として選ばれた)が与えられることになった。こうしたことにより、入選者にとっても記念性が高まると共に、プロジェクトによっては、 SDレビューに入選したことや、さらに賞を受賞したことが実現への後押しをするという役割も担っていたようだ。
ちなみに、受賞者への記念品としては年によって違いがあったが、海外の著者、建築家、デザイナーのデザインによる銀製ポット、銀製トレイ、銀製キャンドルスタンド、銀食器セット、サーリネンの椅子、カレッジバック、照明器具、壁掛け時計、卓上計算機等々が贈呈された。この場を借りてそれぞれのスポンサーに感謝したいと思う。
SDレビューも現在では、若手建築家の登竜門的色彩が濃いものと認知されているが、初期の数年間の入選者の中には、東孝光、安藤忠雄、伊藤哲夫、長島孝一、小宮山昭、鈴木了二などが常連として名を連ねており、応募者の世代としても幅広く、第一線で活躍している建築家たちの仕事を垣間見ることができた。また同時期数名の招待建築家にも出展依頼し、華を添えてもらったが、これは当時、入選者だけの出展で展覧会としても密度やパワーが保たれるかという危惧があったためだが、そうした配慮は無用といえるほどの力作が出展された。
しかし、年を重ねるごとに、第一線で影響力のある活動をしている世代の建築家たちの応募が減少し(もうSDデビューは卒業だと思われているようで)、若い世代が着実に増えている。SDレビューの目的にある、「若手や東京圏以外で活躍している建築家たちの発表の場、交流の場となる」ことはかなり満たされてきており、それを持続することはもちろん重要なことと思うが、そこに偏ることなく、幅広い世代の現況を眺めることができる展覧会として機能してもよいように思える。そのためには、新たな土俵を用意すべきなのか、主催者側としては大きな課題として受けとめている。 展覧会でのプレゼンテーションについても、初期の頃よりはかなり出展者に対して自由度を高めてきてはいるが、展示スペースの都合や、前述したように手作りの展示でもあることから出展者の方々には何かと不満の残ることがあると思う。さらに今後は若い世代によるプレゼンテーションの手法が変わってくる可能性は大いにあると思える。それに対処できる展覧会場のしつらいも考慮する必要があるだろう。
そして SDレビューが実現を前提とする、プロジェクトを通して現状の問題点に対して建築家がどう向き合っているのかを見せる場として機能するためには、現在のプレゼンテーションだけではない、もっと現状のわかるリアリティある表現手段が望まれるのかもしれない。また、より広い建築の状況を捉えようとするならば、海外の建築家たちの参加を積極的に呼びかけることも考えていくべきとも思える。
今日のSDレビューも多くの方々の協力によって、さまざまな「動き」を孕みつつ継続することができてきたのである。今後のSDレビューも、すべてが定型化されたものとしてではなく、徐々に動き続けるレビューとして存在するものだと思う。
「SDレビュー15年のメモ・ランダム(文:編集部)」より
◇ 入選者 ◇
石飛 亮+東郷拓真 / 大庭拓也+茅原愛弓+北潟寛史┼橿淵開 / 小野直輝 / 神本豊秋+能村嘉乃+筒井祥平 / 桐 圭佑 / グリア―・ハナ・ハヤカワ┼ヘクター・バランテ・モンテス / 佐藤布武+佐藤あゆ+森本莉央+伴 拓実+池田裕太郎 / シモン・グリフィン+鶴田 航+上林修司 / 畑 克敏+足立拓哉+深澤愛佳+深澤創一+梅村 樹+田中碧衣 / 原田雄次 / 降旗範行+酒井千草 / 村山 徹+加藤亜矢子+塚越竜也+二又大瑚
◇ 審査員 ◇
青木 淳 / 冨永祥子 / 満田衛資 / 増田信吾
◇ アドバイザー ◇
隈研吾
※ 本稿は京都工芸繊維大学美術工芸資料館の情報にもとづき、おもに京都展関連情報を中心に紹介した。
※ 下掲詳細公式サイトで最新情報を確認の上ご観覧を。
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